<はじめに>
本文は重要影響事態と存立危機事態について、考えが足りていないまま、作成した。
参考にしたハフィントンポストの記事をそのまま受け取ると、「日記」本文の解釈も成り立つが、首相の当該軍事情勢に対する<存立危機事態>との認識と決断は、乱暴にいえばこういうことになる。
引用 本日の「日記」。山崎、岡田対談、後半部分。
>ただし、軍事情勢の危険度合いの認識において
<重要影響>事態→<存立危機>事態である。
<重要影響>事態の定義
「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」
↓(事態の危険度)
<存立危機>事態の定義
「「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」
引用 安保法案とは、そもそも何? わかりやすく解説【今さら聞けない】 Huffington Post | 執筆者: HuffPost
■どんな法律なのか?
安全保障関連法= 新しくつくられる「国際平和支援法案and自衛隊法改正案など10の法律の改正案を一まとめ。
原本はココに載っている。法の全文は量が多い。ネットで簡単に全文が閲覧できるのはコレだけだ。
資料3 平和安全法制整備法案要綱 と 国際安全支援法案全文 時事ドットコム
手際よく取りまとめた表にしたのがコレだ。
以前、記事に載せたが、
>どこに肝(キモ)があるのか、つまり最大の問題点があるのか、ハッキリさせることができず、全般的に危機感を伝えるようなものになってしまっていた。マスコミの関連記事もこの類が多い。
核心の環をキチンとつかまなければ相手の動向がはっきりと見えてこない。
定義
W。存立危機事態の軍事作戦地域は、朝鮮半島有事、中東有事、ウクライナ危機、南シナ海紛争、ほぼ全世界をネットできる。
「日本と密接に関係のある他国に武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ(W。ココで云う他国とは、紛争地域のアメリカと密接に関係のある武装勢力、「政府」とも解釈できる。例 中東紛争地域の有志国連合への自衛隊参加も可能。もちろん国連決議のなかったイラク戦争のような場合は『切れ目なく』~国会承認、原則事前 緊急時は事後も可~参戦~武力行使◎ 「防衛出動」◎、集団的自衛権行使~国民の生命自由、幸福追求権W?が根底から履がされる明白な(W。修飾語)危険がある場合」
情勢判断と決断は首相に集権される新武力行使の3要件(それが存立危機事態の要件に書き込まれている)。機能は武力行使◎ 「防衛出動」◎、集団的自衛権行使。国会承認原則事前 緊急時は事後も可のオールマイティー性が、隠されている。
>必ず、日本版NSC、秘密保護法という情報管理、情報統制、治安維持と一体的に、こういった軍事行動は進行する。←国会承認、原則事前 緊急時は事後も可
「日記」で集団自衛権という軍事政治用語の独り歩き、をさせたらダメ!と批判した。
なお、中国が機雷を敷設する、と云うことは南シナ海紛争が戦争事態に移行したと云うことで、そういう想定を安保法案審議を前に、安易に口に出すこと自体、アベの<程度>が分かる。
一々釘を刺しておかないと、アベ的発言に繰り返し接していると、慣れができて、免疫力が低下する。感染するのである。
リアリティーを伴わない軍事用語が世論に氾濫していくと、国民の思考形態もそのパターンになじんで、実生活の感覚から遊離していく。戦前がそうだった。
>この条項は、自民党石破等の安保法制国会上程前の党内議論の積み上げに使った資料(石破の作だと云われている)の主旨からも逸脱している。
党内議論の資料は国連憲章51条の、国連中心主義の文脈のなかで個別及び集団自衛権を限定的に使用する、国連イデオロギーをほぼ踏襲しながら、集団自衛権という国連政治軍事用語を抜き取って、集団自衛権は国連も認めているお墨付き(集団自衛権国連認証のハンコ)としておいて、議論を集団自衛権承認による、解釈改憲の方向にひっぱて行くと云う、それなりの理論的体裁を整えている。
ざっくりいえば、<自民党石破等の安保法制国会上程前の党内議論の積み上げに使った資料>の立場が安保法制に反映しているのは、国連の「平和維持活動」への参加参戦の関連法である国際平和支援法案であって、米軍世界戦略の一翼を担い覇権を夢想(読み込む)する存立危機事態ではない。
