反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

アメリカ帝国主義に食いものにされる半買弁層支配下の日本、中国、韓国国民。

 アメリカ国債購入をキーワードに東アジア、レベルで考えを巡らせてみると、どうしても日本だけでなく中国、韓国の支配層の「半買弁化状態」とでもいうべき姿が目に付いてしまう。
 
 支配層としての利害はもはや国民国家の枠内に収まっていない。自分たちのカネ儲けの場は世界市場化している。ところが国民国家の圧倒的多数の構成員の国民のリアルな利害関係は未だ国内限定のまま。
 国民のリアル利害感覚の国内限定性、相対的貧窮化と世界をまたにかけたグローバル資本の膨張との齟齬を結び付けるのは実際のところ、国家や民族と云った政治的幻想が大きな役割を果たす。
 この新帝国主義時代の民族排外主義は経済に原因を持って、政治的に噴出する。
 
 歴史段階として東アジアの紛争は必然である。各々の支配層がグローバル資本制としての共通利害の一方で、国民経済レベルの対立に根を持つ排外主義を利用して国内統治求める。
 
 中国政府のアメリカ国債保有高は1兆1600億ドルで日本の保有高を上回っている。10年ぐらい前までは日本がダントツの1位だった。
 
 イロイロな意見はあるだろうが、日本からみると中国は対米隷属していないとみなされる。
アジア唯一の国連安保理国。核保有し、軍拡の傾向も顕著であり、世界中に権益を求めている。
 
しかしそんな独立性の一見強そうな国が大量のアメリカ国債を買い込んでいる。
中国政府の広報誌の様な新華社通信の論説は先ごろのアメリカ国債格下げにもかかわらず、
米国債に代わる安全資産が乏しいため、格下げられても、比較的リスクの低い投資商品とみなされる」と主張している。
 
 これは、先頃の野田財務大臣米国債購入継続発言と軌を一にするモノである。
中国の対米対抗性を過大評価し、それと比較しての日本の従属性を嘆きがちな一部の人たちの頭の中と実際に起こっていることとはかなり、違っている。
 
 世界第一の米国債保有している中国政府に批判的な中国人識者の今回の米国債債務上限騒動、評価格下げの事態は政府当局の米国債売却への示唆と米国側の警戒感を抑えつつも、「中国の資源と労力を米国の紙くずと交換してしまった」中国政府の威信低下、大量保有による危機的事態とみなしている。
 
 対米関係において大量米国債保有にもかかわらず、橋本竜太郎発言以外、粛々としている日本政府と公然とブラフをかける中国政府では温度差はあるが、米国債へのリアルな対応は同じであるし、将来の継続購入の意思さえ示している。
 
 識者は中国政府の外貨準備高の急増を度を超えた輸出依存度に原因があるとして、輸出による急激な経済成長のもたらす慢性的なインフレとの悪循環を指摘している。
 
 >>>韓国を代表する企業の株式の外資保有率を列記する。
  <産業部門>
サムスン電子 49%
ポスコ     50%
現代自動車  40%
 
 <金融部門。
KG金融(NO1企業) 60%
新韓金融(NO3)   60%
 
>日本の前経団連会長企業、キャノンも49%がアメリカ金融資本であり、グローバル資本制の中では特筆すべきものではなかもしれないが、まず何よりも韓国経済はアジア金融危機においてIMF管理下で経済建て直しを行った。その時に外資の株式占有率が急激に増加したとみる。
 
 特に整理された金融資本の過半数の株式が外国資本に握られていることに注目する。
韓国資本主義は国内経済循環の要を外資に握られている。
韓国経済は付加価値を即、外国金融機関に委ねる仕組みになっている。
 
 だから、全社会的な市場原理主義化が行われており、日本社会よりアングロサクソン社会システム化が進行している。
 
 日本で人気の韓国テレビドラマの俳優の表情、仕草を見ていると、日本よりはるかに欧米的である。
その微妙なアンバランス感覚、意外性、「先進性」が不思議な魅力を生み出している。
 
 韓国の大企業の広報担当とでもいうべき識者は政府が大企業に不利な政策をとれば、「世界市場で急追する中国や先進国との争いに勝ち抜かなければならない韓国企業は不利になる」から、
本社と工場を海外移転する。中小企業は苦しくなり、失業者は増えると、脅かしている。
 
 日本でも同じ類の脅かしがズット聞こえている。
 
>>東アジアでアングロサクソン、社会経済システムを最も先行して、導入しているのは韓国である。
次が日本。中国も政治的上に構造は形態は違うがアングロサクソン経済システムの範疇で回っている。
しかし、資本の海外移転が問題にならないところが、中国の潜在的な力、成長力の源泉である。
歴史はたいてい、後からやってきたモノが最後には追い抜いていく。
仕方がない。問題は中身だ、とできるかどうかだ。
 
>これらの国の支配層の経済的政治的利害は自国の大多数の国民の労力をアメリカ国民と企業の利益のために提供しても、何ら損はないのである。アメリカ支配層の政治的経済的利害とこれらの国々の支配層の利害は重なっている部分が余りにも多すぎる。
 
>自国のあらゆる資源、労力とわずかな利子付き紙くずと交換する膨大なカネの一部でも、国内投資に回すことが彼らにできないほど、アメリカ支配層との利害の共通点が多い、と云うことである。
僅かなカネで助かる人が多いのに。
 
それができないから、彼らは半買弁層化している。
 
>グローバル資本制は世界の支配層に共通の利害の基盤を提供する。
 
が、彼らは国民経済に根を持っている。さらに、国民を統治しなければならない。
国民経済と政治の軋轢は世界的に高まっていく趨勢にある。
グローバル資本制は世界の大多数の国民を相対的あるいは絶対的に貧しくする。肥え太るのは一部のモノどもだけだ。
 
 >アメリカを筆頭にした先進国の財政危機。
確かに先に走っていたモノを後から来たものが急速に追いついているという歴史的趨勢はある。
しかし、先進国の支配層は追い付かれても貧乏になるどころか、懐を肥やしている。
だったら、先進国の国民は全体として貧しくなっている。
 
その歴史的趨勢として貧しくなっている国民から、財政危機に際して、もっと絞りとろうと画策しているのが先進国の支配層なのである。
 いかに強欲で国民経済に無関心なのかよくわかる。