wacwac 問題意識
日本国憲法発布前後の1945年10月GHQ、近衛文麿への憲法草案のインフォーマル要請から<内奏憲法否定~天皇米ピックアップ=旧体制との間にくさび>→中止、⇒東京裁判近衛訴追、近衛自死)から~~~(政府)松本大日本帝国憲法、修正絶対君主制保持案。(政党)案<共産党君主制廃止>自由党進歩党社会党。(民間)憲法研究会<高野岩三郎私案君主制廃止>、憲法懇話会~~~1946年3月日本国憲法草案完成までのリアルな政治過程(W注①「敗北を抱きしめて当該箇所引用)をジョンダワーの「敗北を抱きしめて」は米側資料を加味して描いているが、それだけは日本国憲法成立前後の全体像を把握できない。
そこから生まれるのは、日本側の肉体的反発、アイロニーと受容、<意図的読み替え作業>~安倍「美しい国日本」の戦後自民党政権史総括、~~米国側の宗主意識(W注②事例を挙げる)に留まる。それを超える解放歴史観は獲得できない。
>日本国憲法の原案がなぜGHQ民生局の作業チームによって1週間ほどで作成されたのか、リアルな実情は「敗北を抱きしめて」の米側資料に基づく記述で明かにされている。関連個所を引用する。W①注、日本に厳しいオーストラリア、ソ連を含む極東委員会開催日程が迫っており、天皇を無垢のまま憲法に書き込みたい思惑を持ったマッカーサーGHQは早急に原案を仕上げる必要があった。政府の松本帝国憲法継承天皇制案などは論外である。天皇の立場を利用した新植民地主義支配を目論む米側にとって、在野勢力は交渉相手にならないが、民間の憲法草案の発想は参考。
また、成立過程に直接、間接に関与したとされる3要素、(イ、GHQ民生局 ロ、日本政府 ハ、在野の政党、民間団体) 以外に
同じ敗戦国の
A)ドイツの敗戦直後からドイツ基本法成立まで至る政治過程や、できれば
B)イタリアのムッソリーニ政権樹立、ムッソリーニ処刑に至る政治軍事過程
を横並びで参照すれば日本国憲法成立前後の政治過程、その内容、第二次帝国主義戦争敗北後の日本の歩みの特性を理解し、解放歴史観を獲得することができる。
イ)日本の敗北は明治22年1889年発布のドイツ帝国憲法を範とした大日本帝国憲法の敗北である。
A、ワイマール共和国憲法下でドイツ支配層によって非常時大権を付与された大統領によって政権の座に就き受任権を得て党独裁政ヒットラーナチス党政権の瓦解と、東西両ドイツ分割によって、再びワイマール憲法状況が浮上した西ドイツに対して敗戦日本の政治状況は全く次元を異にした。
連合国ポツダム共同宣言を受諾したのは大日本帝国憲法(欽定憲法)で超特権を与えられた君主天皇(東アジアヒエラルキーにおける中国皇帝の下位、天皇意識と蒙古襲来撃退、神仏混交による「神国」意識台頭、秀吉朝鮮侵略、明朝滅亡近世江戸の華夷逆転→国学、神道尊王台頭と黒船攘夷の結合<明治いしん>)とその臣下の政府であった。
ロ)連合国占領軍を主導する米政府、米占領軍は日本の新植民地主義的支配(間接統治)を有効に貫徹する基軸として君主天皇をピックアップした。~~~「敗北を抱きしめて」キャッチコピー~「身を寄せる天皇を固く抱擁」~~~~。
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そして、朝鮮戦争ベルリン封鎖を結節点とする帝国主義と一時的に台頭するスターリン主義の戦後世界体制への転回→スターリン主義体制の本質的な矛盾は商品経済の発展の流れを政治軍事独裁によってコントロールしようとすること。
現中国の社会主義過渡期論では商品経済発展の歴史的な流れの中で中国共産党政権の位置づけがなされている、と聞く。過渡期社会論としての課題の設定の仕方は間違っていない。
>その国にはその国なりの歴史的事実が積み重なり歴史の流れを形成し現状を大きく規定している。その歴史的な流れに沿った適切な政策体系があるはずだ。
政治結果として当時のソ連と中国を比較検討すると、いづれにしても経済に対する政治の主導性が高い過渡期社会における権力支配と政策体系が(資本制の政府のそれより)も重要な意味合いを持つ、ことがはっきりとわかる。言い換えるとイノベーションのできる範囲が大きい。
長い歴史の中で先進資本制の決定的なイノベーション要因は大戦争であった。
欲望の体系をモチベーションにする社会経済構造はヒトモノカネの大移動と暴力的破壊を契機に発展しきた。
新型コロナ感染再拡大にたいして、究極の策は人間の移動の制限であった。
コンピューターサイエンスの発達が日ごとに話題なる一方で最先端の社会で中世のペスト流行の時代と変わらない原始的措置しか対抗策がなかった。スウェーデンの高福祉高負担の社会モデルの通用しなかった。
われわれは現状を肯定するために、片面の歴史を刷りこまれてきたのではなかろうか?