この党内議論の資料の論旨は、安保法制反対派が、中身をよく検討せず、自民党の安保法制案本体と勘違いしてネットに載せている。
石破等は党内を固めるために国連憲章を利用したのであるが、やはりその段階では、国連イデオロギーに影響されおり、説得される方にもその意味で安心感が出る。公明党のようなイデオロギーにも有効に作用するだろう。
引用 第51条
「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。
*W。国連安保理の権限下の、個別的又は集団的自衛の固有の権利と云う位置づけ。戦後世界体制(冷戦体制)の国連イデオロギー。冷戦体制崩壊によって、米国のような「演劇的小規模軍事行動主義」(エマニュエルトッド「帝国以後」P1日本の読者へ。)とその追従覇権を願望するアベ等の政治軍事路線が、跋扈する時代に転換した。
↓
>また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」
が、しかし。
冷戦体制崩壊以降、米国のような「演劇的小規模軍事行動主義」(エマニュエルトッド「帝国以後」P1日本の読者へ。)とその追従覇権を願望するアベ等の政治軍事路線が、跋扈する時代に転換した。
ドイツ政府~国防軍を外交に使う~
日本外務省~自衛隊を外交のアイテムに使いたい~
参考資料
北沢洋子の国際情報 ドイツの軍国主義
1. ドイツの軍事化
「ドイツ軍は、憲法では国家の防衛に限定されていたが、今では、外国に派兵している。
2005年に発表されたドイツ国防省の『戦争に向けたドイツ軍の準備』と名づけた報告書の中で、Peter Struck国防相は「国防省は、平和維持と安定化以上の任務をドイツ軍に期待している。将来、ドイツ軍はアフリカでより大きい役割が期待される」と書いてある。」
1. ドイツの軍事化
「ドイツ軍は、憲法では国家の防衛に限定されていたが、今では、外国に派兵している。
2005年に発表されたドイツ国防省の『戦争に向けたドイツ軍の準備』と名づけた報告書の中で、Peter Struck国防相は「国防省は、平和維持と安定化以上の任務をドイツ軍に期待している。将来、ドイツ軍はアフリカでより大きい役割が期待される」と書いてある。」
「Struckの後任として国防相に就任したFranz Josef Jungは133ページにのぼる「白書」を発表した。その中で、「ドイツ軍は介入軍事力として、徹底的に再編されるべきだ」と述べている。
また同誌によると、「ドイツはその軍隊を、速戦力のある、人道主義の介入軍に変えようとしている。そのペースは非常に速い。憲法裁判所は1994年にドイツ軍を海外に派遣することを認める、という判決を下した」と言う。
今日、10,000人近いドイツ連邦軍が、「遠くボスニア、ジブチ、南部スーダンなどに駐留している」と報じている。」
また同誌によると、「ドイツはその軍隊を、速戦力のある、人道主義の介入軍に変えようとしている。そのペースは非常に速い。憲法裁判所は1994年にドイツ軍を海外に派遣することを認める、という判決を下した」と言う。
今日、10,000人近いドイツ連邦軍が、「遠くボスニア、ジブチ、南部スーダンなどに駐留している」と報じている。」
「ドイツは現在の軍事状況に満足している。たとえば2009年7月6日号の『Deutsche Welle』誌によると、メルケル首相は、ドイツ兵士に「時勲章第1号」を授与勇敢を称える新十した。これは、第二次世界大戦以来、はじめてのことである。ドイツは戦後、ナチ時代の「鉄の十字勲章」を廃止してきた。
この点に限っても、ドイツが東西統一して以後、第二次世界大戦後の外交、軍事の枷を破って、台頭してきたことを示す。
2009年7月7日付けの英紙『タイムズ』によると、「メルケル首相がメダルを授与したのはアフガニスタン戦争の退役軍人であった。ドイツが再び、戦争の英雄のパレードを誇らしく思い始めたことは、過去の外交的、軍事的な隔離ベールを外したことになる」と書いている。
2008年11月28日付けの『AP通信』は、Jung国防相が、「戦後、国に奉仕して命を捧げた軍人第1号のメモリアルのための基礎石を捧げた」と報じた。戦死を祈念することは、ドイツでは長い間、暗い遠い過去のことだとされてきたが、現在、ドイツは戦後の外交、軍事の殻を破り、アフガニスタン戦争で戦死した兵士を祈念している」と書いた。
