反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

総選挙の投票をこの30日に控えた中、横須賀にアメリカの原子力空母、ニミッツが入港した。

 横須賀は第七艦隊、所属空母の母港ととなって久しいが、本来ここを母港としている空母はインディペンデンツであるはずが、遠征に出ているという口実でニミッツが異例の入港をした。
 すでにアメリカは解散以後、政府高官を来日させ日本はアメリカの核の傘のもとにある、なる恫喝をしている。これは自民党、麻生の責任力とかいう対外軍事危機を煽る選挙戦略と呼応したものであったが、麻生自民の激烈な敗勢過程から国民には何ら浸透しない選挙戦略であることが明らかになってきた。
 それでもなおかつ今回ダメを押すように横須賀を母港としない原子力空母を入港させたのである。マスコミは遠征に出ているインディペンデンツの代わりに警戒が手薄になったから入港したなどと説明しているが、とんでもない。
 明らかに総選挙のさなかアメリカの軍事的プレゼンスを日本国民に思い知らせるため入港しているのである。また例によって反対運動の小型船が抗議行動を展開したと、伝えている。こうした騒ぎが巻き起こるのも想定しての入港で自民党は最後の最後になってもアメリカの原子力空母寄港に呼応したかのように責任力を叫び続けるが自公打倒の怒りに燃えた国民にはナシノつぶてになろう。

 今回の選挙で自公がどんな不正をやらかすか分からないから国連に選挙監視団を要請したら、なんて冗談があったが、要請しても実際に来るのはアメリカ軍、という切り替えしもあった。
ところが本当にアメリカが選挙中にやってきたのである。

 ヨーロッパにおけるドイツと同じくアジアにおける拠点としての日本の役割は日本人が考えるより高い。この簡潔な指摘はフランスの当代一の知識人によるものである。オバマは大統領就任直後ドイツに飛んで2万人の聴衆の前で演説した。
敗戦国ドイツの民衆の中にも対米追従の心性があるのか2万も集まっている。

 日本にもオバマが秋にやってくる。新しくできた政権に対米追従の楔を打ち込むためであろう。
小沢一郎秘書逮捕も一連の事態から判断すると明らかにアメリカの政治的意志をも汲んだ国策逮捕であった。

 小沢一郎氏はクリントン国務長官来日時、当初、所用を理由に会おうとしなかったが、深夜のホテルで会談した。通常ならなにはともあれ会談をするはずである。ところが小沢一郎はポチではなく毅然と自己のスケジュールを優先しようとした。
その会談で何が話し合われたのか。

 そしてダメを押すように小沢氏の極東の安全保障には第7艦隊だけでいい、発言があった。

 これを受けたかのようにしばらくして小沢秘書逮捕があったのである。マスコミは待ってましたとばかり大騒ぎをし一時は小沢事情聴取から逮捕まで匂わせていた。

 ところが今日明らかになっているのはこの逮捕によって小沢氏が代表辞任によって次期総理の座を断念したこと。逮捕した秘書は微罪でも有罪確定は微妙なところから公共工事受注への小沢事務所の天の声があった、とかの何の証拠もない告発だけであった。

 せっかく日本をポチの立場に引きつけたのに飼い主離れをしたらアメリカちしては厄介なことになるのである。今回の選挙では自民党に勝ってもらいたいがそれが望み薄となった今は民主党を恫喝しアメリカ離れをくいとめたいのである。

 すでにアメリカ、日本の対米追従派にとって北朝鮮の存在は政治的資源と化している。
世界不況が続き出口がなくなると北朝鮮をめぐって戦争が発火する可能性がある。日本は戦前のようにアジア侵略できない。中国は軍事的にも経済的にも日本より大きな国である。行き詰り軍事冒険主義に走ることで内外と対峙するしかない北朝鮮独裁を政治資源的にもてあそび支配体制を維持していこうとしているのが日本、アメリカ、中国なのである。

 今回の選挙でアメリカが狙うのは民主党がこの枠内に対米従属のままとどまり続けることである。

 月刊誌、「世界」の小沢論文は従来の対米従属からはみ出した国連中心主義の自衛隊の海外派兵の可能性を論じたものであり、自民党ガイドラインなどで推し進めてきた事実上の日米集団自衛権とは異なる提起である。これは自らの世界戦略に自衛隊の軍事力を下請け的に組み込むというアメリカの方向性に逆らうものである。

 もちろん、戦後歴史的に見ればアメリカの覇権は後退してきており、この世界不況の中で産業資本や金融資本の中枢の寄生的破綻は明らかになっている。
 こんなアメリカと硬く結合しても国益を損なうばかりであるのは言うまでもない。