反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

「大阪市における特別区の設置についての投票」 投票公報を全面的に引用する。

橋下徹が府知事選挙に当選してから、大坂維新の会の増殖と、現状の大阪都構想の賛否を問うと称する、大阪市民のみの住民投票までの政治風景を遠くから眺望してみると、アッ、このようなリアルな政治の間違いがあって、繁栄してきた歴史ある地域は衰退していくのだな、と。
結局、歴史過程は人の動き方で決まっていく。歴史は無機物の兼ね合いや関係ではなかった、と。
NHKのその時歴史は動いた風な感想になるが、大阪都構想はあまりにも仕掛けが大きすぎる制度改革である。ところが、大阪都構想の賛否を問う、という看板を掲げているのだから、大阪市民を含む大阪府民の有権者に賛否が問われ良いはずなのに、なぜか大阪市有権者だけに大阪都構想の賛否が問われている
不自然である。
そこに大阪都構想のマスターキーのようなものが潜んでいるから統治する側は、民主制の手続き上、大阪市民に住民投票で問わなくてはならない。この点について、詳しく引用する投票広報は説明してくれている。
 ただ自分としては、この広報に述べられていない橋下を筆頭とする主導者が想定する「大阪都構想」実現までの具体的な手続き上の流れを詳しく具体的に知りたいのだが。
 
 
 
 大がかりな制度の改革とは、とどのつまりは、権力と権限がどこにあるか、を決める。コレに尽きる
当事者責任のある地方自治体行政組織ができるだけ住民の近くにあることが便利だし好ましい、と思っている。前回、あえて、ウィキペディアの都区制を引用したのはこのためだ。橋下維新都構想はその真逆である。
東京都23区のうち、3つの区に居住したことがあるが、区の自主的行政を肌で感じたことは一度もなかった。そもそも区長の名前や区議の存在も知らなかった。区議は総じて活発に活動していない。区に末端の権限しかないので、区議の活動の幅は狭くなるからだ。区役所は公的手続きの窓口として利用しただけだった。その程度の存在としてしか認識していなかった。
 
行政交渉をしたこともあるが、対象は区庁舎になかった。区などは対象として当時は論外、権限も全て末端行政業務に限れているようだった。あれだけ区の権限が限られている中で、各区内の人口は80万人から最低でも10万人近くいるので、区議の数も結構多い。権限のない区、区内人口多い→区議数多い→矛盾している。改革が必要なのは大阪ではなく東京ではないのか?一極集中による潤沢な財源が、この矛盾を覆い隠している。
2兆円の余剰金をプールしていると、先の都知事選の動画で聞いた。これに対して大阪府は借金過多から立ち直る構造が乏しいようだ。それで市から府に財源を回すのか?しかし、共倒れだな。
ココで問題になるのが、特別な制度、問題については、行政権限を集中した都と区の連携した新たな組織を立ち上げねければ対処しきれないということである。結局は設置場所は都になる。だから、結局、都区制にしても行政組織としては同じことである。むしろ、住民から遠ざかった分だけ、声が届き難くなる。
 

  
   投票広報~大阪市における特別区の設置についての投票~W?
>広報は反対派2ページ~自民系の見解。公明系の見解。
>賛成派Ⅰページ~維新の会の見解。
 
自民系の反対意見。 W、誰が書いたのか知らないが、分かり易く、巧みな意見表明。高度な政治性、実務性に感心する。
 
めちゃ危ない、大阪市廃止、分割「都構想」
反対しないと失敗のつけは『子』や『孫』が払うことに。
都構想のこと、あなたは知っていますか?中身を知らないのに賛成できますか?
世論調査ではいまだに7割の人が『説明不足』と答えています。
いつまでたってもわかりにくい「都構想」には、わかりにくい理由があるのです。(Wと同じイントロ。都構想を前にして、普通はそう考える)
あなたはいくつの真実を知っていますか?(W「知っている項目にチェックを入れてください、と実に巧妙にかなり詳しく立ち入った見解を順次開陳している。感心する。どこかの広告会社に委託したのじゃないだろうか?その気になって各項目にチェックを入れながら読み進めていくうちに「洗脳」される仕組みになっている。)
 
      都構想のとんでもない真実。
大阪府は「大阪都」になりません。
 
住民投票は『特別区設置協定書の是非を問うものです。→橋下徹市長の人気投票ではありません(W笑い)
 
