反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

「戦後ドイツ」三島憲一、岩波新書を読み込む。第二次大戦後の日独の民主的制度改革と民主主義運動、経済成長の関係。日独の環境保護、反核、反原発運動のメンタリティー相違の歴史的背景。

A)英米仏独占領軍分割統治から始まった戦後ドイツの底辺民主主義の活性化は1960年代=経済的余裕のあるときに政治的自由な空気を民主的制度改革に定着化できた。
B)日本は60年安保後の高度成長経済期に大規模な脱政治化現象=経済的余裕のあるときに55年体制のまま、民主的制度改革が進まず、経済成長至上主義。
その結果として、他の先進国よりも、経済成長突出。
 
1)1985年プラザ合意によって、G5による内需拡大要請の下、金融緩和、バブル経済発生ー破綻ー日本的経済成長システムの米英式改変(この時期は朝鮮戦争逆コースに相当する日本戦後史のターニングポイント)ー長期経済停滞、一層の新自由主義政策実行。
 
2)米国バブル崩壊(冷戦体制崩壊後の新興諸国台頭、多極化の本格的始まり)ー政権交代東日本大震災原発事故、TPP事態=領土問題急浮上、
 
3)自公政権復帰、維新の会国政大量進出=更なる新自由主義政策実行=急激な格差拡大=外交防衛内政における政治的選択肢の狭隘化ー日本の国民多数の経済失陥=内外パワーの相対化著しいアメリカとしては、政治的軍事的従属度の激しい日本国民経済?を日本支配者層とタッグを組んで経済収奪する道しか残されていない。
 
 安部政権の経済成長計画機関に竹中平蔵が就任している。
日銀ヘリコプターによるマネーばら撒きによって、大企業の強蓄積過程の保障、投機市場活性化に反して多数国民にはなけなしの生きるための金融資産目減り、低賃金失業強制になる。
小泉時代のもっと手酷い事態が出現しよう。わかりきった事なのだが。
 
 そのうち、庶民は低成長ーインフレに家計と仕事を圧迫され、円高デフレの今がよりましだったと懐かしむ時期が早番訪れよう。国民にとって増税とともにインフレ税が徴収されているようなものだ。
 
 国内の一定の大きさのパイの取り分をめぐって、米国に結びついた支配層と多数国民が相争っている、これが進行している国内の経済的事態の政治的真相である。
 
 すでに過去の記事で明らかにしているように、先進国では軒並み、低成長ー高インフレ時代に突入しており、コレは政策次元でにどうこう出来る問題ではなく時代の基調である。
世界市場の先発、後発の不均衡発展の激化を基本原因にしており、金融財政社会政策手段を使い果たした先進国はニューフロンティアを獲得しない限り、このトンネルから抜け出せない。
従来の世界史の動向ではこの基本矛盾は世界戦争によってスクラップ、アンドビルドされてきた。
しかしそのほうとの難しとなれば、行き着く先は限られている。
日本において安部や竹中がこれからやろうとしていることの拡大版が当面の事態である。
東アジアの領土問題などで、軍事衝突が発生することは織り込み済みとする必要はある。
韓国は兎も角も、中国支配層の支配を維持するためにはも、そういう事態に向かう必然がある。
この面でも米国支配層の利害とも共通点がある。
 
当面こういった事態が進行し、ニューフロンティアが見出せるまで、長い期間を要するだろう。
 
>超歴史的視点で言えば、戦前日本の工業生産値は列強の中で最低(軍需最優先、民需蔑ろの異常な経済不均衡=戦争経済体制)であり、戦後は一転して経済成長至上主義で突進し、世界2番目のGDPに経済成長した日本経済の相対的後退は避けられない。すでに中国に先を越されているが。
 
 こうした世界市場の不均衡の激化の時代には、国家資本主義の方向で対処するのが合理的であるが、安部竹中のやるとしていることは経済過程への国家関与を少なく、大企業の負担を軽くさせる方向である。
この点でオバマ大統領選出の米国の国家お救い路線と好対照であり、国家ぐるみで経済強圧攻勢に出ている米国への日本国民売却と結果しよう。
 
>このまま事態が推移すれば、当然、日本の軟着陸までに要する時間とそこまで至る政治過程、軟着陸時の状態だけが問題になろう。
 
 
>>ドイツ人の環境保護運動のメンタリティーの継承と脱原発、エネルギー転換計画の歴史的背景。
第一次大戦前の青年運動世代。
市民社会からの脱出口を求めて自然の中で生活しようとした世代。ワンダーフォーゲル(渡り鳥)運動が始まった世代。」-「戦後ドイツ」よりー
WACWAC-この点はドイツの原発反対を含む環境保護運動の先進性を理解する鍵。
1、ドイツ人は元々都会生活よりも田舎田園を好む嗜好あり。
 
