ヒルビリー・エレジー 」アメリカの繁栄から取り残された白人たち - Wikipedia
を偶然読んだのは数年前だった。
Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis)
>下記が本の内容をそのまま、伝えている(長文)良くまとめている。
JDヴァンスの両親世代は農業や炭鉱地帯のアパラチア地方(ヒルビリー)から仕事を求めて北上しオハイオ州の工業地帯に移住し労働階層を形成した。しかし親戚と家族はヒルビリーに残って交流を続けている場合も多い。オハイオに移住したヴァンスの家族もヒルビリーは故郷だった。ヴァンスの回想に描かれているヒルビリー出身の家族は無頼と混沌極まる状態が続く中で他に頼るものが無いからなのか血縁同士のつながりを求め、傷口のなめ合いと葛藤を引きづっていく。
ヴァンス一家が移住したオハイオの工業地帯は産業空洞化が徐々に進行しグローバリズムが本格化すると広い北部工業地帯は壊滅的な打撃を受けラストベルト(錆びついた一帯)と呼ばれるようになった。
トランプ大統領1期目のヒラリークリントンと争った大統領選挙ではラストベルトの労働階層が旧来の民主党支持から共和党支持に替わったことが予想外のトランプ勝利をもたらしたといわれている。
トランプのバイデンと争った次の大統領選挙では任期中のコロナ渦がなければ、アメリカ経済の好調もあってトランプが勝利していたといわれる。
そして2014年の大統領選挙ではトランプの圧勝だった。
中西部の一大工業地帯の工業労働者層は錆びついて中間層から脱落してしまった。
オハイオの地元の高校を卒業したヴァンスは大学の奨学金を獲得するため海兵隊に入隊し、イラク戦争派遣後オハイオ州立大学卒、イェール大学のロースクールに入学した。
そして~~
ハイライトは最後に引用。
図書館の棚でタイトルで借りた。長年のカントリーファンに<ヒルビリー>という言葉は魔法のような力を持つ。
ハンクウィリアムズ、ジョニー・キャシュ(Jonny Cash)等、古典的なカントリーミュージックの偉人たちが唄の主題にしたのは、JDヴァンスが「ヒルビリーエレジー」で描いているような世界であった。
トランプが2度目の大統領選に勝って、ヴァンスを副大統領に指名すると知ったとき、アメリカ大統領選挙にはずっと前から関心を無くしていたせいもあって、まだ「ヒルビリーエレジー」の作者と一致しなかった。ヴァンス副大統領と「ヒルビリーエレジー」の作者と解ったのは今年に入ってからだ。
日本語訳の出版は2017年である。
この本が米国で出版されたのは2016年春頃、保守系雑誌『ジ・アメリカン・コンサバティブがインタニュー記事を載せ、ソレを受けて8月に「ニューヨークタイムズ」がインタビュー記事を取り上げ、ベストセラーになった。
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>ドナルドトランプがヒラリークリントンに「予想外」に勝利した2016年11月の大統領選のとき、
JDヴァンスは
2016年12月、オハイオ州に引っ越してNPO「Our Ohio Renewal」を設立。政治家を目指す準備を始め、ラストベルトに広がる薬物依存問題への対策を始める。
2017年1月にはCNNの寄稿者となる。
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その前の経歴をザっと辿ると、
2003年に故郷の公立ミドルタウン高校を卒業後、アメリカ海兵隊に入隊。⇒W.軍務につくと奨学金が出て大学に行ける。学業目的も兼ねてスポーツ推薦枠を使って大学に行くルートもある。その辺の事情を題材にしたトムクルーズ(アメフト、建築学)主演の映画もある。舞台はJDバンス一家の出身地のアパラチア山系、ヒルビリー地帯の炭鉱町である。大学推薦をプッシュできるアメフトコーチ(ハイスクールで既にコーチ専業みたいな身分がある)との葛藤劇である。
Loretta Lynn - Coal Miner's Daughter 炭鉱夫の娘 炭鉱夫の父と母の生活、それをプライドにする娘の唄。日本では丸山(美輪)明宏「ヨイトマケの唄」。
高卒海兵隊入隊のヴァンスは
2005年後半から6か月間イラクに派兵されて広報担当として活動した(W.学力とコミュ力があったのか後方の文化活動のような任務に配置された。従軍したとは言えない。)
除隊後の2009年にオハイオ州立大学(オハイオ州コロンバス)で哲学と政治学の学位を取得。在学中には共和党の上院議員ボブ・シューラーの下で働いた。
*********ヴァンスの妻はロースクール時代の同僚のインド系アメリカ人。在米両親は知識専門職。
>W。エマニュエルトッド「西洋の敗北」国家ゼロに進む英国~滅びよブリタニア~トラスの瞬間 参照 (大減税が金融投資筋に不評を買い数か月辞任した女性首相)
