以前、歯医者さんの治療台で、来る途中の歩道のガードレールに激突した失敗談~しかも寸分違わないところへの二度目の自損事故で自分の間抜けぶるに腹が立つやら可笑しいやらで~を笑いながら突然、話すと、ソレを受けて歯医者さんは、どうしたことか「アベさんが解散をするらしいですよ。新聞に書いてありました。」といいだした。
この辺ことは以前記事にしたが、書かなかった会話もある。
「政治の世界をまともに相手にすると、頭がおかしくなるので、ああいう人たちは相手にしないようにしている」
「無関心な人が大勢いるから、政治がおかしくなる~とテレビで言ってましたよ」
というから慌てて
「投票には必ず、行くようにしていますよ」という不本意なことを口にせざる得ない会話の流れになったので、アベサンに引っ掛けて、得意の橋下徹批判に転じた。府知事、在任中の市長選出馬や1年ほど前の、大阪都構想の行き詰まりからの在任中の辞職「単独」市長選再出馬、を持ち出し、アベサンとやっていることは同じだという、イメージを前面に出した。
そこで止めとけば良いのに、大昔のイタリアのころころ政権が変わる混迷政局の話まで持ち出して、知ったかぶりをしてしまった。普段、ほとんどのことにアパシー状態で、必要最小限どのことしか話さないようにしているが、一端、自分の守備範囲を話す機会があると、つい悪い癖が出てしまう。
ソレから数日たって、今度は知らないオジサンと少し離れて、手すりに寄りかかって、早朝未明のひなびた港をボッーと眺めていると、「大きな船が入ってますねぇ~アレ何トンぐらいあるんですか?」などと突然、話しかけられた。相手の顔さえわからないほど、周囲は暗かった。
いきなり、真正面にボールが飛んできたのだ。しかし、朝の運動の時間の都合上、手短に要点を話したつもりなのだが、その話に興味を持ったのか、話好きなのか、オジサンは話を膨らませてくるので、仕方ないので、世界のコンテナ船業界が4つぐらいのグループに分かれているのだの、例のインド洋、三菱重工長崎造船所建造のコンフォート型新型特殊巨大タンカー、インド洋真っ二つ、1ヶ月漂流について設計施工上の裏話を持ち出した。それで日本の造船業の韓国、中国に続く第3位におかれている立場をはなした。
結論として、日本の製造業は世界市場の厳しい競争条件の中で、最先端の技術にチャレンジせざる得ない、その場合、失敗もある、ということにした。
それから、おじさんは今度はカモたちを話題にする。
これまた詳しくはないが、2度ほど記事したことがあって少しは調べている。
その話が終わって、おじさんは「あなたに聞きたいことがある」と言い出し、政治に話題を持っていった。
「エッ本当ですか?ちっとも知らなかった。」こういうリアル政治の話になると、疎いもいいところなので、おじさんは呆れたのか、今度はおじさんの独壇場になって、イロイロ教えてもらった。
よく知っている、というか、足を使って情報を集めている。巷の現場取材記者のようだ。自分には絶対にできないことだ。
「橋下の街頭演説は、その場その場に合わせて言うことがコロコロ変えている。**区と**区では演説内容がまるっきり違う。他の政治家はどこでも大体、同じ演説内容だが、区の環境の違い、街頭に集まった聴衆の雰囲気に合わせた演説ができて、上手く聴衆を乗せることができる。アレは大したもので、他の政治家は真似できない。」
ナルホドな。橋下徹の話しているのをテレビでさえ見たことがない自分には新鮮だった。
ヤッパリ、天性のアジテーターなんかな。しかも今風にマッチした。ソレはソレとして認めなければならぬ、と。
そういえば、以前の記事で、先の東京都知事選の細川候補の応援に立ち上がった小泉純一郎元首相の街頭演説もその中身はともかく、メリハリが効いていて凄いと、取り上げたことがあった。メリハリの聴いたセンテンスの区切り区切りで、次に続く言葉がそのまま文章にできる。ま、はっきり言えば、自分のブログよりもはるかに文法的にスムーズで正しい。
やっぱり、議会圏を賑わす政治家の言葉の使い方は凄い領域に達している。あんなのが一杯集まっているのだから、その集合したパワーは、民の側に壮大な政治共同幻想を与え続けてきたんだろうな。
ま、ソレはソレであるけれども、例えば、霞ヶ関の官僚集団のシンキングの手におえる枠内で、内外政治と経済が、動いている時代は、こういった政治家の特殊技能と実務を取り仕切る官僚の上手くマッチして、「日本丸」の航行がスムーズに巡航してきた。
