反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

諏訪湖の御神渡り600年の記録が伝える気候変動とワイン醸造ブドウ種栽培の世界(日本)的変化。

~日本とフィンランドの定点観測記録を国際研究チームが解読・分析~
引用
長野県の諏訪湖は、冬に全面結氷すると、昼夜の温度変化によって氷が収縮・膨張し、湖面に収まらなくなった氷が表面を割って、山脈のようにせり上がる
御神渡り(おみわたり)」と呼ばれるこの現象は、神道の神が湖を渡った足跡だという言い伝えがある。少なくとも西暦1443年以降は毎年、諏訪湖のほとりにある神社の神官が、御神渡りの出現日を丹念に記録してきた。」
 
資料 御神渡り(おみわたり) W。この資料が一番解り易くて詳しい
   御神渡り(おみわたりの概要                                  御神渡り(おみわたりの様子
イメージ 1
イメージ 2
科学的に次のメカニズムで出来上がると解明されています。
①氷点下10度前後の日が続くと、諏訪湖が全面結氷する。
②この状態が続くと、厳しい夜の冷え込みにより氷が収縮し、表面に亀裂が入る。
③亀裂に湖水が入り込み、薄氷ができる。
④周囲の氷が昼間の温度上昇により膨張し、圧力で薄氷が破壊され、せり上がる。
⑤これを繰り返し、せり上がりがだんだん大きくなる。御神渡り発生時の音
**
下線の気象条件に注目!御神渡り(おみわたり)とほとんど関係のない長野、山梨のワイン用ブドウ栽培に飛躍する伏線。
その「自然条件」とは・・・
・湖の大きさが中位程度である。
・水深が浅い=湖上と湖底の水温差が少ない。
・湖の形がほぼ円形である。
標高が高い。
盆地などの地形により、寒冷な空気が滞留し著しく低温になる。
日中は風が立つが、夜には凪ぐ。
積雪が少ない。
晴天の日が多く、日中は気温が上昇する。
この自然条件を見ると、諏訪湖はピッタリです。
**
諏訪湖フィンランドの双方で、毎年の結氷・解氷のリズムと、大気中の二酸化炭素濃度との関連が次第に強くなっていることが示唆されるという。」~W。氷河期の周期を超えた人間活動による地球環境変化である。
 
>「極端な変化も最近になるほど多い。論文によると、例えば諏訪湖御神渡り出現を記録し始めてから最初の250年間(W。約1700年江戸時代初期)で、湖が凍らなかった年は3回しかなかった。」
 
W。産業革命の時代に欧米の人口急増した。日本の本格的な重工業化は1930年代、満蒙戦線激化に伴うも出会った。
 
>A、「1955年から2004年までの期間には、結氷しない年が12回」~W。約12回/50年~
 
>B、「2005年から2014年までには5回」
~W。5回/10年~Aを1990年までとして、グローバル資本制の本格化したB、1990年~2004年の統計を取るべきだった。~
快適生活追求と地球環境破壊は比例する。グローバル資本蓄積の強化に根源のある地球環境破壊の最大の対抗要因は人間の英知ではなく地球環境
 
*********************************************
W。歴史時代の気象変動と国家の支配権力をめぐる動乱と民衆の生産力、生産関係、リアル生活をめぐる相関関係について深く考察すべきである。天変地異に常日頃遭遇し、基本的生活形態を破壊されてきた<日本原住民>は<環境追随型>であった。コレは支配的権力にとって、好都合の絶対要因だった。
 
。来る参院選において九州、熊本大地震は、東日本大震災福島原発事故が、民主党政権への不当きわまる大陥穽であったように、アベ等に好作用するであろう。
みんな、一方向にまとまる条件において、そのまとまり方の内実を問う声が聞こえない。コレは情緒ではなく、理性、合理主義=民主主義政治の課題である。

資料 連載エッセイ [41] 暮らしの中のバイオクリマ
「歴史時代の中の過去2,000年の間、気候は大きく変動した。最も信頼にたる変動の復元は(図1)に示すとおりである。」
 