住民投票の対象は「大阪市民だけ」 
Wと同じ切り口。当たり前のふしぎ発見から出発し、ズバリ弱点を突いている。
府民には投票権はありません。都構想で不利益を被るのは大阪市民だけだからです。
 
大阪市が廃止され、特別区が設置されると、二度と元には戻れません。
 
     効果よりもはるかに大きな無駄
>二重行政の削減効果額、4000億円/年と云っていたのは根拠のない幻でした。
→4000億円/年が1億円/年  *第6回特別区設置協議会資料より
W4000億円とはあきれる。この前の記事で調べた日本のODA予算、アジア開発銀行+二国間援助=1500億円。橋下維新広報では新構想で使えるお金4000億円以上、と記載されいる。W。使えるお金?言葉のごまかし。唯の大阪都の財政規模を指しているのじゃないか。確かに使うカネだが自由にではない。
 
特別区設置に伴うコストが600億円もかかります。
→新庁舎建設やシステム改修に膨大なコストが。 *第17回特別区設置協議会資料より(W実務関連の議論を積み重ねていくうちにつじつま合わせに苦労する。
 
      不利益は市民(特別区)だけに
特別区は権限、財政も『村』よりも格下
→府(都)の支配を受ける自治体に
 
大阪市民税の4分の3にあたり固定資産税、法人税などが大阪府に取り上げられます。
→自主財源は4分の1に、取り上げた4分の3の一部を特別区に渡すとなっていますが、割合、配分は決まっていません。
大阪府の条例で決まります。特別区に戻る保障はありません
 
>市域(特別区域)の住民の意見は反映されません
大阪府域に占める大阪市域の人口は約3割しかなく、市域(特別区)の住民の意見は反映されなくなります
東京都は約7割が23区に集中、大坂とは状況が違います。 Wそうか。大阪では大都市行政ができなくなるという意味はここにもあった。
 
>一部事務組合で『三重行政」。都区協議会でさらに混乱します。 W、前振りで少し書いた点だ
→ニアイズベターどころか、市民から遠い複雑な組織や制度
→これこそが、都構想のブラックボックス
 
  あなたはいくつの真実を知っていましたか?
 全ての真実を知り納得できなければ
 「反対」の投票を
 
 
      市民サービスが大きく低下    ~大阪市廃止の分割のデメリット
  大阪市でできていたことができなくなります
1)高度で専門的なサービスの提供ができなくなります
児童相談所、認知高齢者支援などの高齢者施策、発達障害者支援
 
2)お金がないから、各区長の判断により、事業や施設が廃止見直されます
敬老無料パス、保育補助、就学援助、子供医療費助成制度などの福祉や子育て支援施策、中学校給食、商
店街中小企業対策、ゴミ収集有料化など。
特別区の支所(現在の区役所)も維持できない。 W確かにそうなるだろうな。
 
3)特別区域を超えての施設の利用ができなくなります
保育所、幼稚園、学校、市営住宅特別養護老人ホーム  Wこの辺の仕組みはよくわからない。実務の領域
 
4)重要なまちづくりの権限が減らされ、選挙で選ばれた区長であっても、やりたい街づくりができなくなります
→都市計画、防災事業、災害時の復興事業
 
5)一部事業組合には住民の声は届かなくなります
国民健康保険料、介護保険料の値上げ、水道料金など
 
    市民に新たな負担が
住所印 封筒 看板 名刺 運転免許証 銀行カード 各種届け出 登記 カーナビ スマホGPS  名簿
顧客システムなど~
新しくしなければなりません。市民、企業、団体、などにどれだけの負担が発生するか、全く分かりません
これらは全部自己負担です。
W。当然そういう負担が発生する。

     
             公明系の見解
         ダマされないで! 市民の皆さんこれが真実です!!
    無駄な二重行政はありません
W。肝心の説明が過去の市政府政の事実経過に迷走。判断材料なく何とも言えない。省略。
 
    大阪府に移管される大切な市民の財産 W。そこで働いている市職員の身分は、府職員になるのか?
地下鉄 株式(関西国際空港阪神高速などW関西電力株)、公園(大坂城、長居競技場 鶴見緑地 天王寺動物公園など) 美術館美術品 道路 消防 下水道 宝くじ財源
>W。歴史的に大阪市の積み上げてきた財産の府への召し上げ、だな。
 
    大阪市の財政は健全化  棒グラフ提示
大阪市は、10年で8000億円の借金削減    W。1年800億円も削減していたのか
大阪府は7年で6000億円も借金増加
大阪府は<起債許可団体>~国の許可がなければ借金ができない~
 
    実質公債費率(自治体の収入に対する負債返済の割合)の比較 
W。意外な数値だった。コレをみると日本の最大の借金王は日本政府。国債利払い、償還費合計、歳出の23%強!
大阪市    9,4%
神戸市    10,9%
名古屋市   12,1%
京都市    13,8%
横浜市     15,5%
大阪市は5大市のなかでトップクラスの財政優良自治   W。コレは全く知らなかった。驚き!
 
