反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

早大投資サークルOBのインターネットを利用した不正株価操作で逮捕の記事を読んで疑問に思った。

 「犯行」の手口は見かけは単純である。数台のPCで大量の買い注文をインターネットで出し、直前になって取り消すが株価は上昇したまま。そこで実際の持ち株を売り抜けて利益を得る。こういう手口で数年にわたり10億円の利益を得ていた。
 架空注文で市場値を揚げておいて実際の持ち株を持ち株を高値で売りさばく行為はインターネット株取引ににおけるタイムラグを利用したもので文字で書くと簡単な作業のように思えるが、実際のところどうなのか?
 まず、小まめにやっていた、と思う。それなりの技術もいるだろう。架空注文が実取引になってしまったケースもあったのではないか。毎回、旨く行っていたとは限らないが積み重ねの中から10億という数字を叩き出した。口座は父親名義、六本木ヒルズに事務所を構えていたらしい。

 株式市場には実際のところ盲点がある。摘発された時点で犯罪容疑だが捕まらなければ犯罪でない。インサイダー取引なんてのも事案の内容をみると極端にいえば捕まっているのは氷山の一角、と推察される。

 結局、小銭でその気になって売ったり買ったりしている人間が最終的に有り金を巻き上げられる仕組みになっている。ここのところをわきまえていればギャンブルとして競馬なんかより遥かにリスクが小さい。ただで面白いかどうかは別だけど。一番最悪なのは借金して短期間に投網を打つように大金を手に入れようとすること。競馬などのギャンブルがからんだ犯罪行為は決して他人事でない。高金利でカネを借り、失敗し情緒不安定のまま犯罪行為、迷惑行為に行き着く。やっていいことと悪いことの判断基準が揺らいでくると人間が人間でなくなる。
 素人がその気になって株取引の虜になってスッテンテンはまだいい方で身動きの取れない状態になった、なんてのもよくある

 最後に。
民主党は歳入庁を創設し租税、保険料徴収などを一元化するという。
金持ちの大きな関心の一つにいかに納税を低く抑えるかというのがある。企業も同じだ。抜け道はたくさんある。国家試験を受かったその道のプロが指南してくれている。
 合法化、非合法の判断の難しいグレイゾーンがある。摘発も困難を極める。
 そこで一番手っ取り早いのは罰則の強化である。
 租税高負担の国々には脱税者に対する厳しい罰則がある。日本もこれからの傾向としては間違いなく租税負担は大きくなっていく。当然摘発逃れは必死となるが厳しい罰則があれば抑止力になる。
 もう1点。アメリカのような4600万人が健康保険への加入がなく実質的に医療の機会から遠ざけられている国は反面教師である。この国では脱税の罰則は弱い。
 オバマは頑張っているが国民皆保険で反対者が大騒ぎしている。クリントンも挫折して残りの任期はウオォール街の走狗となり果てた。反対者の言い分を聞いているとアメリカがどうしていつも外国にいろんな理由をつけて戦争を仕掛けているのかよく分かる。
 反対者は4600万もの窮状をわが身のこととして考える想像力がない。おれたちは自由にやっているんだ、ほっといてくれ、自分の身は自分で守るのだ、介入するオバマ社会主義だ。
 アメリカ大統領選挙共和党候補者の公約を聞いて驚いた。企業減税、所得減税で金融危機で破壊された経済を立て直すという。骨の髄まで市場原理主義に冒されている。またそんな候補が48%投票えた。これに比べたら先の選挙での自民党の公約は多少ましである。今回の総裁選の候補者の主張もアメリカの共和党の様な事を言っている人間はいない。ところが竹中平蔵は大企業や金持ちの具合が良くなれば庶民はおこぼれに預かれる、なんイデオロギーをいまだに信奉している。確かに一つの立場に立ち切った思想は分かりやすいが、そんなのが通用するのは限られた環境だけであるとの認識がない。基本的に経済幻想、経済主義である。読売のナベツネでさえ完全否定している。

アメリカは国民のだいたい半数がこういうカゥーボーイの様な生活感を持っている国である。
 いまだにアメリカの民主主義を信奉しているリベラル派がいるが、そういうのが存在しているのは広いアメリカの特定地域、特定の人たちの間だけだ。
今になると日米安全保障は日本が凶暴化するアメリカから身を守る手段になっていくとも思える。

 オバマ幻想は止めるべきである。アフガニスタンNATOを巻き込んで戦争しているが、タリバン掃討もあるが究極的には対ロシヤ戦略、もっと大きくはユーラシア大陸戦略である。
タリバンアメリカにとって北朝鮮と同じく自らの野望を達成する政治的資源なのである。
 その一方でイラク撤退は完全なまやかしであることか明らかとなっている。
 アメリカは恒久的なイラク駐留のため基地機能を強化している。イラクアメリカ軍は在韓米軍のような存在になろうとしている。
 もちろんこんなことは日本の外務省は知っている。マスコミは報じないから多くの国民は知らない。

 民主党、鳩山外交は東アジア共同体を掲げた。これは自民党の一部の人も小泉郵政選挙の公約で掲げていた。私は実際にこの目で確かめた。ところが小泉首相はこれ見よがしに靖国神社に参拝を繰り返していた。これと明らかに矛盾する公約である、とその時思った。ただ小泉の靖国参拝は竹中路線による亡国政策を隠し、政治的バランスをとるため派手な演出がなされた。本当のところ、これでは真の参拝でない。
 日本外交が大枠を掲げることは必要であった。アメリカ経済が以前のような世界に対する巨大な有効需要創出国家に再び復帰することはあり得ない。したがって日本が抱える大きな資本過剰、生産過剰の捌け口としてのアメリカの存在感は今後低下していくことはあっても上昇することは断じてない。具体的にはトヨタの全世界の生産能力は1000万台といわれている。しかし実際の稼働生産は600万しかない。日本の輸出独占企業は軒並みこんな状態であろう。もちろんこれが下方企業群に壊滅的打撃を与え、失業率、5、7%に跳ね返っている。労働と生活が厳しい人からアブレテしまっている。特に若者の失業率は9%を超えている。

 政府は緊急雇用対策を打ち出しているが当たり前のことである。
しかしこれは当面の政策でしかない。大切なのは日本経済の大きな道筋をつけることである。アメリカ投資、輸出が十分でなければそれに代わるものを見つけなければならない。
 すでに企業レベルで具体的なシフトがなされている。
 東アジア共同体はこの動きを追認するものでもある。
昔の大東亜共栄圏の時代でない。相手には軍事力も経済力もあり、あくまで対等な相手である。
現状、日本は先進国の中で一番、戦略的ぜい弱性を持った国になってしまっている。