2、ワンゲル運動はギムラジウム学生中心のドイツ教養青年層の運動で愛国民族主義の要素あり。
ナチス運動に収斂されてた。
 
3、戦後ドイツのメンタリティーをリードしたのはドイツ教養主義であり、その場合、第二次大戦前の混迷したワイマール時代を飛び越えて、第一次大戦前のドイツ教養主義のメンタリティーに復古した。(この点は敗戦直後の大正オールドリベラリストのメンタリティー日本国憲法発布とともに称揚されたことと似ている。)
故に、市民社会からの脱出口を求めて自然の中で生活しようとする世代的メンタリティーも継承された。
 
4、先のAに挙げた1960年代の底辺民主主義の異議申し立て運動の過熱した局地は西ドイツ赤軍テロリズムだったが、他方では環境保護反核原発など様々なアルタナティブ運動に発展し、緑の党の議会進出に結実していった。経済発展を背景に議会圏でも民主改革は実行された。
日本では議会圏外の運動は結果的に大衆行動の次元のサイクルに収斂した。
 
5、ドイツの反核、反原発運動の高揚は1~4の政治思想の流れを基盤として達成された。
 
6、日本では福島原発事故を受け議会圏では小沢一郎氏らによるドイツ原発の段階的停止、エネルギー政策の転換への視察や全国的な草の根の反原発運動がある。
が、年末の衆院選の結果を見て、この面での日本国民の意識の遅れが、ネットのあちこちで取り上げられているようだ。
確かに、反原発運動の先進ドイツと比較すると日本の遅れは目立つが、ドイツの場合は先に挙げたような国民的メンタリティーの継承があり、それを基底としての反核原発環境保護運動がある。
だから、保守政権であるキリスト教民主同盟メルケルもエネルギー政策の大転換を決断できる。
ドイツ的特殊なメンタリティー継承の事情もある。隣の原発推進のフランスと比較すればよくわかる。又エネルギー供給事情もヨーロッパのドイツと日本では管理事情が違う。隣のオランダは天然ガスの3分の2を輸出国。
依然調べたところ、日本のガス料金は隣の韓国と比較しても2割ほど割高。多分先進国ではダントツ。
 
7、日本には日本の事情があるのではないか?経済成長至上主義の戦後の国民的メンタリティー(多くの国民は実体験として恩恵を受けてきた)やエネルギー供給事情などから。
突き放した言い方になるが、福島原発事故ではそれを覆すほどまで至らなかった。
だからといって、日本国民を衆愚視する必要はまったくない。生活専門家としての潜在意識に忠実なだけである。
国政選挙の性格は生活専門家の日本国民すべてから、より多くの1票を自陣営に引き出す行為だから、いやおうなしに、現状の生活専門家の国民意識が反映する。
マスコミ刷り込みは副次的要素に過ぎず、そのマスコミにしてからが、生活専門家の日本国民相手に商売しているのだから、その意識傾向に迎合せざる得ない側面も強い。
 
 ところで、民主党政権交代前後から、大天災大人災を含めた一連の政治過程は、そういう生活専門家としての日本国民の意識状態にとっては実に過酷な試練を与え、情勢を過大に危機的に把握し、余計な不安感が蔓延してしまっている。
 
 政治家どもはそれを静めなければ、日本丸は危うい方向に進むのに、逆に危機感をあおっている体たらくである。低次元の稚拙な政治である。
今の日本がおかれた状態が危機的であるとすれば、これから先はどうなるのか?
そのうちに目の前真っ白のハレーションを起こすしかないではないか。
近代化以降の日本史の実に悪いパターンが只今、進行中とみる。
 
 そういう事情があっての先般の選挙結果であって、それは一連の政治過程の進行途上でわかりきった事でなかったか。
 
 政治過程の進行による予定調和の如き事態が結果するだけ、と自分は受け止めていた。
菅首相参院選挙時には迷った末に、政権交代を支持した以上、筋を通そうとして民主党に投票した。結果、自分の大切にしているものは鈍った。
すでにこの姿勢は統一地方選挙で実効済み、だった。
先の見通しも考慮に入れると、政治ゲームに参加する必要はない。
 
 最大の問題は個々人が己を研ぎ澄まし、キチンと戦うことである。そのための前提は余計な幻想は捨てて現実を直視する。
 
 米軍による原爆投下から、福島原発事故にもかかわらず、原発廃止への道筋という直近の課題の実行を蔑ろにする政治方向が衆院選結果によって、事実上の決定された、と受けとめている。又消費税増税しかり。
ただし、TPP事態にはまだ内外に不透明部分があり、以前から、これを日本国民にとって、政治的軍事的従属の現状の完成形態としての経済的従属(国民収奪に結果する)を推進するものであるとの観点から最大の問題としている。
 余計な幻想は大きな失望に転化する。