反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

コロナウイルス 、2020 年 12 ⽉ 18 ⽇ ⿊⽊登志夫~~①感染⼒が低くなる変異ウイルスは⽣き残れないため淘汰。感染⼒の強いウイルスが⽣き残る、W.集団免疫ワクチン接種以外の手はない(7割程度接種)。②会う⼈の範囲を広げると感染は急に拡⼤③Pfizer ワクチンは感染を確実に抑える④厚労省の PCR 検査戦略~配下の保健所衛生研の行政検査ルート護持(そのために犠牲者多数)。圧倒的多数を占めるに至った民間検査補助金なし。。

反俗日記の2020年はコロナパンミックという100年に1度の事態に出会った。

1918年のスペンイン風邪の第1号の感染者はカンザス州の陸軍基地の一兵士といわれる。

反俗日記の得意項目にロシア革命史がある。レーニンの著作「帝国主義論」を長く引用したこともある。マルクスなどを読めば、当然にも第1次世界大戦前後の歴史を知るようになる。日本では1919年に富山発の米騒動が発生し、大正デモクラシーに駆け上る時代だった。

だがしかし!当時世界中で4千万人の死者を出したスペンイン風邪は歴史の点描としか今に伝えられていない。

どうした事なのか?

スペイン風邪第一次世界大戦前のヒトモノカネの世界的交流の急増とその結果である世界市場の再分割戦が引き起こした世界戦争における兵站(ヒトモノの世界的移動、接触)によって地球を1周した。

いわゆる現代とは20世紀の初頭を起点とするというのが資本主義論の立場の一般論である。

だが、平板に膨大で迅速なヒトモノカネのグローバルな移動、人口密集都市集中、活性化をパンデミックの環境として指摘することはできるが、スぺ人風邪パンデミックのような歴史的文脈での新型コロナパンデミックの評価は難しい。

今目の前にある世界的異常事態に歴史の目をもって評価することがどの程度できるのか?

コロナ渦の人間の膨大な生き様、死に様をヨーロッパ戦争である第一次世界大戦を通じた世界帝国主義の主導権のイギリスからアメリカへの傾斜、とロシア革命、世界資本主義世界の民主政の台頭とその反動、その終局である第二次世界大戦における帝国主義戦争に二重写しにしてみると、何が見えてくるのか?

   

ピケティー21世紀の資本」のr>g という経済不等式にまとめることができる傾向がパンデミックを切っ掛けに加速度的に強まる。コレしか言えない。

「コロナ渦の人間の膨大な生き様、死に様」はその下で踏みつけにされた死でありスペイン風邪パンデミックのようなダイナミックな大戦争や革命波乱下の死ではない

引用

資本収益率(r)と経済成長率(g)の関係式である。rとは、利潤、配当金、利息、貸出料などのように、資本から入ってくる収入のことである。そして、gは、給与所得などによって求められる。

過去200年以上のデータを分析すると、資本収益率(r)は平均で年に5%程度であるが、経済成長率(g)は1%から2%の範囲で収まっていることが明らかになった。

資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、資産金額で見たときに上位10%、1%といった位置にいる人のほうがより裕福になりやすく、結果として格差は拡大しやすい。また、この式から、次のように相続についても分析できる。すなわち、蓄積された資産は、子に相続され、労働者には分配されない。」

「たとえば19世紀後半から20世紀初頭にかけてのベル・エポックの時代は、華やかな時代といわれているが、この時代は資産の9割が相続によるものだった。また、格差は非常に大きく、フランスでは上位1%が6割の資産を所有していた[11][12]

一方で、1930年から1975年のあいだは、いくつかのかなり特殊な環境によって、格差拡大へと向かう流れが引き戻された。特殊な環境とは、つまり2度の世界大戦世界恐慌のことである。そして、こうした出来事によって、特に上流階級が持っていた富が、失われたのである[13]。また、戦費を調達するために、相続税累進課税所得税が導され、富裕層への課税が強化された[14][15]。さらに、第二次世界大戦後に起こった高度成長の時代も、高い経済成長率(g)によって、相続などによる財産の重要性を減らすことになった[13][16]

しかし、1970年代後半からは、富裕層や大企業に対する減税などの政策によって、格差が再び拡大に向かうようになった[17][18]。そしてデータから、現代の欧米は「第二のベル・エポック」に突入し、中産階級は消滅へと向かっていると判断できる[19]

つまり、今日の世界は、経済の大部分を相続による富が握っている「世襲制資本主義」に回帰しており、これらの力は増大して、寡頭制を生みだす[20]

また、今後は経済成長率が低い世界が予測されるので、資本収益率(r)は引き続き経済成長率(g)を上回る。そのため、何も対策を打たなければ、富の不均衡は維持されることにな[21]

W。スペイン風邪パンデミックが歴史の点描に過ぎなかった理由は当時のダイナミックな歴史推移にパンデミックは埋もれてしまっていたからだ。

 

r>gの時代は続く。 

パンデミックを切っ掛けに加速度的に強まる

日本の支配層のコロナ対策の特異性は、以上の文脈をもって了解できる。

日本の支配層は自ら形成してきた資産を守り、拡張できるr>g状態を維持するためにコロナ対策に公的資金を使いたくない、分配したくないのだ。それを経済とコロナ対策のアクセルとブレーキをうまく交互に踏むなどと吹聴している。労働分配率を上げるたりコロナ関連の個別補償をすると資産が減る、付加価値生産力が低いので企業の利潤率が下がり世界市場における競争力は低下する。経済長期停滞の日本経済のなかで資産を増やしてきたシステムを維持することが肝心なのである。国と地方の公金金庫番の仕事はそのためにある。