さらに「東西ドイツの統一は、NATOにはじめて新しい領土を組み込まれると言う結果となった。一方、これは主要な軍事大国の再誕生でもあった」と報じている。
2005年6月17日付けの『Der Spiegel』誌は、「ドイツは再統一することによって、単に、国家がフルに主権を回復しただけでなく、連邦軍がグローバルな舞台に登場することになった。
この点に限っても、ドイツが東西統一して以後、第二次世界大戦後の外交、軍事の枷を破って、台頭してきたことを示す。
2009年7月7日付けの英紙『タイムズ』によると、「メルケル首相がメダルを授与したのはアフガニスタン戦争の退役軍人であった。ドイツが再び、戦争の英雄のパレードを誇らしく思い始めたことは、過去の外交的、軍事的な隔離ベールを外したことになる」と書いている。
2008年11月28日付けの『AP通信』は、Jung国防相が、「戦後、国に奉仕して命を捧げた軍人第1号のメモリアルのための基礎石を捧げた」と報じた。戦死を祈念することは、ドイツでは長い間、暗い遠い過去のことだとされてきたが、現在、ドイツは戦後の外交、軍事の殻を破り、アフガニスタン戦争で戦死した兵士を祈念している」と書いた。
さらに「東西ドイツの統一は、NATOにはじめて新しい領土を組み込まれると言う結果となった。一方、これは主要な軍事大国の再誕生でもあった」と報じている。
2005年6月17日付けの『Der Spiegel』誌は、「ドイツは再統一することによって、単に、国家がフルに主権を回復しただけでなく、連邦軍がグローバルな舞台に登場することになった。
ドイツ政府はこれまでとは全く異なった兵士を養成中である。特殊部隊のコマンドは高い技術を持ったプロである。彼らは、英国のSASや米国のデルタ部隊に匹敵する。ドイツはやっとノーマルな国家に到達した。いかなる脅威に対しても、民主主義を守りことが出来る。たとえそれがアフリカからであろうと」と書いている。」
「今年2月『コソボ・ラジオ』のインタービューに対して、ドイツ国防省の高官であるDieter Jensch大佐は、「ドイツ連邦軍はコソボの治安部隊を軍事物資の寄贈や、KSFの訓練に15人のプロの軍人を派遣するなど、援助している」と答えている。
このような援助は260万ユーロに達する。
2009年2月9日付けの『コソボ情報センター』誌によれば、「コソボの治安部隊の訓練には、4,300万ユーロが必要である。ドイツはこれに援助を申し出た最初の国である。すでに15人の訓練部隊がドイツから到着している」と書いている。」
昨日は、バルカンだったが、明日は世界の問題だ。
参考資料
このような援助は260万ユーロに達する。
2009年2月9日付けの『コソボ情報センター』誌によれば、「コソボの治安部隊の訓練には、4,300万ユーロが必要である。ドイツはこれに援助を申し出た最初の国である。すでに15人の訓練部隊がドイツから到着している」と書いている。」
昨日は、バルカンだったが、明日は世界の問題だ。
参考資料
この資料が物語るのは、アベ等による軍事化の道筋は、国民経済における軍需を増大させ←<上図>、<下図>ドイツ財政とはあまりに好対照→インフレ低成長ノーマル事態の下での<架空・信用経済の発達によって、「金額面での富の増大はあり得るものの、バブルの形成か社会的富の奪い合いによる資産移動によって国民の階層分解を一層促進する要因になると云う絶対的事実である。
彼らは存立危機事態まで踏み込まざるえないのである。
保守派と云われる人たちからも反対の声が多く出るのはこの条項である。
結局はアメリカ軍の世界戦略の一環として自衛隊を自腹(国民の税金で)で、肩代わりさせるために世界展開し、軍事力を行使することに対する法的限定力が→、存立危機事態→武力行使◎ 「防衛出動」◎、集団的自衛権行使。国会承認原則事前 緊急時は事後も可であれば、一体どの程度のモノかと云う大きな疑惑が渦巻く。
>もっとも小泉首相は、断らずに派遣したのだから、この「改正」法があれば即刻(切れ目ない安保法制適用)、勇躍、大部隊で現地参戦し戦死者も多数出る。小泉時代に防衛省趣向の内閣官房を務めた柳沢氏の安保法制反対の根拠は、死者が出る事実以外に結局は日本政治の主体性がなくなる、日本独特の空気感で世論が暴走し、結局は国と国民の益にならない、など多方面からの判断があってものと思う。
柳沢さんの意見は調べていないが、普通はそう考えるのではないだろうか?
