反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

2020年8月15日記す。第18回Japan in the Wake of world War Ⅱ「敗北を抱きしめて」12章GHQが新しい国民憲章を起草する。付録NHK音声資料より、動画。犬養毅、近衛文麿。佐藤達夫(憲法対GHQ交渉者)。金森徳次郎(憲法国会答弁法制局長官)。片山哲。芦田均。石橋湛山。

 引用

「46年1月の最期の日、『毎日新聞』の記者、西山柳造は松本員会がして会合を開いていた部屋で、修正憲法の草案が言ったバインダーを見つけた。彼はそれを拝借し急いで新聞社に持ち帰って、同僚たちと書き写した。その後草案をこっそり戻した。

毎日新聞のスクープについては、当時、いくつかの誤解が見られた。

>民生局Government Section、通称:GSの高官たちは、日本政府による意図的なリークであると考えた。

コートニー・ホイットニー - Wikipedia

>准将はマッカーサーに、記事は吉田茂外相が観測気球を打ち上げたものだと語っている。

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W参考資料①

民政局 - Wikipedia

チャールズ・L・ケーディス - Wikipedia

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W参考資料②

アメリカ対日協議会 - Wikipedia

*ユジーン・ドゥーマン - Wikipedia

W。ジャパンハンドラーの前身のような日米支配層の利益を追求する対日工作団体

引用

1945年にドゥーマンは大戦終結に向け、元上司のグルー国務長官代理

W参考資料③ 。

ジョセフ・グルー - Wikipedia

前回の記事、近衛上奏文に登場する、日米開戦直前までの駐日大使。開戦前まで国務省対日政策主流派。日本軍部の強硬路線展開と共に影響力低下。自身もボストンのイギリス系名門出身、日本のトップレベルの支配層との庶民階層の生活実態とはかけ離れた交流が深い。Wの見解ではそれなりの一貫した対日持論を持つ人物だが、政治センスなき天皇制融和反共主義者近衛文麿は上奏文でグルー情報に依拠し天皇護持は米国中枢の見解としている。間違っていないが、緊迫した世界情勢においてリアルで流動的な政治軍事面での変数の適切な処置~判断力と決断~が求められた。

>今日の日米安保体制に連なる人脈を知るうえで参考になる人物構成。アベ長期政権のコロナ渦の庶民離れした政策の土台を知るうえで参考になる

引用

最後の説得—「対日声明に天皇制存置を」

1945年5月28日、大統領が日本に降伏を呼びかける声明を発することがあるならば、降伏の条件として、天皇制存置を認める文言を含むことをハリー・S・トルーマンに進言する。声明案は詳しく検討され、「原則において同意された」が明らかにされないある軍事的理由から、今ただちに行うことは好ましくない」と判断され。」

1945年7月1日天皇制存置条項をポツダム宣言に入れることを働きかけたバーンズにメモを手渡した。

W参考資料④

ジェームズ・F・バーンズ - Wikipedia

W。戦時動員局長としてマンハッタン計画に関わる。マンハッタン計画の情報を知っていたのは政軍中枢の極一部。グルーやスティムソンに情報は降りてこなかった。

経済学者で当時、ニューディール価格統制局の実務リーダーをしていたケネスガルブレイズ近々原爆完成すると聞かされた。その人物がバーンズだった。~「ガルブレイズは語る」~

>前回の記事を参照。

強調部分のアメリカ中枢の切迫した政治選択とジョンダワー描く「敗北を抱きしめて」の世界は異次元の如くかけ離れているWはダワーの描く世界にソ連は出てこない、不思議を指摘した。

実際のアメリカ中枢の政治選択の変数はソ連、欧州東部戦線、対日最終軍事行動、原爆投下であった左記の変数に対して天皇制存続対日新植民地主義的支配と、対ソ世界覇権獲得のための不可欠な定在であった。

