反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

元小泉竹中、安部政権の側近官僚。現橋下大阪市長の特別顧問の高橋洋一のお気楽、財政改革の大法螺。第二回。

 第2回目の「増税はだれのためか」の神保、宮台の高橋洋一インタビュートーク批判。
参考資料として、「増税はだれのためか」に収録されている他の3名のトークの、納得する部分を利用する。
 
 高橋トーク表題は<すぐ捻出できる200兆円を隠して、まやかしの増税に走る財務官僚>。
 
宮台の要約(高橋トークを書き起こし編集したモノだろう)によれば、高橋は消費税増税の前にすぐやるべき事として次の4点を挙げている。
 
 1、デフレ脱却  
(要するに、自論のインフレターゲット論。コレに対して私は、他の論者の要領を得たインフレターゲット論を借りて批判する。
 
 また、高橋が側近としてかかわった2002年から2007年の小泉竹中の経済政策は旧来の経済構造の温存であり、改革の真逆だったと云う野口悠紀雄さんのスッキリした意見を運用して、今回の高橋の量的金融緩和による名目GDP上昇=税収増論を批判する。
 
 野口さんの見解を読んで、以前から解らなかった、米国バブル崩壊後、世界の先進国の中で日本経済の落ち込みが一番激しかった理由がリアルに理解できた。
米国にカネをまわして輸出商品を買わせていた小泉竹中の<財政緊縮、金融緩和、円安>ポチ政策が度を越していたからだ。
潤ったのはトヨタを筆頭とした独占の企業系列である。また、当然にも格差拡大と旧来の産業構造が温存された。
その様な政策を担った高橋は反省もなく、その方向を米国TPP対日政策に呼応して継承発展させている。
そういう直感が働いていたから、行財政改革の仮面を引っぺがしている。
詳しくは全部次回に回す)
 
2、政府試算の圧縮  
 (これによって、200兆円が捻出できると云う魔法のようなお気軽、大法螺。トークの表題になっている部分)
>今回の記事ではここを重点的に取り上げた。
 
3、歳出削減  
(合計102の独立行政法人、合計33の特殊法人で、税金ダダ漏れ天下り、シロアリの巣。それと関連する官僚の差配のきく不透明な31特別会計、合計182兆円。)
 
 高橋トークでは、大衆の耳目を引きつける天下り白アリの巣の話ーこの部分は挙げる歳出削減額が2,3兆円と数字は妙に細かく、多少の真実味は在る。
が、こういうリアル話とトークの主題の200兆円ねん出のほら話を混淆して、聞き手にほら話を信用させる手口である。
 
 お気軽200兆円捻出の根拠である政府金融資産300兆円の一部売却は数字をしめしているだけで、中身の突っ込んだ説明がない。
両インタビュアーも高橋トークの一番の核心点を突っ込まない。
 
 高橋トークをよくよく考えてみると、トークの核心的主題である、<政府資産を削れば200兆円ねん出できる>と<おカネをすれば増税必要なし>の肝心な部分の説明が前者は不十分も甚だしいし、後者はインタビュアーに高橋がイロイロ説明しても納得されず、最後の方で「おカネをするぐらいで成長しちゃうなら、なぜやらないのと云う疑問が湧いてきます。しかもインフレに振れ過ぎるという心配もないのならなぜやらないのですか?高橋さんが云う様な日銀のメンツ、と云う詰まらない理由だけですか?」とまで言われている。
 
 それに対しての高橋の説明は謀略論モドキ。
「そうですよ。さらにいうと名目成長率が上がって財政再建が成し遂げられてしまうから財務省はいやなんですよ」
 高橋の云いたいのは財務省は自らの天下り先の利権を拡張したいために、兎に角増税したいんだと。
 
 この種の謀略論もどきの論理を理解できなければ、高橋の議論の核心的部分は受け入れ難い。

 <政府資産を削れば、200兆円捻出できる>も謀略論もどきの論理に拒否反応の在る、私のようにモノは彼の存在そのものに大きな疑問を抱く。<200兆円ねん出>には<おカネをすれば>の様な彼なりの説明が一切なく出所先の数字が挙げられているだけだ。このヒトは部分は正しくても全体が間違っているタイプである。
技術屋さんなのである。
 
