前書き
W。(今のフランスは)シャルリ、エブド事件に対して「私はシャルリ」運動が盛り上がり「表現の自由」という名のもとに「反イスラム」の空気が社会を支配した時と似た状況です。この時私は世論を敵に回しかねない「シャルリとは誰か」というほんをだしましたが、自国で自分の見解が冷静に受け止められる望みはなく~~
私自身<市民としての私>と<歴史家としての私>の二つに引き裂かれています。
~ここからは<冷酷な歴史家>として話しますがこれは私という人間の一部であることもご理解ください。
戦争の責任は米国とNATOにある
英仏独など西欧では今顕著なのは地政学的思考が姿を消して、皆が感情に流されていることです。
それに対して米国では議論があります。
この戦争が地政学的戦略的視点からも論じられているのです。
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引用
「1982年以来、シカゴ大学で教員を務めている。
1994年のウクライナの核放棄に反対し、ロシアの侵略を予言した。
実際に20年後の2014年にはロシアによってクリミアが併合された。
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W。予言者トッドは予言者を信頼する!予言予知能力がなければ21世紀の政治学者ではない。Wがトッドから影響を受けたのはソ連邦崩壊と米国バブル崩壊を予言できたことだった。過去に起こったことの解釈は学者ならだれでもできる。それが現在から遠く離れるほど解釈の自由は広がり、素人でも解釈に参加できる。問題は現状の分析と将来の見通し。温故知新は簡単ではない。余地予言能力のない学者は信頼しない。
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2003年のイラク戦争時には反対に回った。
2019年の民主党予備選挙ではバーニー・サンダースが望ましい候補者であるとし、経済的不平等をアメリカが直面する最大の問題であると結論付けた。」
引用終わり
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『リアルポリテックスの観点から、戦争の要因を考えなければならない』
『今起きている戦争の責任はだれにあるのか?米国とNATOにある』と多くの人に視聴された動画でそう断言しています。
>私は彼と同じで、欧州を戦場にした米国に怒りを覚えます。
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W。反俗日記もこの戦争がヨーロッパの縁辺で発生していることの歴史的な意味を問うた。1次2次大戦はヨーロッパ発の戦争だった。
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『プーチンはかつてのソ連やロシア帝国の復活を目論んでいて東欧全体を支配しようとしている。ウクライナが終わりではない。その後はバルト3国やポーランドに侵攻する。
ゆえにウクライナ問題でプーチンと妥協することは、緩和的態度で結局ヒットラーの暴走を許した1938年のミュンヘン会談の二の舞になる』
ーー西側のメディアは日々こう語られています。
これに対してジョン・ミアシャイマー
は『ウクライナのNATO入りは絶対に許さない』とロシアは明確な警告を発してきたにもかかわらず、西側がこれを無視してきたことが、今回の戦争の要因だとしています。
NATOの事実上の加盟国
しかし、ロシアの侵攻が始まる前の段階でウクライナは事実上の『NATOの加盟国』になっていた、と彼は指摘しています。
米英が高性能の兵器を大量に送り、軍事顧問団を派遣しウクライナを武装化していたからです。
~~
ロシアが看過できなかったのは、この武装化がクリミアとドンバス地方(東部実効支配地域)の奪還を目指すものだったからです。
今回の侵攻の目的は、何より日増しに強くなるウクライナ軍を手遅れになる前に破壊することにあったわけです。
**
W。この辺の事実問題は帝国同士(この戦争は帝国同士の戦争~~A)自由放任、先発グローバル資本制!VS B)後発、国家資本制~~ウクライナは一方のA)の代理人、人間の盾)の戦争では枝葉の問題。
