反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

2006年~2010年名目GDP減少は日本だけ。民(賛成232人、反対棄権72人)、自、公、国民新、たちあがれ、の賛成多数による消費税増税は既存のヒエラルキー維持にしかならない。

 「税と社会保障の一体改革」として野田政権から提出された消費税増税法案は旧政権の自公側との修正協議された結果、既存のヒエラルキー維持が露骨に体現された形で、26日、賛成363、衆議院を通過した。
政権交代後に発生した重大政治事件、大震災、原発事故の凝縮された激動の政治過程における政治力学は野田政権に自民党長期政権時代からの旧来の<税と社会保障制度>にささやかに手をつけることさえ、許さず、自公案をマル飲みする形で多数派形成が行われた。
 
 例を挙げると、こういう事になる。
当初の野田政権案では高額年金受給者の一階基礎年金部分に多額の国の資金が投入されている事に対して制限を設けることになっていたが、国会多数工作のために、今までの無制限方式の継続を主張する自公案をマル飲みすることになった。
 
 この事一つとってみても、露骨に事態の真相が明らかになっている。
自公等は米国流の金儲けのインセンティブ、システムの根幹は譲らずに、<表面上>は何とか旧来の社会保障制度を継続したい、との日本社会経済の現状、将来像とは矛盾した指向をしている。
 
 >であれば、自公等の旧システム継続者はアメリカ仕込みの金儲けインセンティブ、システムに固執せざる得ない訳だから、
1)国全体の付加価値のパイの大きさが変わらず、
2)赤字国債の利払い金が積み重なっていく事や
3)緊縮財政を継続する、という前提に立てば、
<国民全体のうち誰か、何処かが負担増=給付切り下げ><最悪切り捨て、棄民>になるしかない。
1)、2)、3)によって、コレは当たり前の算数の問題。
 
>1)に関しての具体的数値。
 
     総務省統計局の発表。
国内総生産(名目GDP、各国通貨表示>
>日本(単位10億円)
2006年    2007年    2008年     2009年      2010年
506,637  512、975   501、209    471、139    481、773
 
アメリカ(単位10億ドル)
13315    13962     14219      13864      14447
 
>イギリス(単位10億ユーロ)
1329     1406      1434       1394      1447
 
>イタリア(単位10億ユーロ)
1483     1546      1568       1520       1549   
 
>>ただし、<支出項目別国内総生産>を見ると日本経済はアメリカ、イギリスに比べて、過度に金融サービス化してない。しかし、消費税増税、TPP参加によって、ここが一番、変わってくるだろう。
 
 専門家でないからよく解らないが、多分、コレらの数値に表現されている経済、社会構造がまだ日本にあるから、先にGDPの停滞的数値にも関わらず、まだまだ格差と貧困が多数国民に実感されていない。
 
 >アメリカは<民間最終消費>71(日本58)。<政府支出>17(日本20)。<総固定資本形成費>16(日本22)。<財貨サービス純輸出>-5(0)。
 
>イギリス64。 21。 16。ー4。
 
>中国  35。 13。 46。 5。
 
以上の数値に現状の国柄が良く出ている。 
 
 
>>しかし、名目GDPの数値比較を一眼見ると、日本ヒエラルキーによる、政権交代した民主党政権に何が何でも消費税増税を強行させている真意が理解できる。
 
>世界に類を見ない国内付加価値の総計=GDPが横ばいなのだから、内外状況の中で既存の大企業、官僚中心のヒエラルキーの利益構造に手をつけず、維持するためには所得税法人税などの増税よりも、国内のモノとサービスの個々の流れに自動的に税を上乗せするしか方途はない。
 
 しかも、更なる増税が予測される中で、商品納入票に添付できる消費税分の記入の仕組み(インボイス方式)や生活必需品の課税低減さえまだ正面から議論されていない。
 
 ここからも明らかなように、大幅な消費税導入によって不利益をこうむる中小零細業者や貧困層への手当も本格的議論の俎上に上らず、先に増税関連法案を数の力で可決しようと云う、制度としての民主主義を実質上踏みにじっている。
 