 まだ、単独では何とも判断し様がない200兆円捻出話に真実を持たせるために聴き手を信用させる手口はまだ他に一杯ある。
官僚の大臣を取り込む手口、リーク、悪口、サボタージュ。その他諸々の実務体験から出たトークには参考にすべきところがある。
これらは、実務経験を踏まえているから、真実味と迫力さえある。
  
 >結局、一番、肝心な200兆円捻出のお手軽の話の核心の大法螺を周辺の大衆の耳目を引きつけるリアルな話題でラッピングしている。ラッピングはリアルな話を含むから、何重にも包まれた中身200兆円捻出話も真実味をおびて聞こえる。コレは多分、意図的とよりも、本能的だろう。
 
 だから、両インタビュアーの様な弁えの在るヒトたちは、大ぼらの中身は無視して、真実味の在るラッピングを1枚1枚確認するだけで良しとする。
 
 しかし、聞いているモノに弁えがなかったら、なんとなく真実味の在るラッピングだけを見て、大法螺やいい加減な中身も信用してしまう。中身は政治路線に関わるイデオロギーなので、庶民が簡単に信用すると、最終的に自分たちの生活に火の粉が降りかっかってくる、
 
  >高橋の大法螺の手口は橋下の煽動政治のテクニックとよく似ている。
行き成りはバーンとその時点では検証し難いテーマを打ち出し、大衆の耳目を引きつける。他人の話を仕草や雰囲気で感じてしまうヒトは抵抗し辛い。
>小泉竹中、橋下が高橋を重宝するのは同じ穴のムジナだからだ。彼らは政治性のない政治的人間だから、危ない人たちなのである。
 
4、制度改革 
 (国会議員100人を政府に入れたければ、国会法39条で禁止されているー国会議員は大臣、副大臣政務官等を除いて、政府に入れないと云う部分を改めるため、内閣法と国会法の規制をなくし、物量的にも官僚に対抗することができる。
高橋トークで云えば、次の箇所。民主党は「政権をとるまでに官僚機構の代替え機構を用意しておいて、サボタージュしても良いですよ、大阪橋本市長の様にスペアを用意して、どうぞやめてくださいと云う体制を作ればよかった。」
大阪や名古屋の地方政治と永田町、霞が関の混淆できる無邪気さ、政治性のなさ。
コレを聞いて、橋下等の中央政界入りに単純に期待せるヒトがいる。
高橋も無邪気で政治性が本質的に欠如した煽動者なのである。
 
>>さて、本論に入りたいが、なにしろ、200兆円は出所だけ示されているだけで、立ち入った説明がないのだから、批判し様がない。
しかも、その出所先の<政府資産の圧縮>具体的数字は高橋本人のトーク本文ではなく、注解の様な形で編集文として示されているだけだ。
 
>そこの部分に挙げられた詳しい数字は次の通り。
 
 <財務省発表の一般会計と特別会計の合計した貸借対照表>。(ネットでも公開されているはずだ)。
政府試算=747兆円。
高橋の捻出先の金融資産300兆円。
その内訳。
現金預金19兆円。
有価証券=92兆円。
 
独立行政法人などへの貸付金=155兆円。
同出資金=58兆円。
 
 高橋はトークの部分で「いきなり200兆捻出は無理だが、半分程度の100兆の金融資産売却でしのぎながら、継続的に歳出カットをやれば、7~8年間は増税する必要がない」と言い切る。
 
 確かに彼の云い出した、いわゆる、埋蔵金は今年の政府予算には10兆程度つぎ込まれている、と報じられている。
さらに2008年に彼の山本七平賞受賞の「さらば、財務省」で指摘した埋蔵金の額は44兆円とネットに出ていた。
そうすると、今現在の埋蔵金は少なく見積もっても、政府資産の方も多少売却できるから、100兆円以上、の計算となる。
 
>高橋が自信を持って、一般予算一年分に相当する政府金融資産がこの増税騒ぎの最中に金庫に眠っていると云うのならば、ネットでも閲覧できる貸借対照表の簡単な数字を挙げるだけでなく、捻出可能な該当項目の数字の中身を説明すべきである。
 
 現金預金19兆円は解る。有価証券92兆円の中には、政府として保有しておかなければならない、モノと売却できるモノが在るはず。貸付金、出資金の額は大きいが、引きはがしが果たしてどの程度可能なのか?
 
