反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

新自由主義者に乗っ取られた民主党政権の本質を覆い隠す官直人

 最初に断わっておく。最後の具体的数字を挙げての官路線批判がメインです。
 
 今回の民主党代表選は様々な思想、政治傾向の寄せ集め集団である民主党らしく、官直人、小沢一郎両陣営の対立軸を整理整頓するのに手間取る。キチンとした評価基準が必要である。
  
 民主党は一年前の衆院選で国民の多くの支持を得て、政権の座に就いた。
 この時のスローガンは  「国民の生活が第一」。これは国民の生活、経済、労働など各分野において、市場原理主義による格差が生まれて、日本社会全体に不平、不満、閉塞感が充満していた状況に対する、国民生活レベルの視野に立った結集軸となった。また世界経済においてアメリカのバブル経済が崩壊し、世界のカネ余り、モノ余り状態がアメリカの過剰消費によって支えられていた世界経済構造の破たんが大きな背景にある。
 
> 小泉竹中の市場原理主義政策の時代はアメリカの過剰消費という抜け道が日本経済にはあったが、発足した生活第一を掲げた民主党政権は世界経済大混乱による急激な税収の落ち込みの中で、生活が第一のスローガンの具体的目標であるマニュフェストを実行する状況を強いられた。
 従って、生活が第一のスローガンを具体化するマニュフェストには世界同時不況下でなければ、実行できたモノと元々実行に無理があったモノに分類できる。
 
> 当時からの私の意見はマニュフェスト選挙は日本の実情になわないと否定していた。絶対に必要な項目だけ約束すればいいのであって、後は方向性を示すだけでいいと。
>何より、戦後、営々と築き上げられた利権癒着構図にシッカリ対決し、手をつけて欲しい、と。
 
小沢一郎さんや支持者に批判的な立場に移行したのは、そんな体制で果たして特捜検察、マスコミ宣伝と戦えるのかという一点に尽きる。闘争体制の問題を指摘したはず。
 
     >ただ、今、自己反省しているのは、
私自身が民主党の内部事情や生きたの生の政治を余りにうと過ぎて、市場原理主義の前原、仙石らへの警戒心がなさすぎた。
どうせ、全部いい加減な連中だから、ワイワイ騒ぎ立てるより、民主党という枠を守れないかと思った。この気持ちが小沢支持者への過剰批判をもたらした。
 
  >しかし、彼らが正しく、私が間違っていた。
 
 >ハッキリしたのは官が参院選増税路線を持ちだした時である。
これは二重の意味で間違っている。政権基盤が弱いまま、増税路線を打ち出せば、民主党政権交代にかけた熱い思いを否定することに繋がる。この時期の増税路線を決して容認できない政治層は確固としている。
世の中は自分の足元から、政治を見つめて揺るぎのない層が多く存在する。こうした層は民主党への行動的支持層である。
 増税路線はこの層の雪崩打つ離反を招く。官等は古い民主党の抱える最大弱点である政治判断力、実効力、政治センスのなさを一挙に露呈した。
 
>>第二の問題点。国民の生活が第一政権交代時の政治路線への完璧な背信である。
 
        <官政権は市場原理主義にたった1年で舞い戻った>
 小沢一郎は今回の代表選で日本の将来像を国家自立、セフティーネットをキチンとした上での自由競争と選挙戦の当初から掲げていた。これは以前からの持論である。
 小沢は「日本国家改造」刊行時代の市場原理主義を小泉竹中の新自由主義路線の日本及び日本人への破壊行為を目の前にして、社会民主主義政策を付け加える決断をした。それからの小沢はこの両者の混合の道を政治路線としている。
 
 ところが管は選挙戦が進むに従って、口先では美味しい事を言って、時には小沢路線に接近する様な誤魔化しをするが、基本政策は自民党やその衛星政党とも共通する、新市場原理主義とでもいうべきものである。
 
 役人が作った新成長戦略は一言でいえば、経済成長するアジアへの資本、商品輸出や生活産業の基盤整備市場への参入であり、この経済成果のもたらす効果でセフティーネット拡充?である。
 
 しかしこれは小泉竹中の大企業が儲かれば、雇用や福祉も良くなるという、破綻した政治路線の焼き直ししすぎない。口先で何と言ってもそうなってしまう。
 ネットで配信されている経済産業省の詳しい報告書を点検しても、コイツラは懲りない面々だと、断定した。
仮にGDPが拡大しても、政府が一貫して、制度、政策面で分配機能を果たさなければ、大多数の国民の生活状態は良くならない。もっといえば、格差は所得だけでなく各方面で拡大する。
 
  官政権の官僚や大企業中心の基本方向になるしかない。
さらに、繰り返すが、こうした新たな市場原理主義政策は先進国の出口の見えない世界同時不況の中で展開されているということであり、小泉時代の様な、外需の大きな下支えは期待できない。
アジアへの進出計画にしても、何も日本だけがむ競争でやるわけでなく、各国の激しい競争市場になって、理十率の低下は避けられない。
 
 先般のドバイ原発発注競争で韓国に敗れたのも、日本がコストパフォーマンスで負けたからだ。
激しい価格競争下の市場への進出である。官僚が描くような絵に描いた餅の様には行かない。
 
 さて長くなるので、最後に社会保障の視点から、現在の日本の実相を提示しておく。
以下の様な状況を少しでも国民の生活が第一の方向に向かわせるためには、新市場原理主義とは粘りずよく戦うしかない。
 
