今の民主党の両派に分かれた対立構造は基盤も背景も全く違っている。時代状況は戦後高度成長の終えん、といっても日本経済にはまだ発展の余地があった。世界経済にも同じことが言える。
自民党は戦後利権勢力の一環を占める強い基盤の上に立ち、政権から引きずりおろす勢力はなかった。
民主党の昨年来から続いている党内対立はその時と全く違った環境で展開されている。
にも拘らず、管や仙石の当初から目指した党内政治は田中ロッキード事件の時の三木首相の政治手法である。
そのような政治手法を用いて対立を煽り、国民の支持を得ていくだけの環境も体力もないのに同じようなことをやっている。
政権交代後の民主党が利権癒着勢力に「政治とカネ」「普天間基地問題」で諸政策の実行を阻まれている背景で、この政治手法が用いられているのだから、かつての新左翼党派の内ゲバを想起して、事態を分析するのは妥当性がある。彼らは権力の圧迫の枠内で武力行使をして争った。
ただし、無関係な人の論評は間違った部分が多すぎて、現下の民主党内闘争を正しく位置づけられていない。
全く違った党派の対立だから、戦争の様なもので、ともに武装力に限界があるのだから、決着はつかず、両党派は結局、潰れなかった。今でも全国レベルで人を集めたら、小沢支持デモの何倍もの動員力がある。
勿論戦闘力は高い。
党の支持基盤は崩壊し、精力的な活動家は去っていった。それでも党内で争いを続けている様は、その方面に詳しいモノさえ、理解できるものでなかった。党は潰れたり、影響力をなくした。
民主党の現下の党内闘争の構図はずばり言って、この党内闘争で潰れた党派の様相をきたしている。
武力を用いて両派が争っていないだけで、確執にはあらゆる方途が使用されている。
代表選の辛勝で得た政権、党執行部の権限、強制力を最大限行使している。
彼らの末端議員によると大きな政策転換によって、国民のための諸政策を実行しているというが、その大きな政策転換の中に小沢氏の政治的抹殺が組み込まれている。
一方、小沢氏側も身を固くして、徹底抗戦の構えである。一部には大阪ハシモト、名古屋河村との連携を模索する動きもある。
外ゲバも含めた内ゲバ。
やっているのモノの政治勢力としての力をそぎ落とし、大衆的基盤を喪失させたり、党崩壊をもたらす。
この政治結果を見通せない政治指導者が悪い。
これに尽きる。
指導者が別の政治路線を打ち出すと争いはとりあえず、終息する。外ゲバの場合がこれだった。
潰れた党派は何れも本物の内ゲバをやった党派だった。
それほど、支持基盤、権力基盤の薄い状況下での激烈な党内闘争は党を破滅させる。
実際に過激暴力が駆使されるか否かは、本質的なことでない。
民主の内部抗争は激烈な政治闘争で管ら執行部は手にしている権限、権力を行使している。暴力行使と同じ性質で、強制力を発動していることに変わりはない。
このままいけば、党が二度と政権に近づけない、国民から見放されたモノになるという、正常な判断力を喪失している。
傍からは政権にしがみつく為には何でもやると、見られるのは当たり前だ。そこに政治指導者としての正常な政治感覚がない。
ダークサイドでの小沢切りを政権延命の取引材料にしている、としか思われない。
小沢氏を排除すれば、民主党は以前のふやけた政党になる、と要求するほうは踏んでいる。
単純な党内闘争ではなく、まるでスパイに浸透された、指導部が争いを率先しているような様相をきたしている。
以上私の書いてきたのは、全く党と関係のない第三者の感想である。どこまでが真実なのかも実際のところ解らない。
京セラの稲盛さんは匙を投げているらしい。
彼には投げる匙があるが、それがない私は代表選で小沢氏を支持した時点で、民主党には投票しないと決めている。
参院選で迷って民主に入れたことを思想の問題として後悔している。あそこできっぱりと態度を確定すべきだった。
が、これからの政治状況を考えると民主が、衰退することは望ましくないと考えている。
支持大衆は反動の下に走る可能性が強い。実際のそうなっている。
民主は党綱領もない政党だそうだ。
そういう政党が重大な決定を形式で決めて行くのは、理不尽である。もっと柔軟に対処する、まさに今がこの時だ。
単なる1国会議員の党員資格停止ではない。党の今と将来のかかった決定である。
口先ではリベラルなことは何とでもいえるが、実際やっていることが強制力の一方的行使になっている。
民主党が今後政治を展開していくうえで、党の一体化、支持基盤への留意は不可欠である。
それもできないで、どうして政権を運営し、外国との困難に対処できるのか。
ホント、やっていることが、子供じみている。