反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

リフレ派を批判。デフレに対する日銀の金融政策に均衡点(価値判断抜きの事実として)を見出す、<カンタンな答えー難しい問題には常に簡単なーしかし間違った答えが存在する>さんの記事に賛同する。

 前回の記事の追記に少し書きましたが、今日はリフレ派への批判をしようと想います。
リフレ派の主張の要点は現在の日本のデフレの大きな原因は日銀当局のデフレターゲットとでも云うべき不適切なマネー供給不足に在るのだから、インフレ目標値を定めて、もっと通貨供給を増やせと云う、見解です。
要するに一種のインフレ目標値を定めた政策による経済好波及効果を狙った金融政策であり、インフレターゲット論の事です。
 
 ただ、しかし。
大阪市長橋下特別顧問の高橋洋一などの主張は、こうした節度ある伝統的な通貨供給の枠をはみ出し、国債日銀直接引き受けによる大公共事業の展望まで至っており、到底容認できるモノでありません。
 
 国債の市中消化は1930年代の世界経済の破綻に学んだ、原則です。
が、高橋洋一さんによれば、2011年度予算では日銀の国債引受枠は30兆円で、12兆円分の国債を日銀が引き受けているとのことです。
彼の意見では「あと残っている18兆円分で国債を引き受けると一番簡単にGDPが伸びるし、復興予算も作れるんですよ。<普通に考えたら>日銀が国債を引き受けて18兆円のおカネを刷って、復興予算に回すはずですよ。でもそれをなぜやらない。
 復興予算は期間を掛けて、順次、国債と税金で賄う、と政府は決定しています。
 
 私も高橋さんのように問題を提出されたら、正直100%間違っていると、断定できるだけの根拠はありません。
しかし振り返ってみると、日本は先進国でバブル崩壊後、一番早く低金利政策を採用しており、その間、実質成長率は他の先進国に比べて伸びていません。
 
 それで、一番の問題点は日銀の最後に残された基本政策である適切なマネー供給を怠ってきたのか、どうかと云う事になります。
 
 こういう専門的な問題にも意見を持っていないと高橋さんの様な意見はもっともだと納得してしまう訳です。
私には正直、全くの知識不足で解らない領域ですが、感覚としてなんとなく、それはダメなんじゃないかな、と云う触感が働きます。
 
 >その辺の感覚で書いたのが、流動性の罠>公式をネット見つけて、リフレ派批判に採用した記事です。
 
 >もう一つ採用したのが野口悠紀雄さんの<フィッシャーの方程式>から、インフレターゲット論者の、期待インフレ値を高めれば実質金利は低くなる、=貨幣供給量増ー景気好況感の拡大への信頼ー実質金利低下、の好循環への批判。
 私自身こんな方程式をみた事も聞いたこともない。
しかし次のくだりは実感として理解できる。
「実質金利経済の実物要因によって規定される。期待インフレ率が高まると、名目金利が高まるだけで、実質金利は下がらない。つまり投資が増えたりしない。」
 コレはなんとなく実感として解ります。
 
流動性の罠>とは利子率が0近くまで下落すると、投機的需要が無限大に大きくなる。
流動性の罠>の込み入った説明文の中に今の日銀がとっている(採らざる得ない)インフレ率低、貨幣増加率低>の政策の均衡点の必然性の理解のポイントがあると考えます。
 
 >>>この解説文を読み込むと、二つの経済状態を設定しています。
 
 1)一つは、均衡利子率1%の状態。
「利子率が1%までさがったところで流動性の罠にハマってしまう。この状態で貨幣供給量を増やしても、投機的需要が増えるだけで、金利水準は低下しない」
 日本この状態に近いと感じます。
だから日銀は通貨供給量増加で動けなかった。
バブルの暑さに懲りて、なますを吹く。誰でもちょっと考える感想ですが違うと想います。
 
2)もう一つは利子率がほとんど0近くに下落すると
「貨幣保有のコスト(もらえたはずの利息)も0になる。すると人々は資産を債券でなく、全て貨幣で保有しようとするので投機的需要は無限に大きくなります。この現象を<流動性の罠>と云う。
 
>私の以前の<流動性の罠>関連の記事は大きな誤解があった。
1)と2)の状態を区別していなかった。
2)の状態は経済の破たん的状態。この時点で債券市場は破壊されているので債券を人々は信用しなくなるから、取りあえず、手元にカネを持っているしかない。
こんな状態を債券を発行者は恐れる。利子率ほとんど0の<流動性の罠>の状態では国債の信用は失墜する。
 
