反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

映画、猿の惑星と核兵器

 原作は確か、SF小説の巨匠EHバローズでなかったかな。古いアメリカ映画でDVD化はされてないと思う。出演者の中で有名なところはチャールストン、ヘストンだけで製作費の大してかかってないB級作品だったが、予想以上の大ヒットとなって続編まで作られた。
 起承転結のはっきりした映画で最後の落ちが強烈だった。
 未来社会。スペースシャトルの進化したようなもので地球を旅だったヘストン以下は機体の故障でとある惑星に緊急着陸する。
その惑星ではなんと猿人のような状態の猿が最も高等生物として言語を持ち高等文明社会を築いていた。人類はいた。しかし言語を持たない野人だった。ちょうど現代の猿と人間の関係が逆転したような世界がそこにあった。野にある人類は進化した猿人にとって科学的人体実験の対象ぐらいしか利用価値がなかった。

 捕まえられたヘストンは言語を操り高級思考のできる人類として格好の人体事件の対象にされようとする。
ところが進化した猿社会の中でヘストンの境遇に同情するものが現れる。進化したサル社会の中ででリベラル派と保守派の対立のようなものがあり、ヘストンはリベラル派の科学者夫婦の監視のすきを突いて逃亡する。この辺は進化したサル社会の葛藤が実に面白く描かれている。特殊メークの猿人は表情豊かで細かい演技力を要求される場面でも見事に演じきっており、映画に奥行とリアリティをもたらしている。
猿と人間の関係の緊迫感に進化したサル社会の中での葛藤が加味されているから観客を飽きさせない。決して子供向きの映画ではない。

 逃亡したヘストンは猿たちに禁断の地と呼ばれるところへと落ち伸びていく。

 追いかけてきた猿の首脳は言う。そこに行っちゃいかん!そこだけはだめだ!

 かまわず砂浜の波打ち際を逃げのびていくヘストン。

 そして。

 突然、あるものを見て愕然と立ち尽くし、ショックと絶望のあまり砂浜に膝を屈し頭を抱え込んで絶叫してしまう。 なんてこった!なんてこった!

 カメラはヘストンの見たものにパンする。

 そこには半身を砂に埋めた自由の女神の無残な残骸があった。

 ヘストンが不時着した惑星は地球だったのだ。飛行船で時空を超えた旅に出ている間に人類の築き上げてきた文明は核戦争で破壊され、人類は衰退し、猿が進化して文明をもつようになったのだ。
人類は自滅したのだ。
 
 ETなんて映画よりもよっぽど面白いと思うが。
地球の消滅は物理学上は確定されている。それまでの天文学的時間の経過以前に自滅する公算が高い。
 核ばかりではない。
 文明の発展事態が文明を滅ぼしていく。歴史上、見られたことではあったが、今は地球規模で進行している。
今以上いい生活をしたいという当たり前の願望の総和が人類に向かって反転し悪影響となってきている。
 今のような経済システムをとっている以上はこの方向は加速度を増すであろう。
 世界的な経済活動の収縮は方向転換へのチャンスでもあるが、もうここまで至るとコントロールは不可能とみる。
 世界的な過剰資本、過剰生産はこのシステム内で解決しようとすればまたどこかに消費地を見出さなくてはならん。
 ケインズ経済学は正しかった。アメリカ国家こそが有効需要の喚起するところだった。
 現状の世界経済の混乱の根底にはアメリカがケインズ国家としての役割を果たせなくなっているところから発生している。
世界経済は巨大な潜在的経済力を持った国々が思い切って資本運動を解き放ったことから新たな段階へと突入したのだ。かつてのような自由貿易万能の時代ではない。
資本運動を保証し、人々に飯を食わせていくためには経済圏や自由貿易協定といった政治力が必要となってきている。
 こういう前提条件は自民党であろうが民主党であろうが同じである。
 ただはっきりしているのは新政策がいるということだ。
 自民党では国民に飯を食わせることはできない。少数の者の食い逃げをごまかすのが自民党の政策の大きな柱となっている。
何とかしようと思えば力で変えなければ。今のところ力は来る総選挙で自公政権を完全打倒するため一票を投じることである。投票日まで打ち続くマスコミの偏向報道を粉砕し、できるだけ多くの人が投票行動に参加し、怒りの一票を政権交代勢力に投じることだ。
 マスコミは植草氏も言われるように利権支配構造の一翼を担う存在でしかない。