「政界の最上位レベルにおいて驚くべきカラー化を見せている。」
さらに「イギリスで新たに登録された医師のうちイギリス人は37% 特にインドパキスタンが多い。」
W。ヴァンスは単なるアメリカンドリームの具現者ではなく、イギリス的傾向との共通性を認める。英米高等教育のエリートの普遍的傾向が出現している。最後に挙げたヴァンス自伝の詳しい解説を読むとトッドの云う高等教育のエリートが上層階層へのパスポートになる実態がリアルにわかる。文化資本、(高等教育、コネ、立ち振る舞い)、というゲート<ヴァンスのケースはイェールロースクール>とスーパー上位=寡頭制支配者<出自>の世界がある。
W.さらに、エマニュエルトッド的析出(第9章、ガス抜きして米国経済の虚飾を正す⇒米国産業の衰退、米国の実質国内生産、輸入製品への依存、非生産的な能力主義者、輸入労働者への依存 ⇒ドルという不治の病、で締めくくっている)
でいえばヴァンスに典型的な「非生産的で略奪的な能力主義者」をみる。
トッドのいう「宗教ゼロ状態」はヴァンス、想うところがあってカソリックに改宗とある
The Lifestyle of JD Vance 2025 ★ Usha Vance, 3 Children, Houses, Cars, Net Worth
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イェール大学での最初の年に、指導教官であるエイミー・チュアから、自伝を書くよう勧められる。
「2014年には、『トリブル・パッケージ』で、これからのアメリカを担うのは次の8つの民族集団だとして、中国系、ユダヤ系、インド系、イラン系、レバノン系、キューバ系、ナイジェリア系、そして、モルモン教徒だという。これらの集団には、マイノリティだが、優れているという優越感、いつ迫害されるかわからないという不安感、自分たちの感情をコントロールする傾向があり、これらが彼らを成功に導く、他の集団はだめだという。人種差別とも取られる発言でも物議を醸している。」
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在学中はヴィヴェック・ラマスワミ
(インドで最も先進的な地域。インド共産党毛沢東主義派の拠点は珍しい、首長も出す。ココにインド的混沌は無い。移民も盛ん。~中東湾岸諸国の裏経済を握っている)
からの移民。奨学金を得てイェール大学ロースクールに進学した。 在学中には既に金融、バイオテック、製薬関係の事業を手掛け、卒業時には1,500万ドルの資産を得ていた。」
と家族ぐるみで友人関係にあり、のちにヴァンスは妻との子供の一人にヴィヴェックの名を名付けている。
ロースクールを卒業後、ピーター・ティールが所有するベンチャーキャピタルMithril Capital Management, LLCで社長を務める。2020年にはオハイオ州シンシナティに本社を置くNarya Capitalのために9300万ドルを調達した。
>W.⇒JDヴァンスの母親は看護師である。麻酔科担当だったか?
複数離婚、アルコール、クスリ、育児放棄はあったが個性的な女性である。ヴァンスは祖父母に育てられる。
第1章
ミドルタウンに移る前、ヴァンスはケンタッキー州南東部の炭鉱地帯にあるジャクソンという小さな町で育ちました。
そこは、ほとんど何もない典型的な田舎町でした。しかし、このような町に住む人々はたいてい非常に貧しく、幼い頃から人生の厳しい真実を学ばなければならず、子供には、ましてや他の人には絶対にふさわしくない種類の暴力にさらされることがよくあります。たとえば、ママウとして知られる彼の祖母は、家族の牛を盗もうとした 2 人の男性を殺しかけたことで知られています。
>W⇒下の数字から日本では想像できない不思議な都市である。平均年齢33歳!?子だくさんということでもない。なぜか若者が多い。何か特定の産業がある、としか思えない。まさか今でも石炭を掘っている、ことは有るまい。⇒どう考えてもまだ石炭を掘っている。
人口は6万8205人
人種的な構成は白人55.13%、アフリカン・アメリカン42.07%、
23,503世帯のうち、32.1%が18歳未満の子供と一緒に生活しており、41.5%は夫婦で生活している。19.4%は未婚の女性が世帯主であり、35.6%は家族以外の住人と同居している(ジャクソン出身のJDヴァンスの一族<テネシー州>との付き合いも絶対核家族的ではなく密だった)。30.3%は独身の居住者が住んでおり、10.4%は65歳以上で独身である。
人口の25.9%が18歳未満で、12.8%が18歳から24歳、28.7%が25歳から44歳、19.5%が45歳から64歳、13.2%が65歳以上である。平均年齢は33歳である。1世帯の平均人数は2.40人であり、結婚している家庭の場合は、2.99人.