イメージ 3左図に明らかなように、鎌倉時代後期、室町時代
応仁の乱~戦国時代~世界的産業革命達成(重工業化の1900年代の500年間、地球は小氷河期 だった。生産関係の自給自足性の要素が強かったこの長い期間において、農業への慣例化の影響は飢饉発生など多大なものがあった、と推察できる。当然にも、ソレは政治経済、新大陸発見、西行革命にも影響したと思われる。
災いが、強力な文明進歩のばねになったのであり、同時に非人間的犠牲は多大なものがあった。
>「諏訪湖御神渡り出現を記録し始めてから最初の250年間(W。約1700年江戸時代初期)で、湖が凍らなかった年は3回しかなかった。」記録は、ちょうど小氷河期にピッタリと一致する。
応仁の乱 - Wikipedia応仁元年(1467年)に発生~(1467年)に発生
文明9年(1477年)までの約10年間にわたって継続した内乱。【8代将軍足利義政の継嗣争い等複数の要因によって発生し、室町幕府管領細川勝元室町幕府侍所所司(頭人)の山名持豊(出家して山名宗全)ら有力守護大名が争い、九州など一部の地方を除く全国に拡大した。乱の影響で幕府や守護大名の衰退が加速化し戦国時代 (日本) - Wikipedia、≪1467年(1493年)– 1590年≫~関ヶ原の戦い - Wikipedia西暦1600年10月21日~約150年間)の日本の内乱)突入するきっかけとなった[1から戦国時代の日本の200年にならんとする長期内乱も、】小氷河期を切り離して考えられない。
 
連載エッセイ [41] 暮らしの中のバイオクリマ、引用
「1550年頃から1660年頃までを寒冷の極とした、やや長い寒冷な時代が認められる点である」
W。であれば、「例えば諏訪湖御神渡り出現を記録し始めてから最初の250年間(W。約1700年江戸時代初期)で、湖が凍らなかった年は3回しかなかった。」は、小氷河期を踏まえていない見解であると解る。
>「奈良時代(8世紀)や平安時代初期(9世紀)は温暖で、日本は歴史上で国の政治・経済・文化が発展した重要な時代」W。自力で中国先進文明を先取した。この点、資本主義の世界化=帝国主義の時代における、受動的西欧化、明治維新との時期とは異なる。日本原住民が本源的な性質を露わにした歴史時代は、応仁の乱までと考える。日本原住民は合理主義の民だった。
 
       <中国における過去2,000年間の寒暖の波>
最近、中国で過去2,000年の寒暖の波についてまとめた結果が発表された。
その結果は中国の全容を明らかにするばかりでなく、日本を含む東アジア全般の状態に関する情報としての価値が高い。(図2)はその1部である
(図2)からわかることを列挙すると以下のようである
(1)中国全体で見ると、ほぼ1~200年、551~760年、941~1300年、1901~2000年の期間が温暖である。
>(2)全中国で見ると、941~1300年の期間が過去2,000年間で最も温暖であった。
(3)東中国(中国東部)の北部と中部では波の状態がかなり異なる。これは東アジアでは温暖期と寒冷期で強く支配する大気循環系が異なるためか?
(4)上記の(1)と(2)は5~8世紀、12~13世紀では波の高低がほぼ逆位相である。
>(5)しかし、18世紀以降、位相は並行している。これは人間活動の影響が強くなってきたためか?
>(6)中国東部の中央部の変化傾向が中国全体の傾向を支配しているようにうかがえる。そうして、北半球全体の傾向とほぼ合致している。
 
 <関連する現象の2~3>
「まず誰でも思いつくのは中国では隋(589-618)の統一、日本では飛鳥文化の開花の時代がこの温暖期であったことである。隋・唐の対外発展、唐の世界帝国の完成、東西文化の交流の有力な下支えが気候の好条件であったことは間違いなかろう。~~」
東南アジアでは諸国が勃興した。ボロブドゥ-ルやアンコールワットの遺蹟を生みだした文化が栄えた。その後、気候が寒冷化するのに従って蒙古族が勃興し、元(蒙古帝国、1271~1368年)が成立した。」
 