今の日米安保体制において、敗戦後アメリカ中枢において不可欠な要素だった天皇系支配層は資本制的に拡大再生産された、とみる。

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引用 バーンズ ウィキペディア

戦時動員局長に抜擢される。原爆開発を担当していたマンハッタン計画にも深く関わっていく。

マンハッタン計画の責任者の一人として、東ヨーロッパで覇権を強めるソ連を牽制するために、日本に対する原爆攻撃を支持していた

そのため、天皇制の護持が容れられれば、日本には終戦交渉の余地があるとする

戦後日本を有望な投資先と考える国務次官ジョセフ・グルーら三人委員会とは正反対の路線であった

ハリー・トルーマン大統領のもと、1945年7月、国務長官となり、三人委員会の提言を独断で黙殺し、原子爆弾の使用を強く大統領に進言した

@また、日本の最初ポツダム宣言受諾回答(天皇の統治大権に変更を加えないことを条件とした受諾を拒否

>「天皇日本政府の権威は連合軍最高司令官に従属subject to)する」という趣旨の「バーンズ回答」を起草、返信したことでも知られる。

>日本政府は最終的にこのバーンズ回答を受け入れてポツダム宣言を受諾した。」

>「バーンズは、原爆の力を使えば、ソ連に加勢してもらわなくても、本土上陸作戦の前に日本を降伏させることができると考えた。もしそうなれば、戦後の世界でソ連の力を抑えることもできるし、ベストの結果となろう

>しかしこのタイミングで日本の降伏条件を緩和した場合、日本が降伏してしまい、原爆投下の機会を逸することをバーンズは恐れたそこで「降伏条件の緩和で日本の降伏を促進する」という路線については「原爆投下までは棚上げすべし」とトルーマンに説き、大統領を味方につけることに成功した。←W原爆投下は対日降伏を即すこと、同時に予想される戦後世界体制を巡る戦いにおけるソ連けん制の一個二重の意味があった。バーンズ的論理に立てばアメリカは大戦終結後の主導権を握るために、どうしても降伏する前の日本に原爆を投下しなければならなかった。ポツダム宣言天皇制存続を明記知れば日本は原爆投下前に降伏してしまう可能性があり、それでは一個二重の原爆投下のソ連けん制の意味が消える。悪魔の選択である。

  引用バーンズ

『こうして降伏条件を緩和することで、日本の降伏を促進すべしと説くグルーやスティムソンの陣営と、原爆を投下し、その威力を示すまでは、降伏条件を緩和すべきでないとするバーンズとトルーマンの陣営とにトルーマン政権は分裂することになった。」

  引用終わり

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ドゥーマンの項の引用に戻る

「ジェイムズ・クレメント・ダン国務次官補の特別補佐官として、日本の降伏を求める政策決定に関わった。ドゥーマンは、ポツダム宣言1945年原爆投下の前に出された警告)の起草者の一人である。」

ドゥーマンは、日本に対する核兵器の使用に反対し、天皇制維持の強力な擁護者であった。ドゥーマンは、退職した戦後期には強力な反共主義者で、1957年にはウィリアム・ジェナー上院議員による赤狩りに参加し、共産主義者の疑いを懸けられたカナダの外交官で日本学者のハーバート・ノーマンと、アメリカの外交官のジョン・エマソン(後に駐日大使館で公使参事官となった)に対して、強硬な非難を行った。」

日本国政府は1960年勲二等旭日重光章を贈って長年の功績に報いた。」

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  「抱きしめて」本文に戻る

「スクープされた草案は、委員会がGHQに提出する予定のモノよりも保守的な程度がまだ低かったことが後に明らかになる。」←W。姑息なやり方は見透かされていたから、茶番であり軽蔑を誘ったと思う。

 しかしこの草案でさえ、拒食的で、反動的で、時代の雰囲気や要求から完全にかけ離れたものとして嘲笑の的になってしまった。

毎日新聞』の社説がこの件についての平均的意見だった。

ほとんどの国民が『あまりにも保守的、現状維持的なものに過ぎない』この政府私案に深い失望を感じており、この試案が「法律家見習い」による文書の寄せ集めであって、「新国家構成に必要なビジョン、政治的識見、理想にかけている」と述べていた。

そして憲法の改定は「単に法律の問題ではなく」むしろ「極度に政治的な営為」であって

>松本とその同僚たちは、『日本が革命期にあることを全く理解していない』事をただ露呈しただけとした。←W。新聞関係レッド・パージ

メディアのレッド・パージ

引用

読売、朝日、毎日、共同、日経、東京、時事通信、放送協会の8社で336名を解雇した。その後全国の地方紙にも同様の措置があって、50社704名が解雇された。」

これは司令部の命令ではないから、経営者各自の責任において遂行されたい。しかし司令部は背後から支援するし国警や労働委員会などにも、指示してあるから安心して施行せよ。」この指令を拒否した新聞社代表はいなかった。 

    

7   SCAP(連合軍総司令部)が引き継ぐ

  引用

「日本の新しい憲法マッカーサーがかくべかざらるものと言明した三原則に基づいて作成されることに荷った。ホイットニーがこの会議に持ってきた走り書きのメモには次のように記されていた。

    1

天皇は、国家の元首の地位にある。The Empeor is at Head of the State.

