反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

シュナイダー「現在の状況を引き起こしている原因は、日本政府と東京電力が、問題の深刻さを認めることを拒否していることにある。現在の課題は、彼らの現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ」

汚染水漏れ「福島の状況は深刻」英独の専門家
 Charlotte Meredith。2013年09月07日。日本語版。
以下、本文を引用し、Wのコメントを差し挟む。
 福島第一原発事故をめぐっては、矛盾する報告書が飛び交って混乱を招いてきた。原子力の専門家たちは、「汚染水が漏れた問題の深刻度については、誰にも本当のところがわからない」と強調している。
W。ネットから集中して資料を収集しても、日本発の情報を刷り合わせていくと、どう考えても、各々の指摘している重要な事実関係に食い違いが目に付き、情報全体の信頼性が失せてしまう。
又指摘は部分的であり全体像を開示できていない傾向がある。
 
海外メディアの日本語記事のほうが筋道の立った解説をしている。現状の包括的な解説ではウォールストリートジャーナル日本語版が一番、公平で解りやすかった。
 
 日本発情報の極端な例を挙げる。
彼の有名?な池田信夫の2013年09月10日の記事。
東電はそれを濾過して放射性物質を取り除いてタンクに貯蔵しているが」などとサラッと書いている。
 
 W。それとは屋その他の構造物地下の汚染水<正確には地下水+メルトダウン核燃冷却ろ過循環装置で処理できない注水量の約半分の高濃度汚染水+海水混合高濃度汚染水>文言を読めば、1000機の貯蔵タンクに溜められた30万トンを超える汚染水はWの( )の注釈で指摘した汚染水でないような印象を与える。
W。この混合高濃度汚染水の放射線量の人体への破壊的影響は政府、東電、関係当局、全部が認めている。
汚染水を処理しないで、そのままタンクに上げていないが、2日でタンク2、5杯分が満杯になる汚染水のろ過は現状では限界がある、ということである。
 
W.。池田の認識はここを無視するから、フランジ型接合のタンクから漏れ出した300トンの汚染水で大騒ぎする必要がない、という論調になる。
事実、その見地から次のような指摘となる。
「これまでにタンクなどからもれた汚染水は300トンを超える。」
「一部が湾内にもれており、さらに外海に出ている疑いもある。その放射線量は、東京電力によれば最大100ベクレル/リットルで、人体に影響を与えるほどではないが、外海に出ると魚が売れなくなるなどの風評被害が出るだろう。」
 
W。この記事には池田の対策論の基本が述べられているが、ある程度、核種の濃度を落として外洋に放出して希釈せよ、というものである。(現状の大型ろ過装置通称、アルプスはトラぶって稼動できない状態。<東洋経済ネット>また、海に放出できるほどの濃度を下げるのは技術的に難しいし、大変なコストがかかるとの専門的な論考記事もある。)
 
 その根拠も核種、放射線の特質を無視した次のような暴論である
かつて公害問題が騒がれたときも、福島の汚染水よりはるかに有害な水銀、砒素、六価クロムなどの重金属も<ゼロにする>という方針はとられなかった。」?(W。当時、人的物的被害を賠償せよ、と要求したが重金属を<ゼロにせよ>、とは要求して来なかった。知らない人間がいないともってタカを括って歴史の偽造をしている。過去の日本人はそこまで馬鹿ではなかった。こういう意見が堂々とまかり通る現在は社会が劣化している。)
 
 結局、科学的根拠の薄い不安感、過剰反応、絶対安全指向、の対極には池田のような、これまた科学的事実を敢えてスルーし、現実を直視したくない膨大な傍観者の心理に迎合するかのような議論がまかり通る。
勿論池田の議論を成り立たせている別の判断=「陸海に巨大な遮蔽壁を築いて汚染水を構内に閉じ込める福島の対策には疑問がある。」は漠然と解るような気がする。現場、収束作業の先は余りにも長過て未知の部分が多過ぎる。
 
 本文引用にかえる。
東京電力は先月、2011年3月の事故以来これまででもっとも深刻な状況として、敷地内にある貯蔵タンクから300トンの高濃度放射能汚染水が漏れたことを認めた。
 
 W。長々としたタイトルに掲げた彼らの現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ」という文言はマイケル・シュナイダー氏(ドイツ出身で、フランス政府やドイツ政府への助言も行ってきたエネルギー問題のコンサルタント)の見解であるが、この東電の7月22日の発表自体、7月21日の参議院選挙投票日を意識した政治判断だったことは明らかである。
 
  毎日新聞 2013年07月26日 東京朝刊。
「東電広報部は「21日の参院選に影響を与えないため発表を遅らせたのか」との記者の質問に「参院選とは関係ない」と否定した。」
しかし次のような事実経過を同記事は明らかにしている。
東電福島復興本社の石崎芳行代表は25日、東電本店から「海洋漏出していると発表せざるを得ない」という趣旨の電子メールを20日に受け取ったと定例記者会見で明らかにした。東電は22日に公表したが、それ以前に海洋流出を事実と断定していたことが判明した。」
 
 さらにまた、汚染水貯蔵タンクからの300トン汚染水流出、発表の前月6月にはタンクからの汚染水漏れ事故を東電は確認している。
東洋経済on line 2013年06月20日 〈現地ルポ〉廃炉への遠い道のり(下)
最近6月5日には、地下貯水槽の移送先であるG6タンクで3~4秒に1滴程度の水漏れが見つかった。タンクは鋼鉄製の板をボルトで組み合わせた円筒形で、つなぎ目部分から漏れていた。貯水量を減らして漏れは止まり、漏れた水も回収したというが、原因はまだ調査中施工時間を短くするため、溶接ではなく、ゴム製パッキンをはさんでボルトでつなげており、パッキンの耐用期間は5年程度といわれる。」
>W。2013年6月5日に軟弱地上タンクからの汚染水漏れを確認し、原因調査中で7月20日東電本社は電子メールで300トンの汚染水漏れを現地対策事務所に通達したというわけか?
 