>「気候が原因で人間活動が結果だと読む人がいる。わたくしは、原因・結果だと言っているのではなく、気候は条件の一つであって、ちょうど好適な条件で人間活動を下支えしたことを言っているのである。あくまでも人間活動が主体である。これがバイオクリマからの捉え方の重要な点でもある。」

>「最近の数十年で見て、植物季節は温暖化のため春が早くなっている。
>例えば、中国北部では1963~2000年の観測結果で、10年につき2.22日、同じく中国東北部(旧満州)では1.52日早くなっている。これは霜の発生回数が温暖化のため少なくなってきているためである。これらの現象は当然ながら、農業や林業の経営に重要な情報をもたらしている。」
(1)寒い日寒い夜(2.78冬日(結氷日)、霜日(3.29)、低温継続日数減少傾向10年につき
それぞれ0.84、2.78、0・48、3.29、0.67日であった。

(2)一方、暖かい日、暖かい夜、夏日、熱帯夜、高温継続日数の増加傾向10年につき、それぞれ2.24、2.86、2.93、0.83、2.30日であった。

(3)これらの減少傾向、増加傾向はたとえば揚子江流域で見ると上流部・中流部・下流部くらいの地域スケールで異なる。
 
 
*したがって、約2000年の間の波は十年・数十年・数百年の時間スケールで見るとまたそれぞれに対応した地域スケールの差があることを承知していなければならない。
 
 
W。日本列島の国土の荒廃ぶりはグーグル航空地図で、世界巡りをすれば、一目瞭然と考える、がどうだろうか?日本国民は経済発展至上主義のために国土を無理使いしてきた、と想う。その象徴が2011年福島原発事故であった。
 

 
     
  中央日本における醸造用ブドウ栽培と気候変動について
         人間発達科学部紀要第4巻第1号:83-105(2009)~
 
~以下、要点抜粋~
   Ⅰ 気候変動とその影響
醸造用ブドウ栽培は<夏季の天候に大きな影響>を受けるが,古代および中世には中欧北部でもワインが生産されており,古くからその気候変動との関係が論じられてきた。
近世以降に欧州北方でのワイン生産は衰退するが,近年再び活発化している。
とくにバルト海の北に位置するスウェーデンなどでも,史上初めて商業生産が行われるようになった。
一方で,欧州の南方ではブドウへの高温障害(後述)の発生などがおきている。
>農作物の中でも嗜好品的性格が強いため,品質への気候の影響を注視せざるを得ないことなどによる。
 
日本国内での醸造用ブドウの生産は,北日本に偏る傾向があり,中部地方から北の内陸盆地が主要産地である。
日本での醸造用ブドウ栽培地は,比較的限られており,かつブドウ栽培地でも醸造用ブドウは一部でしか作られない場合がある。
>それは局地的に特異な気候を利用しているものとみることができる。
>そのため水田などとくらべても,より詳細な気候条件の把握が必要となる。
 
   <本論では醸造用ブドウ栽培を例にして,気候変動の影響の抽出を試みる>
醸造用の生産量を合計すると,都道府県別には,山梨(日本古来の果実食、醸造兼用の甲州種に限定),長野,北海道,山形の順に多い。
 
加工専用品種の生産量は,
赤ワイン用ではメルロー
白ワイン用ではシャルドネが最も多い。
加工兼用品種の生産量は,甲州
*****
*****
 W。果実酒醸造の免許場?耳なれない用語について
PDF]
特定農業者による果実酒製造用 - 国税庁ホームページ
酒税法違反?!自宅で果実酒を作られてる方、作りたい方は注意です ...
*****
 
  SUTORY
ヨーロッパ種は、生食用の葡萄にくらべて糖度も酸度も共に高く、粒も小さいのが特長です。
小粒なため、皮や種の比率が高いのですが、香味の成分は、この部分に多いため、香り高いワインに仕上るのです。」
 
