反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

最終分。「H24年版通商白書」、第2章 貿易・投資の構造と変容。論旨の大きな流れはドイツを引き合いに出して結果、韓国に見習え、TPP参加推進、米国にカネを貢ぎモノを買って貰う。

  >第二回の続き
<参考資料一括記載>ネットより。HeHello School 社会科 地理llo School 社会科 地理
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主な輸出品の割合の変化主な輸入品の割合の変化
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   <日本の主な貿易相手国>
   <日本の主な輸出品と輸出先>
 
 
 
   <日本の主な輸入品と輸入先>
資源一次産品は省略する。
    
      (4)「国内残存率」の比較
  「国内残存率」の定義。
 ある最終財の需要によって生じる、ある生産部門の「波及効果」の内、国内に残る率を示す行列のこと。
最終財の生産から、「部品」、「加工品」、「素材」の順で「波及効果」が流れ、このように、生産工程をさかのぼるほど、国内に残る「波及効果」は、乗数(かけ算)で小さくなっていく。
 難しい言い回しだが、当たり前の経済現象。
 >わが国では、多くの部門が、「国内残存率」が大きく落ち込んでいることが分かる
我が国の「全行程」の「最終財消費」、「4.繊維製品」、「12.電気機械」、「15.<精密機械>」が低くなっていることが分かる。
つまり、最終財におけるこれらの製品の国産率が大きく低下したことになる
また、この最終財の輸入を受けて、生産がされなくなった分、国内の生産部門に流れる「波及効果」が少なくなっている。
 国内の産業連関構造が寸断され、生産活動の産業連関を通して「波及効果」が行き渡りにくくなった。
国産化率の増加は、産業連関表では輸出を全て「最終財」として扱うため、他国との生産工程の国際分業が進んだことで中間財輸出が増加してもデータ上は最終財の増加として表現されることによる。)
      <日本の産業部門別交易条件>ネットより
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>米国は、「全行程」の「国内残存率」が低下している。終財消費における国産購入率が低くなっており、これにより「全行程」の「国内残存率」が低下している。
米国では輸入が増加しているのに対し、輸出は増加していない。
 
>ドイツでは、
1995 年の時点で既に、欧州他国との強い経済的なつながりが存在していたことを示している。
我が国とは部門は異なるが、同様に「国内残存率」は低下していることが分かる。

しかし、EU27 内の貿易額の増加、EU27 の「国内残存率」が高いことと合わせて考えると、EU27 という「経済圏」の加盟国とのつながりが強まったことによるものと考えられる。

  (5)「国内残存率」を使った輸入面のまとめ
>ドイツは、
1995 年の時点で「国内残存率」が我が国に比べて相当低かったこと、
また2005 年までの10 年間で我が国と同じ程度に「国内残存率」が減少していた。
また我が国とドイツでは、中間財輸出の増加により「最終財」に占める国産率が増加し、中間財輸入の増加により生産工程の「国内残存率」は減少するという共通した傾向が見られた。

 
 我が国の「波及効果の自給度」が横ばいであったのに対し、ドイツは増加しており、この結果と反している
この相反する性質が同時に存在する構造は、輸入による「波及効果の流出」面だけではなく、輸出による誘発面を含めた、「波及効果の自給度」の違いに求められる。
 
 
     5・「貿易の波及効果」の部門別比較
(2)貿易により、各生産部門が受ける「波及効果」
「波及効果の自給度」を示す赤線を比較することで、
>>我が国に第一次産業の輸入依存と重工業の輸出依存という偏りがあったのが、2005 年にはその傾向が更に強まったことが分かる。
 産業別には、軽工業及び一部の重工業の輸入依存度が強まり、輸出が重工業全般でされていたのが、
「12.電気機械」が落ち込み13.情報・通信機器」、「14.輸送機械」に集中したことが確認できる
 
 >また、我が国では「内間流」、つまり「内需」によって生じる「波及効果」の内、生産工程での流出が多くの部門で大きく、それらが10 年間で更に拡大していることが分かる。
この「内間流」の変化は、国内経済に与える間接的な影響であるため、国外との取引額をまとめた「貿易統計」や「国民経済計算」の貿易部分を見ても把握することができないものである 
 
>米国は、第一次産業も輸出し、重工業の輸入が多いこと、輸入による流出の「内直流」、つまり最終財における輸入が多いことなどの違いが見られる。
 「波及効果の自給度」を見ると、
1995 年は「22.運輸」以外の部門でほぼゼロかマイナスであるのに、
2005 年には「22.運輸」含め
全ての部門がほぼゼロかマイナスになっている。
 また、「1.農林水産業」から「16.その他の製造工業製品」、つまり第一次産業第二次産業の「自給度」が低くなっている。
米国は輸出が伸びていないことから、「外需」による「波及効果の流出」も増加せず、「内需」による「波及効果の流出」だけが増加したことになる。
 
>ドイツでは、我が国が輸出していない、第一次産業軽工業で輸出をし、また多くの部門で輸入している。
つまり、貿易による「波及効果」の影響を受けやすい状態にあることが分かる。
 しかし輸出の「内需」と比較した規模、つまり輸出の最大値はそれほど違いがない一方、
「2.鉱業」以外の輸入、特に第二次産業における輸入による「波及効果の流出」が大きいことが分かる。
我が国も2005 年に輸入の規模が大きくなっているが、ドイツはそれ以上に輸入の規模が大きく、また「外需」で生じる「波及効果」が大きく、その増加が著しいことが分かる。

      
       (3)貿易により、各最終財消費が与える「波及効果」
 全ての経済圏において波及効果の流出量が増加しているが、その増加が我が国において著しいことが確認できる。
>また、我が国では「流外」、つまり「外需」による「波及効果」の内、国外に流出する量の増加が著しいことが分かる。
 
