反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

特捜検察の小沢捜査容認、参院選で20%得票減の日本共産党はどうしてダメなのか

 まず最初に断わっておきたい。私は今まで共産党を支持したことは一度もないし、普段関心もない。
だが、この党の小沢捜査や検察審査会への対応には正直腹を立て続けてきた。その程度であるが、理屈に流れがちな人間だから、やりだしたら「理論的」にやる。
 
 日本共産党は先の参院選において前回の総得票440万票(7,48%)から356(6,10%)万票まで得票を減らした。
 これは共産党参議院選を終えての発表に基ずくが、前回に比べて、どの程度退潮したのか、計算し直すと、実に20%弱に達する、得票減が判明している。計算した私自身も驚いている。当然党幹部も私の様な計算をしているはずだが、公表されていない。
 
 市場原理主義政策によって日本国内に急速に格差が拡大し、戦前共産党の文学者小林多喜二の「蟹工船」の文庫本がよく売れる、とか党員の数が短期間で9千人増えただとか、の風評とは全く相反して、国民の間では共産党の評価の低落傾向は止まっていなかった。
 
 このブログにおいても共産党を一度だけ批判したこともある。
 その時の内容は共産党の閉ざされた組織体質と絶対の党による国民認識改革運動の円環の拡大の果てに日本の改革を見る誤りを指摘した。これは完全な党派主義路線であり、国民の生々しい動きとの接点は少ないし、ある場合は大きく敵対する路線であると批判してきた。 
 
  組織体質としては創価=公明とよく似ており、先進国では今やどこにも存在しない、外に開かれたモノではなく、世間の動向とは別な党内論理、倫理がいまでに優勢に機能している、稀な党である。
 
 現在の共産党の政治路線は事実上、社民左派の方向にあるのに、組織の構造は共産党が1992年綱領で批判するところのスターリンの中央集権主義を踏襲している。
 (私は自称ロシア革命の研究者でもあるので、共産党がいう様な民主集中制の組織原則がボリシェビキを権力に導いたモノでないと確信している。革命は当時のロシアの革命的諸政党がけん引した。これが実態である
 ボリシェビキの鉄の組織原則は事実上、革命当時なかった。過酷な内戦の中で実行されたモノである。戦時共産主義のもたらしたモノで、そのような原則では革命に向けて労働者を組織できないのはハッキリしている。共産党がいう様な民主集中制レーニンが書いていても実行されるところは少なかった。レーニンは別なところでもっと生き生きとした党員の創意工夫、自主性を重んじる党活動を提起している。コチラの方は実際の姿で共産党のいう様なモノは党官僚主義スターリン路線である)
 
 だいたい以上が以前当ブログが指摘した内容である。
 
>>>共産党を批判したのは
小沢一郎への特捜検察の一連の攻撃に対するこの党の対応を見ていると、正直、ヤッパリな、と納得できるからだ。共産党の小沢氏への対応にはハッキリとした根拠がある。
 
 それは、どうして先の参院選で低落傾向に歯止めが全く掛ってないか、の理由とも関連する。
 また、得票数の20%モノ減があっても、発表の何処を読んでも、自分たちの政治方向は正しかった、といいはっていることとも関連する。
 
  >>>この政党は私の知っている限り、完璧な現状の「秩序護持派政党」。ここに本質がある。
だから、秩序が大きく揺らいだときは必ず、秩序を守る立場に立つ。
  根源は人民的議会主義にあるが、5~6行で済ませることはできるが子では論じない。
 
 小沢氏への攻撃は利権癒着勢力がその利権を脅かされそうになっている事に深い動機があると考えるが、共産党にはそんな考えは全くなく、180度違った角度から、この問題を金権腐敗の問題ととらえ、特捜検察の小沢攻撃を容認し、ともに小沢氏を追及する。
 
 この立場に立てば、特捜検察や検察審査会の無法は全て容認される。論理的、政治力学的にそういう事に完全になる。
 
 どうしてそうなるのか?
 以前、この党には批判を加えてきたが、今回はもっと深く立ち入って、今日は共産党問題を考えてみた。
 
 この党の一番最近の綱領なるモノまで検討していると、戦前のヤルタ会談アメリカの原爆実験、ポツダム宣言、広島、長崎原爆投下、ソ連対日参戦まで考慮に入れなければならないことが分かった。
 さらに、ポツダム宣言の内容や東京裁判に対する一部の意見も検討に値すると感じた。
 
 時間不足で詳しい展開は次回としたい。時系列で追っていく実に面白い事実が分かった。
 
ただどうして、そこまで考える必要があるのか?についてだけ書き記しておく。
 
 共産党の現綱領の現物を点検すると書き出しから、間違っていると考えたからだ。
第二次大戦、日本の敗戦に対する歴史認識が間違っている。
 
 1) 共産党は連合国と枢軸国との世界戦争をファシズムと民主主義の戦いととらえ、連合国側からの戦争を反ファッショ戦争と綱領で規定している。
 2)ポツダム会談、ポツダム宣言の立場を肯定している。
 3)その立場から、戦後史を見ている。
 
 1) 帝国主義の不均等発展の矛盾がソ連を巻き込んで爆発した帝国主義戦争であり、世界市場の再分割戦そのモノもである。この意味で第二次大戦は第一次大戦を引き起こした世界矛盾の継続爆発でもある。 この世界戦争の本質は民主主義陣営とファシズム軍国主義陣営の戦いではない。これは表面的なモノ。
 
 共産党ソ連の存在をも加味して両陣営の世界戦争としているが、実態は帝国主義の、もっと原理的にいえば、資本主義の基本的矛盾に一国社会主義の政治目標を掲げたスターリンのロシアが巻き込まれ、その一方についた戦争である。
 
 それが現象として、民主主義とファシズムになった。どうして後発資本主義国がァシズムの形態をとってしか世界市場の再分割戦に立ち向かえなかったかが問われなければ成らない。、其々キチンとした理由がある。
 特に日本の改革を目指す場合、日本の特殊性の分析は大事。
  
 共産党綱領の様なポツダム体制に軸足を置いたような立場は日本の草の根には浸透しないモノで、民衆意識とはかけ離れている。いわゆる反共意識とは関係なく、共産党が日本の民衆に浸透しない要因の一つに挙げられる。
 
 実践的理論的に共産党は破綻を未だ綱領としている。実践的とは草の根意識との違いである。
理論的とは第二次大戦を帝国主義戦争と認識できない誤りである。しかしこの誤りは余りにも大きすぎて未だに克服できない。
  
2)今回はキチンと説明できる時間がないが、調べていて面白かった。大戦末期にアメリカに世界戦略上の主導権が移っていく様子がありありと理解できて大変勉強になった。
 
 キチンと時系列に沿って展開すれば、アメリカの軍事力政治力による戦後世界支配の実態が良く理解できる。
 このリアル描写は実に生々しくアメリカの姿を露呈させる。
 日本の歴史家はそういう作業をやってこなかった。共産党歴史観も影響していると思う。
次回必ずやるつもり。