     <赤ワイン用主要品種と味わいの特徴>
カベルネ・ソーヴィニヨン 
(生産量1位兵庫 131トン、~長野5トン)
フランス・ボルドー地方の代表的品種。
●メルロ 
(生産量 1位長野 521トン 2位山形 268トン)
ボルドーのポムロール地区やサンテミリオン地区の主要品種。
ブレンド用としても重要な品種
**********
**********
    <白ワイン用主要品種と味わいの特徴> W。好みの問題。辛口のきりっと冷やした白ワイン!
シャルドネ
(生産量 1位兵庫 262トン 2位山形207トン 3位長野128トン
ブルゴーニュの白ワイン用品種ですが、今では世界中で栽培されており、辛口の白ワイン用葡萄としては、最も高い人気を博しています。
 
リースリング
ドイツワインの代表品種。
美しい酸味を持ち、繊細で上品な香りと口当りを持ち味にしています。
味わいはごく辛口から甘口まで多彩の、いずれもバランスのとれたワインが生まれるため、世界各地で栽培されています。
   
 
    <加工兼用種>
甲州~マスカット、デラウェアなどと同じ加工兼用種
W。全く知らなかった。
わが国古来の品種で、シルクロードを通って伝来したヨーロッパ品種のひとつだとされています
********
********
現在のブドウ醸造の中心である山梨県と長野県でも,両県内でのブドウ栽培の分布には地域的な差異がみられる。
現在のワイン生産者は,とくに長野盆地松本盆地~W。赤ワインのメルロ,白ワインのシャルドネ、バランス良く生産。日本最大のワイン生産地は長野県~~さらに甲府盆地甲州種の白ワイン生産に特化~に集中する。
*******
 
      3.長野盆地
  <千曲川右岸>
W。初耳→垣作りのブドウ樹の縁には,欧州のブドウ園でブドウの虫害を予知するのに用いられるような小さなバラも植えられている。
(堤防から500m離れた平坦地の)ワイナリーから3.5km南東の須坂から高山にかけての扇状地上部でも,シャルドネメルローなどが栽培される

W。温暖化によって、醸造用ブドウ栽培は次第に高地へ移動(川が作った)なお降雨量も栽培条件左右する。→
 
扇状地の扇端付近でも,4戸の農家が集まり,平成10(1998)年から6haで醸造用ブドウが栽培されるようになったという。
で,千曲川からは420標高は約30mほど高い
 
    <千曲川左岸>
斑尾山の南麓の丘陵上に,ワイナリーがある。付近の高度は580mで,小布施よりもかなり高くなる
ブドウ栽培は,平成2(1990)年に始められた
>現在は2km北東の,標高570~620mほどの大入を中心にした計10haの用地で,シャルドネ(白ワイン)を主にピノ・ノワール(赤ワイン)などが栽培されている。
>ワイナリーでは,<ジャムやドレッシングなどのワイン関連食品も扱われ>,レストランや,結婚式の行われるチャーチなども併設されている。
 
   <長野盆地周辺>
長野市街の北東,千曲川左岸の標高340-350mの平地甲府盆地のとくに東部は,果樹園が多い(図16)。
甲州市勝沼町周辺は,ブドウ栽培の中心となっている。街道沿いには多数の観光ブドウ園がある。
主要なワイナリーも,旧勝沼町の等々力,下岩崎,藤井,勝沼など,ブドウ園の中心地付近に集中している。
勝沼町には,31のワイナリーがある。
これには自家消費が主の8社,共同醸造所的な5社も含まれる。
一方他から参入した,地元ブドウも購入する4社,輸入原料から大量生産する3社も含まれる。多いのは,地場産業に始まる11社~。
 
>現在,醸造用として重要なブドウ畑は,地域の外縁にあたる斜面上部側である(図17)。
>とくに標高の高い菱山や,鳥居平で醸造用ブドウが栽培される。
*鳥居平は,<440mの南西向き緩斜面で,礫混じり粘土質土壌>である。鳥居平や,上岩崎は甲州種の最適地。

        Ⅳ ブドウ園の自然条件について
1.醸造用ブドウ栽培用地の特色
ブドウ園の土壌,地形,気候,風土などをまとめて,テロワール(Terroir)とよばれる。
①とくに個々のブドウ畑やその中では土壌が影響し,
地域的には地形が影響し,
地方ではその気候が影響し,
さらに広域では歴史や文化なども含めた風土が影響
 
