反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

東電、発送電分離を囮にした国有化1兆円、メガバンク1兆円、注入は1億国民総懺悔負担で東電支配層犯罪免罪。みんなの党の経営破たん処理させよ!は原発収束に無責任なプロパガンダ。冷静に見極めたい。

 民主党政権東京電力原発被害賠償支援機構が3月策定する「特別事業計画」に発電送電事業の分離などの電力改革に取り組むように要求し、東電の株式の過半数を取得し、実質的に国有化することによって、発電送電を独占的に行う業界の構造改革にむけて<新生東電>を推進役とする方針。(YAHOOニュースより)
 
 結局、政府のこの方針は管内閣当時の政府の肝いりで発足した、第3者委員会の提言をそのまま踏襲したモノである。
 調べた処ではこの第3者委員会は発足当時、東電に厳しい監査になると、一部で報道されていたが、出てきた結論は、全く純粋に、最大の危機に臨んだ時の日本人の連綿と続く、全体で責任を分かち合いましょうというモノであった。
 
 日本の各層に負担を分散し、当面凌いでいく。敗戦時の一億総ざんげみたいなもので、軍部暴走の統帥権の保持者であった、天皇政治責任を問えなかった、日本人の体質がこの危機に露呈した。
とりあえず、政治的に四方八方、丸く収めよう。日本的合理主義に沿ったものでもある。
この事故とは直接関係がないが国家公務員は大震災復興費用ねん出のため、7、6%の給与カットを飲んでいる事実もある。
 
 これに対して、東電は破たんさせよ!との見地からの批判が噴出するだろう。
それはそれとして、敗戦時の一億総ざんげが通用した時代よりも、確かに進歩しているが、実際、その見解が政策として、どうなのか、冷静に考えてみる必要がある。
 
 東電は当初、1)原発事故賠償金負担、2)廃炉までの負担金、3)原発停止による燃料費などの利用者負担を強行し、国有化回避の強硬発言を繰り返していたが、それは土台無理なことであり、裏では実質国有化とメガバンク融資の合計2兆円程度で当面の事態を回避する見通しを立てていたと想われる。
 
 こういう落とし所に持っていく、背後には経産省の思惑もあった。
みんなの党らが云う、直接の融資元である原発賠償機構の権限を強化することで、天下り先を増やしたいとかの思惑は二次的なモノで、官僚としては、他に落とし所が見つからなかった、と云うのが正直なところだろう。
 
 一方、東電や経産省の思惑から、民主党政権が東電破産処理の選択肢を含め、どれ程自由だったか、という問題がある。
 
 最初からみんなグルだった、と云う見方もできるが。
 
 電力料強硬値上げで企業存続に狂奔する東電VS<送配電分離、込み>の国有化を迫る民主党政府と云う対立軸で世間に通用する時勢ならば、政府は正論を吐いている、という事になるが、今の世論は政府や官僚の政治的思惑を乗り越えて、もはや、<政策的合理性の範疇を超えた先>に進んいる。
 
 閉塞感の充満する日本社会は重大案件に対して、合理的でリアルな政策論議よりも、特定攻撃対象へのバッシングでフラストレーッションの解消を求める傾向が強く出てきている。
そういう社会深層心理が単純化された市場原理の理屈と合体されて出現すると論理を超えた妙な説得力を持つ
。今回は関係ないが、コレに民族排外主義と云うアイムも絡めることができる。
 
 社会の欲求が充満すると、不合理が、合理的なモノに見えてしまう。もっともらしい、理屈をつける人は、いくらでも出てくる。
 
 この件でイロイロ、調べたところでは、政府や経産省官僚の送配電分離を3月に策定する原発賠機構と東電の「特別事業計画書」に盛り込んでの実質国有化1兆円、メガバンク1兆円の援助と、みんなの党などが主張する世間受けのいい、東電破たんさせよ論を比べてみて、正直、両方よくわからない部分が多過ぎた。
 
 特に後者。
感情的には東電を日本航空の様に破たんさせたら、すっきりするが、果たして、政策的にそれが正解だろうかと?どうも違うように想う。
 
 みんなの党のなどの主張は意見は耳触りはよいが、よく聞いてみると、無責任な政治的煽動が半分以上含まれている。
 先に挙げた、実質国有化を経産省天下り確保に強引に持っていく古賀茂明の主張などは、その典型で、国民レベルでは抽象的なシステム問題を論じるよりも、天下りなどの、即物的な問題に焦点をずらした方が煽動効果が上がる事を知っていてそうしている。もうこいつらの頭の中は公共に乏しくヒト減らしの経営者感覚丸出しである。金融寡頭制支配強化、グローバル資本の跳梁跋扈する時代なのに、こいつらの頭の中は、産業資本主義段階のイギリスの夜警国家並み、だ。金融寡頭支配層とすれば、こんなありがたい飼い犬はいない。
 
