反俗日記

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消費税増税法案、参議院成立を受けたNHKニュース報道は、国民協議会に下駄を預ける、事を即す。<下駄を預ける>の意味は?

 税と社会保障の一体改革と称した、自公民3党執行部共同提出の、実質的に消費税増税のみありき、法案は参議院で圧倒的多数で可決された。
午後9時のNHKニュースの報道は、年収500万、700万、1000万の家計における、減税分の廃止を含めて税負担増を細かく、算出したフィリップを示していた。
 
 すでにこの表示事態、国民所得分布のの現状に相応していない。
現状の国民の平均的可処分所得所得税社会保険料などを差し引いた手取り)は270万円未満となっている。
 手元の国民の負担率から逆算すると、国民の平均年収は多く見積もっても380万円前後。
様々な職種に従事している全国民の現場の実感としてもこの程度だと想う。
 
 また、年収の半分に満たない相対的貧困層はOECD加盟国平均値10%を大きく超える、16%であり、加盟国中、第4位。ここから推測すると、実際の国民の所得分布図は平均年収380万の下方に大きく広がっているとみる。
 そういう実際の家計の実情を一切無視して、上を仰ぎみる様な年収の家計をモデルとして示している。
 
 >>消費税の逆進性を意図的に隠ぺいしているとしか思えない。
 
 実際、解説者は、500万以上の各所得層への増税負担率の変化でなく絶対金額の大きさを漠然と印象付けるだけであり、
逆進性がハッキリとする低所得層の増税負担は一切カットされている。
低所得者層まで順に全部、フィリップで示すと消費税の逆進性は一目瞭然。
しかも、年収500万以下の低所得層は少数派ではなく多数派だ。家計の数で云えば、上澄みの様な層を挙げても、消費税の逆進性の実態は明らかにならない。
 
 加えて、推定平均所得より下方に分布する数で云えば多数派層は計算上、消費を控えるしかなくなり、景気後退は不可避。
 
 可処分所得200万を全部消費して、貯蓄率ほぼ0の層を仮定すると、5%ー10%に増税される訳だから、計算上、200万を10万もオーバーしてしまう。否応なしに消費を抑制せざる得ない。
 
 従って、今の日本経済、先進国経済の横ばいのただ中で諸費税を倍に増税すると、リセッションは大きい。
それを緩和するための公共事業などの財政出動も大した効果がない。生きた経済における経済乗数効果は定理通り作用しない。民間銀行の信用創造力も低下している。
 
 実体経済が頑として動かない。
理由は再三指摘している1~4の複合要因だ。その主要点は歴史すう勢要因であり、政治の力ではどうにもならない。
 
 懸命の努力は必要で大切だが所詮、シューシュポス的足掻きに終わる。
ここの見極め、割り切りが支配層にあって、この時期に敢えて消費税増税を強行している。
 
 TPP事態へのタイムスケジュールから逆算すると、今、政権交代民主にその役割を何としても担わせ、矢面に立たせ絶好のチャンスだ。民主の決定的失墜と支配層としての今後のタイムスケジュール実現の1個二重の環を自民らは掴んでいる。
 歴史上、ワイマール憲法下のドイツ社民がこういう役割を果たした。民衆の失望は何処に解消されたか?
 
NHK解説はどう考えても消費税増税を説明しているのでなく、本質を隠ぺいしている。
 
 
 >>その直後、テレビ画面は突然、早くも税負担対策をやり始めた都内の主婦たちの家のやりくりの勉強会に移る。
早々と、税と社会保障一体化法案の増税の数字だけが独り歩きし、可処分所得が少なくなっても、やりくりして将来に備える賢いお母さんたちが「演出されている」。
 法案議論の中身に関係なく、早々と増税への生活防衛に先走っている。
が、この貧欲は心の病の一種じゃないのか?
 
 そこまで家計に拘る暇人がいるとは、尋常じゃない、病的と私は感じるが、NHKははサンプルに異常を感じないらしい。
私が指摘したデフレ経済の原因1~4に新たに消費者マインドの冷え込みも加わった。
こんな人間が巷にいたら、所謂、需給ギャップは縮小しない。
 
 家庭は諸悪の根源である、とは最近聴かない言葉だが。
家庭からデフレの亡霊が湧きたっている。
尤もそれにしては日本の貯蓄率1%台とはどういう事だ?
この不均衡は社会の病だ。世の中がギスギススル訳だ。
 
 >次の画面では外報部デスクとか云う方が、今後、議論の場は自公民3党議員を含めた有識者の国民協議会に移るが将来像を含めてじっくり議論していただきたい、などと解説をして、コレを受けたキャスターは国民が将来、安心できるセフティーネットづくりを議論していただきたい、と念を押す。
 