コロナ経済失速下の補助金旅行誘導などは世界経済の中で相対的な地位の低下状態が続く日本経済の哀れを催す国家資本主義的消費誘導、オリンピック需要を見込んだ過剰投下資本を内外の買収から守る苦肉の策である。内外の観光客旅行客の一過性に賑わいの薄皮を引っぺがすと日本経済退潮の趨勢を肌身に感じざる得ない実情があけすけに露呈してしまう。それでもこうしたかつての賑わいは上位の国に比べると金額的に大したことがない。日本はかつて戦時色濃くなった時代に東京オリンピックを中止した国である。

原爆を投下され、大震災によって何基もの原発事故を引き起こした国である。

その国が東京オリンピック開催に躍起になり、コロナパンデミックで予定された2020年延期した。

プラザ合意受諾、日本バブル崩壊以降、想えばやることなすこと裏目に出てばかりいる。

改革疲れのあとは「日本は良い国」のか細いから騒ぎだけの国になった。

ロナ対策も積極的な動きはナント、布マスク大量戸別配布やGO TO補助金旅行推奨嗤えるようなお門違いのモノだけになった。

それでも首相が辞任した後の政治路線の引継ぎを宣言した後継者の支持率60%を超えるという事態が出現する。

この両者は、日本を歴史的に地盤沈下させてきたコンビネーションである。

一度目は悲劇、二度目はナントやら~に相応しい

***************

ジニ指数による世界各国の所得差。指数は0-1であり、0は完全な平等(全員が同一所得)、1は完全な不平等(一人が全ての所得を得て、その他全員はゼロ)

**************************************

**************************************

 

コロナウイルス arXiv(21) 2020 年 12 ⽉ 18 ⽇ ⿊⽊登志夫

コ ロ ナ ウ イ ル ス arXiv は 、 『 ⼭ 中 伸 弥 に よ る 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス 情 報 発 信
https://www.covid19-yamanaka.com/cont2/main.html)』に転載されております。
転送は⾃由です。

**********************************

飲⾷業、観光業が⼤変と⾔われますが、⼀番⼤変なのは、医療の現場です。感染を抑えることが第⼀感染が少なくなれば、重症者も減り、死亡者も減ることになります。その上で、安⼼して旅⾏に⾏けるようにするのが、順序だと思います。

 

中公新書『新型コロナの科学-パンデミック、そして共⽣の未来へ』が完成しました。店頭に並ぶのは来週 22 ⽇頃、新聞広告は 25 ⽇の予定です。すでに Amazon で予約を受け付けています。

    ⽬次と要約
1.12 ⽉ 13 ⽇までの感染状況
2 ⽉末以来 10 ヶ⽉の新規感染者数、有効再⽣産数(Rt)をまとめました。第三波はまだピークに達していないように⾒えます。有効再⽣産数(Rt)は 1 を少し上回り、倍加⽇数は 47⽇、このまま⾼⽌まりするのではと⼼配になります。
2.Google の感染予測
Google が⽇本の感染者、死亡者の予測を始めました。このまま進むと 1 ⽉ 1 ⽇の新規感染者数は東京が 800 ⼈近く、⼤阪は 500 ⼈になりそうです。
3.7 ⽉以降のゲノム変異
秋になってから、世界中で感染が再爆発しています。⽇本も第三波がこれまでになく感染者を増やしています。ゲノムに⼤きな変異があったのではと⼼配していましたが、12 ⽉ 11 ⽇に国⽴感染研から発表されたゲノム分析では⼤きな変化はなかったということです。
4.⽇本の指導者は COVID-19 をよく理解している
Economist 誌の記事です。⽇本の指導者はが他の国の指導者よりもコロナをよく理解しているなんてほんとかな。
5.ヨーロッパの⼆回⽬のゆるいロックダウンは効果があった
これも Economist 誌の記事。ヨーロッパの秋のロックダウンは、春よりもはるかに緩やかだったのに効果があったという記事です。
6.会う⼈の範囲を広げると感染は急に拡⼤する
東⼤⼯学部と福島医⼤の研究者による数理分析。⾃分の⼩さなコミュニティを守っていれば感染は広がらないが、他のコミュニティとの接触を広げると感染は急速に広がるという結論です。GOTO 事業が感染を広げていることを理論的に証明しています。

 

7.Pfizer ワクチンは感染を確実に抑える
ワクチン接種者とプラセボ群(偽薬)とを 100 ⽇以上追跡すると、プラセボは直線的に感染者が増えるのに、ワクチン群は 2 週間⽬から増えません。ワクチンの有効性についての説得⼒あるデータです。
8.厚労省PCR 検査戦略
厚労省は、「検査の指針⽅針と戦略」を 10 ⽉に出しましたが、依然として、無症状者への検査について意義を認めていません。私が中公新書の中で主張している 4 段階で検査を拡⼤する「戦略」を紹介します。
9.市川家国のアメリカ便り(2)
ワクチン接種を間近に控えたアメリカの様⼦について寄稿していただきました。ワクチンの待ち順を⾒る NYTimes のアプリに⼊⼒してみました。
10.ワクチンについてのネズミの会話   反俗日記省略
11.コロナ秀歌、コロナ秀句、コロナ川柳 同上