日本の軍事化はドイツのように推移しない!日本とドイツは、歴史と現状の内外の政治経済軍事環境があまりにも違いすぎる。ドイツはつい数年前まで徴兵制の国だった。韓国と同じく分裂国家で、東西対立の最前線であった。言い換えると、政府と国民は軍事を飼いならしてきた。
そういう意味でも日本とは全く違う。
自公政権を支持する人たち、安保法制を支持する人たちは、日本自身を安易に考え過ぎている。
日本自身を知るためには、米中韓を見ただけでは全く足りていない。
二度も世界戦争の主戦場になったヨーロッパ諸国と比較する必要がある。
中でも同じ敗戦国、イタリア、ドイツとの比較は大事。
アベ等の政治の特徴は、大局的にみるとアメリカに引きまわされている状況を(ココまで対米接近した日本政府には覚えがない。妥協するにしても実を得ていた)、日本の「自立」に勝手に読み替える得意技である。
その両者の力関係の巨大な相違を国民多数を人身御供にして(アベノミクス、増税、軍事のための社会保障福祉の削減)己らの利益を拡張できるのだから、人身御供にされる側からみると、得意技はたまったものではない。
この政治の様を、国家ーグローバル資本複合体の国体政治化と、表現すればぴったりだ。
国体政治は究極のところ味方のあらゆる戦闘員の命を粗末にする事を基礎としていた。
平時では、むき出しの単純労働コスト視し、それ以外は単なるスクラップ扱いに堕する。
国民の生命自由、幸福追求権なるものをまるのは、限定事項である。
アベ等の都合のよい国家と身内だけの防衛という政治目的のために、自衛隊の存立事態法的軍事展開を「他を持ってする政治の継続」として使用するのである。
アベ等の政治方向の真意は内外の収奪機構の維持拡大であり、その口実が、近隣の脅威を煽り続けることである。限界を知らなければ、「損」をするのは日本国民自身である。
外務省は「外交のアイテムとして自衛隊を使いたい」と云うことだが、その見返りは実際のところ、どこにあるのだろうか?
