反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

原発事故現場の現状と展望。岩盤まで到達する壁で覆う海洋汚染対策。チャイナシンドローム状態に防戦一方、成り行き任せ。海藻の汚染度を計測すれば、汚染実態明らか。

 昨夜の大阪毎日放送ラジオに出演した京大の小出さんは福島県沖の海洋汚染度を計測する確実な方法は事故現場から順次、海藻の汚染度を調べたら、一番はっきりとすると語っていた。
なるほど、海藻は海底に定着して、核種を吸収しやすい。
 
 ところが小出さんはこれをやると、汚染の実態が余りにもハッキリしすぎるので、福島の漁業や農業は壊滅状態になると心配していた。
 
 彼の立場は福島の農業、漁業の壊滅を何とか避けたい、そのためには年齢別の基準値を設けて食べられるモノは食べて、風評被害による壊滅状態はできるだけ避けたいというモノである。
 
 現在政府は福島県沖の海洋汚染度をきちんと計測していないようだ。
 
 ネットには福島県沖で獲れたカツオはそのまま福島の港に水揚げしたら、売れなくなるから、千葉の港に水揚げすることがもくろまれているらしい。そうなるとカツオは千葉県産となる。
福島の漁師は千葉県沖に出張してカツオをとることはできないはず。漁場には縄張りがある。
 
いずれにしても、事故現場に収束の気配が全くなくて、被害がこれから拡大していく状況であることは間違いない。とくに海洋汚染が深刻になる。
 
 
>>>東電は6月13日政府に向けて「地下パウンダリーの基本仕様について」なる文書を発行している。
この文書は6月20日に至って報道の知るところとなって、全文が公開されている。
 
今、ネットでも閲覧できるが、添付されている工法についての説明図はない。これがあれば、工法の実態がもっとはっきりする。マスコミはこういう事実問題をキチンと押さえていかないから、東電ペースの情報の垂れ流しに手を貸すことになっている。
 
 総工費1000億円にも上ることから、株式市場からのこれ以上の債務超過の風評を避けたい東電は政府と口裏を合わせて、会見に臨むことを画策し、細かい想定質疑まで、同文書内で作成している。
それも含めてモロニ公表されているのだから、何とも締まらない話で今さら、姑息な隠し事をする東電のどうしようもない社風が明らかになっている。
 
 >東電のこの文書は原発事故の今後の見通しを明らかにしている。
 
 事故を展望する場合、三つの領域に分けて考える必要がある。
 
>その1は飛散集積した核種の問題。
 
 これは事故当初の様な拡散はないと想う。事故現場からかなり離れているのに逃げ回った方は、ご苦労さん、としか言いようがない。
水素爆発や余震の続いた当初の混乱の中で、冷静で科学的判断はできない面があるが、それでもこういった事実関係を突き合わせていけば、キチンとした結論が得られ。軽挙妄動は避けたい。
 
 >事故現場の原子炉の状態の推移は科学の領域で判断できる問題である。
 
一番、危なかった時期はメルトダウンが始まった事故当初であり、ここで爆発が起こらなければ、事態は溶融した核燃料棒がアンパン状態になって原子炉の更迭を溶かして落下する方向に推移する。
すなわち、チァイナシンドロームと言われている事態が進行する。
 
 従って、アンパン状に外皮が冷えて中身が高温に溶融した核燃料は地下に落下するのだから、核種の飛散は継続するが減少していく。ただし、半減期の長いセシウムなどは蓄積量としてみていく必要がある。
 
 逃げる予定のがないのに気に病んだりするのはどうかな。できる限りの防御態勢をとって暮らしていたほうがいい。
 低年齢層への影響は常識的に考えると、青年老年に比べて、当たり前に大きい。
 
>ただ、この問題には本当に科学的基準があるのかどうか、私には未だにわからない。
誰も実験し、データをとったわけでない。事故からの事例もサンプルが少ないうえ、錯綜しているようだ。
 
 突き放した書き方だが、人体実験中。
そんなことがあってはいけないのだが、現実がそうなっている。
多分、ズット後に裁判だらけになると想う。ヒロシマナガサキにおいてすら、国は認定基準を狭い範囲に限定しようとした。避難待機区域よりも線量が多いホットスポットが広範囲に生まれ、人口も多い。しかし、この情報は断定する自信はない。
 
 その2.
核燃料メルトスルーの今後。
 
 >>東電、政府の現場作業の一貫した特徴は事態の進行に防戦一方で、対処工法の変転を当初から、確認していくと、次第に難しい工法に変わっていかざる得ないということだ。
 
水棺冷却循環ー汚染水準管冷却。
そして遂に。
 もはや、汚染水循環冷却などブツが炉内に留まる保証がないのにどうしてできようか?
 