皇位世襲される。

天皇の職務及び権能(Wも1条~8条に関してこういう書き方をする)は、憲法に基づき行使され、憲法に示される国民の基本医師に応じるものとする。 1条~8条に相当。

    Ⅱ

省略。9条に相当。日本共産党憲法草案において天皇制廃止と9条に反対している旨、「敗北を抱きしめて」。「囚われたる民衆」の高野岩三郎憲法私案は天皇制廃止。

天皇制を取っ払ったら、国防軍像が浮かんでくる。

「囚われ続けている民衆」に9条の活字は意匠として必要。

天皇君主と欧州の君主とどこがどう違うのかといえば、欧州の君主主義者に君主を奉って政治的な盲目になる人の割合が<現代史上>希少になっていること。天皇君主主義者にはイデオロギーのタコつぼにはまっている人が多すぎる。

経験上、政治論はあっても経済論がない、ので危ういと指摘していたが、最近では様子が違ってきているようだ。しかしその経済論が実に怪しい。日本のMMT論者は原理主義者。一国主義者。基軸通貨アメリカがやるならまだしも円を大量擦り続けると日本の肝心のファンダメンタルズが固定的なのだから、そこに巨大財政出動をつぎ込んでもやがて空手形になるよ。円で今ままで通りに外国産品が買えなくなる。円安傾向が続けば、インフレが来る。国債金利も上昇する。そうするとインフレ、不況、国家予算の圧迫、のスタグフレーションのドツボにはまる。さらに大事なことはそういう財政膨張政策は予算の流れの不透明性や政府統制を強める。

主要企業や個人、団体がため込んだ剰余価値を動かそうとして赤字国債を市中の大量発行したり、日銀が買い込んだりしているようだが、それでも投資や消費に回らなかった。今回のコロナ渦の状況を肌身に感じるとつくづく日本経済の大量検査体制さえ物理的人的に取れない、弱体振りや日本政治の求心力、集中力の不足を感じる。日本ってこんな弱い国だったのかと。次に財政巨大出動という順番ではもう後が無くなる。危ない橋は渡らないほうが良い。横ばいを前提に地道に足元からやっていくしかない、と思う。

    Ⅲ

日本御封建制度はその役割を終える。

皇族を除き、現在生存するモノ一代以上に及ばない。

華族に地位は今後どのような国民的市民的独自の政治権力を伴わない。

>予算の型は、英国制度に倣う。

このような大まかなガイドラインからモデル憲法を作成するために時間はどれぐらいなのか?

>草案は2月12日までに完成させ、元帥の承認を得られるように準備しておかなければならない。

>なぜこの時点でSCAPは日本政府の肩代わりをして憲法草案を作成することにしたのだろうか?

それは~やはり天皇の地位に関わっていたのである。

迅速な行動は天皇を擁護するためにはそうしなければならないと考えたからである

つまり元帥は彼が抑え込もうとした保守主義者たちと基本的に同じ心配から行動を起こすことを決意したのである。

>最高司令官の三原則の中で、天皇の地位が最初に挙げられたのは偶然ではない

戦争放棄封建制度の廃止は彼にとって二の次で天皇制と天皇個人を救うこと~

>これはマッカーサーは約束した日本の『非軍事化と民主化」←Wポツダム宣言

を否定するものではなかった。

天皇はこの方面でも救世主になりうるからである。

@~日本の保守主義者たちが最も大切にしている目標が←W天皇制護持(国体護持?)

@まさに政府自身の超保守的傾向によって危険にさらされているとおもわれたからだ。

@日本の高官たちが何度も聞かされたのは『マッカーサー」草案という基本モデルを受け入れることによって、天皇制を全面的に廃止をうたうような急進的修正案を押さえることができるのだ。

元帥は皇室は二つの方向から深刻な脅威にさらされていると考えていた。

第一は日本国民からの脅威である。

高野岩三郎共産党憲法草案に具体化された共和思想は時がたつにつれて強力になるだろう←W??

