反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

亀井大臣の真意はもうこれ以上財政出動できないので金融が汗をかけと言っている。

 前の政権は2回にわたり多額の財政出動でこの世界不況に対処してきた。総額20兆円を超えるカネが政府によって投下されたが、自公政権が選挙で生き延びたとしたら財政出動のカンフル剤が切れる頃にはさらなる景気対策を予定していたといわれる。
 確かに各種の経済指標をみるにつけ私のような素人にも典型的な不況局面が深化しているとしか読み取れない。
  
 そこで政府は新たな対策を打たなければならないが、またぞろ財政出動なのかということなのである。具体的な経済対策で政府が緊急的に利用できる選択肢は現状では限られている。
 藤井財務大臣為替相場をめぐる発言もトータルとしてみれば一種の現況の為替相場への生きた市場調査である。大臣の発言に世界の相場師たちは過敏に反応した。アメリカがかつてのような高金利政策でカネを吸収する政策から日本と同じような低金利政策に転換すれば世界中の流動的過剰資金は大きな流れを失って、過剰反応する環境が創られてしまっている。
 為替相場が安定しないことには実物経済の将来的展望は開けない。安心した経営環境が保障されない。
 藤井財務大臣は今回の自らの発言によって為替相場の振れたことに大きな教訓を得ると同時に現状の世界経済へのリアルな危機感を持ったと思う。
 また財政出動の限界認識は就任前の発言から明らかである。世界不況による税収の落ち込みが長期に予想されていく中、これ以上の赤字国債発行のリスク、デメリットは大きい。
 
 だとすると金利政策はできない、財政政策もできない、諸々の規制緩和策も底ををついているとなれば金融政策で局面を打開するしか方法はない。
 おそらく現状からすれば自公政権が続いていたとしても何らかの金融政策でしか手の打ちようはなかった、と想定できる。

 政治的上部構造への政策は自公と民主党ではかなり異なり、民主党の政策でしかできないことは多々ある。むしろ自公は癒着政治で国を滅ぼしかけた。八ッ場ダムの問題も冷静に考えてみると、そういういい加減なことをやってきたから国、地方の借金が1000兆にも膨らんで国家の政策選択肢を縛ることになってしまったといえる。

 ただ、経済下部構造に対する政策選択肢は自公政権との間にそんなに大きな振れ幅はないと考える。国内需要をつけなくてはならないというのは世界的コンセンサスである。
 その場合、直接給付か間接給付方いう違いはある。自民党のような企業団体を介したばらまきには、それに対応して其々のところで搾取システムが出来上がり当初政府が目指した恩恵が多くの国民に行き渡らなくなっている。故に直接給付は現実味を帯びるのである。

 しかし、マクロ的にみると戦術的差であり、戦略には差はない。
自民党の総裁になった谷垣氏の意見を聞いてみると内需拡大の方向である。
おそらく彼が首相であっても二番底への対応は何らかの金融政策になっていただろう。
 来年度の予算が本格稼働する前に何らかの経済対策を打っていくとなればこれしかない。

 今回の金融政策でマスコミが騒いでいるのはこれで銀行側が汗をかかなくてはならないし、いくらか損をするからである。たったそれだけのことである。
 銀行は規制の中で利益を得てきたし困った時は特別優遇措置を受けてきた。それは資本主義経済にとって銀行業務が特別な意味を持つからだ。銀行はその使命を果たす時がきた。
 
 銀行業界のトップは偉そうなことを会見で言っているが、自らのところの預金金利は0に近く高金利で貸し出してきた結果、弱いものが長期不況に苦しんでも知らん顔ではすまされない。
また原資を元に実際に信用創造してきたのだ。

 金融業界は長期不況下でそのまま放置していくと、この時を機会に弱者をなぎ倒し肥え太っていくのである。古今東西金融業者はそうして巨万の富を築いてきた事実がある。
 こんな本性があるから規制監督下にあるともいえる。

 政治主導なら当然、金融業界の不況下の本性を見過ごすことなく規制し、社会的責任を果たさせるべきである。生産や資本が社会化した内実が金融業であるという本来の側面をこの際、はっきりさせなければならない。