>次に、我が国の構造を見ると、幅広い部門の「内間流」、つまり「内需」のための生産工程で、「波及効果」が流出している一方、
また各部門の流出そのものは、他国に比べて小さいことが確認できる。
 
 >米国は、1995 年には第二次産業の内、「5.パルプ・紙・木製品」、「6.化学製品」、「11.一般機械」、「13.情報・通信機器」の「自給度」がプラスであったのが、
2005 年になると、ほぼゼロかマイナスになっている。
 
>ドイツは省略。

 (4) 国内の経済構造を踏まえたでの通商政策の必要性
 
 これにより、まずどの国も国際分業化が進む中、
>>米国は輸出が増加せずに、輸入だけが増加していたことが分かった。
この米国の「波及効果」を見ると、「波及効果の自給度」がほとんどの産業でゼロ近くかマイナスになっている。
>>米国には、国際的に強い企業が多数存在するにもかかわらず、これらの企業の活動と国内の産業との連関が構造的に欠落していることによって、このような結果が出たものと考えられる。
 
>ドイツは、国際分業により、輸出によって誘発されるはずの「波及効果」の多くが輸入によって流出しながらも、「波及効果の自給度」が高まるように構造が変化していた。
つまり、ドイツでは国際分業化の進展が、国内経済にとってプラスになるように、国内の産業連関構造が変化したことになる。
 ドイツがこのような構造を構築できた理由として、長い年月をかけて近隣諸国との経済的なつながりが深まったことEU 域内に構築された差別のない双方向の自由貿易体制を利用できたことが考えられる。
 
我が国は国際分業化で「波及効果」が国内に留まりにくくなり、それを補うため外需に依存する度合いが高まっている。
他国とどのように連携を進めるかを考える必要性が高まっている我が国からすれば、このような変化が生じているドイツには参考とすべき所があると考えられよう。
 
 また、右肩上がりで、フルセット型の経済が存在していた昔ならば、輸出が増えることが国内で「波及効果」を生んでいた。
 しかし、現在では国内の産業連関構造の変化により、個人や一企業の合理的な判断が合わさった時、必ずしも我が国経済にプラスの結果をもたらしていない、
いわゆる「合成の誤謬」が生じる状況にある。
ミクロな一経済主体の利と国内経済全体の利を混同せず、「経世済民」の視点を持つことが、通商政策を考える上で必須になっている。
「フランス最新事情」から引用。
 金融、経済のグローバル化が進み、国家が経済政策、社会政策の領域で影響力を減少させている中、
<国内の治安維持>は<国防>と並び、国家が存在意義を誇示できる数少ない領域」となっている
 
   <国際分業化と付加価値ベースの貿易収支>
 国際分業化により、各国が製造した中間財を集めて最終財が製造されるようになった。
その結果、例えばApple 社のiPhone は、各国の部品を中国の工場に集めて組み立てている。
またiPhone の裏側を見ると、「Designed by Apple in California Assembled in China」と、「Made in」という表記が使われていないことが分かる。
 このように企業がどの国に属しているのか、あるいはその製品がどの国で製造されたのかの重要性は低まっており、
代わりにiPhone のような国際的な製品の生産に対し、どれだけ我が国から部品を提供できるかの重要性が高まっている。
 これに対し、近年では貿易ベースでなく、付加価値ベースでの議論が積極化している。
 
 つまり、どの国の貿易が黒字なのかではなく、
貿易を通じた産業連関によってどこで付加価値が生じたかを示す、付加価値ベースの研究が国際産業連関表を用いて進められている。
 
 またiPhone は最終組立地である中国の輸出として勘定されるが、
付加価値貿易アプローチを使ってみると、
2009 年のiPhone による「米国の対中貿易赤字で中国自身が占める割合は4%未満となり、対して日本は35%以上を占める」ことになる。
 
 このように国際的な分業構造の確立が進む中、我が国も通商・経済の構造変化を余儀なくされ、海外への工場移転に伴う国内産業の「空洞化」が問題視されている。
 
 本編で述べたとおり、
 かつて加工貿易により、資源を輸入し、加工度の高い最終財を輸出することで、国内経済を牽引するという貿易構造を我が国は持っていた。
>これが、中間財貿易が増加した結果、
貿易額が同じでも国内経済を牽引する「波及効果」は少なくなっている。
 
  <追記>
 TPP交渉は1)段階的関税撤廃、2)セーフガード。
この中身をシッカリ説明する必要がある。
 
米韓FTAには1)2)の項目を実質上、空文、無力化する米国の詐欺師紛いのやり方がある。
 
 韓国政府はかつての李王朝を継承した大韓帝国時代のように、丸め込まれ不平等条約をのまされた、感がする。
 アジア金融危機IMF支配ー民主化運動の高揚などの体制的動揺、ドサクサ紛れに、締結を既定の路線としてしまった。
 
 失礼だが民主化闘争で大騒ぎしている裏でTPP路線が民主化政府によって規定のものとされた。
 
 日米支配層は政権交代ー東日本震災=福島原発事故の激動時代に中身を検討させないまま、一気にTTPに追い込みをかける戦略である。
 
 所詮、人口扶養力という、寄って立つ土台を蔑ろにすれば、国民は浮遊的自転車操業的環境で生きていくしかなくなる。
猿真似はツライ。日本を1%と99%の国にするのか。
 
 主要メンバーの参加国は所謂、新大陸の国々であり、征服者としても歴史の出発点からして、そういう剥き出しの経済社会関係に耐久性を持ち、推進してきたものたちである。
 
 EUとTPPはマッタク歴史的背景も中身も違う。