[New York Mets] vs [San Francisco Giants] 2016.10.05
先発、ノア・シンダーガードvsマディソン・バムガーナーの投げ合い。
<スコア詳細>
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ジャイアンツの足で相手にプレッシャーを与えていく試合巧者ぶりが一枚上手だった、とみる。
34 ノア・シンダーガード (Noah Syndergaard)の7回降板は、続投させれば、のコメントもあったが、動画をよく見ると、すっぽ抜けのボール球も突然出てきているようだし、降板は仕方がなかった。
9回の抑えに出てきた27 ジェウリス・ファミリア (Jeurys Familia)がまるで駄目だった。シンダーガードの球筋に目が慣れているジャイアンツ打線にとって、ファミリアの球筋はシンダーガードと同じで(球種も一致)、球威もコントロールはワンランクもツーランクも落ちるのだから、ボールを見極めやすいし、打ち頃の球となった。
バンガーナーに完封をゆるしたメッツ打線にも疑問符が付く。せめて1点ぐらいは取らないと。
2014年のワールドシリーズ対ロイアルズ戦で2勝し優勝に貢献したときの投球内容とこの日の試合ではかなり違っていた。あの時は、高めの速球をこれほど投げていなかった。むしろ低めに球を集めて、カウントを稼ぎ高め勝負あるいは、スライダー勝負。今年のドジャース戦の投球内容も低めの球も結構多かった。
>メッツ打線にココまで高め勝負を挑んでいたと云う事はメッツ打線は高めで勝負できると云うかなりはっきりしたデータが出ていたからだろう。
しかし、一発勝負にジャイアンツは勝ったのであって、メッツとのシーズンの試合結果はどうだったのか?
ジャイアンツは短期決戦に強いチーム。試合巧者である。足をからめた攻撃ができるし、内外野の守備力が安定している。
>ソレは次のシカゴカブス戦でいかんなく発揮されている。
October 07, 2016-San Francisco Giants vs. Chicago Cubs {NLDS G1}
スコア詳細
意表を突く策で、多分事前にやると決めていたのだろう。
そして果敢に盗塁。
結果、完璧なアウト!
どうして、2塁手前で暴走と思えるほど余裕のアウトにできたのか?捕手の肩が良いことはもちろんだが、イロイロ想像できる。
一番、想像できないのは、
1塁にランナーが出たときの1塁手の44 アンソニー・リゾ (Anthony Rizzo)のポジション取りが普通の1塁手の様にベース上に張り付かず、数歩離れて、帰塁して走者をけん制するスタイルをとっているのでランナーのスタートが遅れる、場合があると云う事だ。
2塁ランナーをけん制するショートの超小型版と思って良い。
>カブスの場合、3塁ランナーがいる時も3塁手が、そういうけん制スタイルととる場合があり、捕手との間でけん制アウトを完成させることもある。
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>この日の試合では、ジャイアンツのランナー1塁、打者クエト投手という典型的なバントのケースで実に面白いプレーを見せてくれた。
1塁手のリゾは、ファーストミットを普通の野手シュミットに替えるためタイムを要求し、投手のすぐ横、2塁手の定位置の延長線上のぐらいの極端な前進守備をとる。
聴くところによると、ショートストップの語源は、原始的な野球の時代に、各塁を守る野手の他に投手の横、もう一人野手を置いた、そのため<ショート>ストップと呼ばれるようになったとか。
リゾのバントに備えての前進守備のポジションどりは昔の野球のショートストップの定位置なのだ。
ちなみに、シーズン終盤の試合で2塁手の川崎宗則もバントに備えて同じような前進守備をした。
>次に起こったことがリゾの動作との絡みで実に面白かった。
ピックオフプレーなのだが、多分、リゾのグラブ交換が1塁ランナーにとって、一種の目暗ましの役割を果たしていたのではないか。グラブを内野手用のモノに持ち替えて特殊な前進守備でバントにそなているのだから、スタートを早めにしなくちゃ、と咄嗟に考えてしまうのが人間の心理であり、ソコに打ち合わせ通りのピックオフプレーが決まった。
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そして8回~~。
試合の流れが止まってこう着状態になると、局面を長打で打開するのが、カブスの隠れた得意技。
HRが出なくても2塁打3塁打を足がかりにバントを絡めたりして得点する。相手のエラーに付け込みいろんな策を立てて(相手の動揺を誘う心理作戦)得点することも多い。