 そういう100兆円ねん出の根拠まで踏み込んだ説明がないから、トーク外の編集の注釈では具体的数字を並べただけに終わり、最後に「この金融資産の一部を取り崩せば、1〇〇兆円程度は今すぐ捻出できると<高橋氏は主張している>」と書かざる得ない。
 
 そもそもネット上にも公開されている財務省公開の政府資産貸借対照表で100兆200兆規模もの「余剰金」があれば、学者さん、マスコミの一部、政党関係者などの部外者の専門家は気付くはず。
 
 早くから消費税反対に回っていた小沢派もこんなにも埋蔵金があれば、取り上げるだけの能力はある。
 
 党の政調会にあける消費税反対の小沢派議員の政調会副会長の中村てつじさんの議論を私は数回に渡って記事にしたが、議論の内容は消費税増税の際の逆進性対策と云う専門的な技術論であり、その様なレベルの議論をしている政調会が政府金融資産に100兆も200兆も余剰金があれば、放置しておく必要がない。
最低でも議論の対象となるはず。中村てつじさんのネット上で公開されるテキストには一切、その手の文言はない。
 
 共産党も鵜の目鷹の目で説得力のある社会保障の財源探しを行っている。
反消費税増税共産党も、このままでは社会保障の財源が足りないのは承知しており、反対を唱えるだけでは国民への説得力がないと解っている。
ネットで公開されている程度の財務表で高橋が指摘するほどの余剰金があれば気づく。
少なくとも国会で質問事項にする。そんな話は聞いたことがない。
共産の消費税増税の宣伝チラシにもその方面の事は一切触れられていない。
 無知な私でさえ、財務省発表の貸借対照表を見せられたら、現金、有価証券の部分に注目する。
 
>しかしそれでも「増税はだれのためのか」の各々の論者の見解の中で高橋洋一トークの内容が一番現状の政治過程に寄りそっているのである。
だから政治は怖いところがある。
 
 彼の日銀が紙幣をばらまく、と云う金融の量的緩和はすでに小泉時代から実行されている。
彼は経済が停滞している中で、財政赤字の処方箋として、もっとカネをばらまけ、と云っている。
カネをばらまくのだから、結果は別としてこれは一見、誰の痛みも伴わず、やろうとすればやれることの様に想われがちである。事実、彼の様な主張はネット上でもよく見かける。
 
 官僚行政批判も彼の論議の中身は兎も角も、民主党政権交代時に掲げた有権者受けした政治方向で在り、その現実政治の実行段階で挫折したモノは、国民の生活が第一の肝心な部分がグローバル市場原理主義に都合の良い様に換骨奪胎されて、みん党、橋下等に引き継がれている。
 
 江戸時代の日本の民、百姓は一揆によって、領主の在るべき仁政<御救い>を求めて来たのであり、
戦前の激動の1930年代の到来と共に、時代のもたらす真の敵との戦いを放棄した日本の小市民政治は軍国主義のただ中にもかかわらず、日和見主義の極致として夢想的な行政改革地方分権を唱え、有権者はかなわぬ夢と知って、既成政党への絶望の中で失陥し軍部に雪崩打った。
やはりこれも封建時代の領主の在るべき仁政と御救いを求める日本民衆政治の発展形態であった。
 
 2012年の今の行政、官僚制度、地方分権を巡っての政治改革の熱気も、グローバル資本制によって小市民の生活基盤が揺らいでいるから、日本の慣習社会に連綿と続いてきた官の在るべき仁政と高まる御救い願望の裏返しが、役人一般や官僚への偏狭な批判に転嫁しているモノと想われる。
 
 そういった日本固有の歴史的文脈から高橋洋一の様な謀略論的な官僚論は荒唐無稽性が多少あっても世間に通用するのである。
 
 
>だからこそ、彼の様な見解は徹底的に批判する必要がある。