反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

原発事故現場全貌。圧力容器、冷却装置、電気系統、緊急時対応の末端、元技術者として、解っている事、解らない事。

 実は圧力容器、冷却装置、電気系統については資格を持っているし、現場作業に従事していた経験がある。
緊急時の対応も責任を持ってやった経験がある。
 
 連日の執拗な原発関連記事。
そのためもあって、福島原発事故現場の生の作業状況には引き込まれるような興味が湧いてくるというのが正直なところだった。ただし、原子力については素人。
 だが、元々ドライな人間なので個人的事情はどうでもよいと想っていた。
 
>現場作業の状況の様々な情報に接するが、自分の知りたい、肝心なことが全く現場から漏れてきていない。
それは何か?
 
>1~3号機の圧力容器には注水作業が行われ、炉心、崩壊熱に対する温度、圧力「管理」が行われている。
 
>特に1号機の格納容器に対しては液体窒素の注入がもう20日間も継続的に行われている。
 
 情報を総合すると、築40年を超える一番古い1号機の圧力容器の中の炉心の損傷が激しく、小出さんの週刊誌記事によれば、1号機で炉心溶融再臨界状態だとか。危ない状態だから、圧力容器外側の格納容器に窒素注入を続けている。
 
>ただ、今までの記事の繰り返しになるが、3号機の建屋の破壊は他と比べて異常なほど凄い。
 
 無人偵察機の写真はネット上のどの写真よりも鮮明である。
それをもとに推察すると、使用済み燃料プールの状態、配管系統の破壊は相当なモノと推察するが、生の現場状況は当局側から公開されていない。
 
 ネット上に飛び交っている情報は悪く言えば、憶測に過ぎない。私の書いてきたのもその域を出ない。
 
 さらに、困ったことに、当局も詳しい状態を把握していないことだ。
強烈な放射線量でそばに近づけない以上、詳しく知る手段はない。
ただし、当局は誰よりも現場の実際の状況を掴んでいる。
 
>>>イロンナ現場情報の中で1点だけ解れば、今後の収束工程も大体想像できる。
簡単な情報なのに、具体的に公開されていない。
 
>>今現在、各号機に其々、どんな配管系統の何処から、どうやって、注水しているのか?
 
 結局、今のところ、炉心を冷温停止に導く唯一の方法と考えられている冷却水循環系の構築は、今現在、注水している配管系を使わなければならないのだから、この注水、配管系の破損度によって、収束工程の難易度も大体予測できる。
 
 原子炉本体から新たに配管を引っ張ることは絶対に無理。
また、今、注水に使用している以外の配管は冷却循環に利用できないと見る。
 
>格納容器、圧力容器、本体の損傷の修復は高濃度の放射線のため事実上不可能であり、冷却循環を何よりも優先させるためには、配管系を修復する必要がある。
当局が2号機の圧力抑制室の損傷を心配しているのは本体破損だから、修復は困難とみているからだろう。
ここからのダダ漏れは、冷却系統構築の大きな障害になる。
 
 配管損傷なら、今、何とか注水で来ているのだから、修復可能だと、見ているのかもしれない。
 
 >しかし、水素爆発によって最もダメージを受けたのは強度の弱い配管系。グチャグチャになっていると推察する。
 
 それを承知でダダ漏れ状態で注水している。これが今の実態だろう!
 
 >>>現場で注水しているのだから、配管の破損度、漏れ個所の見当、程度は解っている、はず。
そこを修復し、冷却系統を構築できる目安があって、先ごろ発表された収束工程表発表ならば、、掛け値なしに信じることはできる。
 
>>>ところが、第3者のモノが収束工程を信じられる、簡単な目安とできる、今現在の注水作業の実態が全く明らかになっていない。
 
 汚染水の溜まり具合によって、どの程度、ダダ漏れしているとか、注水によって、圧力温度は小康状態を保っているとかの間接情報ばかりだ。
 ただ、1~3号機の汚染水が6万5千トンから推理すると、配管はグチャグチャ破壊され、文字通り、ダダ漏れ承知で注水している状態だ。
 
しかし収束工程を実行するカギは、冷却循環を構築するための配管系を整えることだ。
 配管がダダ漏れでは注水できても、炉内であっためられた、高温水が冷却装置にリターンしてこない。帰ってこなければ冷水と温水の熱交換ができない。
 
>>今現在の注水が、ボロボロ破壊された配管系のダダ漏れを承知で、とにかく、水を圧力容器にブッコメ!と云う形振り構わぬ状況なら、冷却循環構築は遠い先の絵空事に近いのじゃないだろうか?
 