全ての書かれた歴史は支配階級の歴史である。
庶民は歴史の中で名もなく貧しく、片隅でひっそり黙って死んでいった。
民衆の動きが歴史の前面に刻まれていない国地域の歴史は支配階級そのものの歴史である。日本史は支配階級の歴史が刻まれている。だから、この列島の古代中央族長の司祭的権威が今日まで生き延びてきた。
新大陸発見と原住民への新型感染症持ち込みは宗教行為、強盗強姦、虐殺人身売買とともに歴史とは何たるかを知らせている。新型コロナパンデミックはグローバリズムが対抗要因が消し去られ、一つの方向にだけ向いて走り出し、グローバル資本制のシステムが一挙的な進展たことによってよってもたらされた。停滞はもはや許されないのだ。
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ソ連邦崩壊時のソ連指導部は社会民主主義的政策体系しか用意できず、政治大権を手放し経済混乱に陥った。それは途上国の開発独裁の立場から見ても理論的に当時の政治混乱状況にマッチしていなかった。状況に対して前に進んだつもりで、立ち止まって状況を見渡していなかった。
~~~中国の国家資本制的状況は中国専制「国家」史の過渡的形態である。
最盛期に拡張し肥大化した公共政治軍事の重圧によって、
地方末端の分離独立が中枢上部構造に波及し政権の全国支配体制の解体的再編に至る~
その場合、異民族支配も長期にわたることがあった。(もっとも漢民族自体が歴史的混交、混在放置のなかで形成された政治的カテゴリーであり、中華グローバルと同義である。
もう一つの中国史の特徴は変転する支配層の世界と膨大な人民との世界は根本的に分離するが激動情勢の中で入れ替わるダイナミズムがあった。)
~コレが中国史の歴史法則!
ただし、それでも資本制にキャッチアップした現中国専制政治経済風土文化はその巨大なファンダメンタルズからして<帝国の再勃興>としての歴史的意味合いがある。
であれば、やはり、中国専制国家史の帝国の勃興、発展、消滅、帝国再勃興の歴史傾向は底流から消えない。
中国史は単線発展形態ではなく紆余曲折、懐が深い。>
戦後世界体制崩壊→グローバル資本制におけるカネ支配経済構造(階層分裂構造進化)の受け皿としての上部構造の一国主義、排外主義のマッチング。
以上の大きな歴史的視点に立てば、米国支配層は朝鮮半島情勢がグローバリズムによって最前線としての固定的位置づけを外され、韓国北朝鮮が選択肢を拡大した結果、日本を中国けん制、朝鮮半島情勢激化の咬ませ犬として使っていくだろう。そのための安保法制でなかったか。
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ニ)敗戦後も未だに国民の間に国家共同政治幻想性を付与する君主天皇と軍部、貴族(華族)取り巻き、臣下の政府、との間にくさびを打ち込みその天皇君主的国民国家共同政治幻想<国民国家意識の深層に天皇家沈潜、安心感醸成刷り込み効果~~~外れる何となく居心地が悪い。国家=「戸主」天皇家族国民の深層心理=戦前の国体意識の継承変化(結局ヨーロッパ的議会主義の不徹底)~~~>を日本国憲法に明記する必要があった。
したがって大日本帝国憲法下の君主天皇臣下の修正案など受け入れる余地は最初からなかった。
一方で敗戦日本の人民には
軍国翼賛体制を実力打破する政治力量、政党結集力は歴史的に形成されていなかった。
ロ)ドイツ帝国憲法(ビスマルク憲法)は第1次帝国主義戦争ドイツ帝国崩壊、1919年ドイツ「革命」皇帝カイザー国外逃亡=ドイツ帝国崩壊→ベルサイユ体制下のワイマール憲法状況出現によって、完全否定された。
