反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

乗鞍岳バスターミナルの熊被害。標高2700mまで舗装道路を作る破壊。

 乗鞍バスターミナルはかの有名な乗鞍岳山頂からわずか300mぐらいのところにある。そこまでスカイラインとやらで車で行けることになっていることにまず驚いた。世事に疎くそこまで乗鞍登山が便利になっているとは知らなかった。現在は環境に配慮して観光バスとタクシーのみの解禁となっているようだが、あえて言う。

 そんなところまで舗装道路をつける必要があったのか?
アルプスの本場ヨーロッパでも山頂地近くまでロープウェイをつけたりして開発が進んでいるが欧米ならよくて日本がだめとはならない。同じ病に冒されている、とみる。

 体長、1、3Mの推定年齢5歳のツキノワグマは追い詰められて射殺されている。これ以外の方法はなかったと思うが何か釈然としない。

 自然界に人間が余りにも余計に進出しすぎているようにも感じる。乗鞍は夏場でももっと麓のところの登山口いいのではないかな?スカイラインを山頂間際まで持っていくのは間違いでなかろうか?今の時期の熊は冬眠に備えて脂肪を蓄える時期。普通はこんな標高の高いところまでやってこないはずなのにおそらく、ターミナルに捨てられている残飯を目当てにやってくるのだろう。
 そして好天に恵まれた連休の異常な人の賑わいに気が動転して錯乱状態で人間に突進していったのだろう。

 犬をかったことのある人なら体験したことがあると思うが捕食活動中、邪魔されるのをとても嫌い飼い主にさえ牙をむいてくることがある。もちろん躾のいい犬はそんなことはないが、本来であれば牙を向くのが野生の本能だろう。

 完全な野生の壮年期のツキノワグマは冬眠に備えて高山に旨い食い物のありかを見つけていたのだ。そこが人間のテリトリーである、という恐怖の感覚よりも手っ取り早く旨い食い物にありつける本能が勝っていた。しかし餌場にはいつにも増した人間の姿があったから野生の牙を向いたのだ。飼い犬と人間の関係なら唸り声をあげて威嚇して足りるが、この場合、本州の自然界では怖い者のない頂点に立つツキノワグマである。人間は襲われてしかるべきだったのである。

 乗鞍のような場所に行くものはどんなに手軽に行けても自然の奥深いところへの闖入者であるとの自覚は少しはもつべきであろう。その控え目な気持ち、「自然根の畏敬の念」を少しでも心の片隅にがあれば、マナーもまもられるし、もっといえばそんな山頂近くまで舗装道路をつける不遜に気づくはずだ。

 熊に襲われた人には悪いけど同情しないな。殺されたクマには少しだけ同情する。