Wの基本認識はグローバル資本制が世界を覆いつくした状況において、その資本蓄積過程の自由を放任すれば
経済的不平等が最大の問題に増々なっていくしかなく、世界中の多数派住民が労苦する。
それを緩和する方向に持っていけるのは国家権力を使った経済統制しかない。
EUやTPPのような広域経済圏は自由放任グローバル資本制の資本蓄積過程の根幹を守り拡大する方便である。⇒エレファントカーブの図の示すところによれば、こうした広域経済圏の中心部における中間層の所得停滞あるいは没落、貧困層の拡大、に対比した一握りの富裕層の富のさらなる増大と周辺国の新中間層の形成を生む。
>欧米日本のマスコミや政治家がウクライナに異常に肩入れする深層心理には、
自由放任グローバル資本制内の既得権擁護と
資本蓄積過程を放置すれば、とんでもない階級格差世界が現れることに対する、どうにもできない無力感<権益の代弁者となるしか存在理由がない>ニヒリズムが混在している。
@だから、自国に今や上辺だけか存在しない自由や民主政に拘りその先兵としてウクライナを位置付け物心両面の支援を訴える。
>ウクライナの人々とその軍は~A)自由放任、先発グローバル資本制の人間の盾であり先兵。
この戦争は帝国同士の戦争なので、正義不正義、善悪、民主主義か否か、などを判断基準に片方に肩入れし支援を訴えることは自国のグローバル資本制支配層と同伴しその政策を容認することに等しい。
20世紀の2度の世界戦争は帝国主義戦争だった。
特に第二次世界大戦の解釈をめぐって民主主義とファシズム、軍国主義との戦いなどというイデオロギーに偏った見解が流布されている。
スターリン主義ソ連を巻き込んだ帝国主義戦争(1次世界大戦の爆発矛盾が解消できず再発火)そのものであった。
後発ドイツ帝国は2度世界市場の既得権にチャレンジして敗れ去った。
そして今現在、EUの経済実権を握って、ウクライナを先兵としてロシア侵略の道を歩んでいる。
EUはもともと東西ドイツの統一によるドイツ強大化への危惧からイギリスのサッチャーとフランスのミッテランのイニシアティブで本格化したものであった。
アメリカ(カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、インフォーマル情報同盟)をバックにポンド体制を維持したまま参加したイギリスが離脱したので、フランス支配層はもともと対米対抗的な要素のあったEUに政治的に固執するしか戦略的な展望が開けなくなり、足元では反EU派の台頭を生んでおり、この戦争に強硬姿勢をとるしか方途がなくなっている。
独仏の経済政治利害はウクライナを利用しロシアをこの際一気に叩く方向で一致し、英米とか違った対応をとることができなくなり結果的に英米の対ロシア叩き、対中国世界市場からの分離という世界戦略に沿って行く。
日本帝国主義は大陸と東南アジア、太平洋地域で先発帝国主義の既得権にぶつかって原爆を投下され一掃された。なお、現状の日本帝国主義の経済停滞は、経済発展の恵まれた内外条件がなくなって、その固有のファンダメンタルズに相応しい位置にらせん状に歴史回帰していると総括できる。事実を直視しオランダのようなわが身にふさわしい質実な国が日本にふさわしい。
イタリアのファシズムだけが先行した思想運動の側面から評価できる。もちろん肯定できないが。
@なお、トッドさんの見解は同意できるところとできないところがある。ウクライナ、ロシア戦争への意見は反俗日記が経済的背景を持ち出している点に違いがあるが、ほぼ同じ意見だ。
@黒海沿岸のこの地域の紛争はユーゴスラビア内戦に類似点を見出すことができる。
ユーゴの紛争の本を読んだとき、「なぜそこまで住民同士が残酷極まりない殺し合いをするのか」当地の住民どうしでなければわからない非常にセンシブルな日常生活的及び民族的歴史歴宗教的な様相が複雑に絡み合っている、文字で書かれた論旨では理解できなかった、というが正直なところだった。
>今想うに各共同体の国家レベルへの共同幻想的組織的結集度が歴史的に異常に低い地域(バルカン半島は紛争の地)をイデオロギー優先の広域政治組織で繋げ覆い隠していた。広域政治組織が退くともともと軟弱で国家レベルに組織された経験のない共同体がニワカルーツを無理やり掘り下げて、まず何よりたとの違いを明らかにすることが、自らの存在証明とする。日本列島住民の経験した歴史とは全く違ったものがそこにある。