山麓・丘陵地また平野部よりも,山麓斜面や丘陵などに多くみられるが,それには高度に伴う気温の逓減が大きな要因となると考えられる。
甲府盆地勝沼周辺でも,斜面上部が重視されているが,新たな栽培地として盆地北西部の高冷地が開かれるようになっている。
 
 
        <森林植生>
欧州ではその名のように,
郊外や山地のブドウ樹が栽培される周辺は,森林地帯であることが多い
周囲が耕作地ではなく森林であることは,ブドウ園に局地的な影響をおよぼしていることが考えられる。

    2.自然条件の分析方法と資料
土壌の違いがワインの香味に重要な影響をおよぼし,土壌の形成に気候や水環境が影響しているにせよ,土壌の影響が支配的であるのは平坦地の場合であり
盆地や丘陵などでは影響はより小さいように考えられる。
 
醸造用ブドウ栽培には,温暖化の影響が認められる
生育期間は4月から10月とし,
*月平均気温にもとづいて<期間内の平均気温>を求め,月降水量から<期間内の降水量>を求める。
 
    
  <生育期間の平均気温>
盆地でもその周辺部山麓では低くなるが,およそ甲府で18℃長野で17℃佐久と松本で16℃台である。

  <生育期間の降水量
生育期間の降水量は,北陸の沿岸地域では,1,200mmを超える(図19-b)。
内陸盆地では少なく800mm以下である。
>とくに甲府盆地長野盆地で少なく,600mm以下の地域も現れる
 
 
   <標高・傾斜度>
果樹園用地の,平均標高を示す(図19-c)。松本盆地また佐久盆地では,600mあるいは700mを越える付近にも位置する。
長野盆地では,300mから400mを越えるところがある。
甲府盆地では,200mから300mを越えたところが多く,勝沼周辺では一部で600mが示される。
最大傾斜角は2.5度以下のところが多い(図19-d)。
しかし斜面に位置するものも多く,最大傾斜角は甲府および長野盆地の周辺,とくにその南部では25度を超えるところも多い。

    <土地分類>
~地形分類~
>長野は<砂礫>台地69,<扇状地>性低地31が多い。
>山梨は<扇状地>性低地80に集中し,<砂礫>台地25も多い。


         Ⅵ 気候条件の変化に関する検討
1.醸造用ブドウと温暖化
  <栽培地の世界的な変化>

醸造用ブドウに関して世界的にみた場合,近年にはワイン生産地が大きく変化している。
>たとえば栽培地の北方にあたるイングランドでは,近年多くのブドウ園が開かれている
醸造用ブドウ品種の生育期間の適温は,リースリングピノ・ノワールで15℃,シャルドネで16℃とされ,
またメルローカベルネ・ソービニヨン,サンジョベーゼやネッビオーロで18℃とされ,それぞれの適温幅も小さい。
イングランドの例にみられるような,北方での商業的ワイン生産には,温暖化が大きな要因になっていると考えられる。

      <中央日本の栽培地の変化>
>とくに甲府盆地では,欧州系の醸造用ブドウは盆地東部では斜面の上限に至り,盆地北西部のより高冷地への拡大がみられた。
 
>また醸造用ブドウは,アメリカ系から欧州系への変化があるが,
*なかでもドイツの主力品種からフランスのものへの変化がみられる。
それは温暖化によりこの地域が,
*ドイツ系の南限より高温になり,
*また従来高冷とされた地でも,フランス系が適するようになったと考えられる
 