 元財務官僚の高橋洋一によれば、消費税像入後、途中からインボイス方式を採用した国は世界中どこにもないらしい。
関連会社に消費税を転嫁してきた経営体力にある企業はコレによって損をするのは目に見えている。
 
 低所得層には必需品消費税分の現金返還などと云う、意味不明な誤魔化しの方途が検討されていると云う。
 
 要するに、この様な反民主的措置や将来社会像に直結する税の在り方にまともに踏み込まず、増税法案が先行しして可決した。コレがありのままの実態。
 
 グローバル資本制によって資本の蓄積構造の海外への展開のすう勢に根本的な歯止めがなく、国内産業空洞化、格差拡大によって、大企業の繁栄による<トリクルリンク>=お零れは、庶民の処まで回ってこない。
もうこんな言い訳は格差拡大で実証済みだから、通用しない。
 
支配層が利益構造を温存していくことは結局、その付けは庶民の処に回されるしかない。
 
 だから税金の問題はまず何よりも階層間の問題が露わになる。
 
 日本の戦後の歩みは企業利益最優先国家路線だった。
今まで庶民がなんとなく平穏に暮らしてこれて、ある程度、物質的な暮らしやすさに恵まれてきたのは、特殊な戦後的な内外環境に恵まれた企業繁栄のお零れを甘受できてきたからだ。
 
 ユーラシア大陸方面の戦乱や日本高度成長期の戦前を引き継ぐ、農村の過剰労働人口から一転しての特殊な人口安定期など時代限定的な特殊要因が日本経済の成長を大きく左右した。
 
 しかし、もはやその特殊環境は潰えてきている。
>支配層=ヒエラルキー側もその事は熟知しており、市場原理主義満開のグローバル資本制の政策制度でやっていく道を敢然と選択している。
現行の消費税増税は階層問題であると同時に国家の政治路線の選択の問題である。
 
支配層のヒエラルキーは言葉の上では国家や民族の言辞をまき散らすが、実質的に私利私欲に奔走している。こういう実態もあって将来国家像の作文すらない。尤も使い捨て民主政権はそこまで支配層になめられている。やがて自民党憲法改正草案の様なモノが出て切るだろう。
 
 従って、庶民の側はマスコミなどがまき散らす余計な情報操作に惑わされず、彼らに利益応分の物質的責任を取らす事が肝心。
 
 >>同時に民主党内が消費税増税を巡って、齟齬をきたしている事態は、何ら異常事態でなく、民主主義の健全な政治プロセスと見なし歓迎する。
 
 今の日本のぶち当たっている重大問題は真に歴史的な領域に到達しており、政界が流動化するのは当たり前である。識者間でも意見の隔たりは大きくある。
そして、解決方法は基本的にない。
こういう時に政権党に意見が二分されることは政治過程として、悪いことではなく、正常で、当たり前の事だ。
 
 しかし、こうした流動化、混乱、混沌、に対して在るべき予定調和の立場を対置すべきでない。
マスコミなどの論調はこのたぐいである。
 
 >>一方、私自身、本を買ってまで議論を検討したが、正直なところトータルな真理は何処にも見出せなかった。
 
今の時代を生きるモノには解らない、解決しようのないことがたくさんある。歴史の経過しか解決の方途がない。
 
>>経済や財政が絡む重大問題は政治や軍事の領域と違って、重要問題になればなる程、解決できない必然性が左右する傾向にある。
だから、ヒトの意志では告発はできても、政策的に、どうにもならないマクロな経済学の必然性の領域が科学として成立する。
算数の1プラス1=2を3とするのは勝手だが。
 
 しかし、いわゆるケインズ以降の近代経済学は経済社会会政策で3とできる様な幻想を与えてきた。
戦後の冷戦体制と云う世界的政治体制の影響が大きく作用しているのを抜きして。
コレが取っ払われると、マクロ経済学本来の必然性の領域分析が重要になってくる。
少なくとも、コレによって余計な政治的政策的ザワメキ、浪費は省略できる。
ここの処の根本が解ってない人が多過ぎるが、教えるシステムはもうほとんどない。
 