 >3党合意の筋書き通り事が運んでいる。
 
 増税だけで社会保障などの中身空っぽの法案の成立。
その中で、自民の国土強靭化構想200兆円、公明の全国防災計画100兆円と云う公共事業の実施だけは国会審議で明らかにされている。お盆前に一斉に帰省する増税議員たちにおミアゲだけは用意された。
大震災、原発事故、大増税、TPPは関係ない。日本再建!と云う訳だ。良くできた話だ。
国民は徹底的に愚弄されている。
 
 >>こういう自公民3党の計略を受けてNHK報道は一見、正常を装うが、よ~く考えると異常な絵と言葉で増税への忌避感の充満する国民の様々な想いを
国民協議会に<下駄を預ける>方向に操作しているのだ。
 
>>下駄を預けるの意味。
万事を頼んで、無条件で相手に任せる。
ヒトに預けた下駄を返してもらうまではどこにも行けない。
相手を信頼してと云う意味で使うのは誤り。
 
増税だけありきで中身のない税と社会保障一体改革法案、参院本会議成立直後のNHKニュース報道の報道姿勢は早くも
法案の中身の審議を国民協議会に<下駄を預けている>。
言葉を変えて云えば
丸投げだ。
 
 そうすると、協議会に参加できる議員の資格は自公民3党のみだから、論理的に云えば、多くの国民の間にある反対の声は参加議員レベルでは封殺される。
 
ところが、この税と社会保障一体改革法案への国民の反対の中には、増税時期の不適切と云う以外に、このまま国民協議会の議論と結論に任せていたら、多数の国民の不利益になると云う、強い不信感がある。
 
与党民主党の途中で強行に中止された政調会の議論の中でも反対派議員によって、
1)消費税の逆進性対策の具体的議論中止(政権担当主体喪失で与党政調会と云えない)
2)社会保障費不足分に充てていた赤字国債分の公共事業への流用、
3)増税分の社会保障費は社会保障の現状維持だけに使用し、新規の使用はしない、など疑問点が明らかになっている。
 
 さらに、共産党赤旗7月29日付によれば、
消費税増税でメインタイトルに<大型公共事業復活>とある。
 
 消費税増税法案付則18条2項のは増税で悪化する景気対策として消費税増税分を財源として、<成長戦略>や<事前防災、減災>に重点配分と明記されているらしい。
共産党の国会審議の質問ではこの点について何度も野田総理に質問していたが、繰り返し頑として「消費税は社会保障に使う」と云い切っていた。
 
 いずれにしてもハッキリしている事は増税によるリセッション対策として大規模な公共事業を実施すると云う事。
 
 だったら、歳入と歳出のワニ口の様な大きな開き、累積赤字国債と云う財務省増税の理由として大宣伝していた問題はどこに行った!
 
 (なお、以前のグラフを示した記事において、国債を大量発行しいるのに歳入の著しい平行性を累積赤字の利払い償還費や経済停滞による税収減だとしてきたが勉強不足。アメリカ減税、猿まねのちっとも経済効果のないムチャクチャな減税を長期に渡って継続してきた。また徴税システムも合理化されていない。やっぱり日本の政治家と官僚、国民は本質的に程度が低く中身がない。勿論、自分も含めてだけど、あきれる。)
 
 もっと言えば、そもそも、アメリカの半分程度で、先進国最低の所得税ウェイトの低さに手をつけないで消費税増税だけに的を絞っている階層利害温存。
所得税は累進性をつけやすく、所得再分配機能がある。
今回の民主自民の協議の中で民主側の所得税増税案は否定されている。
 
>その他の角度からの増税反対意見もある。
>また、国会では反対意見は少数派だが国民の間の反対意見はそれよりもずっと多い。
国民会議の自公民国会議員に多くの国民の反対の声はこれまでの経過から届かない事は明白。
>反対する国民の声が届くとすれば、国民会議有識者だが、
官僚国会議員の規定力からすれば、反対する国民は国民会議に下駄を預ける訳にはいかない。
 
 毎回、書いている様に消費税増税はTPP事態と一体化法案。
財政学の第一人者、神野直彦さんは云う。
 
 日本の財政は「アメリカの様に公共サービスや社会保障は縮小して、一方で負担はヨーロッパ型を目指している。一体どういう社会ビジョンを持って、税制を変えようとしているのか、解らないのです。」
ハッキリしているじゃないですか。
 
 TPP、日米同盟深化=米国東アジア戦略の噛ませ犬志願、憲法改正市場原理主義のジャングルの掟の環境強化、国民多数派は野となれ山となれ=ギリギリ労働力商品再生産の窮乏化大歓迎の強収奪。
総資本は海外を目指し、多数派国民はあくまでも統治の対象物とみなす。
コレから日本は己の貧欲、強欲のためなら何でもありの世の中になる。
 
 そもそもその本性からして金融資本の跋扈できる最適環境は「市場や政府、財政が不安定化して、将来不安、雇用不安を慢性的に抱えている社会」。
 
 構造協議ー年次要望書ーそいて遂にTPP事態へ!
アメリカ社会を日本に移植してくださいと日本支配層は希っている。共同統治、共同収奪を実現しましょう、と。