>反俗日記でウクライナ、ロシア戦争や米中対立を取り上げた際は必ず<新帝国主義時代の世界市場をめぐる覇権争い>←W。注釈。この世界認識は半分は正解(残存スターリン主義体制の反撃)、半分は間違いである(G7等の新帝国化)、と解った!を維持してきた。そこには正邪、紆余曲直をできるだけ排除し、眼前のグローバル資本主義の歴史段階とその将来を探求したい、という想いがある。」
新帝国主義の時代には下記引用のような民主主義、民主政観が命がけで民主制を勝ち取ったものの間から生まれてくる。
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引用
韓国、梨泰院大惨事について。闘争の詩学 金明仁を連載している最中にこの異様な大事故は起こった。熱狂に至る根源を探る。
「民主主義は直接民主主義でも代議制民主主義でも、
社会構成員の利害関係を合理的に調整し最大多数の最大幸福を追求することにある。
ここで最大幸福の絶対条件が生活のための物的土台の確保であるとするときに、
>経済民主主義は民主主義の究極的な成功のための絶対条件である。
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W。以上のようなテーゼが成立する歴史的条件は限られている。
W.第二次世界大戦後の世界的な戦後経済高度成長期とそれに付随する戦後民主主義の時代である。韓国の粘り強い長期に渡る民主化闘争の理想像は戦後欧米の経済高度成長に付随する民主主義時代をモデル化したものである。事実、こうした民主主義社会のモデル像は戦後民主主義の時代に生まれた。
高度経済成長の成果分配の時代を欧米日(いわゆる先進国)はくぐってきた。スターリン主義体制国は計画経済によって分配に重きを置いていた。
旧植民地半植民地は次々と独立した。
民主化を勝ち取ったとほぼ同時に韓国社会はアジア金融危機を通じてIMF管理下に置かれ、民主大統領時代に全社会的な合理化が進行し(KJミクスと称する)、モデル像の経済基盤を獲得することができなかった(金融危機直後にGDP回復)。
民主化闘争を戦った人たちの中には短期間で理想とその現実を味わった者が少なからずいた。
グローバル資本制が全世界化する時代に民主化を実現すると同時にIMF管理下になった韓国において、民主政権は社会民主主義的な分配を政治路線化できなかった。
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引用に戻る
「>経済民主主義が放棄されて勝者が独占する経済体制が固着していく社会は金権社会にならざる得ない。
>金権社会は事実上、貴族制であって民主共和制とは言えないのである。
このような社会において政治というものは
支配層内部の権力の配分ゲームに過ぎず、
民主制度というものは
その配分ゲームの形式に過ぎないのである。」
国民の政府が市場の社会的統制を放棄したとき
政治の寡頭化と民主主義の虚構化はすでに予定されていたのであり、
民衆の生活は政界の外に投げ捨てられる運命だったのである。」
>深く読み込むと、新帝国主義の歴史段階においてポピュリズム政治の台頭と戦争政治が発動される要因が解る。
国民国家や民主主義制度、民主政は経済要因が行き詰ると、容易に戦争政治に転化する。
前回の記事によって、EUや米国の帝国主義の対外的な攻撃性が明らかになった。
中国の現体制の経済基盤には、21世紀発の遅れた「国家」独占資本主義に相応しい経済構造の不均衡と脆弱性、限界が刻印されている。
中国の経済発展が将来、世界市場で覇権を争う、などという展望は
ロシア、プーチンの政治力を過大評価した言説と共に、
新帝国主義の対外侵略を正当化するためのフェイクである。
経済基盤に不均衡性、脆弱性、限界性がある中国政権が世界覇権を争うような戦略をとった場合、
自国の財と民衆の支持を失うとともに新帝国主義支配層に絶好の国民国家的侵略の口実を与える。
ロシアや中国のようなスターリン主義残存体制(帝国としての実体に乏しい幻想の帝国である)は新帝国主義支配層にとって、自国民の生活と労働の犠牲を払っても将来的にその体制崩壊によって、内外で利益を生む獲物のような存在である。
ソ連邦崩壊の時に、欧米は甘い蜜をすった。⇒米国ハブ体制のグローバル資本制のバブル的自由放任的発展。
この成功体験の再現という新帝国の共同政治幻想(G7)を抱いている。
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W.前回の記事の末尾に掲載した論文。時間不足でじっくり検討できなかったのでこの修正記事で丁寧に読み込んでいく。
特集論文
新興・先進国間の不均等発展,帝国主義戦争モデルと覇権交代のマルクス派政治経済モデル
大西 広 慶應義塾大学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/peq/56/4/56_7/_pdf
W。主張がはっきりしている方で好感が持てる。
課題が明確に提起されると、可否がはっきりする。しかも、持論の間違いにも気づく機会になる。
>レーニン「帝国主義論」を援用した米中覇権争い論~覇権国家の交代を歴史的底流にしている~は改革開放以降の中国経済発展を過大評価しており、間違いであり、反俗日記の世界市場再分割戦、は内実を知らない単なる無知の所産だった。このことに気づいたのは前々回のに掲載した中本悟の中国分析であった。
>まず、問題になることは、米国覇権の相対化と後退は進行形の歴史的な事実であるが、覇権国家の米国⇒中国は、あり得ない。
では今後の世界の基本動向はどうなるのか?
