新興・先進国間の不均等発展,帝国主義戦争モデルと
覇権交代のマルクス派政治経済モデル
大西 広
https://www.jstage.jst.go.jp/article/peq/56/4/56_7/_pdf
Wはっきりとした見解の提示を参考にすると自分の意見を固めやすい。
引用
「 はじめに
①あれほど貧しかった中国がアメリカを凌駕しようとしていること,
②つまり後進国が先進国と不均等発展したこと⇒W。〇,
③その後進国が「新興国」としての共通利害でBRICs Brazil, Russia, India, China(South Africa)などの同盟関係を結んでいること,
⇒W。×
W(注釈1BRICsの解説、同盟や連合ではなく2009年以降首脳会談非干渉、平等、相互利益)(注釈2日本の為替レートと購買力平価の乖離から読み込めるもの) などの同盟
④そして,それらと先進国代表のアメリカとがまずは貿易問題で関税競争をしていることなどは「冷戦の再来」というより「2度の世界大戦の再来」を想起する方が自然なようにも思われる。⇒W。×
したがって,
⑤20 世紀以降のマルクス主義の「世界資本主義論」はレーニン『帝国主義論』だったのだから,⇒W〇ここは我々マルクス経済学者こそがこの枠組みで優位に立てる絶好の機会となっている。」
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w(注釈)① BRICs - Wikipedia
引用
「 Brazil, Russia, India, China ((South Africa)BRICsは経済的な括りであり、同盟や連合ではない。2022年にはイラン及びアルゼンチンがBRICSへの加盟を申請した。」
「投資銀行ゴールドマン・サックスの経済学者であるジム・オニールによって書かれた2001年11月30日の投資家向けレポート『Building Better Global Economic BRICs』[3] で初めて用いられ、世界中に広まった。」
「国土面積で29.2%、人口では42.7%。GDPの割合を購買力平価で換算すると2014年の時点で30.2%[† 2][11] と大きく上昇し、EU (16.6%) [11]、アメリカ (15.9%)[11] を既に上回っている。
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W(注釈)2 購買力平価
円安パズルの解明 ~為替が購買力平価よりも円安である理由~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所2022.07.06
W。この記事の作者、熊野英雄の基本視座に注目してきた。
今、スタグフレーションが現実味を帯びている理由 ~供給ショックがインフレの犯人~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所
2021・22年と吹き上がった物価高騰には、2つの顔がある。原油高騰と半導体など供給不足である。原油高騰は、ウクライナ侵攻に伴う対ロシア制裁が原因。半導体など供給不足は経済安全保障という名前で、サプライチェーンから中国を外そうとする米国が主導する対中国の輸出規制にシフトが原因。
W.ここから、円安パズルの解明 ~為替が購買力平価よりも円安である理由~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所2022.07.06
W.当初の記事の構想が変わった。
W.購買力平価について調べていたら、偶然、好記事に出会った。
W。少し前に参考資料として取り上げて、<インフレは供給側の二つの大問題と言い切る論点>にすっきりさせてもらった論者だった。
大国相手の資源原材料、重要産業への規制措置、経済制裁をする自国第一主義、「準戦時経済」はインフレを歴史的に招いてきた。
2014年を境にPPPとドル円交換レート円安に乖離(アベノミクス)⇒にもかかわらず輸出伸びない。交易条件悪化。
引用
「この2021年の購買力平価を使うと、最近(2022年7月)の1ドル135円は▲25.6%も割安になっている。確かに、現在のドル円レートが「安すぎる」と判断されてもおかしくはない。
しかし、もっと本源的に考えて、なぜ、実際の為替レートは購買力平価とこれほどまでの乖離が生じるのだろうか。」
PPPとは何か?
W。EUの出資金を決める基準は購買力平価。マクドナルドハンバーガー価格の各国比。
円安⇒輸出競争強化⇒貿易収支黒字を通じて為替市場、円買いに振れる、というモデルケース想定。
引用
「購買力平価説の背後にはある。為替レートは、貿易収支で調整されるという考え方でもある。」
2013年までの円高の説明
引用
「わかりやすく言えば、日本の製造業の価格競争力が特に高いから、非貿易財の価格を含めて計算した購買力平価よりも、為替レートが円高になるという訳だ。」
「円高傾向が円安の流れに変わった現在、この説明を裏返して用いることができる。
2014年以降の円安は、製造業の競争力が大幅に低下して、貿易財の割安さがなくなったことになる。さらに、貿易財の方が非貿易財よりも割高になって、輸入増加が貿易赤字を促している可能性すらある。」⇒W。現状、日本は資本収支の黒字で何とか経済を回していけている。大量赤字国債発行の基盤。一応、国債市場に出しても国内に買い手(銀行保険など)がいる。貿易立国日本の時代背でに終わっている。
貿易収支を赤字化させる変化
引用
「シンプルに2014年以降は、貿易収支が赤字化することが多くなり、それが円買い圧力を弱めたという理解の方がごくわかりやすい説明になる。
この貿易赤字の傾向は、東日本大震災によって、全国の原発稼働の多くが停止したことが大きい。
そこに原油高騰が加わることで、2011年頃から貿易赤字幅がより広がっている(図表3)。日本は火力発電に依存する傾向が強まって、電気料金も高くなり、消費者物価もエネルギー価格に主導されて押し上げられやすくなっている。
⇒W。岸田内閣の原発再稼働。短期的に原発発電は発電コスト安。ウクライナロシア戦争によって、ヨーロッパ各国の原発政策も変わっていくだろう(独軍事費大増強~英米に次ぐという~驚くことはないEU結成後の独はもともとそうい傾向を深めてきた。EU条約を急いだ英仏は統合されたドイツに脅威を感じ枠内に抱え込もうとした経過がある。EUは経済面ではドイツの一人勝ちだ。EU中銀を握って話さない。結局、当初、反対に姿勢を示していたEU拡大の最大の恩恵を得たのはドイツ。それでも負担増でポピュリスト新政党第三党へ)
@核弾頭ミサイルの着弾精度はどの程度なのだろうか?原発周辺に着弾するだけで大地震をはるかに超える破壊力があるので福一原発事故以上の事態が再現される。危ない橋を渡ることになりそうだ。こんな時こそ腹を据えて戦争政治、戦時経済を推し進めるグローバル資本政府を一掃することが第一だ!