>政治家やマスコミがハッキリとモノを云うのは立場上仕方がない事と割り切る。
 
しかし、国民は諦めず、事態全体の構造を明らかする中から、現実的なよりましな政治選択を目指すべきだ。
 
>>そういった意味で、私は今のままでの消費税導入に反対する小沢さんたちを支持する。
 
>ここ5年程の国全体の付加価値の総計が横ばいなのに、経済成長によって、税収が増える見通しは何処に求められるのだろうか?グローバル資本制と云う大前提を抜きにした、あり得ない国民経済的成長の前提条件に立つこと自体が科学的に間違っている。
 
また、付加価値を生み出す、労働人口減少傾向への歯止めなく、社会保障関連費の給付を受ける人口は労働人口に比べて相対的に増加している。
が、むしろ少子高齢化を前提としての基本政策が求められている。
労働人口の多くを貧困層に突き落として、低賃金過重労働で収奪すると云う方向はアメリカ方式であり、日本には不適切。
 
 
さらには、日本企業の資本蓄積構造のグローバル化によって、国内産業空洞化とあらゆる分野での格差が拡大していく趨勢への歯止めは事実上、効かない。
出ていく企業を引き留めるのは間違い。
企業は出ていくと云う前提で将来像を描き、少子化を前提とした国民経済の再編する方途はないのか?
 
バブル崩壊後の20年。
>政治が為し得る打つ手は基本的に打ってきた、と漠然と考えている。
まだまだ妙手があると云うのは、政策的強欲と云うモノ。
分を弁え地道にやっていく事だ。
 
 先を急いでバタバタするのが一番いけない。
政治過程のリアルな現実が<岐路でより悪い選択をさせてしまう>。
政局が政局を生み、独り歩きして、より悪い政策選択をさせてしまう。
 
  <追記>
5000時字数制限のため、半分近くの記事をカットした。どれも必要な個所である。
そもそも、政権交代後の民主政権による、支配層が本音を隠ぺいしたままの消費税増税の様な歴史的重要案件(10%増税にはとどまらず、否応なしに国家像、国家路線が問題になり、本格論議をすれば、改憲論議に連動する。朝日新聞の政治的アホンダラはそこを有耶無耶にして小沢批判を繰り返している)に対しては多方面の角度から論じなければ、ならないと考える。
短時間で記事を圧縮できなかったので、破棄する処は全体を破棄した。よって簡単に論じる事となった。
勿論、重要情報を編集できないと云う自分の能力不足もある。
>しかし、自分の率直な感想ではこれまで接してきた賛成論、反対論の両方に説得力に欠けている、と想われる。
コレは云い換えるとそれだけ、根本的対処療法なしだから、どの政策的選択肢をとっても、日本の現状の陥ってる壁、日本の戦後獲得してきた経済的地位のかなり急速な後退は避けられない事を指示している。
国民にとってはヨーロッパ、アメリカの現状矛盾よりも深刻。
アメリカは元々、市場原理主義超大国。ヨーロッパは社会民主主義の獲得した成果がある。共にぬれた雑巾で絞りとれば、水が滴り落ちてくる余地がまだある。
政権後退によって、ようやく社会民主主義的改変の途に就いた日本国家と国民は水分の少ない干からびた雑巾である。
>そこで煎じつめるとグローバル資本蓄積構造を展開する現状の既得権的大資本が生き残りのために多数の国民生活が犠牲になるかどうかとの、究極の問題が浮上してくる。
アメリカやグローバル資本制への基本認識がハッキリしない処で本当の増税反対論は成り立たない。増税はTTP参加ともリンクする問題。事前協議と本交渉の区分けは建前論。本交渉を始めた段階で論点は整理されて、サインする段階での駆け引きだけになっている。こんな事は子供でも理解できる。
 
 原発問題との関連は経済問題軍事問題を重視する傾向にある自分の中では正直なところ整理できていないが、関電管内の真夏の電力需給がギリギリのところにある事、程度は反原発集会に参加した自分にもネット情報を収集しただけで予測できた。