反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

<ボランティア、ケア日誌>連載第11。エポックになった現金紛失事件。

   2017年 10月 9日 月 祭日、体育の日 野戦病院化した在宅
 8時半 TELで起こされ朝食ともにする
人物誤認にこだわった質問を投げかけてきて陰気な雰囲気になった。
予想通り低血圧だった。
82 52  72
早朝、TELで呼ばれて朝食を食べたWと、別人が目の前にいるという認識
 
>それから約1年経った今も、部屋に来て言う。
早朝の彼女の部屋を訪れた目の前の人物をじっと見て覚えようとした。
(そんなそぶりは観察できなかったが)
が、1時間以上経過し、場所が変わって、目の前にいる人物は別人、と言い張る。
「Wだよ」
「いや、じっと覚えようとしたのだから、違う!」
 
去年と違うところは、お互いこの話題にはそれ以上深入りしないで別の話をする。
やり過ごすすべが身についた
>>したがって、スルーすべきだ。
去年はまだそこまで徹底しきれず、混乱させてしまった。
~~~
>視覚した形状、意味内容のインプットにも、歪みがある。
形状の意味内容の認識が困難になり(理解判断力)、あまりにも形状だけをストレートに認知しすぎなのか。
 
>であれば、時間が少し経過して場所が変わり、服装が変わると、1シーン1シーンが分断されたまま編集されないのだから各々が別人である。
中核症状の見当識障害の極端な例である人物誤認が周辺症状になっている、ということだ。
 
>脳後方にインプットとしたはずの記憶内容が側頭葉の当該箇所に伝達編集できないという、教科書通りの、この症状独特の現象発生。
 
>幼子との違いは自分がもしかして間違っているのではないかという疑問は考えることを拒む。
ソレは相手とのコミュニケーションを図り、互いに考えあう入り口になるのだが、このルートはあらかじめ削除されている。
 
精神の自己崩壊を食い止める防衛本能と人生行路で得たプライドのミックスされた混とんとした世界がそうさせているのか。
>その人の両親から引き継いだ性質人性の中で形作ったキャラクターが凝縮され、頭の老衰として発現している。ある意味、ピュアな人格である。
成長途上の人間と老衰途上の人間の差異。
 
昨日、隣の人から何気なく「大事にしてあげてヨ」と声をかけられた。
ありがたいと思うがなかなか難しい。
 

    2017年 10月18日 水  もらったばかりの年金のうち、多くの現金紛失。
どこを探しても見当たらなかった。
揉めると勝気なところが出る。
 

    2017年 10月19日 木  倒れる。 自宅に来る途中
W宅に来て、昨夜こわい人が1日中いて、神経ズタズタ。ケアマネさんに連絡するという。
 
Wは用立ての書式を作成し現金を用意したが、断り、長年の女友達から借りた。
短期記憶、人物誤認状態ののWは信頼できる存在ではありえず(当たり前のことなのだが割り切れない)、古い友人関係が優先される。
Wは将来面倒を見てくれるはずの生活手段的存在にすぎず、W側の思いれは症状によって否定され続ける。
 

 
   2017年 10月21日 土 早朝、紛失した現金発見の報。
隠すように心霊スポットの引き出しの衣装の下に置いた。
(カネのことに口出しするWから隠していた、ということもできる)
>この時点でまだ、誰かが大切なものを持っていったとは言わなかったが今は混乱すれば、そういう言い方に逃れる。
*もっともモノをなくすのは高齢者にありがちなこと。
 
>ところが、その現金発見の直前に、そのほかの不明の現金も見つけたという
半信半疑だったが、これ以上混乱させるわけにはいかない、と判断し一芝居打ってその分は用立てることにした。
教科書通り、発見場所に誘導する。 
   
>>多額の現金紛失の底流は、総選挙の運動員が訪れ、会話の中で、大きなお金はきちんとしたところにしまっておくべきだ、などとアドバイスしたためであろう。
彼女にとって、その場所とはタンスの引き出しの不気味な死装束の下だった。
Wもそこはざっと見てやり過ごした。
 
ものをなくすくせに、他人がタンスの引き出しを開けたりして部屋中探すのを毛嫌いする。プライベートゾーンの意識はたかい
ものに対する所有意識が高いのに、ホイホイものを気前よくあげて損を引き被る。
もらったことはよく忘れるが、あげたことはよく覚えている。
 
>これらの日々、Wは風邪をひき込み、うつしては絶対にいけないと、あまり接触しなかったが、カネの使い方のことや友人関係について、プレッシャーをかけ続けてきたことが、影響していた、と考える。
カネや友人関係のことを口出ししなくなって楽になった。
友達に借りたカネはすぐ返した。
>しかし、これ以降、折に触れてWの物的負担は増えていった。
 
>この騒動の結果、ケアマネさんが手続きをしたが実行に至っていない。
ずっと前のことのように思ったが、たった9か月前の騒動だった。