引用に戻る
「日本の貿易収支が赤字化しやすい状況が、円安を引き起こしていると考えられる。原油高騰によって貿易財の平均価格は割高になって、実際の為替レートは、購買力平価よりもさらに円安になる。」
円高が止まった理由
W。ここから、論者の持論が展開される。
引用 W。当たり前の事実を語っている。
「原発稼働の停止が貿易赤字を生んだことは大きいとしても、それ以外の理由もある。それは、2013年からの黒田緩和の開始である。短期金利だけではなく、長期金利も大規模な資産買い入れで押し下げて、国内から海外への資金移動を促した(W.ここがアベノミクスのポイント。海外に資金を投入すれば利子が返ってくる。資本収支は黒字になる。)。実際の為替レートは、2013年から反転して円安方向に向かった。」
W.以下の指摘は意外に少ない。
>「購買力平価もまた低下しなくなったことだ(前掲図表1)。
これは、2013年までのデフレ(物価下落)の局面が一服して(Wはもともとデフレではなかった、という認識)、2014年以降の消費者物価が前年比プラスの時期が多くなったことがある。内外価格差の拡大は和らいだ。⇒W。消費者にとってじりじりと少しづつ上がる物価は、肌感覚としてわかりづらい。身近な耐久消費商品を数年ぶりに買うと以前の価格からかなり値上がりしている。コレが正味のインフレ率。異次元金融緩和以降、コ アコア物価は値上がりした。
↓
「総務省が毎月公表している消費者物価指数のうち、「総合」から「食料(酒類を除く)およびエネルギー」を除く総合指数のこと。 アメリカなど諸外国で重視されている」
この黒田緩和が予想外だったのは(Wそこまで間抜けではない、円安が進んでも、貿易収支をそれほど黒字化させる作用がなかった点である
W。統計資料など五万とあるわけだから事前に解っていて、やっている。グローバル資本の権益と政権を維持するためだ。日本支配層は一か八かの勝負に出る傾向がある危ない人たちである。)
引用
「円安→貿易収支は黒字化せず→さらに円安進行、という流れになった。本来、円安になった場合、輸出が伸びて、貿易収支がリバランスする。それが2014年以降は、以前のように輸出が伸びなくなった。その背景には、ミクロの産業構造が変化して、製造業の輸出競争力が低下したという見方が成り立つ。⇒W日本の製造業各部門の交易条件の悪化はすさまじいものがある。輸送機械(自動車類)だけかな、平行線に推移しているのは。コレも以前からの傾向。
W.黒田日銀総裁誕生前から貿易収支のジリ貧化と資本収支の黒字傾向は顕著だった。資本構成の高度化(利重率の歴史的傾向的な低下の法則~マルクス「資本論」2巻~簡単な数式が示されている。~)から成熟化に転じると、経済はサービス化、金融化する。
同時に製造業は超過利潤を求めて海外工場移転する。100年も前から解りきった高度資本主義の経済法則。もっとイノベーションや技術革新はカギを握る。
安くなる労働コスト
引用
「購買力平価説の原理は、内外価格差によって、貿易収支が変化するというものだ(価格裁定のモデル)。その中で重要なのは、価格差があるから円安になる作用ではなく、円安が貿易収支を動かして円安方向に戻る。
国際経済学では、労働力が豊富な国は労働コストが下がり、労働集約的な商品が割安になって、輸出を増やすとされる。
>日本は円安になったことで、やはり労働集約的な輸出品が増えるはずだった。
W」。円安基調で、海外に出て行った工場の日本回帰がおこる、などろいうグローバル資本主義の巨大な資本力を利用した地球規模の産業焼き畑を知らなすぎる幼稚な議論である。しかも日本は労働力の豊富な国ではない。少子化高齢化して品質の良い労働力商品を安く雇えるだけの国。
「趨勢的な名目賃金・実質賃金の推移を確認すると、2000年からほぼ一貫して実質賃金の低下が進んでいる(図表4⇒W。小泉政権)。実質賃金が低下するということは、物価以上に賃金水準が切り下がるということだ(W一般的云うデフレとは違う!給与(社会保障)と目の前の物価の格差を感じて消費マインドが冷え込んでいる。この実態を覆い隠すためにデフレなどという的外れな用語を使用し、支配層のための政策を正当化している。)。だから、2014年以降は日本の賃金は購買力平価でみるとき以上に下がっていることになる。ここに為替レートの影響を加味すると、ドル建ての日本人の賃金は、最近は恐ろしい勢いで低下していることになる。」