 
        2.気温変化が生育におよぼす影響
  <登熟期の高温障害>
*高温障害が大きな問題である。
たとえば広島では,
*安芸クイーンは<着色開始後8~21日の夜温が25℃以下の時間が長いほど着色が良好>となる
7月下旬から8月上旬である熟期る熟期を早め,早期収穫することが有効
W?×価格問題→ブドウ樹では,稲のように播種を早めるなどはできず,<<加温ハウス>>などが必要である。
  <休眠期の高温障害> W。注目!温暖化の影響、
>一方,果樹が冬季の自発休眠から覚醒するには,一定期間低温に遭遇する必要がある。
*W。植物の摂理である→しかし,西南日本ではすでに休眠覚醒の遅延が起きているため,加温ハウスは障害を増大させることも考えられる。
     ↓
ブドウは落葉広葉樹であるが,落葉し休眠することのメリットは,
その間の低温,乾燥,また強風などの害を避けることと考えられる
そのため温暖化により,栽培の南限も北上することが考えられる。
 
 
    <3.水分条件の影響>
ブドウには,とくに生育期の多雨は悪影響をおよぼす。
そのため,多雨地では,果樹の上部を雨除けで覆う,レインカットなどの方法がとられる場合がある。
内陸盆地は海岸線から遠く,周辺は高地であるために,基本的に降水量は少なくなる
降水の遮蔽効果~<南西の風により降水が増大>する。
そのためとくに,南西側に大きな山地があると,降水は大きく減少することになる
およそ南北に連なるアルプスを境にして,西側では醸造用ブドウの栽培は少なく,東で盛ん。
>温暖化にともない,一般に降水量が増加し,とくに強い雨が増加するといわれる。
*そのためこうした降水の減少の効果は大きいと考えられる。
  

      <4.局地的昇温抑制と降温促進>
海岸低地でも醸造用ブドウが栽培されるのは,<海風による高温の緩和効果>が大きいことが考えられる。
    ↓            ↑
またブドウ畑周辺は森林が多く,<都市のヒートアイランドのような著しい昇温>が抑制されることが大きいと考えられる。
  <熱帯夜>⇔<人工的な排熱>⇔<コンクリートなどの建造物への蓄熱>⇔<湿度の高い夏季には夜間の放射冷却は小>
>ブドウの着色などには,熟期における夜間気温の低下が重要であった。
夜間の25℃以下の時間の長さとは,<熱帯夜>,すなわち夜間の最低気温が25℃以上,の日数とおよそ反比例するものと考えられる。
<熱帯夜>はとくに都市での増加が著しいが,<人工的な排熱>に加え,<コンクリートなどの建造物への蓄熱>が大きい。
<湿度の高い夏季には夜間の放射冷却は小さく>,日中の昇温はそのまま夜間にも影響する。
都市と異なり森林は日中の昇温が抑制されるので,夜間にも森林斜面からの冷気の流下が,降温を促進することが考えられる。

         Ⅶ おわりに
 <原産地呼称制度の影響>
国際的には,1995年にWTO世界貿易機関の加盟国により,原産地呼称制度が推進された。
すなわちTRIPS協定:知的所有権の貿易関連の側面に関する協定,の適用に必要な国内実施措置,地理的表示
日本でも平成17(2005)年に,国産ワインの表示に関する基準が改定された。
ただし「国産」には,
外国産原料以外の使用も含まれ,国産ブドウ,輸入ブドウ,国産ブドウ果汁,輸入ブドウ果汁,輸入ワインについて,使用料順に表示するものとされる。
産地表示は,同一地で収穫したブドウを75%以上使用のもの,について認められる。
W??→高品質が認められることにより,高価格が保証される。
W??→そのため収穫量をとくに抑制する,醸造用ブドウ栽培が,促進されると考えられる。
●その効果は明らかではないが~
  
 
      <環境保全とのかかわり>
一般に,蔵元や杜氏醸造技術に関心が集まる日本酒と異なり,ワインでは品種,ブドウ畑から生産年にも関心が向けられる。
とくに食の安全から,醸造用ブドウの無農薬,有機肥料栽培による,エコワイン化が,欧州や日本でも進められている。
また環食同源,すなわち食は環境に直結食を守ることは原産地の環境保全につながるとされ,食と環境との調和が求められている。また地産地消
は,輸送による環境負荷の軽減などから,温室効果ガス削減にもつながる。
さらに地元産ワインと地元産食材との調和により,効果がより高まることが期待される。