2)国際分業と米中関係
このことはアジアでは中国を中心としたGVCが形成されており、最終的な付加価値実現の場がアメリカであることを物語っている。
************
GVCとは?
引用
「グローバル バリュー チェーン( GVC ) は、製品を市場に投入するために経済関係者が関与するあらゆる活動を指します。[1]グローバル バリュー チェーンには、生産プロセスだけでなく、プリプロダクション (設計など) およびポストプロダクション プロセス (マーケティングや流通など) も含まれます。」
********
3)対中貿易赤字の過大評価と先進国による付加価値移転
~~W.論証が細部にわたるので結論部分をペイントする。~~
1)アジア太平洋地域の中心軸の変容
終了
W。非常に参考になった。グローバル資本主義の経済主体である多国籍企業の中国進出の実態は反俗日記が以前から想い描いていた状況とたいして変わっていない。
ファンダメンタルズの基礎である国内の生産過程に、実績のある多国籍企業が君臨している。それらの企業は人口扶養力のある中国を舞台に「グローバル バリュー チェーン( GVC )を形成し、中間財を近隣諸国から輸入し完成品を販売し、輸出している。この場合、貿易額でいえば中国国家の黒字に計上される。しかし、多国籍企業はサプライチェーンや生産拠点を中国外に移すこともできる。
その一方で、中国内では付加価値を生み出す大企業が生まれ、世界市場に進出している(米国にも、かつての日米貿易摩擦の米側パフォーマンス想起。人種差別もある)⇒米中対立、その1。
しかも中国経済のサービス化金融化の進行速度は政府の後押しもあって加速度的に進展し、その資本力において米国型の形態を持つに至り、近隣のアジア諸国や開発途上国に資金提供をしている。⇒米中対立、その2。結局、世界市場の争奪戦を見越して攻勢をかけている、とみる。
生産過程の改変には技術的管理的蓄積、や国内の関連企業群が必要で長い年月がかかる。そこで働く人々の雇用問題もある。しかし、経済の金融サービス化はカネさえあれば短期間で高度化できる。そのために必要な資金は中国人民の労働が生み出した価値で賄われた。⇒中国政府は優柔不断
欧米よりも近代化の遅れた後発資本主義の国の経済には歴史的要因などの規定され、特徴がある。
日本の経済発展の原動力は人口ボーナスと冷戦体制、官の寡占部門への護送船団方式(終身雇用)勤勉性集団性であった。そしてその成長の環境が取り払われ(プラザ合意までの日米貿易摩擦は今日の米中の前哨戦のようなもの)、アジアの経済空間の中軸から外れたことなどが長期経済停滞に繋がっていると考える。
しかし、日本の生産資本はこの論文によれば米国と同等、おそらくEUと同じ程度の付加価値を生み出していると解った。高付加価値製品の生産と輸出が課題だといわれてきたが、やるだけのことはやってきたのだ。
結局日本の長期経済停滞は歴史人口学的(人口ボーナス無)地政学的(人口扶養力のある巨大国家中国の急速な資本主義化)国際環境の大変化など、歴史的な要因に規定されたものと言える。
以上のように日本は固有に恵まれた外部環境が取り払われ、そのファンダメンタルズに相応しい、経済的な立ち位置の歴史的に回帰している、といえる。
しかし、この論文を裏読みすると、日本支配層の政治方向は米国の対中強硬戦略にぴったり張り付いて、中国動揺と「失陥」から零れ落ちる獲物を狙う野心が透けて見えるような気がする。
中国の経済は想っている以上に部門別の関連性がチグハグな状態になっている。金融サービス化の急速な進展は政策的に間違いではないか、ともう。
さらに多国籍企業を奥深く招き入れて、その経済活動が国家の大きな税収になっている。200万人以上がそれらの企業関連で雇用されている。
独裁政権があるからかろうじて経済と国家の統一性を維持できているのではないか、ともう。
対外政策は、国内の多国籍企業の動向を念頭に入れなければならない、と想定すれば、結局は優柔不断で時間ばかりを浪費することになり、そこを見透かした欧米が獲物を狙うように攻勢をかけていくだろう。
ロシアのプーチンも欧米マスコミはその政治力を誇張して報道していたが(ソ連邦崩壊後をウオッチしているものならその嘘が解る)、今回の戦争でそれが大ウソだったとおわかった。習近平体制に対する報道も誇張がある。相手を誇張して強大に描きあげると、自分たちの攻撃性が薄り正当性>公共部門の外延的拡大しきった時期に周辺から内部から、反乱がおこって王朝は中国人民の中に消えていった公共部門の外延的拡大しきった時期に周辺から内部から、反乱がおこって王朝は中国人民の中に消えていった
中国人民は長い他民族支配の期間も黙々と営為を続けた。
専制権力と中国人民は二つの次元の異なった空間で生きてきた。
古代文明発祥の地のなかで中国大陸と中国人民だけが、山あり谷ありの独自繁栄を続けて今日まで至った。ココが、日本民族との大きな違いである。
欧米は中国の現状の弱さを知って、攻勢に出ている。
内部に脆弱なところのあるものは窮地に陥ると身を捨ててでも反撃する。
米国の対中強硬姿勢には地政学上のリアル優位な立ち位置と中国抜きの北米、中南米、EUの経済圏を確保している優位性が根底にある。
しかし、東アジアの日本はどうか?明らかに米国とは立場が違う。日本も強くはない。韓国や台湾も同じだ。
隣り合った国同士が戦争事態になるほどの争いすればお互い深手を負う。
ロシア、ウクライナ戦争。対中経済交流規制。
この二つの供給側の市場規制が世界的なインフレを招いている、ということもこの論文の中国内の多国籍企業の輸出入の動向から、解る。