よほどのことがない限り、午後9時を回った頃には知覚がボッーとしてくる。
昨夜もボンヤリト、TVでオリンピックを見ていた。あれはあれなりに面白い。世界中から選抜されたヒトがあらん限りの知力体力を一点に集中して、競い合っている姿は美しい。
尤も、そのまま同じチャンネルでズットみていたいとまでは想わないが。
午後9時をかなり回った頃だったか。
NHKのオリンピック番組が突然中断し、報道センターからの臨時、ニュースに切り替わった。
>報道によれば、首脳会談の手順は込み入っている。
最初、自民、谷垣総裁と民主野田、内閣総理大臣が刺しで会談し、意見集約ができないと見せかけて、次の段階で公明の山口代表の合流を見て、急速に意見調整が進み、衆議院解散時期を巡る微妙な文言で決着を見たかの装いをこらしている。
時刻は午後10時過ぎで、テレビの前の多く視聴者はロンドン、オリンピックにチャンネルを合わせている。
オリンピック中継を挟むことによって、増税への忌避感に基ずく余計な事をその瞬間に考えさせない、劇的演出効果を狙っての事だろう。
8月8日は朝から真昼間、夕刻。詰めて話せる時間はいくらでもあったはず。
また、こういった重要政治案件の交渉では水面下の交渉でほぼ筋書きはできている。
この様な一連の事態をニュース解説者がどのように解説しているのか一切知らない。
関心は全くない。
解説者個人の意見、あるいは社会部、報道部の総意と、最初に断ったうえで解説しますと謙虚に云うのなら、多少は聴く耳も持とう。
が、解説と称して、真相を語る風を装って、当たり前の様に一方的なイデオロギーの風を視聴者に向かって吹かせて世論形成!するのは許せない。
消費税増税は我々の将来の生活労働健康に深くかかわる問題であって、特権者の身分(コレを身分と云わず何と云う)のモノは基本的に、高みの見物の立場にいる。切羽詰まった渦中から、一定の距離を置いたところにいる。
そういう立場をまず、何らかの文言で明らかにしてから、解説をくどくどと述べてもらいたい。
こういう意見が巷の一部に溢れかえっているほど、特定の政治的立場を刷り込む洗脳機関としてのマスコミへの不信は政権交代前後から今までの政治過程で極まってきた。
>そういう事で私から見ると8月8日の午後10時の3党首会談はミエミエの謀りごとにしか見えない。
8月8日の三党首会談まで日程がずれ込んだ事はうがった見方をすれば、3党首脳が党内外のリアルな動向を見計らって、オリンピック中継による国民の一定?の過熱も勘案して、絶好のタイミングを推し量っていた、と推認(まさに推認!)される。
>増税を巡って、一番、党内の意見集約ができる体制にあるのが公明である。
参議院の消費税論議で社民党を代表した質問者は公明が今回賛成に回った事については、何かと党内で苦渋の決断過程があったと想われます、などとの公明への理解を示していたが、事の本質を見分けられない甘ちょろい視点である。
この党は完ぺきな新興宗教政党であって、国事、民事よりも党の利益が優先している、現時点での国政への影響力に全く相応しくない政党である。
実態がそうだから、この党は己の奇食先を求めるに応じて、何の歯止めも本質的に存在しない、と看過する。
大阪では今や橋下の同禽者である。その実態をカムフラージュするため、橋下の実体を押し隠す役割を果たしている。それもコレも新興宗教的野望、陶酔感優先の本能に忠実なところからきている。
幹部集団と下部集団の利害の本質的不一致を繋ぎとめているのは個人崇拝を含む遅れた政治意識と新興宗教的盲信である。
その場合、幹部集団の利害は下部の置かれた庶民的状況よりも、盲信も加味して、自民党や日本支配層に奇食するモノである。
政治と宗教を分離の原則の重要性はこの党を冷ややかに観察すると実感できる。
しかも、長い歴史の中で検証されてきた伝統的宗教でなく、カルト性の濃厚な新興宗教である。
こういう宗教政党が国政に重要な役割を果たしているのは、戦前戦後の日本歴史の特殊性に起因している。
私は公明をみると、日本人として恥ずかしいな、と想う。
信仰の自由は絶対だが、未だ歴史によって未検証な(戦前はみんな弾圧された)新興宗教の政治に対する大きな関与は、多数の国民の利益にならない。公明がキャステングボート握るが如くなって以来、日本政治全般が良くなったか?