民主党管政権時代の横浜サミット前まで、ネットで公表されいた外務省報告書を読めば、この役所は、アメリカ政府の政治意思の一の環の反映である中国敵視政策の急先鋒に堕した一種の急進主義政策を推し進める役所に転化している、ことがわかる。
>外務省主流派から外れ、外郭団体の役員をしているリベラル派らしき人物でさえ、アメリカの懐に飛び込んで~云々などと日本でしか通用しない論理を述べたたている。
後は推して知るべしである。
NATO EUの枠組みを持って超過利潤を食んでいるドイツの軍事化の現状と比べてみるとよくわかる。
この点についてのリアルな解説は、現実に安保の生の政治を動かしてきた山崎、岡田対談で語られている。
Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎
──今回「積極的平和主義」というものを安倍さんが掲げ、日本の安全保障政策を根本から変える法整備にいよいよ進み出しました。この間の日本を取り巻く安全保障環境の変化や、日本国内の議論をどのように捉えていますか。
山崎 いわゆる潜在的脅威が大きくなっているのは事実だと思います。
そのための整備では必ずしもなく、「積極的平和主義」という名のもとに、全世界の平和構築にアメリカと足並みを揃え、あるいは協力しながら取り組んでいこうということです。そもそもその議論に私は与しない。
中国・北朝鮮の例で言えば、周辺事態法を整備して対処してきたわけですから、その周辺事態法をさらに充実させることはありえると思うけど、「重要影響事態法案」と称して地理的制約をなくし、地球上どこでも、ということになると、それは世界情勢の変化に対処したものではないと思うわけです。そもそも今回の法整備はほとんど必要ないし、やるとすれば逆にリスクが増えるだけだと私は理解しております。
岡田 安倍政権がスタートして、中国との関係も決してよくなったとは言えないし、何より韓国との関係が非常に悪い。北朝鮮の核ミサイルの問題について対応していくのであれば、まず日韓関係を確実なものにしなければいけない。そういう成果が上がっているとは全く見えない中で、安全保障法制の話にいきなり行くのは理解できないところです。
、アメリカの力が相対的に弱くなる中で、日米同盟を強くする、あるいは世界中どこでもアメリカを後方支援することで日米同盟が強くなって、日本にいい結果をもたらすという発想ですね。ただ、現実には日本の現状ではできないし、アメリカも日本が「やります」と言えばウェルカムでしょうが、今提案されている安全保障法制のようなところまで必要だと言っているわけではない。そういう意味では安倍さんの一人相撲みたいなところがあります。
──日米同盟が重要ということは変わっていない中で、今回安全保障法制を出してきた安倍さんの姿勢に、これまでの自民党、与党と違うものは感じられますか?
山崎 日米同盟の堅持は外交3原則の一つで、他に国連中心主義と、アジアの一員という表現があります。今回は日米同盟の堅持のために、他の2つのウエイトを相対的に下げて、そこだけを強化しようとする法整備になっていると思います。
本当は守ってくれないんじゃないか。その担保を取るため、日本はこれだけアメリカにサービスいたしますという、いわば「日本側の対米約束の強化」をこの法案でやろうとしている。その必要はないと私は考えています。
アメリカ軍は世界的に展開しているけれども、ヨーロッパよりもアジアでのプレゼンスがずっと大きいわけで、その拠点が沖縄の米軍基地です。それを捨ててでも日本を守る義務を軽んじるという傾向も兆候もないんですよ。普天間問題も日本政府はこれを強行しようとしているわけですから、日米安全保障条約がある以上、これ以上日本がアメリカにご機嫌を取る必要は全くないと思う。
むしろ安全保障条約上の問題がいくつも今回出てくると思います。1つは第6条。
アメリカ軍は「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」となっているから、極東の範囲というのが議論されてきました。
今回、2015年4月27日に結ばれた新しいガイドラインの中で、実はこの極東の範囲を全世界に広げちゃった。それでカーター国防長官が記者会見で「アメリカ軍と自衛隊の活動はアジア太平洋地域にとどまらず、世界中に展開することになった」、嬉しい、ありがたい、とコメントしたわけです。
安保条約の条文はファーイーストだが、定義がオール・オーバー・ザ・ワールドに変わった。これほど大きな変化はないと私は思う。
──安倍さんは国会審議の中で、リスクの問題については明確には言っていないと思うんですが、日本が抱える新たなリスクの要素はあると思いますか?