    変えるべきものは「制度」でなく「政策」です。  W。ナルホド。ビジョンがあります、というのはコレか。
今必要なのは、膨大な労力や時間を要するような大規模な仕組みの変更ではなく、区政会議の充実や改正自治法による「総合区(今の行政区よりも権限や財源を持った行政区)」の活用などで住民自治の強化を図っていくことです。
W。もっと展開してくれないと、ぼんやりとしかわからない。改自治法による総合区とは2012年に成立した特別区法のことか?コレで、冒頭の「橋下を筆頭とする主導者が想定する「大阪都構想」実現までの具体的な手続き上の流れを詳しく具体的に知りたいのだが」の霧がかなり晴れた。
 
>公明のこの文言によれば、自民系の意見の一番最初に指摘する「>大阪府は「大阪都」になりません。」の短いフレーズは的を的中している、とわかった。
国会で新たに自治体法を改定しなければ、大阪都は実現しない。
では今回の投票で「賛成」が上回ったら実質的に次の流れはどうなるのか。協定書に賛成したということで大阪市の分割構想は動きだすが、あくまでも現行法の枠内で可能な、カネ、施設がらみの市から府への移譲作業が始まる。具体的な内容はわからない。
しかし、当分あいだ、青写真を詰めていく作業と法改正のための政府への働き掛けが主となる。自公政権がNOという限り、大阪都構想は永遠にたな晒し状態に。
カギを握るのは、三つの要素。
その1。アベ政権の憲法改定に手をつける時期。先延ばしにすれば、維新の党の援護など必要ない。
その2。今後の経済動向。なにしろ、増税、消費需要低迷で解散総選挙を実施している。10%増税も日程にある。維新の党を抱き込んでおく必要がある。
 
その3。公明中央の本音は、連立政権のコバンザメ的政治利権を守るため、維新の党や橋下は政権に近づけたくない。コレ日本の連立政権の政治の法則。
 
>ということで自民系が一番最初に云いきっている「>大阪府は「大阪都」になりません。」が結論。
公明系の次の結果いも正しい情勢判断。
膨大な労力や時間を要するような大規模な仕組みの変更
 

最後に維新の会の「賛成」アッピールの印象
全体の論調は、無駄の削減による巨額なカネが浮いて、「住民サービスが良くなる」「大阪が良くなる」ということで、政権交代前の民主党の主張を彷彿させるものとなっている。民主党みんなの党の系譜をひく行政刷新主軸の論調である。
もっと、経済効果や行政効率を前面に押し出すものと想定していたので拍子抜けした。
コレは基本的にケチケチ縮小路線である。
日本国民の一部にこういう論調がいつしか強烈にインプットされた。
日本経済の世界経済に対する抗体の反映である。
もっと、アッピール度が高いものだと思っていたが、非常に政治の奥行きの浅さを感じる。迫力もない。この程度のものでは、政治理念にもならない。大阪維新の会は橋下人気におんぶにだっこなのだろう。
 
  大阪維新の会代表  橋下徹
「人口減少や少子高齢化で右肩上がりの成長が見込めないこの時代、(W。このいきなりのあきらめムードの時代認識は政治家としてどうかな)
増税や借金という形で皆様に負担をお願いすることなく、徹底した改革で税金の無駄使いをやめる。
>そこで生み出したお金を、医療や福祉、教育の充実に充て、住民サービスをよくする。もっと住みやすい大阪にする。
ソレが大阪都構想です。
大坂の問題を、都構想で根本的に解決するのか、今のままで我慢するのか。
この紙面を皆様の判断材料にしてください。」
W。改めて政権交代前の民主党、結成されたばかりの、みんなの党の論調そっくりとわかった。
ココから具体論、技術論、栄作論に踏み込むと、民主やみん党がそうだったように、実務的に変わっていかざる得ないんだよな。橋下維新都構想はまだその手前の段階、とみた。