***********************************

   1. 12 ⽉ 13 ⽇までの感染状況

arXiv(19)(2020/11/7)で予想したように、ついに第 3 波に突⼊した(図 1)。感染者は、第⼆波を⼤きく越え、重症者は増加し、死亡者は増え、医療崩壊の⼀歩⼿前まで来ている。
有効再⽣産数(Rt)は、11 ⽉中旬、1.5 まで上昇したが、11 ⽉の終わりから 1 前後まで下がった。しかし、また少し上昇し、1.1 になったこの経過は 8 ⽉下旬から 10 ⽉にかけてのRt の推移と似ている

同じように、今後、Rt は 1 を下まわることなく、感染者は⾼⽌まり
になり、第 4 波になるのではと⾔う悪い予感がする。累積感染者数は、倍加⽇数 47 ⽇で指数関数的に増加している(図 2)。

第三波に GO TO が⼀役買っているのは間違いない。本来、収束したときに始めるという閣議決定を破って、流⾏の最中に税⾦を使った⼈の動きを推奨したのだから、この結果は予想できたはずだ。GO TO が感染を広げた証拠はないと⾔うが、具体的証拠を集めるのが難しいだけの話しである。⼈の移動が感染を広げること、特に居住地を越えた遠出は、感染を広げることは、以下 5 と 6 で紹介するように、理論的に証明されている。

 

GO TO の⼤きな問題は、GOTO を利⽤した旅⾏者だけではない。

この政策によって、⼈々の気が緩み、⼈出が⼀度に増えたことである。街には、⼈波が絶えず、電⾞は混んでいる。
1 年前と違うのは、マスクをつけていることくらいである

分科会は、この段階になって正論を⾔うようになったが、その前は、GOTO にお墨付きを与える役に⽢んじてしまった。

 

  3. 7 ⽉以降のゲノム変異

国⽴感染研は、10 ⽉末までの
9,973 検体のゲノム解析が、12 ⽉ 11 ⽇に発表された(図 4)*。 

⽇本の流⾏は最初、武漢由来のウイルスを発端としてクラスタだった(図 3 左⻘⾊背景)。
3 ⽉にヨーロッパ由来のウイルスが世界同時に流⾏した(中央オレンジ⾊背景)国内では、このヨーロッパ由来のウイルスが感染を全国に広げていった。その中から、右と中央下の⾚
⾊は背景とするクラスターが発⽣し、全国に広がった。この⼆つのクラスターはすべてヨーロッパ型ウイルスの D614G 変異を引き継いでいるので、感染⼒が強
しかし、⼤事なことは、ヨーロッパの新たな変異株(下記)は⽇本に⼊っていないということだ。←W。その後、新たな変異株は検疫で発見され、入国禁止措置が取られた。

  12 ⽉ 15 ⽇、イギリス政府は新しい変異ウイルスが Kent,
Essex, London に広がり、1000 ⼈以上の感染者が発⾒されていることを報告している*。
これらの変異はいずれも、ウイルスのスパイク遺伝⼦の変異であるそのため、感染⼒に影響が出る感染⼒が低くなる変異ウイルスは⽣き残れないため、淘汰されてしまう

結局、
感染⼒の強いウイルスが⽣き残り、⼈間社会に感染を広げていくことになる

ワクチンもまたスパイクを標的としているので、ワクチンが効かなくなる恐れがある。

しかし、変異もワクチンも、ゲノムが明らかになっているので対応ができる。

現在のワクチンは、
これまでの変異に対応しているようだ(対応していないという報告はない)

 

 4.3 蜜:⽇本の指導者は COVID-19 をよく理解している

⾼校の同級⽣のメールネットワークに、三⽥村和夫君が Economist の記事を定期的に紹介してくれている。そのうちの⼀つがこの記事である(Economist: 3C epiphany The
Japanese authorities understood covid-19 better than most. Economist アジア版 12 ⽉ 12 ⽇号)。「⽇本の指導者が他の国よりも COVID-19 をよく理解している」なんて本当であろうか。その趣旨を以下に記す。

******************

⽇本は、PCR 検査も少なく、厳しいロックダウンを⾏わなかったのに、これまでの死亡者は
アメリカの⼀⽇の死亡者よりも少ない⽇本は肥満者が少なく(4.2%)、医療制度も整っているし、公衆衛⽣のネットワークも整備されている。さらに、三密(3Cs)が成功を収めた。

しかし、最近の流⾏拡⼤によって、⽇本の対応にも限界が⾒えてきたGO TO キャンペーンによって流⾏が広がったのに、やめようとしない。

寒くなり、三密を守るのも難しくなった。

⽇本の感染者は、⾮常に低いレベルからスタートしようとしている。

  5.ヨーロッパの⼆回⽬のゆるいロックダウンは効果があった

エコノミスト誌に、⾒出しのような興味深い記事があった*。結論から⾔うと、ヨーロッパの 2 回⽬のロックダウンは⾮常にゆるかった。それでも、有効再⽣産数は低下した

対策の中では、遠くへの移動がもっとも感染を広げることが分かった。我が国の GOTO 政策に対する警告といってよい。

ヨーロッパの秋の感染爆発に対して、ヨーロッパ各国は、再びロックダウン政策を⾏い、レストランの時間制限、夜間外出禁⽌令などを出した。しかし、その厳しさは、春のロックダウンに⽐べるとゆるかった