一般的に言われているのは、米国覇権の相対化、後退~~多極軸化である。
しかし、ウクライナ、ロシア戦争におけるG7等の足並みの一致ぶりを見ると、経済面での供給ショックよる国内インフレによる国民の生活難や国同士の競合や対立は棚上げにされている感がある。
この事情を探ってみると、
その1。
G7等は膨大な資源エネルギーの消費を域外の供給国に依存しており、その中でも世界規模の核軍事力と最大の供給力を有するロシアのウクライナ侵攻に妥協すると、自らの資源エネルギー供給網にダメージを受ける。
このことをG7等に供給する側の立場で見ると、
ロシアの言い分が通ると、資源エネルギー市場において自分たちの要求が政治的な力を持つ。
だから、ウクライナに侵攻するロシアは間接的にG7等への資源エネルギー供給国の利害を代表する形になっている。
従って、この戦争は資源エネルギー供給問題と直結している。
おそらく、プーチンはここまで読み込んでいた。ただし、侵攻にイデオロギー性(政治共同幻想そのものである。レーニンのブレストリトフス条約締結クのリアリズムの真反対である)はあっても、計画性はない。惰性であることは、ソ連時代の10年のアフガン侵攻、就任ごの周辺戦争で明白である。
しかし、G7等以外の新興国はグローバル資本の資本輸出によるエレファントカーブの恩恵を受けるので政権は傍観するか、中立の日和見を決め込む。
ウクライナの現状に至る政治過程は典型的なエレファントカーブ現象待望によって、東欧バルト3国などと同じようにEU。NATO加入を選んだ。
その2。
G7等の国内にポピュリズム政治が台頭している。
なぜか?
金融寡頭制の強化(資本蓄積構造の強化)、帝国化と連動する格差拡大の急進展(r>g)に対する政治権力の無力に要因がある。帝国化すると生産資本は労賃の安い周辺に移転し、国内の製造業労働力商品の市場価値は低下する。そこに定住移民とグローバル資本主義によって浮動化した縁辺から移民が押し寄せる。
ポピュリズム政治は格差拡大による生産労働層の相対的貧困化の傾向対する動揺、不平不満に依拠する形をとって、金融寡頭制の利害に結びつける役割、立ち位置である。
このようなポピュリズムと既存の支配層は自らの政治枠では対処できない国内矛盾(格差拡大だけではなく全般的な社会不安、先行き不透明感の状態化)を枠外の異質で巨大な脅威の存在を煽り、それと対決することで軽減し既得権と利得を譲るつもりは一切ない。
その3
コロナ渦は上記の内外情勢に拍車をかけた。
新型コロナ渦は偶然発生したのだろうか?
違う!
