反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

賭博場と化した為替市場の背景には世界金融制度の問題、カネとモノの過剰、世界経済の歴史的地殻変動があり、今後、経済的激震に至る。

 急速な円高による日本経済のロスに対する政府日銀の金融対策が決定された。
俗に買いオペと称されるモノで義務教育では教えてくれないが、高校の教科書では詳しく説明されている。
 日銀のやり方やその効果のほどは説明の通り。おそらくアメリカのFRBの金融緩和策も同じような様な内容だったのだろうと思う。
 
 マネー市場でドル買いによって円高を抑えることは政府日銀はできない。もちろん、現状の混乱する歪な為替市場に以前のように先進国が協調して対応できない。
 前者の対策を打つことは芳しくない経済状況を受けたアメリカ政府、当局の政策に結果的に逆ねじを回すことになる。オバマ民主党は11月中間選挙を控えて、とりあえず目先の景気対策を打ち出さざるえなかった。
 その対策が急速な円高進行になり、日本政府、経済、に不当な迷惑、ロスになるとは当然想定されているが、自分たちの目先の都合で政策決定した。
 
  先進資本主義経済の危機的な現状は、EU経済の不調から、日本の様な長期デフレ傾向を脱却できない通貨に投機資金が集中を見ても理解できる。
 
 アメリカ、ヨーロッパの高水準のGDPの推移は要するにモノの生産=実体経済の成長をカネ、信用の膨張でけん引していたということである。だから、伸びきった信用が収縮する局面になれば、モノとカネの相互好循環が断絶し、潜在する大きな過剰生産力、過剰資本の実態が一気に全面的に表面化する。
 
 かつて、日本バブル崩壊をいけてアメリカは盛んに不良債権の整理を要求してきたし、これを受けて日本政府は回収できない債権を抱えたメガバンクに資金援助し、バランスシートのマイナスを是正しようとしてきた。
 
 アメリカのバブル崩壊による金融資本のバランスシート上の負債の連鎖は日本のバブル崩壊期と全く比較できない、天文学レベルの数値。またアメリカンバブルの方棒を担いだり、その強い影響力下にあったヨーロッパ経済の混乱も根深いモノがある。結局、天文学的数値に達している借金の連鎖は粉飾するか、チャラにするしかない。
 それを可能とするのは政治体制は何かということである。強権が必要であろう。世界レベルでの政策協調がいるだろう。
 ところが、今のところそれができる兆候はない。
 
 日本が曲りなりにバブル崩壊の混乱から立ち直ったのは、当局、国民の辛抱もあったし、規模も小さかった。
また、先進国経済、新興国経済の外需によって、輸出独占企業体を中心とした成長があった。
 つまるところ、その時点の世界経済おける落ち込みは日本だけだったから、日本は外需に頼ってなんとかなった。
 
 しかし、
現時点の世界経済は先進国の同時不況である。この意味で外需による立ち直りは厳しい。
新興国経済の成長も、世界的な過剰資本、過剰生産を吸収できる構造を背景にしていない。
 さらにその根底には世界市場の戦後史を画する地殻変動がある。
アメリカやヨーロッパのバブル崩壊の本当の原因は世界経済の地殻変動である。
古いモノが新しい潜在力に満ちたモノの挑戦を受けて守勢に立たされている。
 
 カネやモノの流れが大きく変わってきているのである。
先進国で資金を投資しても儲からないから、カネとモノは新興国にシフトする。
しかし新興国の経済成長も世界的なカネとモノの過剰を吸収する構造にない。
 
かくして、かつてのグローリズムは新しい戦後のブロック経済に転化していくだろう。
日本の様に戦略的ぜい弱性を抱えた国は苦しい局面に立たされて行く。
 国民には歴史的視野に立った政治選択が求められている。
 
今後日本は戦後史において経験した事のない試練に立たされよう。
 日本経済を成長させてきた戦後的環境は内外で変化してしまった。
 
 急速な円高ごときで大騒ぎ輩はこれから相当自制心を持たないと、天に唾をしている事になる。
自分たちの未熟さを恥じよ!