3 ⽉には、移動が 35%まで落ちこんだのに、10 ⽉は 68%⽌まりであった。⼈々は、春の時ほど、政府の命令に従わなかったのだ。

しかし、このゆるいロックダウンも効果があったのは確かだ。図 6 は、London School ofHygiene and Tropical Medicine の分析による有効再⽣産数(Rt)の変遷である。秋のロックダウン直前 1 週間の Rt 値 1.1 から、ロックダウン 1 週間後には 0.9 に下がった。R のこの変化は⼩さく⾒えるが、その効果は⼤きい。新規感染者は、36%上昇する代わりに 21%減少することになる。

 

旅⾏の影響を⾒るため、Google に加えて、Imperial College London とスイスの会社のデー
タを⽤いて分析した。その結果、離れたところへの旅⾏(Trips to other area、図 7 下から2番⽬)を避けるのが、⼀番効果があることが分かった(Rt を 0.08%下げる)。バー、レストラン、ショッピングも効果があるが、ばらつきが⼤きい。

図 7
⾏動と感染の広がりの関係

職場、バー、レストランもそれなりに効果があるが最も⼤事なのは、遠くに⾏かないことである。
この結果から、⼈々は、その地域(Local area)に留まることが最も感染拡⼤予防に有効であることが分かった

 

6.会う⼈の範囲を広げると感染は急に拡⼤する

 

上の結論、その地域に留まることが感染を抑えるために⼤事という結論は、最近の Ohsawa,
Tsubokura(東⼤⼯学部、福島医⼤)の論⽂とも⼀致する*。⼈のネットワークを Scale-freenetwork (複雑系ネットワーク)として、⼩さなコミュニティ単位で、数学的に分析した。

つも会っている家族、友⼈などの⼩さなコミュニティのなかで会っているときには、感染はそれほど増えないが、別のコミュニティに広げて会うようになると、感染が急速に増加するという。

このことから、⼈々は、会う⼈をそれぞれの⾝近のコミュニティに限るべきだと
Ohsawa らは主張している。

エコノミスト誌のデータも、Ohsawa らの解析も共に、⾃由に歩き回り、いろいろな⼈と会うことが感染を広げる要因であることを明確に⽰している。我が国の GOTOキャンペーンは、
わざわざ税⾦を使って、⼈々を遠くまで旅をさせ、多数の⼈と会うことを推奨しているのだ。
⼩池都知事は、65 歳以上と基礎疾患のある⼈の GOTO トラベルを⾃粛するように要請したが、そのような問題でないことは明確である。GOTO をやめるほかにない。

驚いたのは、ワクチンの素晴らしい感染予防効果である。図 8 には、縦軸に感染者の累積発⽣率(incidence)、横軸に接種後の⽇数が⽰されている。このデータから次の 3 点が読み取れる。
プラセボ(W偽薬)群は時間と共に直線的に感染者が増加するのに対し、ワクチン接種者の感染は接種後 2 週間から プラトー(W。上昇も下降もしない変動が少ない状態である。
重症者を⽰す⿊い点はワクチン群が⼀つしかないのに対し、プラセボ群では 7 つある。
   ワクチンは重症化を抑える効果がある
プラセボ群は、接種 100 ⽇後に感染者が 0.02 すなわち 2%に達している。アメリカの流⾏のすさまじさがうかがえる。

>さらに感⼼するのは、アメリカの審査における情報公開の徹底である。専⾨者会議の記録も公開せず、正式記録を抹消する⽇本とは⽐べものにならない。 

このカーブを⾒ていると、プラセボを接種された⼈が気の毒になってくる。彼ら/彼⼥らは、プラセボを接種されたことが開⽰され、改めて本物のワクチンを接種されたのであろうか。

   8.厚労省PCR 検査戦略

PCR 検査を広げたくないというのが、厚労省の基本的な姿勢である。そのため、厚労省は、無症状者への検査を厳しく制限する通達を出した。その典型が、「37.5 度以上 4 ⽇間」の制限である。

 しかし、社会の不満が募り、その制限も少しずつ広げざるを得なくなった。
− 保険適⽤(3 ⽉ 6 ⽇): 医師が必要と認めるときは保険で検査できるようになった。
しかし厚労省が検査センターとの契約条件を厳しくしたため進まなかった。←W.調べていないがおそらく民間検査会社との契約に際し煩雑な書類提出によって許可が下りつまで日数を要する、検査報告義務など保険適応に対して高いハードルを設けたものと思われる。行政検査のルートを護持するためだ。情報一極集中、配下の保健所、衛生研の行政検査のシステムが揺らげば厚労省、感染研村の支配権が相対的に低下する。このドサクサに行政改革で失われた地位の回復を狙っているのではないか。

邪推ではないと思う。政治本能だ。現に関係団体に大きな補正予算が付いた。
− 「37.5 度以上 4 ⽇間」の制限解除(5 ⽉ 8 ⽇):加藤厚労⼤⾂は、この制限を守っているのは、「われわれから⾒れば誤解だ」と述べた。反発を受けたため、この発⾔を撤回した。
− 第⼀波の中で、病院は院内感染防⽌策として、医師看護師など医療従事者と⼊院患者にPCR 検査をせざるを得なくなったが、厚労省は認めず、すべて病院の⾃⼰負担で⾏われた。5 ⽉ 15 ⽇、医師が必要と認めた場合は、4 ⽉ 1 ⽇にさかのぼって承認するという通達を出した。遅すぎたが、これは進歩である。 