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ハ)ヒットラーナチス党の政権奪取はベルサイユ体制下の過酷な賠償金、ワイマール憲法状況における社会民主党政府と小政党連立政権の混乱、ワイマール憲法に埋め込まれた~~~合法的社会主義への道を頂点とする数々の民主的権利擁護の当時としては先進的な憲法項目との均衡を保つための「大統領の大権」(首相・閣僚の任免権、国会の解散権、非常時の緊急命令権)を法的根拠とする憲法下の独裁権確立と、1929年アメリカ発の世界恐慌(世界経済の約半分を占める~ドイツへの多額の資本流入引き上げ)、
さらには1917ロシア革命のスターリン主義体制という金融寡頭制世界帝国主義の不均等発展における矛盾と1930年代の時代背景を要因として可能となったものである。(したがって、現状のグローバル資本の支配層はその構成要素の政治文化担当部門である巨大ITメディア伝動ベルトを通じてその時々の民衆の頭脳に己の政治意志を手を変え品を変えの刷り込み作業ができるので、1920年代~1930年代の大衆動員のプロパガンダと政治テロを根幹とするファシズム、ナチズムの政治手法と統治形態を再現する必要はない。)
@ドイツ軍国主義の伝統と文化、その中の国民の選択がヒットラーナチス党政権を生み出した。ベルサイユ体制や、世界恐慌という客観情勢の要因は巨大だったが、ワイマール共和国憲法はドイツの軍国主義と伝統と文化、国民意識と社会民主主義、スターリン主義、主導性なきブルジョアジーの対立矛盾を内部に抱え込んでいた。
日本国憲法にも米国支配と戦前的天皇制の残滓、戦後日本的ブルジョア民主主義の混在が認められる。その特性は天皇制民主主義と米国支配の蜜月状態、および憲法的民主主義の可変的均衡関係であるが、ワイマール共和国憲法のように大統領非常時大権を埋め込まれていない。しかし、国会多数派に依拠した政府と首相権限の拡大によって、非常事態法の政令が大胆にできる、という特性がある。憲法なき市民革命の歴史的文書が憲法代わりになっているイギリスの議会と内閣の歴史的重責が日本国憲法を素通りした国会多数派にいしょする政府内閣の増長として実現する構図が潜在している。
米国支配と天皇制民主主義が憲法的民主主義を骨抜きにできる構図が日本国憲法にはある。9条突出平和主義の啓もうは9条以降の条文と並列させて提出されなければならない、と思う。
ニ)第二次帝国主義戦争に敗北したのはワイマール<共和国>憲法状況を法的根拠とする選挙で多数派を獲得したナチス党独裁政権であり、敗戦によるナチス政権の崩壊は英米仏ソの分割統治を招いたが、ナチス党政権が一掃されて、分割ドイツの西側では政府なきワイマール憲法状況が露出し、その状況下では憲法論議を地方から下から、積み上げて集約していくしかなかった。
敗戦ドイツを取り巻く内外環境は、ソ連スターリン主義との近接(政府なきワイマール憲法状況露出、西ベルリン、東独、東欧陸続き)との関係からも、占領日本のような新植民地主義的支配体制を受け入れる余地はなかった。その後の西ドイツの独自の歩みを見ても分かる。
ホ)日本では欽定憲法下の政府がポツダム宣言を受諾しその内容で占領政策を受容した。
言い換えると、対日連合占領軍は欽定憲法における天皇を政治的にピックアップし占領統治と戦後世界体制東アジア版の確立のために、それを取り巻く大日本帝国分子との間にくさびを打ち込み基軸として位置付けるしかなかった。
>ただし、第二次世界大戦の日本敗北が第一次大戦のカイザー帝国の敗北の後追いをしたかのような外面を持ち、中身はまるっきり違う周回遅れであるように