 >放射線量が強く作業環境劣悪なところで、かなり厳密な手仕事を相当なか所で行わなければならない。
 
NHKの水野解説員の云うよう放射線量の弱い個所を見つけてコンクリートで漏れ個所を塞ぐなんて、子供の遊びの様なモノだ。コンクリートで圧力のかかる配管の漏れは修復できない。特殊作業になる。
 
 >爆発は建屋内部で発生している。建屋内部には配管が密集しており、その一つを今現在利用して注水している。収束するための冷却循環の配管もそれを利用するしかないが、ロボット探査でも解っているように建屋は入口付近でも高濃度放射線量であり、漏れ個所の配管部分はそれ以上の放射能である。
 
 
>>1メートルのコンクリート壁の建屋が吹っ飛ぶよな爆発力は凄いモノである。コンクリートの内部は太い鉄筋が密集して組み込まれている。それを水素爆発は吹っ飛ばしたのだ。配管の損傷具合も想像できる。
 
>>比較的強度の弱い配管系統はメチャクチャに壊れているはずである。
どうやって注水できているのか?理解しかねる。
タンカー船の真水をどうやって圧力容器に向かって、送り込んでいるのか?
不思議でしょうがない。
 
>>その実態が解れば、燃料が高熱を発している圧力容器に対して冷却循環を作り出すというどの専門家も云っている解決方法が生の現場作業として、どの程度、危険で困難な作業になるか、解る。
 
>>もっといえば、現実的に実行できるかどうかも、想像できる。
が、肝心の簡単な生情報がない。
 
>>簡易ポンプで圧力容器への注水は蒸気と水になって、ダダ漏れ状態であり、すでに各号機の各所に計6万5千トンもたまっている。
 
6万5千トンのタンカー船を想像すれば、大変な漏れが生じていることが解る。
注入水はサプライはあってもレターンはない。漏れて、蒸発している。
 
>2号機の格納容器下部の圧力抑制室の破壊が発表されているが、そんなものは、配管系の破壊の一部。
現実に1号機、3号機関連の汚染水も2号機と大して変わらない、其々2万トンもある。
同じように漏れているということだ。
 
>>どの専門家もこの注水の循環系統を作り出し、途中に冷却装置を設置しなければ、汚染水垂れ流し、と圧力容器内の危険な状態の解決にはならないといっている。
 
>>今やっている作業は、ボクシングで云えば、ロープ際に追い詰められ、ダウン寸前で相手に必死でクリンチしている様なモノ。
 
>>このままだと、結果はTKO(放射の汚染拡大)になるか10カウント、ダウン(原子炉、再爆発)になるかだ。
 
>>>東電や当局の情報発信の根底にはとにかく、圧力容器内の爆発を阻止したいという防戦一方の意識が働いている
だから、本体の一部である格納容器の圧力抑制室の破損に目が集中する。
ところが、それだけでなく、冷却水循環を作り出すためには、配管を整えなければ、圧力容器と冷却装置の間の循環系が構築できない。
 
 >>>要するに東電現場の今の作業段階はとてもじゃないが、収束工程表を公表する段階ではなく、圧力容器内の危険状態を逃れることで手いっぱいと云うことだ。
 
 事故1か月を経ても事故現場の状況は好転していないことから受ける人心動揺を鎮めるという政治的思惑を持った管政権に即されて、東電本社は現場実態を抜きに収束工程表なるモノを無理やり発表した、とみる。
 
>>当然、現場作業に責任を持っているモノにとっては納得できないであろう。
 
>>このままズルズルと時間だけが経過していくのではないか。
原子力御用学者は今もって冷却系構築を簡単に考えている。
一番困難な現場作業を机の上でやっている様なものだ。
 
 こういう輩だから、最悪立地条件のこの日本における原発安全神話をふりまけた。
怪しげな新興宗教の様なモノだった。
 
太陽を盗んだ男たち」だったのだ。彼らは。
原子力の魔力はその種の狂気を内包している。
それは、核兵器保有する国家意識に通じている。
 
原子力工学の専門家に女性は点ぐらいしか存在しないのじゃないか!
解る様な気がする。
地球上に92しか存在しない原子の中で最も不安定な原子であるウランの核をいじって分裂させ、悪魔的爆発力を得たのは戦争における人間殺傷のためだった。
 
 >>>日本はアメリカによって、2個の原爆を投下され、多くの方を惨禍で失い苦しめた。
その日本が人類史上なかった、原発事故を引き起こし、収束の目途さえ立てることはできない。
世界の心ある人はそういう文脈で福島原発事故を見ているだろう。
 
>>世界に対する日本の道義は失墜した。
 
>>そういうことに不感症になっている日本人に本当の愛国心はない。
それでは世界に通用しない。
 
>>日本の戦後の歩みは歴史の本道をいくものでなかった。
脇道を本道と勘違いして上を向いて歩いているうちに、巨大な落とし穴にハマった。
 
>>日本人は東北大震災を含めて今回の事態をよい教訓にできないであろう。
東日本震災後の日本はさらなる歴史の脇道に迷い込んでいく。
 
>>なるようにしかならないのであり、誰も止められない。
 
国家が敗北するのではない、多数派国民が惨禍の中に突き落とされるのだ。