反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

田母神氏について考えてみる。

 タモガミの主張をいちいちフォローしていない。馬鹿馬鹿しくて読む気がしないというのが本当のところだが、週刊誌に乗った彼自身の主張は確認した。

 主張の骨格部分は大昔どこかで聞いたものとそっくりだった。付け加えているのは核と安保問題への言及。
  
 大昔、ある右翼青年と出会った。どこか大陸浪人風の悠然としたところがあり、いつも下駄をはいてゆったりと歩く姿は独特の雰囲気があった。さっぱりとした性格で小賢しいところが全くなかった。街頭宣伝で走りまわっている右翼は相手にしていなかった。あれは宣伝右翼だ、と言っていた。もう一つ。右翼には営業右翼というのがあると、言っていた。三島由紀夫を尊敬していた。
相手の話が聞ける男でいいとこがあれば学ぼうとする柔軟性があり、門切り型で相手の主張を切り捨てることはしなかった。青雲の志に準ずる、とでもいおうか思想と行動を一致させ、其れにかける意気込みに溢れていた。

 「雑誌」を出そうということになって、彼がもう一人の右翼を連れてきたが、これが典型的な右翼で当時の社会党共産党を汚らしい右翼言葉で批判する文章を持ってきたのでこんなのとは共にやれない、と断って雑誌は一号だけで終わった。

 青雲の志の彼とは彼が活動のため上京するまで付き合った。

 彼は三島思想を自衛隊内に広めるために入隊した経験があったが、「工作活動」ではまるで相手にされなかった、と言っていた。隊内で浮き上がって失意のうちに除隊したのだ。

 そして再上京した。その後の活動は差しさわりがあるのでここで触れないがその世界の有名人になったことだけは間違いない。

 彼との交流でいつも実感していたことがある。人柄は別にしてこんな思想が社会に受け入れられるようになると日本はとんでもないことになる、と。
 
 田母神氏の主張は大昔の彼の主張とぴったりと重なる。
 
 大昔、彼は自分の思想を自衛隊内に持ち込もうとして浮き上がって失意のうちに除隊した。時代の空気が彼の主張を孤立させた。
 
 ところが今日、航空自衛隊の最高幹部であるタモガミのような人物が現れた。結果的に彼の自衛隊工作は長い月日をかけたが成功したことになる。

 繰り返すが大昔の右翼青年の彼の主張とタモガミの主張はそっくりそのまま、一致する。

 自公政権憲法違反の隊内宣伝活動を行ったタモガミを処分できなかった。国軍の最高幹部の一人に数えられる男が隊内で国家基本法がおかしいだの何だのと宣伝活動することは自衛隊にもし軍法会議があれば重罪に値する行為である。アメリカでいえば合衆国憲法に反対する活動を軍の最高幹部が隊内で展開すれば大変なことになる。韓国でも中国でもヨーロッパでも事情は同じだ。
 最高幹部のこんな行為は国家の否定であり、クーデターの一種とみなされる。おおよそ分をわきまえぬ破廉恥な男である。自分の職業に忠実でない利己主義者である。こんな男を最高幹部に昇進させた自衛隊とは何なのだ。

 さらに主張の現実認識の核心はアメリカの世界的軍事力の世界展開の中で日本の軍事力を下請けのように位置付けるけることでしかない。

 核武装を言うがアメリカが日本国内に展開する核の共同使用をさせてほしいというものであって日米安保地位協定、彼我の軍事力の圧倒的格差からして、これも実際的には米軍の下請けとしてその世界戦略に完全に組み込まれることでしかない。

 田母神氏は言っていることは勇ましいが実際的にはアメリカへの屈服である。 
 
 しかし現実に今の日本でタモガミはマスコミに登場してその主張を展開しているようだ。

 タモガミが受け入れられる世の中になってなってきたのだ。大昔の右翼青年の悲願は達成されつつある。自分の生きているうちは日本が戦争に巻き込まれないよう願っているが、どうなるかわからない。この世界不況が結論を出すだろう。戦争は主導者や金持ちは煽るだけで後方にいる。死ぬのは下級兵士であり、一般人である。また一部の者にとってはビジネスチャンスである。

 もう一点。過去、日本の政治的軍人は正常な世界認識を持たず、日本を破滅させてきた。アメリカのような巨大な生産力を持つ国の軍事的力量を軽視し、戦端を開いてしまった。
タモガミは過去の政治軍人の誤りを反省していない。