マドン監督は均衡状態を破る事ができる打線の組み方をしているのだ。
カブスに、4番目の打者はいるが、いわゆる4番打者はいない。
普通の感覚でいえば3番の44 アンソニー・リゾ (Anthony Rizzo)が4番で、2番の17 クリス・ブライアント (Kris Bryant)が3番。共にチームの打率、打点HRのNO2、NO1で、ブライアントはHRを39本打点も100以上。
そうすると、こう云う打線の組み方をすると、9番打者の投手にも、打者としての能力(バントはもちろん)を求めていると云う事になる。
そして打線を見渡すと、単打のみで、コツコツ当てていく打者はいない、芯に当たれば長打が出る打者を配置している。
結果論になるが、8回の3-2からエイヤ!とバエスにストレートを投げたことが間違いだったのである。
終盤の0-0。もっと慎重にいくべきだった。あの場面では四球を怖がってはいけなかったのだ。
ただし、クエトの心境もわかる様な気がする。余裕がないのである。
後ろに控える投手陣が弱いので、終盤に塁上にランナーを置きたくない、という心理が働き、四球を怖がる事が習性みたいになっている。
相手を完全に抑え込んでいるときの心の落とし穴、知らず知らずのうちに相手を見くびっていた、という見方もできる。コレも投手独特の心理である。
適当に打たれて0点に抑えていたレスターが完封勝利を飾り、9回裏まで2安打のクエストが打たれた3本目が3-2からのHRで敗戦投手。コレが野球である。
この日の試合で3-2のカウントは何度もあって、同じようにストレートを投げて抑えていたようだが、カブス打線にそういうやり方を続けると一発長打の致命傷を受ける確立が高くなっていたのである。クエトは2安打に抑え込んでいるように見えて、刻々と時限爆弾の方に歩を進めていた。
調べてみると、やっぱりな、ということであった。
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「2015年は自己最多の150試合に出場。打率.318・19本塁打・95打点の成績をマークし、主砲に相応しい活躍でチームを引っ張った。また四球の数が三振の数を上回るなど、打席でのアプローチには更なる磨きがかかった。守備では捕手でDRS + 9・盗塁阻止率36.1%、ファーストでDRS + 4といずれも好数値を記録。二年連続でシルバースラッガー賞を受賞すると共に、自身初のフィールディング・バイブル・アワードに選出された。
2016年はオールスターファン投票捕手部門で、ヤディアー・モリーナとの大接戦の末に自身4度目の選出をされた」
例年、チームが安定的な力を保っているのも頷ける。球団の運営方針が正しいのである。
マドン監督野球の変則的な打線の組み方は、9番打者の投手にも、打者としての能力(バントはもちろん)を求めていると云う事になる。
その典型のような試合!
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MLB NLDS 2016 San Francisco Giants @ Chicago Cubs Game 2
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>投手が打たなければならない立場に置かれる打線の組み方をしている、という側面が見逃されている。
>日ハム大谷投手のMLB二刀流がどうなるかという記事にたいして、カブスに移籍すると、打たなければならない立場に立たされると書いたのは、この意味からである。
カブスの投手9番は他のチームとは違って打者としての役割が一層、求められる。そういう風にマドンは仕組んでいる。
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実際にどんななことをやっているのかはっきりしないが、実践に直結する練習を面白くやっているのだろう、程度には理解できる。
参考資料①
メジャーリーグベースボールのロースター一覧 ナ、リーグ西地区ジャイアンツ 東地区メッツ参照
カタカナ選手名をクリックするとウィキペディア日本語版へ、英語クリックウィキペディア英語語版へ
参考資料②
Bese Ball Reference .Com
ロースター一覧表には2016年度の成績は載っていない。
ベースボール リファレンス コムの右上のSearch欄にロースター一覧表の英語選手名をコピーして貼り付けると、その選手の現在と過去の成績が出てくる。
参考資料資料③
MLB 用語集