「後方」というのは今回初めて認められる活動で、今までは認められなかったんですよ。
正面と後方は一体、つまり後方とは兵站ですから。
今度は兵站基地の部隊は自分たちで守らなければならない。そのための装備も持っていきますよね。かなり重装備になりますよ。PKOとはわけが違う。正面と後方は一体だから、敵軍は必ず、兵站基地である後方を襲います。すると自衛隊は防戦します。武器を使用すれば反撃がある。反撃があればまた撃ち返す。そうなれば武力行使になる。武力行使になれば戦闘行為になる。戦闘行為になれば、それは戦争に巻き込まれるということになる。そこで死傷者が出ないなんてまず考えにくいですね。だから、リスクが高まることは間違いない。イラクの経験はいくつか他にもあるんですけれども、自衛隊を後方支援活動に出すこと自体に私は反対です
岡田:リスクの話で安倍さんと議論していて思うのは、議論にならないんですね。
「抑止力で国民のリスクが減る」「同盟関係があることによって確かに抑止力は高まります」と言う。
~、「巻き込まれ論みたいなものは的外れ」ということを取り立ててしまう総理と議論するのは非常に苦労しています。国民から見ても全然わからない議論になってしまっていると思います。
──法案提出後に例外的なケースというのがいくつか出てきましたが、こう次々と例外が出てくると、議論は難しくなるものでしょうか?
岡田:例えば集団的自衛権の行使に関して言うと、ホルムズ海峡。それからもう一つは、敵基地攻撃といったことが例外として言われています。
~
なぜ例外なのかというと「機雷を除去するという比較的おとなしい行為だから」と言われるんだけど、彼等のロジックは「武力行使の新3要件」とか、他国の領土や領海に入って武力行使があるのかないのかという話。どういうロジックに照らして例外なのかという説明は全くないんですね。単に「例外にします」と言うだけですから、次々に例外が出てきてしまう。
山崎:機雷掃海は、日本はやったことあるんですよ。
じゃあ戦争中に行けるかというと、行けないですよ。行けば必ずやられますから。
また、機雷除去は戦闘行為でもあるから、戦争中はできないんですよね。
その戦争が、我が国の国民生活に壊滅的打撃を与えるような長い期間続くかというと、今までの例から言うと、中東紛争も、イスラエルとパレスチナ以外はすぐに終結していますよ。有志連合が本当に実力行使をやれば、大抵すぐに終結する。我が国がこれだけの人口がある以上、国民が壊滅的打撃を受けるようなことはそんなに起こりえないんですよ。
この例がモデルとなって、ホルムズ海峡の例が何回も使われているけれども、だんだんこの議論は成り立たなくなってきていると私は思うんです。ホルムズ海峡の当該国として、機雷除去を要請するのはイランとオマーンですからね。我が国と密接な関係のある国だから集団的自衛権を行使して行くのか。そういう現実論をいろいろ考えていくと、非常に滑稽な議論をまことしやかにやっていると私は感じる。
岡田 とにかく例外的にできることにしてしまって、結局は幅広くできるフリーハンドを持とうとしているとしか僕には思えないですね。場合によっては掃海艇だけでなく、必要だからと言って護衛するための艦船もつけるということが念頭にあると思います。
山崎:答弁に知恵を付けた人がいると思うんですね。多分自分で考えたことじゃないので。まだ戦争が終結してないのであれば、掃海部隊が行くときは必ず、護衛艦が一緒に行かないとだめということになる。(2001年から2010年まで続いた、米英軍のアフガニスタン戦争を支援する)自衛隊のインド洋の洋上給油でも、イージス艦という最強の護衛艦を出したんです。それを決める時、私は自民党の幹事長だった。自民党の総務会で野中広務さんはイージス艦を出すのにものすごく反対して、私は立ち往生しましたよ。今は自民党の総務会でほとんど議論がないですから、スムーズにできるかもしれないが、この問題には派生する問題や議論がいっぱいあると思いますね。ですから「そのための法整備」というのはあまりにもお粗末という気がします。
──なぜインド洋にイージス艦を出すことが日本の安全保障の議論の中で問題になるんですか?