女性100人に対し、87.4人が男性である。18歳以上の女性100人に対し、81.7人が18歳以上の男性である。
この都市の世帯ごとの平均的な収入は33,194 USドルであり、家族ごとの平均的な収入は40,922 USドルである。
人口の17.1%及び家族の14.0%は貧困線以下である。全人口のうち18歳未満の23.0%及び65歳以上の11.5%は貧困線以下の生活を送っている。
>数字を見る限り、取り立てていう程のことも無いディープサウスの普通に貧しい地域である。ヴァンスの母は看護師であり、この地域の庶民の女性としては最上の教育訓練は受けている。回想録には書かれていないが、この地域では目立つ存在だったのではないか。普通に生活していれば中流である。個性的すぎる自由奔放な女性でヴァンスは子育て放棄の被害者、祖父母がしっかりしていた。
https://www.expedia.co.jp/Jackson.dx6059452
東京発 ジャクソン/テネシー州航空券
「ジャクソンは、アメリカを代表する音楽の街の 1 つとされ、独自の音楽文化が根付いています。その歴史をたどることができるロカビリーの殿堂には、古い映像素材、有名ミュージシャンのポートレート、エルヴィスの記念品が所蔵され、専属ダンサー グループが所属しています。クラシック音楽がお好きなら、ジャクソン シンフォニー オーケストラの公演を鑑賞してみましょう。」
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>ジョニーキャッシュ、とジューンカーターキャッシュのデュエットで有名な
<ジャクソン>はこの街なのかと調べてみた。
敢えてこのバージョンの動画をアップする。1968年、どこかの空軍基地である。
ざっと読んでも場所は書いていなかった。
ジャクソンはテネシー州。
⇒W。テネシー州ジャクソンはカントリーミュージックの聖地テネシー州の州都ナッシュビルの南西メンフィス(チャックベリー原曲、アニマルズ、ローリングストーンズカバーの<メンフィス>)との中間にある都市。
この記事の内容とは違って、ナッシュビル在住の夫婦が掛け合いで州内の近隣田舎街ジャクソンに行けば、「目立って、もてるヨ」とお互い自慢しあっている。
~聴いているカントリーファンは田舎町ジャクソンをナッシュビルと対対比しているところがこの唄の隠れた面白さと初めて分かった。
都会といっても南部の田舎都市~安岡章太郎の名作「アメリカ感情旅行」の舞台、ヴァンダービルド大学に招かれたときの紀行文。大学ー地方名士を中心とした付き合いしかなかったからあか抜けた連中ばかりが登場する。ソコが読者に安心感を抱かせる。
『アメリカ感情旅行 (岩波新書)』(安岡章太郎)の感想(9レビュー) - ブクログ
カントリーミュージックに一言も無かった。戦争に行った人で酔っぱらうと軍歌が飛び出す人だから仕方が無いが。小説らしい小説を書いた作家だった。
デビュー作「ガラスの靴」は不朽の名作。
村上春樹は安岡を「戦後の日本の小説家の中でいちばん文章がうまい人」と評しており、特に初期の短編は「どれもまさに舌を巻く出来」だと述べている。
遠すぎる。都会過ぎる。
歌詞の内容からテネシー州ジャクソンである。
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第2章
ヴァンスの祖父母はケンタッキー州からオハイオ州に移住した。彼らは仕事を求めて北部に移住した世代の一部だった。新しい工場が雇用をもたらしたが、「少年をケンタッキー州から連れ出すことはできても、少年からケンタッキー州を奪うことはできない」という古い格言は今でも真実だった。
第12章
>彼の同級生は初任給 16 万ドル以上を期待していましたが、ミドルタウンではそのような収入は当時も今もまったく聞いたことがありません。
第13章
ヴァンスはイェール大学で、それまで存在すら知らなかった社交やネットワーキングの教訓をいくつか学びました。
>かつて彼は、仕事を見つけるということは、
>オンラインで延々と求人に応募することだと思っていましたが、
>実際にはほとんどの場合、それはまったく違います。
@今日では、最高の仕事はネットワーキングや、紹介してくれる信頼できる人々とのコンタクトから生まれます。
>ヴァンスにとってイェール大学は、それが自動的に起こる場所でした。
@教授からキャンパスを訪れる潜在的な雇用主まで、仕事のチャンスが頻繁に訪れました。
ヴァンスはまた、田舎者として育ったため、こうした環境とどう付き合うかを学ぶ必要もありました。スーツを着ること、靴とベルトを合わせること、決断する前に自分の状況全体を考慮する必要があることを学びました。彼は、今の妻と離れて暮らすことになる職に就く予定でしたが、慎重な相談と検討の結果、2人とも北ケンタッキーで職を見つけ、結婚しました。⇒W.クリントン、オバマ元大統領のケース。