 国債大量発行の日銀は1)の<流動性の罠状態>の国債信用失墜を恐れて、
2)の利子率1%の利子率で均衡を保っているが、その場合、「貨幣供給量を増やしても、投機的需要が増えるだけで金利水準は低下しない」
>利子率の低い、貨幣供給増加率の低い、今の状態で均衡している(させられている)。
 
 >野口さんの方程式のインフレターゲット論者の曲解と云う意見は経済の実物要因の面から名目金利は上昇しても実質金利は低下しない、つまり投資は増えないと批判したモノである。
 
>野口さんによる、デフレの原因は需給ギャップ拡大でもなければ、金融政策の問題でもない、とハッキリしています。
「日本は中国など途上国と張り合ったのです。その結果、日本の工業製品の価格は下がる、そして、日本人の賃金が下がったのです。これこそが日本で90年代後半以降15年も続いているデフレの本質です」
 
 処がこんな意見には対応してリフレ派は安いモノが輸入されるのがデフレ原因なら、どうして日本だけがこんなにデフレなのかと問う。
どうしても、デフレの原因を日銀の通貨供給量不足の所したい。
>簡単な答えー難しい問題には常に簡単なーしかし間違った答えが存在する、とは言い得て妙。
 
 しかし、野口さんの見解は昔なら、極めてオーソドックスな意見。
マルクスの賃労働と資本の基本命題=その国の労働力商品の価値は社会的に必要な労働力商品の再生産費に等しい。解り易く云えば、働いて子供を育てて、各々の国に見合った生活をして死んでいく一生にかかる経費は安い商品が輸入されると、安くて済む。
使用者側にとっては、低賃金でフレッシュな労働力商品を購入できるのだから良いことだ。
TPP大賛成!の裏事情はこうい云う処にもあります。
 この様な視点からすると、日銀の紙幣増刷がどうこうは明後日の戯言だ。
 
 フランスの有名な学者さんで、日本でも専門家筋にファンの多いエマニュエルトッドさんは云っている。
近年のアメリカ風経済学者はグローバル資本制ー自由貿易の投機行為の悪や格差の拡大までは認めるが、決して<先進国内の需要の減退>は認めない。
 
>フランスでも物価が下がって、賃金は低下する圧力は在る。
それが日本ほど顕在化しないで、日本よりも<インフレ率高、長期金利高、通貨供給量高>の処で均衡点を保っている。
 
 >>>日本において、デフレが顕在化している原因は、所得分配機能の低い税制、少子高齢化の急激な進行、高齢者への貯蓄の偏在、貯蓄消費性向の悪化など日本固有の歴史的社会的要因による。
 
詰まり経済外の要因が大きく作用しているのであって、それを純経済学の解き明かそうと無理をするから、
>簡単な答えー難し問題には常に簡単な、誤った答えが存在すると云う事になってしまう。
 
 昨年米国は目標インフレ値2%の政策を採用しました。
コレに追随し、日本当局も目標インフレ値1%の金融政策を採用しています。
 
 しかし、この政策と高橋洋一等の主張しているしている政策とは違う。
増税が大きな政治課題になる時代には一見誰の腹も痛まない様な、紙幣大増刷による有効需要の掘り起こし、が妥当な政策に想える。
 
 しかし、今は1920年代でも30年代でもない。
しかも世界中でそんな極端な紙幣増刷の古典的金融緩和政策をとっている国はない。
 
 そうすると、日本の長い歴史的スパンで見た経済力低下のすう勢が加速度を増すだけだと想う。
無理を重ねて成長を追い求めるよりも日本号を軟着陸させた方が良いのではないか。
国民一人一人が機長に成ったつもりで。
 
>今の制度と政策方向を多数の国民の生活実態に見合った方向に変えなければ、厳しい。
このままでは大きな企業の資本蓄積構造の世界化と多数の日本国民の生活実態のかい離が大きくなるばかりだ。
戦いによって、かい離を少なくしていくしかない。
 
以上、の記事は<<簡単な答えー難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答えが存在する>>さんの記事全体流れる思考方法を参考にさせていただきました。
 この前、ミスで消失させてしまった記事は、彼の作成したグラフ、記事の内容に沿ってモノでした。
いままで彼の様な記事は読んだことがなく、新鮮だった。
実際に市場の現場に近い方のリアルな臨場感がある。しかも、論文に近いものだが、無理をして自己主張していない。こういう考え方も在るのだよ、と教えてくれている。読み応えがある。
 久しぶりに感心した。