>ズバリ、コレである。
シュナイダー「現在の状況を引き起こしている原因は、日本政府と東京電力が、問題の深刻さを認めることを拒否していることにある。現在の課題は、彼らの現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ
 
 本文に戻る。
シュナイダー氏はハフィントンポストUK版の取材に対して次のようにコメントしている。「現在、数百という問題が山積みになっている。温度、被ばく線量、被ばくした人数、これらすべてのデータに不備がある。われわれはまだ何も把握できていない。一般市民が理解しているよりも、はるかに悪い状態だ」
 
W。再び本文、シュナイダー発言引用箇所。海外メディアは冷静に日本国民の現状を見つめている。
後半部分は日本人の感情に踏み込んだ指摘であり、そのものズバリである。
「「現在の課題は、彼らの現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ。ここでは日本の持つプライドが問題になっているが、プライドが現実逃避の態度へと変わってしまうと、このような問題は本当に危険なものとなる。彼らは人々を、高まり続けるリスクにさらしている」
「日本政府は5日、原発のタンクからの漏えいを阻止し、高濃度汚染水を処理するための対策に470億円を投入すると発表した(膨大な維持費も見積もれるはずで、全部国民負担)。投入資金の大部分は、摂氏マイナス40度の冷却材を入れた管を使って最深30メートルまで地盤を凍らせる「遮水壁」(日本語版記事)の建設に使用される。」-この先端技術?の、トップ、ゼネコンは、鹿島建設。トンネル工事で使用してきた。共同企業体受注になるだろうが、巨大な将来的利権保障となる。株価推移に注目する。
 
「しかし、今回の決定は、国際オリンピック委員会IOC)が2020年夏季オリンピックの開催地を東京、イスタンブールマドリードの中から選定する数日前に発表されたこともあり、「原発事故による安全性の心配はない」とアピールするためのものではないかと見られている。
 
 シュナイダー氏はこう述べている。「遮水壁のプロジェクトは、画期的な対策案が存在するとアピールするために考え出されたものだ。
 日本政府はオリンピック開催地決定の数日前になって、このプロジェクトに470億円もの資金投入を決定した。しかし、実用的な面から考えれば、この対策は非常に疑わしく、信頼性が高いとはいえない。長期的に持続可能とはいえず、この壁に効果があるかどうかは誰もわかっていない。
パニックが引き起こした反応と言える
 
原子力のエンジニアでコンサルタントも務める英国のジョン・ラージ氏は、
「この技術は小規模な汚染を管理するためにしか使用されたことがないと指摘し、今回の頼みの綱とするのはリスクが高すぎると述べる
氷壁は脆弱であり、ましてこの規模のものは前例がない
W。冷媒配管は収束作業期間中に経年劣化し交換しなければならない。ヒートアップした地下を凍結させ続ける膨大な電力量は国民負担。建屋などの地下構造物は古層にまで達し、山側は云うに及ばず、平均海面よりずっと下で、周辺では最深の巨大な窪地。周辺から巨大な圧力がかかる。今のところ高濃度汚染水の外洋流出が希釈されているのも周辺から地下に流れ込んで、辛うじて上面を汲み上げているため。
 
 本文にかえる。
ラージ氏は、矛盾した報告書が「飛び交ってきた」原因について、東京電力と日本政府という2つの情報源だけに頼っていることだと指摘する。
「これらの情報は矛盾を含み、混乱している。それに、信用できないと感じる彼らの真意が何であるか、疑わざるを得ない」
シュナイダー氏も、問題はもはや誰も東京電力や日本政府を信頼していないことだと話す。「日本の人々が、彼らの主張は信用できないと感じるのはもっともなことだ。」
W。この辺は本文作者、シャーロット、メルディスの日本ウォッチは足りない。
日本人には教育効果もあって、強烈な集団性がある。(東アジア全般に通じるが、ネットワーク社会の底辺がある中国はかなり違う。現政権はいづれその中にメルトダウンし、よりに手ごわい政権が生まれるだろう。)
欧米先進国では、このような原発事故を発生させてのオリンピック招致は、国民が許さない、と想定する。
コレが古代ギリシア史から不得手な欧米の民主主義の歴史に取り組んできた結論である。
 
 2020年、東京五輪開催については、歴代オリンピックの歴史を追認すると事情がリアルに納得できる。
恥ずべき事態と考える。
TPPに限らず、集られむしられ利用されている。日本でなく日本国民多数が!
 1976年モントリオール五輪を結節点にオリンピック非営利団体とスポンサーのマッチした利益誘導の利権が強化されて今日に至っている。(一番儲かるのはマスメディア媒体企業)
結局、この間の記事はここに辿りつく着くために、最初から大回りを企画したものであった。
地どり捜査のつもりであった。
そうでなければ、見解に違うIWJのインタビュー記事など、丁寧に書きお越しはしない。