第14章
人は、自分が育った環境から完全に抜け出すのに苦労することが多く、何か違うものを見ると、たとえそれがごく普通のものであってもショックを受ける。ヴァンスが妻の家族を訪ねたとき、彼は混乱がないことに驚いた。これまで語られてきた田舎者の育ちの特徴を形容詞で表すとしたら、それは間違いなく、極度の混乱だ。しかし、今、彼はその逆のものを目にし、奇妙に感じた。
さらに、彼と現在の配偶者が困難に直面したとき、彼女は彼が見慣れていたような対応をせず、彼に挑み、そして彼を許した。それは、彼が育った家庭内暴力とはまったく異なる他者への対処法だった。田舎者だった彼にとって、家庭内の争いは普通のことだったが、他の場所では普通ではない。彼は、自分が見てきたような反応をするのではなく、人として成長する方法を学ぶ必要があった。彼の成功にもかかわらず、実の母親は彼の卒業式に出席できなかった。彼女は当時麻薬をやめたと主張していたが、出席できなかった。
この引用部分がズシリとリアリティーをもって堪える!Wはイェールロースクールでヴァンスが異文化接触を果たしコネを作った層と付き合ったことが無いので解らなかった。コネ、立ち振る舞い、生活習慣で自己破壊者だったWとは断絶した層である。世襲議員、2世社長。富裕層、諸々。ルサンチマンは無い、社会現象として突き放してみている。
引用 納得した。
「かつてのように熟練工であることで豊かになれた工業社会のあり方は技術革新もあって衰退し、
>代わりにサービス産業化と知識経済化が進む現代社会では、
>働き手の「文化資本」がより重視されるようになります。⇒W.本当か!←3月6日時点でピンとこなかった。
>特定の振る舞い方や言葉の使い方、つまり日本で言うところの「コミュニケーション能力」の高さが社会的上昇のための条件になります。
⇒W。本文は西ヨーロッパの
>経済的次元でのリベラリズムと、文化的次元でのリベラリズムが合流して、
>保革の既成政党による「リベラル・コンセンサス」ができ上がった状況への解説記事だった。極左、極右のレッテル貼りは「リベラル・コンセンサス」という共同政治幻想を政治地図において実体化しようとする策動だ。
⇒W.ヴァンスは「コミュニケーション能力」がもともとあったのかロースクールで身につけたのか。
⇒W.だったら一般的な日本人はグローバル資本制の永遠の敗者だ。日本ではコミュケーション教育は余りしていない(韓国近現代史の教科書にはディベートが組み込まれている)。日本民族の歴史的特性もある。難解日本語も不利。
「文化資本」がより重視される」とは女性優位な世界でもある。フェミニズム、トランスジェンダーが流行る理由もわかる!
しかも、リベラリズムの原則は、
エスニシティや所属集団でもって個人の行動原理は説明されるべきではなく、あくまで個人の能力や教育によって行動は導かれるという建前です。
「2014年には、『トリブル・パッケージ』で、これからのアメリカを担うのは次の8つの民族集団だとして、中国系、ユダヤ系、インド系、イラン系、レバノン系、キューバ系、ナイジェリア系、そして、モルモン教徒だという。これらの集団には、マイノリティだが、優れているという優越感、いつ迫害されるかわからないという不安感、自分たちの感情をコントロールする傾向があり、これらが彼らを成功に導く、他の集団はだめだという。人種差別とも取られる発言でも物議を醸している。」⇒W.到達した世界が想っていたものと違う、と気づいたヒトはどうなるのだろうか?
第15章
ヴァンスさんの母親は薬物依存とホームレス生活に苦しみ続け、法科大学院を卒業して成功した後も、彼は再び母親を助けている自分に気づいた。母親がホームレスにならずに自立できるよう、彼は母親に1週間ホテル代を払っていた。今では母親を助けることができ、そのためのバランスも見つけている。
労働者階級が抱える問題に、まるでルービックキューブを解くかのように、どのように対処し、対処し、うまく対処できるのかと不思議に思わざるを得ないが、これらの問題はそれほど単純ではない。問題は複雑であり、彼らを取り巻く社会の大部分がセクション8住宅に住んでいる場合、家庭の問題を学校で解決することはできない。
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反俗日記
JDヴァンスとえば
過去記事に載せた短編小説を想い出す。
カーヴァーの小説。
片親(母親)の少年時代、ハイスクールの優等生、海兵隊、東部のアイビーリーグらしき大学進学、州知事。
JDヴァンスは母親を見捨てなかった。【嘘つき】でもなかった。
「however」,何かがヘン。そのうちわかる。