今、「ドル終焉」なる本を読み終えた。その前は「国際過剰資本と世界金融危機」
どちらのもスイスイ読める。なるほどなと思うが、イマイチ、ピンとこない。
しかし、読み終えて想うのはそれがどうした、と云うことである。
これらの事実を是正する方策は心細い限りである。
だが、TPPへの急速な舵切りを結節点に事態は逆の方向に進んでいるようだ。
と云うことは、恐慌後もバブルを制度化し、恒常化しているアメリカを抑え込めない、あらゆる分野で格差が拡大していく。
昨日の記事にもあるように、「国際金融資本は結局同じ穴のむじなである」
これは私の勝手な感想だが、その意味するとこの根は深いと想っている。
タラ、レバの類であり、現実が裏切っている。
アメリカへの幻想である。
一般的な解釈としては、国際金融資本とは、資金仲介業務を主とし、信用創造なる、僅かな手持ちの金を超拡大して貸し付ける権利を当局から付与された商業銀行、デリバティブばくち行為で投機行為を煽り、自らも、それを行うと云うユダヤ投資銀行ということになるが、それは狭義の意味での金融資本であり、広義の意味ではの金融資本とはトヨタ、ホンダなどの巨大製造業と狭義の金融資本の資本、利害関係における融合のことである。
この広義の金融資本の内外の動向が帝国主義だ。
帝国主義は通常、軍事拡張主義に理解されているが、それは政策の一部のことであり、本質は広義の金融資本に内在する内外の経済の法則のことである。
こういう観点は絶対に学校では教えない。せいぜいマルクス止まりである。
この立場からみると、アメリカの産軍複合体と云う見方は矮小な見方である。
軍事力の領域と経済戦略が一体的に押し進められている。
経済戦略の中核は巨大な貯蓄を抱える日本金融機関とアメリカ金融機関の融合、環流であろう。
こういう立場に立てば、先に挙げた学者センセイの様なアメリカへの幻想がなくなる。
次によくある誤りは、双子の赤字に苦しんでいるから、軍事力は削減の方向にあると云う、意見。
20世紀の二つの世界戦争を経ることでアメリカの世界覇権は完成した。
アメリカの世界覇権は自動的に達成されたのではなく、世界戦争における勝者となることを通じたモノだった。
だから、今後、世界がアメリカの力を具体的に限定させる行動をとることによってしか、問題の解決はない。
格差拡大反対のデモはバブルの真っ最中は決して、発生しなかった。
バブル崩壊によって国民各層にカネが回らなくなっている。
だからこそTPPによって日本国民からカネを略奪する機会をうかがっている。
ところが日本の支配層もそれと50歩100歩である。
だから、TPPに賛成する。
同じように、日本もかつての共生観のあるエネルギーに満ちた国でなくなって、現在のアメリカもどきの国に変身している。
時代の基調から離れたところでボッーとしているのは、日本のお茶の間ぐらいのものだろう。
そもそもが、たいしてカネもない、資産もないモノがその自覚乏しく足元を見つめず、金持ち富裕層の言い分に過ぎないモノを垂れ流しているマスコミ報道を毎日ボッーと眺めているところに問題がある。
何時の間にやらその見解が刷り込まれ、知らず知らずのうちに、解ったような気分にさせられる。
下衆根性はこんなところから発生する。
この世には支配するものとされるモノ、強者と弱者、差別するものとされるモノは厳然と存在する。
そい云う心情風景があったからこそ、戦後の歪な経済発展があったと云っても過言でない。
だが、日本の様に狭い平野部にヒトモノカネが蠢き、従順、規律旺盛な風土においては経済発展も急速だが、凋落の時は意外と速くやってくる。
このような状況を見越して、洗脳作業を行っているのが日本マスコミの基本手法である。
イロイロナ意見をもつ前に、自分の足元を見つめるた方が良いのではないか?
騙されている事もあるのではないか?
決定的政治問題を考える場合、自分がどの立場に立っているか?とハッキリさせることが大事である。
これなくして議論するから、中身の伴わない、どこかで聞いた様な、読んだような知識の空中戦に終わる。
日本国民の多くは未だ、地べたを這いまわって、糧を得ている現状がある。
その状態から解放される見通しよりも、その傾向が強化される傾向にこれからなっていく。
トッドさんの指摘によれば、今後の大きな傾向として先進諸国では民主主義は衰退し、寡頭支配が強まっていく。他方開発途上の国においては、民主主義が強化される。
民主政権の菅や野田が庶民出身であろうがなかろうが、そんなことは関係ない。
彼らの、やっている事の実態は支配層の政治委員会の構成員、使用人にすぎない。
この方向から外れた中枢政治家は過去も現在も政治暴力にさらされてきた。
労働力商品の生産費はその国の生活文化水準における、労働力の再生産費(自分が働き、健康に文化的にな生活を営むと同時に、次の労働力商品を育成する)に等しくなるようにできている。
労働力商品の再生産コストが低下すれば、必然的に給料は下方に引っ張られる。
従って、デフレ傾向が長期化すれば、給料は下方に引き下げられる傾向にある。
そもそも最低賃金が割り出されている基準はその地域の生活関連費である。
TPPによって安い食料品が市中に出回るかどうかは、今判断しかねるが、それが事実とすれば、生活費の低廉化=賃金縮小となるほかない。
さらにEU統合の大きな政策的柱は農業保護である。
戦争に明け暮れてきた処では、民族が自前で飯を食うと云う大切さが解っている。食糧をあなた任せにしている国とその国の政治家は程度が低いと云うことである。
特に2000年代以降、両者のかい離は世界のGDPの約3倍の規模に達している。この両者のかい離は各国の経済成長に伴う国際通貨ドルへの需要に吸収されるかに見えたが、過剰ドルが運用先をみいだすことなく、世界中の金融市場に累積し、国際貨幣資本へと転化することになった」
こんな、投機資金が蔓延し、制度化し、恒常化している、危なっかしい世界相手に、農業を蔑にして、一部貿易特化型産業の利害に拘泥するモノは政治家とはいえない。特定のエージェントだ。
競争が過ぎた果てには、集中と独占が進行する。