「労働コストが安くなっても、貿易収支が改善しないことは、輸出産業の足腰が思いのほか弱体化していることを窺わせる。」⇒W。国民経済的に考えるとそういうことになるが資本は超過利潤を求める本質があり、日本列島ではそれは達成されないので海外に出ていく。国単位の財の出入りを総計すれば貿易収支の赤字になるが、EU、米国と同等の付加価値の実現できる商品(85%。台湾、韓国69%、中国65%)を日本は輸出している。
やれることはやっているのにこの現実。グローバル資本主義と言えども資本主義の歴史的傾向から自由ではない。歴史は螺旋階段上に繰り返す。
しかし、今起こっているのは世界覇権をめぐる二つの陣営の争闘戦ではない。
ロシアと中国は連合できない。BRIGSも連結できない。行き詰った新帝国主義が残存スターリン主義体制に揺さぶりをかけて零れ落ちる利得を狙っている。
ゆえに矛盾の本質は国内の民衆生活を犠牲にして、連合し密集する新帝国主義側にある。
黒田総裁の誤算
引用
「黒田総裁の誤算は、輸出ドライブがかからなかったことにある。
⇒W。予めそういう事態になることは想定していた、と思う。
しかし、じっとしていても埒が開かない一か八かやってみた、ということではないかな。
事を純経済的に考えるのではなく政治領域を眺望して決断したということだ。
おかげでに日銀は超低金利政策から抜け出せなくなった。
出口政策の問題は予め解っていた。論争もあった。当時の円高に対して他に対策はなかったのか?政治圧力に日銀は屈した。
↓
「筆者は、日本の賃金を上げるための方法とは、輸出拡大を通じて企業が生産性を高めることだと考える。
⇒W世界市場で新興工業国家の製造業と競争しろと。
しかし、競争相手の資本に日本儀中が出資しているとか、子会社、資本関係のある企業ということもままある。
精密な中間財を日本から輸出し現地で完成品を作って輸出しているケースも多い。
多国籍企業内の輸出入のケースもある。
結局、国内で創造的な価値を生み出す環境を整えるしかない。
韓国の大学教師の著書の特集をした時感じたのは、韓国では全社会的な合理化が日本よりも進んでいるということだった。
その結果、ハロウィン150人若者圧死惨事が発生している、といっても言い過ぎではない。
教師養成大学の学科の主任教授を国家のその分野のプロジェクトで縛って、ぎりぎり働かせている実態には驚いた。
日本ではそこまでやっていないと思う。そういう環境の境域生産工場で育った教師が義務教育をほどこしていれば、子供はその線に沿って訓練されていく。
長い民主化の経験と反共保守主義の相克という政治世界の現実と新自由主義市場化が適度に融合されているところに韓国社会の特徴がある。
日本にあるのは親米反共だけで、その他のものは欠けている。
150人の若者が圧死するだけの異常な熱狂の場は日本の若者にはない。
日本の生産工程に<改善><品質管理>なども新興工業国に取り入れられている。
引用に戻る
「しかし、多くの国民にとって、そうした発想は以前に比べて乏しくなっている。むしろ、日本人の実質賃金が低下して、輸入品が「割高」と感じられることに関心は向いている。本当の物価対策とは、賃上げなのだが、「貿易拡大を通じて賃上げ」などという話は、選挙戦ではうけないのだろうか。
⇒W.中国の独裁政権の手法だったら、巨額の内部留保を抱える大企業幹部は圧力を受ける。
最も内部留保といっても帳簿上の数字だけで銀行に預けている。
その銀行は国債たその他の投資をしている。
だから、巨額の内部留保があるからアベノミクスのような異次元金融緩和ができる。
>グローバル資本主義といえども歴史的に形成された存在。
>この歴史の万力から逃れることはできない。
>だから解っていても戦争する。
引用
「もうひとつ、賃上げを促進しようとするときに存在する障害は、日本人の賃金は高いという固定観念だ。経営者の中には、高いベースアップ率を認めると、産業競争力が落ちると信じ込んでいる人は少なくない。円安の環境下では、決して日本人の賃金は割高ではないが、2013年以前の記憶が未だに人件費増加への強い警戒感として残っている。円高恐怖症や人件費が高すぎるという固定観念の刷新が求められる。⇒W。商品値上げをすること、ヒトを安く一生懸命、長時間働かせること。コレが手っ取り早く儲ける方法である。コレに対して究極の対抗措置の取り辛い社会は戦時経済である。低強度戦争状態が長期化、常態化するとブラック企業が跋扈する。