山崎:イージス艦は最新鋭の兵器を積んでいる。それもかなりの距離をカバーする攻撃用の兵器を積んでいる。日本は専守防衛だから、他国を攻撃する能力を持たないということになっていて、空母や長距離弾道ミサイルを持たないという防衛政策がある。
しかしイージス艦はそれに近い能力を持った存在だから、これを不用意に出すことは、日本が単なる後方支援的な活動ではなくて、他の外国の戦艦と共に行動し、攻撃に参加することがありうるという議論があったんですよ。だから「補給艦の護衛に限定する制約を作って出すから、本来の使命を逸脱したような行動はさせない」と、最終的には多数決で押し切ったんです。
岡田:もしペルシャ湾に掃海艇を出すとすれば、戦闘が続いている時しかないと思うんです。
イラン・イラク戦争のとき、イランのミサイルでタンカーがかなり襲われたという状況がありました。
山崎:アメリカの日本に対する要請は、集団的自衛権行使の要請じゃないんですよ。米軍が有志連合の先頭に立って世界の警察官的な役割を果たしている時に、日本も加わってくれということ。イラクの時も、アフガンのときもそうでしたけれども、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(現地での人的支援)という表現で「自衛隊に出てきてくれ」と。アメリカを守ってくれという話じゃないんですよ。アメリカがいちばん希望しているのは、自衛隊が後方支援で出てくるということですよ。
W。重要!今回の記事で指摘した
*<存立危機事態>の想定する事態は準戦争事態以上の事態であり、実際に発生する*可能性がたかいのは、<重要影響事態>。
Wの勘違い判明!記事作成以前からどうもこの辺がはっきりしなかった。
<安保法制の構成>
1、国際平和支援法 (新法)
2、平和安全法制整備法 (旧法の改定)の中の一つの法。
*重要影響事態安全確保法
(旧周辺事態安全確保法を改定)~周辺事態を「重要影響事態」と変更。日本のために活動するアメリカ軍や他国軍へ、弾薬提供や武器提供 兵士輸送などの後方支援ができるようになる。地球規模での活動が可能になる。
しかし、ハフィントンポストの記事では<存立危機事態>にたいする岡田民主党代表の見解を次のように要約している。維新の党が<存立危機事態>の地域を<我が国の周辺>地域限定にする修正案を提出していることから考えると、Wの解釈も間違いではないことが分かる。
■「存立危機事態」の定義が曖昧
「安倍首相らは「政府が総合的に判断して認定する」としているが、民主党などは定義や認定方法が「極めて曖昧」と主張する。
「当然、反撃も来るわけですし、国民の暮らし、命がかかっている大きな政治の決断。
それが(国民が政府に)白紙委任しているような形になり、民主国家としては許されない」と批判した。
一方で維新の党は、この存立危機事態を「武力攻撃危機事態」に変えた修正案を提出した。
>「条約に基づきわが国周辺の地域においてわが国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態」と定義。個別自衛権によって対応するとした内容だっが、自公両党は維新の修正案に賛同しなかった。
>ただし、軍事情勢の危険度合いの認識において
<重要影響>事態→<存立危機>事態である。
<重要影響>事態の定義
「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」
↓(事態の危険度)
<存立危機>事態の定義
「「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」
岡田:国際平和支援法は国連決議や国会の事前承認がいると、公明党との協議の結果、そうなったわけです。だからかなり使いにくいんですね。
むしろ重要影響事態法、つまり周辺事態法を換骨奪胎して作った法律は「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」という、非常に曖昧な概念で自衛隊が出せます。しかも国会は事後承認でもいいし、国連決議もいりません。集団的自衛権以上に問題だと思うんですね。
国際平和支援法と重要影響事態法は、やることは一緒なんですよ。国際平和支援法の入り口がえらい狭くなったので、重要影響事態法を、使い勝手のいい法案として準備したということだと思うんですね。周辺事態法とほぼ同じ定義ですが、地域の概念がなくなりましたし、日米安全保障条約との関係も希薄になりましたので、何にでも使えることになりかねない。
