これについて、アメリカのメディアは、温度管理の点で、より扱いやすいとみられるモデルナのワクチンの結果を歓迎する専門家の声などを伝えています

一方、ファイザーもワクチンの輸送に使う専用の小型容器を開発していて、ドライアイスを入れることで輸送の際や、冷凍庫がない場所での温度管理が容易になるような対応を進めています。

保管温度の違い 専門家は

「ファイザー」が開発を進めるワクチンと「モデルナ」が開発するワクチンはいずれも「mRNA」という遺伝子を使っています。

いずれのワクチンも低温で管理する必要がありますが一般の医療機関で生ワクチンなどを保管するときに使われる2度から8度の温度で保存できる日数「ファイザー」のワクチンで5日間、「モデルナ」のワクチンは30日間と異なっています。

これについてワクチン開発に詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、ワクチンの性質などの詳しい情報が公開されておらず、評価は難しいとしたうえで、「2度から8度という温度は麻しんなどの生ワクチンを保管している温度なので、現場で使うことを考えると、いずれのワクチンもこの状態で数日間、安定性があるということは、使いやすいと思う。長く安定しているほうがより使いやすい可能性はある。ただ、輸送の段階ではさらに低い温度が必要だと考えられるのですべての医療機関に届けるためにはまだ、課題は残っている」と話しています。

専門家「長期の安全性や有効性 見極めはこれから」

アメリカの製薬会社、「モデルナ」が開発を進める新型コロナウイルスのワクチンについて、専門家は「長期の安全性や有効性はこれから見極めないといけない」として冷静に開発状況を見守るべきだとしています。

ワクチン開発に詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は今回、「モデルナ」が発表した臨床試験の暫定的な結果について、「インフルエンザワクチンで有効率が30~50%とされている中、それよりもいいデータが発表されて、驚いている」と話しました。

ただ、実用化について、中山特任教授は「『ファイザー』からもいいデータが発表されているがいずれのワクチンもまだ中間段階の発表であり、この発表だけで新型コロナウイルスが制圧できる、コントロールできると安心できるわけではない」と述べ、開発の状況を冷静に見守るべきだとしました。

そのうえで、「ワクチンを接種したことで獲得できる免疫が1年なのか2年なのかどれだけ続くのかがまだ分かっていない。多くの人に接種することになると、重篤な副作用が出てくる可能性もある。長期の安全性や有効性は、今後、見極めていく必要がある」と指摘しました。