   「検査の基本⽅針と戦略」制定

厚労省の⽴場からすると、

>無症状者は病⼈ではなく、したがって、医療の⼀環として検査の対象にならないという理屈であった。

>したがって「全員検査」などあってはならない

事実、ある⼤学で臨床実習に⼊る学⽣に対して「全員 PCR 検査」を実施したところ、厚労省関係者から、全員検査は意味がないという注意が⼊ったという。
厚労省は、検査を拡⼤しないことを⽬標に頑張ってきたが、理論的に⽅針を構築する必要に迫られた。分科会は「検査の基本⽅針と戦略」をまとめた(7⽉に第1版、10⽉に第⼆版)
*。基本⽅針ができるまでに 半年以上かかっていたことになる。この提案の中で、分科会は、検査対象を次の 3 グループに分けている

① 有症状 (症状のある⼈)
② 無症状者(明らかな症状のない者)
a:感染リスクおよび検査前確率が⾼い場合
b:感染リスクおよび検査前確率が低い場合
この分類⾃⾝が、厚労省が、感染防⽌の観点よりも、症状のありなしにこだわり、無症状者への検査は必要ないという、ダイヤモンド・プリンセス号の時の官邸との論争(前号)を引きずっていることが分かる。新型コロナ感染の 40%以上は、無症状者(発症前、および無症状感染者)からの感染であることは 4 ⽉にはすでに確⽴していたのにかかわらず、厚労省は、⼀貫して、無症状者からの感染リスクに⽬をつぶっているのだ。
「検査の基本⽅針と戦略」のなかで、

厚労省が最も⼒を⼊れて説明しているのは、

@②b、すなわち症状がなく、感染リスクも検査前確率も低い⼈への検査拡⼤への反論である。

その理由
付けに、パワーポイント6ページを費やし、次の5項⽬を挙げている。
① 検査時陰性でも、その後陽性になる可能性がある
② ⼀定数の擬陽性、偽陰性が存在すること
③ 実務的に極めて困難で、検査の負荷が増⼤すること
医療機関と保健所への負担が増⼤すること
⑤ 国際的に無症状者への検査により感染制御に成功したエビデンスがないこと

************

「陰性でもそのときだけ」(①)というのは、当然のことである。それを克服するためには、
②とも関係するが、繰り返しテストするほかない。Science の論⽂によると、毎⽇あるいは3 ⽇おきに検査をするとほぼ完全に感染を予防できるという**。

  W参考資料

*W.反俗日記の以前の記事で阪神タイガースの選手スタッフ3グールプの名古屋遠征の際の外出飲食、コロナ感染発覚事件を取り上げた。記事の趣旨をザックリといえば、彼らは飲食店で感染したというよりも、コロナウィルスは先に球団内に持ちこまれ感染者がすでに数人いてその人たちの一部が各々混じった3グループが飲食という感染適合空間を通じて一斉に感染した可能性が高い3グループは各々別の飲食店に出向いており、それら飲食店が同時に感染源である確率は低い)。飲食店側に感染者がいれば、保健所の当該への検査で判明していたはずでそのような情報は一切報じられなかった。ドア、テーブル椅子その他の物品を通じた接触感染の確率もあり得るが3店舗同時~それなりの高級店の個室ならばアルコール消毒は丁寧にする~の可能性は低い、3グループ同時に感染が判明したのは、日本プロ野球機構の1か月に1回程度の少なすぎるPCR検査実施で、コロナウィルスの球団内への侵入の事前察知が遅れたからだ。もちろん球団側のコロナ対策の問題もある

 NFLは2日に一度のPCR検査をしている。NPBの1回月1度では球団内の感染者の早期発見はできないしかしこの件に関するマスコミ報道や球団の対応は甘すぎる選手管理やルール違反の一点張りで、反俗日記が示した視点からの見解は一切なかった。

>日本のコロナ対策観は官民共々、安全安心を保障する科学的事実を知るという手立て=(PCR検査~~抗体検査も有効であるが直近の感染の有無は示さない~~が一番直近の感染状況を知る唯一)を軽く扱い、団体や個々人の倫理(ルール、マナー)問題にすり替えている。あるいは主観的な安心を得るために事実を直視しない理屈を作ったり(厚労省の「通達」や内部文書はそのひな形)、顔を背むける。また街中の電信柱がいっぱい林立している事実を日本人はないことにできる特技がある。自分も含めてだが。他に比べて特殊でもそれが列島レベルで当たり前ならば普遍ではなくても一般化する。

>検査数が少ないのは近世の人民統治の手法(末端までキメ細やかな年貢村請負制の浸透)や列島規模の危機に際し同調圧力頼みになる明治維新以降はその形成過程)近代以降の日本人の習俗も影響しているのではないか、という疑念もある。

エマニュエルトッドの家族形態と民主政の相似性も参考になる。スウェーデンと日本は家族形態が似ている。一般に知られていないがスウェーデン経済は1財閥の影響力が経済の半分に及んでいる。政治上部構造もほぼ均一化している。いわゆるコーポらリズムの国である。スウェーデン型高福祉高負担社会というのは裏を返せば国民の生命の再生産過程に国家の介入する権限を付与を国民的議論(社会民主党支持)を経てコンセンサスに至った結果、社会の再生産のためには医療福祉現場で命の順位付けが行われた。(命の順位付けの際の人種の平等と老い、重度疾患の不平等の対比)。