 地下30メートルの岩盤まで到達する防御壁を原子炉建屋、タービン建屋の周囲の張り巡らせるという、とんでもないところに至っている。防戦一方で事態の当然の推移に追い詰められている、といった方が正確。
それほど、一旦暴走した原発事故は収拾不能になるということの証だ。決定的対策などあるわけがない。
 
 解けた核燃料が格納容器を溶かして地下をめがけてメルトスルーしているのだから、もう、地下ダムを作り上げるしかないというわけである。
 
 >>>これって言い換えると地下水棺だよ。しかもダダ漏れ相変わらずの。
 
 東電の説明書にある工法を自分なりに解釈し、想定できるモノをネットで調べてみた。
 
 感想?もう投げやり、ヤケクソってところかな。
 
 スラリー連壁などと気のきいたことを述べているが、これは、建屋周囲の地上に注入機据え付けて、順番に凝固剤を注入することだ。それによって土、泥を凝固させ、壁面として汚染地下水の外部への漏れを防ぐ。
 
海側は海洋汚染防止のため、スラリー壁と鉄板や板打ち込みによる壁と二重にする。
 
 >これで汚染水が建屋地下に留まることは絶対にあり得ない。
 
亀裂の入ったダダ漏れダムが政権交代時に話題になった。あれと同じこと。
上から水をかけ続けるのだから、大量の汚染水がたまっていく。漏れもあるし、ダム内の汚染水の汲み取りも必要。
 
 以上の様な、素人でも予測できる難点のある工事しかもう対処法は残されていない。
後は運を天に任すしかないということだ。本当のところは。
 
その3。
 
海洋汚染。膨大な汚染水処理の問題。
 
そもそも、陸は海とつながっている。陸がおかしくなると海もおかしくなる。
その極端を行くのが、今回の事故。
 
小出さんが心配するのも当たり前で、東電も海洋汚染には神経をとがらしている。
 
政府は小出さんが云うような海藻の汚染度をきちんと調べて公表すべきだ。
定点に繁殖している海藻の汚染度を調べると汚染の広がりが分かる。
 
海洋汚染の計測もきちんとやらないで福島県沖でカツオ漁をし、千葉県の漁港に水揚げし、誤魔化すことなんかを許すと全国の食品の安全基準が崩壊してしまう。行政は目先や感情に流されるべきじゃない。
 
 最後に。
私は自然食や食品の安全などに厳しい、「自然主義派」の源流みたいな人たちを昔目の当たりにしている。
何もそこまでやらなくてもと想うほど徹底している。それも家族ぐるみで、そういう枠を作ってその中での生活を押し通している。
 
 が、当時私が彼らに想ったのは、これは一つの生命、生活主義のイデオロギーではないかということだ。
便利なことにこの立場に立つと世の中のほとんどすべてのことは、定点から批判できる。
 
 そういう人たちは、今回の原発事故は激しい拒絶反応を起こすだろうと想像する。
 
原発脱原発にはこういう徹底した信念を持つ人たちの意見が受け入れやすい土壌ができている。
 
国民全体に原発事故からもたらされる核種への恐怖心が覆いかぶさっている現状で、これらの信念を持った人たちの声が自然と大きくなり、一般が引きずられ、余計な心配や恐怖心を持つ可能性が出てきている。
 
 当該者、関係者になればなるほど、自分たちの生命生活がかっていることだから、自分で調べて、自分の意見を持つべきで、他人の意見に一貫性があり、力ずよく聞こえるからといって、惑わされるべきでない。
間違ったり、行きすぎた一貫性、力強さかもしれない。
 
 逃げる予定も立てられないのに、気に病んで暮らすほどバカげたことはない。ヤルことやって開き直って暮らすしかない。