>今の日本政治経済軍事の転回は戦後の西ドイツが歩んだ道の平和的外面に日本国憲法内外状況は対応するが、
東アジア地域環境、日米一国間軍事同盟など基本的な要素においてあまりにも違いがありすぎる。
グローバル資本制とその政治上部構造の激動は日本当局を日米安保体制依存度深化の選択肢のない立場へと追いやっていくだろうが、他方で米国の利益はそのような選択肢の狭まった日本から、自国の利益を引き出すことを最優先にする。
言い換えると日米両国支配層の利益は大きなところで合致しているが、両国民の利益に行き違いが大きくなってくる(円安維持対米商品輸出、米国債購入、米株式購入のカネの流れ)。
>この支配層と国民利害の乖離の拡大を糊塗できるのは
韓国中国への排外を煽り、日米支配層の利害一致による国民の不利益から目をそらすこと以外にない。
ただし、そうした排外主義は、個々人のモノの見方考え方の総和ではなく、沸き起こるのは日本経済後退の歴史的な趨勢を物的根拠にしているのだから、絶えることはない。
嫌韓、嫌中は商売になる。
しかしグローバリズムのヒトモノカネの交流はEU東欧を見るまでもなく東アジア、アジア地域の緊密性を高める働きをする。
隣のうちの建て増しが気になって仕方がないので、嫌韓嫌中のカーテンを引くのだ。日本文化独特のそこにある実在を見ないことにできる特殊技術の発揮だ。
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wacwac重要参考資料。この解説文がネット上で閲覧できる最良の分かり易いワイマール憲法状況からヒットラー独裁にいたる解説文である。
Wワイマール憲法はドイツ革命における、社会民主党勢力、主導性希薄なブルジョアジー(憲法を書いたのはブルジョアジー脆弱政党の一員である)と軍国ドイツの基礎であったユンカー、軍人層、旧体制エリート、カトリックなどの旧体制勢力の妥協の産物であった。
両者を調停する立場にあった政治基盤脆弱なブルジョアリベラリストや学者が両者のパワーバランスと国家としての統一、伝統的な指導者原理を眼目として大統領大権などの項目を憲法に埋め込み、それが結果的にヒットラーナチス独裁への合法的な道を開いた。
ブルジョアジー政治勢力の一員としてワイマール憲法策定に至る政治過程でその指導者原理など決断と実行を強調する多数の政治評論がある。ワイマール憲法に大統領大権を書き込むことも後押ししているが、その事実を抜き去り、社会学の方面の分析を抜き取った大塚久雄などの解説が日本では行渡っている。コレは日本独特の欧米人文科学の受容の仕方である。
日本国憲法も1条~8条と9条の矛盾を含んでいる。
天皇条項は国家と国民、市民がそれを取り外すと安心感を得られない感覚に依拠するところが大である。
神や自律的倫理観なき資本制の共同体依存社会構造において政治統治暴力を根幹とする支配に国家共同幻想を付与し、繋ぎとめるのは天皇制民主主義である。対応するのは中国の専制支配。台湾、朝鮮半島の分断国家状態と専制支配。
しかし、真っ先に近代化した日本では、家族主義の民法法体系、刑法における戦前項目維持など、戦後経済発展を底支えしてきた大枠がグローバル資本制独特の小単位の機動性に合わなくなってきている。日本経済の停滞性を打破するためにはこのような法制を止めて、社会の風通しをよくすることが大切。
また、日本国憲法はもっと機能的な要素のかきこみだけでよかった。韓国、台湾ではグローバル資本制に適合する法整備が実現しつつある。日本中国では国家の役割への依存度が高まっている。