最1次世界大戦中のスペイン風邪パンデミックは発祥のちは米国、カンサス州の陸軍基地だったという。戦争通なので機密にされ、参戦していないスペインの流行で明るみに出た。
ではなぜ米国発祥だったのか?この答えは中国武漢発祥の理由と同次元のことである。
つまり、世界資本主義が最も沸き立つ国と、発祥要因に適合する場所(人と野生動物の距離が近く、食用にする食習慣がある。)でパンデミックを引き起こすウィルスは生まれた。ニューヨーク、シカゴ、ロサンジェルスではなく中西部カンサス州だった。北京や上海ではなく、内陸部の自然が近い武漢だった。資本主義商品経済に沸き立つ国と場所、でパンデミック発症した。
第1次世界大戦は産業資本主義後期の自由放任経済による資本の集中集積、金融寡頭制強化、資本の生産過程が生み出す富の一挙的強大化と国内消費のアンバランス、利重率の低下、資本輸出による超過利潤獲得競争のばである植民地地図の再編から起こった。
新型コロナパンデミックは、行き詰るG7等の新帝国主義化と残存スターリン主義体制への攻撃に拍車をかけた。米国の新型コロナ死者は107万人に達している。EUの合計はもっと上回るだろう。「民主制」政府の無力性があらわになった。スェーデンなどは姥捨て山の適者生存政治で老人を見殺しにした。G7等はリバタリアン的放置主義に舵を切った。
パンデミックへのセキュリティーの無力を曝け出した状のG7等民主主義国家と政府とはなにか?多くの死者を出した国々では潜在的にとわれているのではないか。
その延長線上において戦争とはいったい誰のためにやるか、問うことにもつながるのだが~。命を懸けてまでやることではない。たとえ兵士であっても国民であり人間であり、この問いはおなじだ。
以上、G7等の連合の事情である。
この連合ぶりから世界経済の不均等発展に起因する1次2次大戦型の世界市場の再分割戦を導き出すことができるように一見思えるが、何よりも対立する相手のロシアと中国並びに少ない同調国の力は弱すぎる。
ロシアと中国は帝国ではない。その一方で米国やEUは地理的に見ても国境を跨いで勢力を張り、その政治軍事トップは国民のコントロール不能な帝国である。例、日米安保を運用するのは限られた者。EU、NATOも同じ。ロシアと中国にはそのような国際連合の力はなくほぼ一国、少数的な対応しかできないし経済的な自立性も帝国的自立性に乏しい。
(中国脅威論)
おそらく中国スターリン主義体制の内外からの変容による利得を期待している新帝国主義(欧米G7等)の自らの排外的攻勢戦略をカムフラージュするための大量フェイク情報の垂れ流しである。
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大西 広 論文 の冒頭を引用すれば反俗日記の趣旨が解る。ただし、ここまで意見をはっきり主張する姿勢には感服する。
引用 W。。この方の他の論説も読ませてもらったが、一本筋が通っている。はっきりと論点を打ち出す勇気がある。
「はじめに
この現象を率直に眺めた時,あれほど貧しかった中国がアメリカを凌駕しようとしていること,
つまり後進国が先進国と不均等発展したこと〇,その後進国が「新興国」としての共通利害でBRICSなどの同盟関係を結んでいること,
そして,それらと先進国代表のアメリカとがまずは貿易問題で関税競争をしていること
などは「冷戦の再来」というより「2度の世界大戦の再来」を想起する方が自然なようにも思われる。
したがって,
20 世紀以降のマルクス主義の「世界資本主義論」はレーニン『帝国主義論』だった〇のだから,ここは我々マルクス経済学者こそがこの枠組みで優位に立てる絶好の機会となっている。」
W・冷戦は第二次世界大戦後の歴史的な産物であるスターリン主義圏を前提条件とする。ゆえに新冷戦は実態とは違う。
行き詰った新帝国主義がロシアと中国を揺さぶるしか自らの危機の脱出口が見当たらないのである。それは半ば意図的な戦略であり半ば惰性的政治本能である
時間不足のため続きは次回に。
土台を作ると足元がしっかりする。それは理論構築によるしかない。
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参考資料 はっきりとモノをいう方である。結局、余剰資本力と文化による求心力の程度の問題ではないか。古代より中国の歴史に西方拡大と紛争はあってもチベットは登場してこなかった。攻防はなかった。清朝による進出がもたらしたものである。分離した方がよかったが軍事的な観点から領土化している。
新疆地域は古代からの中国の「生命線」だった。