対談に戻る
山崎:国連決議だけにとどめていれば別ですけど、国連決議と関連する国際約束があれば、解釈によっては可能だということになっている。実はイラクの時も、国連決議がなかったんですよ。
岡田:急ぎすぎ、いろんなものを詰め込み過ぎなんですね。
PKO法、テロ特措法、イラク特措法など、今までは自衛隊を海外に出すにあたって丁寧に議論してきました。それを今度は10倍くらいのボリュームを1つに束ねてボンと出してきて、「夏までに」と言っているわけですから、議論は非常に粗いものにならざるを得ない。加えて、以前はちゃんと議論するという姿勢が与党にもあったと思うんです。ところが今回は深い議論にならない。ですから非常に危うい。
国民の理解も多分進まない。そういう中で法律が強行される。非常に議論不十分のまま、国民の理解と信頼という基盤のない法律に基づいて自衛隊が海外に出ていく。その結果、何かあったとき、どういう国民感情になるのかが非常に心配です。国民が納得していない状態で出て行くことになりますから。
─
岡田:国民をしっかり巻き込んでいかなければいけませんね。本来ならば圧倒的に「おかしい」という声がもっとあがるはずなんです。そうならないのは、やっぱり最近の中国や北朝鮮を見ていて、国民に不安があるから。安倍さんのやり方は、そことうまく合致していると思うんです。だからそこを崩していかないと、不安な国民感情を煽るかたちでこの法律が通ってしまうことほど不幸なことはないと思うわけです。
山崎:一括法案の中に、PKOの改正も入っているんですね、これだけで1国会やるべき筋合いの大きな改正。国民の皆さんは、そんなものが入ってるということすらわからないんですよ。PKOは、今まで自衛隊がある程度丸腰の状態で行って平和維持活動に参加してきたけれども、今回は「任務遂行」に武器を使えるようにする。武器の範囲がグッと広がるんです。ルワンダに派遣した時に、機関銃を1丁持たせるか2丁、3丁持たせるかという議論をしたくらい、武器の携行に国民の批判があったわけです。今回はそれはまったく議論されないまま、何でも持っていける話になる。
岡田:全く同感です。PKOの武器使用について、「自己保存のための武器の使用」という論理で認め、周辺の同じ部隊など、苦労して論理構築して範囲を広げてきた。それがいきなり、「任務遂行のための武器使用」という、次元の違う話になっているんですね。「
「日米外交のツールとして自衛隊を使いたい」
山崎 むしろ法案の事実上の提出者は外務、防衛、内閣の官僚ですから、あれもこれもと「ごった煮」のメニューを作ってポンと出してきたと思うんです。国会議員も全然、どの部分に何が入ってるかなんて吟味しないでどんどん上げてしまうから、そういう議論になる。中心は外務官僚ですよ。外交のツールとして彼らは自衛隊を使いたい。「長年の悲願だから、この際行こう」ということでしょう。日本の外交は対米追随外交を今までさせられてきたから、外務官僚にそれが染み付いている。
日の丸が現地に欲しい」という言い方をしてきました。
アメリカの期待が特に大きいのは外務官僚が一番よく知っている。
自衛隊は日米共同訓練を常時やっているので、アメリカ軍と一体となって行動することに抵抗があまりないんですね。防衛官僚にも同じことが言えるわけで、今回の乱暴な法律の出し方は、背後で官僚、特にスーパー官僚主導でやったと私は直感しているわけです。
自民党内にある「乱暴な使命感」
──とはいえ、安倍自民党の一強体制です。
山崎 自民党の立場で言うと、総理がアメリカで今国会中に必ず成立させると約束しちゃった。「これは非常に重いことだから、やらないかん」という、乱暴な使命感が党内にあるんですよ。若い人は特に「我々の親分がアメリカの親分に約束したことだから、野次り倒してでもやるぞ」という雰囲気です。それから来年の参院選の前にまだ残っていると、選挙が非常に不利になるという判断もある。中国や韓国の問題もあるし、8月15日の前に片付ける必要があるという状況判断もあると思うので、最後の最後はドンと来ると思いますよ。だから民主党さんの役割はものすごく大きいと思いますよ。
岡田:他の野党とも共同歩調でやっていかないといけないですね。世論の支持があれば、全部いっぺんにやるのではなくて、少しバラして審議するということが与党の最後の手段としてあるかもしれないと思うんですね。しっかりした議論を通じて、少なくともそこに持っていくということだと思います。
山崎:バラして必要なものを通すということが一番いいと思うんですけどね。
~対談終わり~