ところが、時代基調が「、霞ヶ関の官僚集団のシンキング」の手におえない事態が続くとどうだろうか?(海図なき航海の時代~官僚報告書の結論~)。
<海図無き航海>という自己の能力の限界宣言と、時代認識を指し示した官僚集団と言葉巧みに民に共同政治幻想を与え続けた政治家集団は一転して、ミスマッチになるのじゃないだろうか。時代基調にフリーズ気味の官僚集団は以前のような判断まで添えて、政治家に認識を提出できない。
そうすると、そういう判断とセットの認識から、結果的に解き放たれた政治家集団の暴走が始まる。
それは世界の海における「日本丸」の巡航に支障をきたし続ける。
過半の日本国民の生活も蔑にされる。
>今回のアベ解散などはその典型である。責任政治のど真ん中から直視すると解散する理由がない。民の生活にとって、迷惑解散に他ならない。この時代、アベのような解散をしている先進国は世界に一切ない!そんなことやっている時代ではないのである。
又ソレは日本の民主主義のためになっているのかどうか?こういう政治手法がまかり通る、と最大権限を有するものは、自分の都合が悪くなると、解散という専権事項をチラつかせたり実行するようになる。
議院内閣制の議会制民主主義のルールの悪運用の典型である。結果、そういう理念上の問題が出てくるのも、それによって、庶民生活と経済が実害を受けるというはっきりとした理由があるからだ。
が、現にやってしまっている。痛い目に合わすしかない。
それから、何がどうあろうと人々は生き続けなければならないということである。明日があるということだ。戦い続けるということだ。
アベ解散はワンステップで次のシーンが待っている。どういった状況になるか、今の時点でも想定できるほど、わかりきった事実過程が続く。
アベさんは経済は生き物、などと首相談話で聞いた様な台詞をはいているが、何も解っていない。マクロ経済の動向は(期間は別として)予測できるのである。
オジサンとの話は、この前の都構想が反対派多数で行き詰っての突然の辞任→再出馬→事実上の単独選挙=「信任投票」の投票率30%弱に及んだ。
あたりは明るくなっておじさんの白い顔がやけに目に付いた。
オジサンは「有権者の30%のヒトが投票所にいったということは、橋下支持者が今でもソレぐらいいるということですよ」という昨今の橋下への逆風に対する別の見方を鋭く示した。
そういう視覚から考えたことがなかったので、なるほどとおもったが、
「橋下徹は府知事→市長辞任を二回も任期を全うしていない、政治家としてはあってはならない前科があるんじゃないですか?まして、今度、松井府知事とセットで、公明党つぶしで小選挙区に立候補するのはいくらなんでも~」
「オタクのように考えるのは、50歳以上のヒトで、若いヒトの多くは、そんな考えをしないヒトが多く、橋下支持者は一杯いるようですよ」となった。
若者のくだりは、もっともな話と想った。それで、面倒になって当世風若者批判を繰り出した。
「今の若者はわたし等の若い頃に比べると真面目過ぎる~云々」
遂にお互い話すことがなくなったようだ。
辺りは完全に明るくなって予定を実行できない時間帯で、そのまま帰宅した。男の井戸端会議だったが、リアル橋下徹を教えてもらった。おじさんの政治傾向は最後までハッキリしなかったが、現場に足を運んで取材する巷の現場取材記者ということであれば納得できる。そしてあの冷静、「中立性」はなかなかのものである。趣味なんかナ、政治家のパフォーマンスを突き放して、自分の楽しみにしているのかな。
しかし、後味は悪かった。何よりもしゃべり過ぎた、と反省した。人生の過半、人前では政治の話は一切しないことにしてきた。
後日のネット報道では、<橋下、松井両氏小選挙区出馬断念。任期途中の辞職出馬に批判多く>、とあった。
そういえばアベサンも病気の理由はともかくも、二度目の任期途中の辞任だった。アベ改造内閣は丁度1ヶ月の運命だった。権力政治家のとって、こういう政治手法を行使するのは、異常な高揚感に満たされる瞬間なのかもしれない。決断の瞬間であり、権限の最大限行使の瞬間である。そういえば、小沢一郎氏の政治軌跡もそういう角度から見ると別な風景が見えてくる。
<止められない、停まらない>。エラソウな事はいえないが、日本民主主義政治の未熟ゆえであろうか?
ココに話題を持ってくるのに疲れた。