  
                <<社会保障給付費OFCD諸国比較>>
  日本はGDP比17,7%で29か国中23位で低い国に属する。
 高い国のグループ。  ヨーロッパ型。
 低い国のグルーフ。 Aタイプ。   成熟社会途上型。 韓国 メキシコ。
               Bタイプ。   アングロサクソン系。 個人による自力救済を基本とするが、こうした国は
                        新大陸、移民国 、資源環境に恵まれ、資本成長にまだ余地がある。
                        これはイギリス20,6  カナダ17,6  アメリカ16,2で明らか。
 
 <日本は低い国の中でどのタイプにも属さない、特異な存在>
日本が低いままでやってこれた理由。
 1)インフォーマル「保障」
   A)会社の保障   これは典型的には終身雇用だが、会社内で余剰労働力を抱え込む慣行もある。
   B)家族による介護   
 
 
 2) 公共事業による雇用。 地方の農業従事者の多くは公共事業を収入の軸にしている。ために過剰労働力                    が潜在化した。
 
 ところが
      <1)、2)の日本的保障の慣習、システムは機能しなくなっている>
 原因は財政難。市場原理主義アングロサクソン型の急激強行持ち込みによる日本的「社会保障」の破壊。
 
>>以上でだいたい、問題点は明らか。
小泉を批判した世論の後押しが新政権樹立の根底にあるが、官直人は財務省路線、経産省路線を歩むことで小泉が破壊した社会経済の構造を修復するよりも、また、新成長戦略の名の下、大企業のパイ拡大=中小の底上げ=多くの国民への分配拡大のあり得ないイコールを追求する路線を歩んであいる。
 
  問題の核心はどの立場に立つかだ。
耳触りのいい言葉に何回も騙されてはイカン。足元を見て自分の等身大の意見を持つことだ。
 
            <結論>
 官路線は新市場原理主義の本質を実効性のない雇用の連呼や耳触りのいい言葉で覆い隠している。
生活が第一路線をたった一年で捨て去った。
 
 今の世界経済の混乱は長期化する。新成長戦略で後進地域を日本の過剰資本、過剰生産の捌け口にしようとしても、その市場での競争激化は避けられない。利潤率の低下は避けられない。
 
 また、世界市場の地殻変動期。先進国経済の長期停滞は出口がない。利害対立から、相互競争は激化し、調整は困難。ヨーロッパを中心に経済のブロック化の動きもある。相互貿易協定の締結でも日本は後れをとっている。これは日本の様な異例の社会構造を持つ先進工業国とは協定を結んでも実が得られないからだ。
 
様々なマイナス局面を考慮すれば、日本は結局、財政が出動していく方向に向かうしかない。
官のやろうとしている財務省緊縮財政と新成長戦略の混淆が国内に生み出す各方面の格差は、小泉竹中時代よりも、必ず大きくなるしかない。八方ふさがりである。
 現時点の経済状態を世界視野で判断すれば、そういう結論である。
 オバマは積極財政に中間選挙絵を見据えて踏み込んでいる。ドルを増発しているのだから、円安は避けられないし、アメリカ国債を買い支える対日圧力が強まる。財務省の緊縮財政もそのアメリカの方向と連動している。
 共和党の経済政策を見ていると、ブッシュ政権の基本を踏襲している。格差容認、カネ持ちが豊かになればいい、と割り切っている。アメリカ政治の分裂の大きくなっている。
 
 日本も将来その方向に向かう可能性もあるが、これは大きな政治選択の問題で政治力学で決まる。
民主党の党員がどう考え様が増税路線の道を掃き清めた参院選の路線を出した時点で民主党な大きな枠は取り払われた。党の分裂を含む政界再編は不可避であり、現在の代表選もその一階梯にすぎない。
 
 今に官政権に対する党員諸君の対応を見ていると、いい加減な政党の民主党らしいなと改めて思う。
思想もなければ政治もない。目先の事しか考えていない。
こういう方は全国で無数にいて其々、自分の利権に満足して利権を与える側との関係を改めようとしない。そんな彼らが同類の管を支持するのは当たり前である。
 
 小沢氏が敗北すれば、民主党は支持する価値のない政党になる。
 
この代表選は民主党衆院選民主党政権交代まで押し上げた、熱い心、硬い心を持つ支持者のぎりぎりの審判にぶち当たっている選挙でもある。管直人を支持しないと、言い切る層の支持をとり透けなければ、民主党は結成からずっと引きずっていた支持基盤の脆弱性、消極性、に悩まされ、結局、その時の風頼みの政党のままである。
 そしてその時々の吹く風を吹かせるのは、マスコミだ。
 ところが、そのマスコミは昨日のブログでも取り上げたように、完全な既得権、特権に胡坐をかく存在となっている。ここは労働貴族層の意見を代弁するところである。労働貴族層は大資本の利得にすがりつく層である。
 
 なお、労働貴族と労働官僚には完全な区別がある。
労働官僚は大企業労組の幹部の事。労働貴族は大企業の高級サラリーマンの事。前者は特殊政治的な存在である。後者は派遣労働などの国内低賃金労働y海外の英賃金労働を経済的存立基盤とする一定の高所得層で資本家を支え、使用人となって高給を得る層である。
だから一般の解釈は間違っている。層としての労働貴族の存在を隠ぺいしている。マスコミの偏向報道の物凄い根底には、彼らの高級、特権が意識を規定している側面が大きいい。
 
 存在が意識を規定するのであって、意識が存在を規定するのではない、。
本質的にいえば経済特権に囲まれた彼らに偏向報道の是正を頼む事は、無駄な行為である。