@第二は諸外国からの脅威である。

連合国陣営の中には天皇に強く反対する国々が存在し、近いうちに憲法改正の諸条件に干渉するようになるだろう。←W。連合軍総司令部の対日支配という看板を掲げているが実質はアメリカの世界覇権(もちろん対ソ)の拠点として天皇と敗戦日本を使えるようにするということであり新植民地主義的な占領であった。

@この外国からの脅威について言えば、日程の問題が突然表面化したのは、多国籍の極東委員会(FEC)が間もなく組織されようとしていたからである。

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極東委員会

太平洋戦争に敗北した日本連合国占領管理するために設けられた最高政策決定機関[2]。強大な権限を有した連合国軍最高司令官総司令部GHQ/SCAP)もその決定には従うものとされた。」

1945年昭和20年)9月に設置されたが、12月のソビエト連邦アメリカ合衆国・イギリスのモスクワ三国外相会議において、英・米・ソと中華民国オランダオーストラリアニュージーランドカナダフランスフィリピンインドの11カ国代表で構成される。」

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 引用に戻る

@事実1月30日には極東委員会発足の準備のために「極東諮問委員会」の委員たちが東京で元帥と会見し、憲法回線の進捗状況を尋ねている。

極東委員会は、2月の終わりごろに正式に活動を開始する予定であった。

*『憲法改正について政策決定するという貴官の権限は、極東委員会がこの命題について政策決定を公示するまでは減じることはない

*この覚書は次のように続く

*それ以後は憲法改正に関する指令は4か国からなる連合国対日理事会(W。英米中華民国)のいずれかの構成メンバーの異議あればそれに服さなければならない。

*対日理事会は、極東委員会が活動を開始した直後に東京で活動を開始する予定である。

こうして突如として天皇天皇制に敵意を抱く国が、マッカーサーの権限をしのぐ可能性がでてきたのである

@このような状況下でマッカーサーが直面した課題は極東員会が実質的に活動を開始する前にポツダム宣言の要請を満たし、なおかつ天皇制の存続を可能にするような憲法草案を公の討議に賭けることであった。

*民生局がモデルとなる憲法の草案を書き上げホイットニーたちが松本やその同僚に、草案の背景となっている論理を説明したが、この時も、君主制の存続が松本たちの主要な関心事であった。

:だからこそアメリカの草案を日本側に初めて提示した時、ホイットニーは長々と説明したのである。

 W。以下のホイットニーの松本らへの草案説明を読むと、これら大日本帝国憲法主義者の頭の中では天皇>>=国体~~国民という転倒した国家観が実存していることが解る。このような国家幻想はおのれの身分と直結した頭の中の実在なのだから削除することはできない。まさに松本らにとって天皇制は唯物論的な現実である。

  あなた方がご存じかどうか知りませんが、最高司令官は、あなた方の天皇を戦犯として取り調べるべきだという、次第に強くなりつつある外の圧力から天皇を守ろうとする固い決意を保持してきました。ですから最高司令官は天皇を守ってきました。

そうすることが正義に合すると考えてきたからであり、今後も力の及ぶ限りそうするでしょう。

しかしみなさん、最高司令官は万能ではなりません。

 

とはいえ、さいこうしれいかんは、この憲法の諸規定が受け入れられるならば、天皇は事実上安泰になると感じています。

これを受け入れることによって日本が連合国の管理から自由になる日がずっと早くなるだろうし、日本国民のために連合国が要求している基本的自由が、日本国民に与えられることにもなるだろうと感じているのです。

 

このようなやり取りの主旨は、ホイットニーらが、『内閣で最も反動的な分子』とみなしていた吉田茂外相のような人物にも、やがて納得された。

吉田は5月に総理大臣に就任したが、後になって、保守派の同僚にわざわざ次のように説明した。

敗戦と占領という状況下においては、憲法の修正は観念的な法律問題ではなく

①国家の救済、②皇室の安泰、そして③占領の早期終結という実際的な政治問題だった、と。←W。民不在。吉田茂はずる賢くある意味で正直な人物である。名宰相と今もなお持て囃されている。

 

 第13章 アメリカの草案を日本化する


1/2 声でつづる 昭和 人物史/佐藤 達夫 2017 11 06 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


2/2 声でつづる 昭和 人物史/佐藤 達夫 2017 11 13 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


1/2 声でつづる 昭和 人物史/金森 徳次郎・日本国憲法 制定に関する 談話録音 2017 11 20 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


2/2 声でつづる 昭和 人物史/金森 徳次郎・日本国憲法 制定に関する 談話録音 2 2017 11 27 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


声でつづる 昭和 人物史/片山 哲・時の人 2017 12 04 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


声でつづる 昭和 人物史/芦田 均・あしだ ひとし・再軍備に ついて 2017 12 11 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


1/2 声でつづる 昭和 人物史/石橋 湛山・いしばし たんざん 2017 12 18 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


2/2 声でつづる 昭和 人物史/石橋 湛山・いしばし たんざん 2017 12 25 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ


声でつづる 昭和 人物史 犬養毅・近衛文麿・議会政治から大政翼賛へ 2018 03 26 ラジオアーカイブス・NHKカルチャーラジオ