そういう土壌の延長線上においてコロナ渦の日本と同じノーガード戦略が日ごろの延長線上で採用された。結果、新型コロナに温床を提供し、死亡者の圧倒的多数を施設収容の高齢者が占めるに至った。最弱者が犠牲になった。なぜならば、施設収容は在宅介護が引き伸ばされた最終命の処分場状態の場所だったからだ。収容者の存命期間は短い。そういうところに職員や訪問者を通じてウィルスが持ち込まれた。

日本の介護が目指す先は高負担高福祉なきスウェーデン形態の命の選別であり、コロナ渦はその引き金である。これから進行するコロナ渦、そして量や提供の質に限りあるワクチン接種までの間に指摘した事実が明らかになろう。

 日本のコロナ対策も、日本独特の歴史、習俗がかなり影響しているのは、分科会の尾身さんの言説がいまだに通用しているところを見ると、よくわかる。彼らのやってきたことは今やっていることは「先進国レベル」で見ると特殊そのもの。

前回挙げたIWJの上昌弘さんの岩上インタビューの後半で菅首相と尾身さんの言説を比べて後者に心情的に傾いて首相を批判しようとしたところ、上さんがきっぱりと尾身さんがおかしいと言い切って、岩上さんが唖然とした、所に日本人の習俗の根深さが証明されていた。

アベ首相の云う「メズマリ」の張本人は尾身さんと厚労省感染症村であった。

もっといえば、コロナ感染の当初、反俗日記が主張した何はともあれ感染の実態に迫るための広範囲な検査をスルーするのは民主政ではない、事実を知らしめることがなくて、どうして民主政の根本が屹立するのだ、ということだ。

感染当初の時期ならば地域を絞った広範な検査は今よりも簡単にできたはずで文字通りメズマリ感染症村の張本人たちによってでクラスター対策や自粛に誘導されていった。

(議事録は公開されていないが政治家に特殊緊急事態~政治の延長である軍事とコロナ渦は次元が違う~を科学的に理解できないので専門家の政策に及ぼす比重は高くなる)

コロナパンデミックという緊急事態において専門家の知見が果たせ政治的影響力は大きい。スウェーデンはこの点もっとはっきりしていて専門家の知見がコロナ対策を主導した。緊急事態宣言の際もどうして自粛要請なのだ、と。私権制限が必要ならば(営業自粛は私権の制限)堂々と保障と一体で議論しろと。

*********************

  引用に戻る

週 2 回のテストというのは⼤変と思うが、イリノイ⼤学は全学⽣、全スタッフに実⾏している。イリノイ⼤学の検査システムについては別に報告する。
負担の増⼤(③と④)は確かである。しかし、ほとんどすべての国がすでに実施していることである。検査を怠れば、無症状者からの感染が増え、さらに⼤変となる。負担増代替策を考えるのが厚労省の役⽬のはずだ。 

最後(⑤)のエビデンスがないとして引⽤しているのは、Lancet Infect Dis.10 ⽉号の論⽂である***。この論⽂によると、⼈⼝の 5%を対象にマススクリーニングをしたとき、感染は 2%減少するという。「感染制御に成功したエビデンスがない」と⾔い切れるような内容ではない。

   新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針
厚労省健康局結核感染症国⽴感染研ほか感染症関係の9つの組織、学会は表記の指針を10⽉に発表した*。PCR 検査、抗原検査、抗体検査について、要領よくまとめられているが、検査対象者は、上記の「検査の基本⽅針と戦略」と同じく、

①有症状者、②濃厚接触者、
③インフルエンザ流⾏期、

④無症状者の分類である。

>問題の④無症状者に関しては、

『医師が検査を必要と判断したとき』とのみ記されている

感染症関係の組織、学会を総動員したこの指針から、厚労省は、症状のない⼈は検査対象としないという強い意志が感じられる。
繰り返しになるが、この指針は、無症状者が感染を広げているという現実を無視している。
この指針が守られている限り、感染者は減らないであろう。

W。戦力の逐次投入の結果、被害甚大になる、という批判もある。

W。統治者としての政治責任を軽くして民間にその負荷を丸投げするスタイル、ともいえる。江戸時代では年貢村請負が日本型封建軍事政権の経済システムの基盤だった。日本近代国家の伸長も労働者と兵士の労苦が底辺を支え上層部は結果的に無能無責任だったといわざる得ない。敗戦後、歴史において政治の結果責任が問われたが、戦後システムの中身は徐々に改変し、元の上層部とそれを下支えする労苦人民の関係を復活しようと階梯を下っている。コロナ渦の厚労省の基本戦略は民にコロナの重圧を背負わせ、自分たちのエスタブリッシュメントは護持しよう、とするばかりか渦中でそのビルドアップさえ目論んでいるといっても過言でない。日本国憲法の制約があるから果敢なコロナ対策が取れないという風潮を醸成しよとしていることは間違いない。Wは護憲論者ではないが、最高為政者としてやれることをやらないで憲法改定国民投票法案なるものを来年の国会に上程しようとする動きは、なめ切っているとしか思えない。