 それはともかく、基本的に、前から主張している様に、この原発事故を政治主張の目的のために利用するのは反対である。
 
 みんなの党の意見を聞いていると、原発事故を引き起こした東電には資本主義の論理を徹底させて、破たん処理させよ!と。
 また、橋下を批判する様な、自分と意見の近い、人もブログで同じような次元から、東電破たん処理論を展開している。
 
 >これらの主張に沿って、少し考えてみる。
東電破たん処理を日本航空ダイエーなどの超大型破たん処理と同じ様に考えているが、次元と額が全く、違う。
 
 破たん処理の最中でも飛行機は飛んだ、商品は売れた、と。
確かに発送電は止まらない。
 
 が、決定的な違いがある。
 
 東電の引き起こした、福島第一原発、事故現場の今後の廃炉処理に向けての道筋は不透明極まりない。
放射能汚染は当面沈静化している様に見えるが、潜在化して、私に云わせると一種の巨大な人体実験と化している状態であり、結果がアカラサマニなるのはこれからである。
 
 賠償金はきちんと速やかに、支払われなければならぬ。
 
 電力の安定確保などは古臭い過去のお題目であり、一番大事なことは前記の事柄であり、それを円滑に推し進めていくリアルな政策選択が求められる。
 
 みん党の云う様な東電破たん処理によって、先に挙げた優先順位に沿って、対応可能だったら、それに越したことはない。
 
一見明快で解りやすい政策の様だが、私には胡散臭く現実に実行すると、大混乱が待っている様な気がする。
また何となく、破たんさせた再建会社は自己責任から、逃れられる様な気がするし、電事連傘下の各電力会社も時間が経過すれば素知らぬ顔ができるようだ。この辺の法的責任である、免責事項を東電に適応しなければ、破産処理ができないという意見もブログにある。
 
 1)事故現場の廃炉までの道のりは東電の指揮下の業者系列に沿ってやるしかない。
これが一番効率的。原発の検修のノウハウの代替えはない。事故現場は大掛かりな作業で長い年数がかかり、
指揮している東電側も本当の処、先の見通しは立っていない。国が替って前面に出ても、できることはせいぜい責任体制を明確にす事だけ。保安院は官僚で使い物にならない。
 
 再生会社に先の見えない責任を負わせ、これからの事故現場作業がスムーズにいくのか?
 そもそもが、破たん会社を引き継いで再生するという事は、経済合理主義最優先で経営するという事。 事故現場に責任を持つような破たん会社の買い手は現れず、結局は東電が名前だけ変えて取り仕切る。
 
 >>日本航空ダイエーにこういうカネ、モノ、ヒトのアリ地獄の様な負担は全く存在していない。
従って、同一線上に並べるのは、全く不適当。次元があまりにも違い過ぎる。
 
 2)東電資産は第三者委員会が精査している。隠し立てがある様なムード的表現の記事が多いが、疑問。
 
 3)メガバンク中心で購入されている東電社債の毎年の償却額は平均して3000億円にも及ぶ。
すでに超多額の借金もある。
一体、総括原価方式という、全必要経費に自動的に利益を上乗せしきて、どうしてこんな多額の社債を発行しなければならなかったのか?理解に苦しむ。
この辺の仕組みを当該にキチンと説明させる必要がある。原発村の加担者でお零れを授かったマスコミ以外のジャーナリストも含めた説明会を国民が納得するまで、延々と開催せよ。
 
 4)破たんさせて、買い手が見つからない場合、銀行は破たんによって債権を失っているのだから、再投資はしない。その分の負担は国民の処に行く。
 
 5)外国の電力会社分割は福島原発の様なとてつもない事故と無関係に行われた。
参考にならない。
 
 6)どう考えても、負担は最終的に全国民の処に行く。
全国の電力料金の値上げは回避できない様だが、破たんさせて、一応再建会社として出発すれば、国の関与が乏しくなり、電事連傘下の電力会社に原発事故を契機に電力構造改革の道筋に引き込む力が弱くなりはしないか?
 
<最後に>
 自分も書いていてよくわからない事がたくさんある。
破たんさせて上手くいくのだったら、国民への政治効果は高いはずだから、民主党政府としても、そうしている。
特定の攻撃対象を選んで、国民を煽る政治で結局最後に国民に付けが回ってきたのは小泉時代
妙な政治主導だったらない方がマシ。