苦渋の決断など言葉は悪いが屁みたいなモノ。そんなモノに理解を示す方が間違っている。
次に自民党の党内事情。
ちなみにこのヒトは公明支持をホームページで公言している。
公明はこの手の行き場がなくなったヒトをその物量で取り込むすべに長けている。
憲法改正、米国戦略と一体化した政治軍事経済の売族路線である。
当面の政敵民主が分裂まで引き起こして消費税増税に前のめりになり、党としてかつての支持者から見放された事から、下野して以降の大きな政治目標は現時点でほぼ達成されている。
何より、このまま情勢が推移すれば、不慣れな野党生活故の焦りはあるが、民主凋落ならば、公明は付着しているのだから、政権復帰は確実。
とすると、この際の、大きな獲得目標は2つしかない。
当面の政敵であり、政権の座を明け渡した民主を二度と立ち上がれない様に徹底的に潰しておく事。
その次はまだ正体不明点がある橋下、維新の取り込み。
みん党は剥き出しの米国市場原理主義の経済主義者だから、政治路線的一致点があり、放置しておいても実害はない。
ここが自民党政治の最大の弱点である。
自分たちに攻撃の矛先を及ぼせない様にできると云う目論見もある。
以上の自民党の事情によって、
自民民主の消費税増税を巡る駆け引きは、単なる解散時期を巡る文言の
の問題ではなく、水面下で具体的な取引材料の何点かを俎上に置いた交渉であったとみる。
自民にすれば、この方面でも付け入るすきはいくらでもあると云う事だ。
>民主の党内事情。
水に溺れた犬は叩かれる。コレは政治の常道。
現在の議員の果たして何割が1年余り後に議員バッチを胸にしているであろうか?
9月の代表選を結節点として、それ以降、さらに離党者がでるかどうかは、吹く風任せだ。
もう母体の党が死に体状態にあるのに、野田の様子をテレビで見ると権力者の振りをしている。哀れを催す。
主流派は役を振りつけられたシンデレラ症候群状態。
が、素敵な王子様は何処にもいない。
所詮このヒトたちは優秀な個人主義者の集まり。それで可能となる政治には大きな限界があった。
>>最後にどうしても確認しておかなければならないのは
消費税増税、低成長の持続とTPP的事態は切っても切り離せない相関関係にあると云う事だ。
増税はだれのためか?何のためか?
結論はハッキリしている。
TPP事態においても、日本支配層のヒエラルキーは維持しておきたいから。
TPPによって、米国型に日本社会経済が改変されても、自分たちの金融寡頭支配の構造は強化しておきたい。その物的基盤は基幹的税収である。
従来この部分に脆弱性があった。
所得税率に低さは今や先進国で断トツ5%。米国でさえ8%。
政権交代の民主がなり替って矢面に立ってくれている。
後は、自分たちの階層的利害や党是をいかに貫徹させるかどうか?
貧乏人は麦を食えば云い、とは所得倍増の池田勇人。
現状と将来、<麦を食えば良い>どころか、<間引き><姥捨て>の時代がやってきていると云えば云い過ぎか?
あの8月8日の午後10時の自公民の猿芝居を見ても国民は徹底的になめられている。
<追記。
今日、8月9日は長崎に原子爆弾が米軍によって投下された日。訪問者の方のニックネームで気付かされた不明!戦後、日本人の原点だ。原爆投下までのリアルな歴史を振り返ると、冷酷非道は明らか。
にもかかわらず、今の世界で国民がこんなに親米的な先進国は日本以外に存在しない。ちょっと前の日本を振り返ってもこの様変わり様はどうした事か。