W.コロナワクチン待ち、その間は適当な犠牲を払って何とかやり過ごす(スウェーデンと同じ命の選別を行っているが、高負担高福祉の国における命の選別と日本の命の選別は次元が違う。日本場合は単なる姨捨行為。~カネの使いどころが姨捨行為とうのだ。アレもコレも同時進行。なのでしわ寄せは集中する~)という当局(政府と「感染症専門家」)の方針は最初からはっきりしている。ただその適当な犠牲の規模と質が問題である、というハードボイルドな立場だった。ソレはコロナ渦の臨床現場の実情とは大きく乖離しているから、渦中の緊急政治動員ができないのだ。当該システム制度の不都合なところがあれば、現行の憲法の枠内における政治リーダシップで修正し、最もベターな措置を実行できる。

      ステップを踏んで検査拡⼤の提案
私が、中公新書の中で主張しているのは、感染予防の観点から検査対象者をウエティングして段階的に、検査を広げるという提案である。

その順序は、

①感染者、

②医療介護関係者、
③感染あるいは感染させるリスクのある⼈、

④社会の安全と安⼼のための検査である(図 9)。
少なくとも、ステップ 3 までを実⾏しないと感染拡⼤を抑えることはできない

ステップ 1:

  新型コロナ患者レベル
厚労省の分類の①有症状者に相当する。彼ら/彼⼥らに検査が必要なことは誰にでも
分かる。

しかし、それさえも不⼗分であった。⾏政検査という枠をはめていたため、⾏政的⼿続きを踏まねば検査ができず、「検査難⺠」が続出した。
 ステップ 2:医療レベル
厚労省の分類の②a に相当する。医療と介護の従事者は、常に感染の危機にさらされながら、使命感で仕事をしている。医療介護従事者と並んで、⼊院患者、⼊所者の検査も院内感染防⽌のためには重要である。いったん感染が起これば、病院、施設は閉鎖され、地域の医療、介護は⼤きな影響を受ける。現に旭川では、分娩、⼿術に⽀障を来している。このような状態を避けるためには、無症状かどうかに関係なく、積極的に検査するほかない
   ステップ 3:感染リスク者レベル~W.コロナ渦のエッセンシャルワーカーなど。~
厚労省の分類の②b に相当する。症状はないが、濃厚接触者でもないが、感染するリスク、感染させるリスクのある⼈たちは、公共機関、メディア、エンタテインメント業界、「夜の街」、飲⾷店など広い範囲に分布している。⾼齢者、基礎疾患のある⼈は、感染すると、重症化するリスクが⾼い。彼ら/彼⼥らに対して、症状のあるなしにかかわらず、PCR 検査を⾏うことは、感染予防と重症化予防の意味で⾮常に⼤事である。
   ステップ 4:社会の安全・安⼼レベル
厚労省の分類の②b に相当する。厚労省が敵視しているいる対象者である。確かに、安⼼のために検査するのは、合理的でないと考える⼈も少なからずいる。安全と安⼼はセットで⾔われることが多いがこの⼆つはまるで違う安全に対しては科学的に対応できるが、主観的な安⼼に対応するには、安⼼できるだけの情報を出し、納得してもらうほかにない
ここで⾔う安全と安⼼は、個⼈レベルではない。安全な社会を作り、みんなが安⼼して働ける状況を作ることである。たとえば、フグ料理である。外国⼈は猛毒の⿂を⾷べるなど信じられないと⾔うが、われわれは肝臓と卵巣を除いているので安全だと信じ、国家資格を持つ⼈が調理をしているので安⼼して⾷べている。安⼼のために PCR 検査を受けたいというのはフグ調理を国家資格で保証してほしいというのと同じ願いである。

「検査の基本⽅針と戦略」が⽰された第 13 回分科会において、リスクの低い無症状者に対する検査⽅針について、経済分野の⼤⽵⽂雄(⼤阪⼤学)、⼩林慶⼀郎(東京財団政策研究所)および河本宏⼦(ANA 総合研究所)の三委員は反論(W.感染研村の無症状者への検査抑制方針に対する反論。本意は検査による安心が経済活動に積極的になれる動機になる)を述べた*。その意⾒は、②b が「経済活動の活性化策として意義があり、その観点からは政策的関与もあり得る」という趣旨であったことが第13回議事録に残されている(議事録が開⽰されていてよかった)。←W。これらの方々はその後、分科会への再編で排除された。

ステップ 4 になると、コストパフォーマンスは悪くなる。しかし、単なる発⾒率ではなく、もっと広い⽬で⾒たパフォーマンスは、経済学者が⾔うように決して悪くない

 

9.市川家国のアメリカ便り(2)ワクチン接種の優先順位
毎⽇のように新患、⼊院、死亡の数を更新し続ける⽶国では、6 feet の social distance をとること、マスクを着⽤すること、買い物では店内の⼈数を制限することが、どうやら⼀般化したようですが、10 ⽇ほど前の感謝祭休み(W。11月第4木曜日)では CDC(⽶国疾患予防センター)からの通達を押し切って、昨年のほぼ 6 割の数の国内移動が⾒られたことから、どのニュースを⾒ても、極めて深刻です。そしてこのほど、CDC はクリスマス休暇の際の旅⾏計画は全て取り消すこと、それでも旅⾏する場合は、旅⾏前と後にテストを受けること、と極めて厳しい通達を出しました。
>⼀⽅、その CDC は COVID-19 vaccination について接種対象者としての重要度(誰から先に接種を始めるか)について⼤体の⽅針を公表しました。Priority の順番は、

1)医療関係
者と⻑期療養者、2)⽣活に不可⽋な仕事に従事する者(例:警察官)、

3)重篤な基礎疾
患を持つ者、

4)65 歳以上の⾼齢者・・・

6)⼦供・・というものです

最終的にはこのPriority は州毎に決めるとされています。そうしたことから、New York Times はこのほど
読者に対して、その年齢、職業、居住地から⾃分の順番を推定させるアプリを提供するまで
に⾄っています。Pfizer のものが 12/10, Moderna のものが 12/17 に FDA で承認される予
定ですが、Pfizer の 12 ⽉の供与は約 3 千百万回投与分、とのことです。効果を得るには 3週間空けた2回の投与が必要ですから、1.5 千万⼈分のみです。⼀⽅、対象者の⽅は、単純
に計算すると、65 歳以上を含んだところで全⼈⼝の 3.3 億⼈のうち 2.5 億⼈となるとなり
ますから、Pfizer の 12 ⽉の供給量はその 10 分の1にも⾜りない量です

CDC 会議の⼀員で、その Spokesman としてしばしばTVで登場するのが、私の古巣である
Vanderbilt ⼤医学部感染症部⾨の William Schaffner 教授ですが、彼によれば、「医療関係者」と⾔っても、どこまでを含むのか、⽣活に不可⽋な仕事とは? そしてその中でどのようなランク付けをするのか、といったことが、同⼤学内で、Bioethics の⾯から感謝祭休暇の期間を費やして議論してきた、と⾔います。ランク付けの際の尺度はやはり、(国全体としての)”Risk”と”Benefit”であり、いかに「コネ」の道(favoritism)を塞いでおくか、といった詳細に及んでいるとのことです。国⺠の⾝に直接かかわる重要事項であるだけに、いかに
この Prioritization 決定のプロセスと施⾏状況を可視化するかという点も重要です。

>⽇本を振り返ると、医療の現場では「コネを通じて、有名な教授に⾼額謝礼を払って⼿術してもらう」、という状況がまだありますし、また、政府筋は可視化をするのが下⼿ですから、

>今回の件ではジャーナリズムを巻き込んで「不公平」が声⾼く叫ばれる社会問題になりかねません。「取り合いが起こりかねない」この予防注射というのは、これまでの⼀般的な予防注射とは全く異なる性質のものです。可視化には国⺠の教育も含まれますし、

>可視化は決定に当たる会議の⼈選の時点から始まりますから、国での検討は今のうちから、ニュース材料にしておくべきかと思います

また、こうした直接的に Bioethics な⾯とともに、低温に保ち、
プロトコールに沿った投与という技術的な⾯の議論も全国的規模で⾏われており、技術が保障できないところへは配布しない、というのも Ethics の内と思われます。

当然のことながら、わが国は上記 1)-6)の⼈⼝構成は異なりますし、「⼦供は⽐較的罹患しにくく、重症になりにくい上、治験データが未だ無い」からといっても、Priority の下の⽅に置く点は受け⼊れにくい国⺠感情があると思われます。また、国と地⽅⾃治体との関係、さらには診療報酬がかかわる Vaccine ワクチンの投与資格という点でも異なりますし、先進国の中で、⽬⽴って低調な⿇疹、⾵疹、HPV Vaccine 接種を⽣じてきた社会的⾵潮があります
今⽇の⽶国では、集団免疫を獲得するには 70-75%の接種率が必要というニューヨーク州等からのデータがあるため、それが達成しうるかと⾔う点に危うさを感じ

>Major な TV 局がそのために、「1割程度の接種者に発熱、頭痛、倦怠感という副作⽤が⽣じるが、あくまで1時的である」というメッセージを専⾨家や経験者のインタビューを使って報道し始め
ています。もともと、Anti-immunization 運動がある上、タスキギー事件、梅毒を治療しなかった場合の経過をを観察する人体実験がアラバマ州タススギーで1930年代から1972年まで行われた。の研究に参加した黒人男性には、連邦政府が提供する医療が無償で受けられると説明されていた

タスキギー梅毒実験 - Wikipedia

を経験した⿊⼈には根強い抵抗感があり、最近では disinformation も information とともに同じパソコン・スマホのスクリーンから流されている、というのが危機感の背景にあります。⽇本の低い予防接種率にはジャーナリズムの影響があるともみられていることから、今後、⽇本のジャーナリズムがどのような姿勢で臨むかが気なるところです。

COVID-19 の Vaccination が数カ⽉後、と思われる⽇本においても Risk vs. Benefit の評価
というのはまさに医療⼈・医学者・倫理専⾨家の役割ですが、⽇本なりの特徴を持つ何層にもわたる課題をかかえるこの新たな問題には、チャレンジ精神をもって取り組んでいただきたいと思います。

****************************

追記(⿊⽊)
上記第 2 パラグラフの 6 ⾏⽬、アプリをクリックしてみたところ、⾃分がワクチン接種がどのくらいの位置にいるかを⽰す NY Times のアプリに⾶ぶ

試しに、私が⾃分の年齢、優先職業、基礎疾患の有無、留学時代の居住地(Madison, Wis. Dane county)を⼊れて⾒たところ、図 7 のように 100 ⼈中 17 番⽬の順位(⾚い⾊)が⽰された(居住地は、市町村名ではなく,County 名で⼊れる)。
図には、次のような説明がある。
アメリカ全体では、あなたの前に 2300 万⼈がいる。
ウイスコンシン州では、424,500 ⼈の後ろ
・Dane county では、40,600 ⼈の後ろ
なお、医療従事者として⼊⼒したら

順位はいっぺんに 6 番⽬まで上がった