>だから、自分はわからないというのが正直なところだった。
>ウクライナ、ロシアもコレに当てはまる。
@なるべく早く停戦に至らなければ世界経済、特に円安進行の日本経済には、痛手になる。
資源大国、軍事大国が国境からすぐ向こうで長期戦を構えているというところがこれまでの戦争とは全く違うところ。
戦争が長引けば、世界市場において有り余っている膨大な投機資金が絡んできて資源原材料などあらゆる物資が値上がりするのは必至。我々の生活も苦しくなる。
@著作「帝国以後」以降のトッドさんは知日派外国人学者の一列に加わっているようなところがある。論旨の展開力も昔ほど鋭さを欠いている。
EUに対する姿勢も最初反対、その後半ば同意、そしていつごろか保護貿易派に転じているようだ。
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ウクライナ軍が強く抵抗するほど、~軍事的に成功すればするほど、ロシア軍はより強力な武器を用いることになり、戦闘は一層激化していきます。
マウリポリの街が見せしめのように攻撃されていますが、アゾフ海に面した戦略的要所というだけではなく<アゾフ大隊>の発祥地だからです。プーチンの言う非ナチ化はこのアゾフ大隊を叩きのめすことです。
ウクライナの加盟でNATOが国境まで迫ること自体が、ロシアにと取って存亡にかかわる死活問題だ。
同時に米国にとっても死活問題になりつつある。
ロシアの侵攻は、米国主導に国際秩序を揺るがしつつあります。
米国は軍事と金融の覇権を握る中で、実物経済の面では、世界各地からの供給に全面的に依存する国ですが、このシステム自体が崩壊する恐れが出てきます。
ウクライナ問題は米国にとっても、それほどの死活問題なのです。
戦争に帰趨をめぐって
「ロシアの侵攻にウクライナがどれほど耐えられるか」
「西側の経済制裁にロシアが耐えられるか」と議論されていますが
「これほどグローバル化した危機に米国と西側はどれほど耐えられるか」も問わなければなりません。
>そもそもロシア資産の凍結は所有権の否定で、制裁を各国に強いることは、
@外国資産を補償なしに国有化してよい、という反資本主義思想を広めることです。
⇒W。この戦争は帝国同士の戦争の項、参照!
@そのことに米国はどこまで自覚的なのでしょうか。
第3次世界大戦はすでに始まっている
米国の地政学的思考を代表する
は
「ウクライナなしにロシアは帝国になれない」と述べています。
米国に対抗しうる帝国となるのを防ぐためにはウクライナをロシアから引き離せばよい、と。⇒W。反俗日記でもずっと以前にプレジンスキーの地政学的ロシア論を取り上げている。最近読み返してみたが理解が足りない記事だったが、肝はロシアに気づかれないように周辺地域を分離させ本体を弱体化させる。低強度戦争の方式。
>ゴルバチョフやプーチンをさも有能政治家のように持ち上げるのも弱体化作戦の一環だった。
プーチンを論じた本を読んだことがあるが、内容に反して無能政治家の標本みたいな男だと感じただけだった。豚もおだてりゃきにのぼる。
>ウクライナを武装化してNATOの事実上の加盟国としたわけですがこの米国の政策によって
@今人々は『世界は第3次世界大戦に向かっている』と話していますが
@私は『すでに第3次世界大戦は始まっている』とみています。
>ウクライナ軍は米英によって作られ、
>米国の軍事衛星に支えられた軍隊で
>その意味でロシアと米国はすでに軍事的に衝突しているからです。
米国は自国民の死者を出したくないだけです。
ウクライナ人を人間の盾にした米国
米国の目的はウクライナをNATOの事実上の加盟国とし、米国には対抗できない従属的な地位にロシアを追いやることでした。
ロシアの目的は、米国の目論見を阻止し米国に対抗しうる大国としての地位を維持することでした。
だからこそウクライナの武装化がこれ以上進むのを恐れ、侵攻を決断したわけです。
@今の状況は『強いロシアが弱いウクライナを攻撃している』とみることができますが
地政学的により大きくとらえれば『弱いロシアは強い米国を攻撃している』とみることもできます。
>ロシアの侵攻が始まると米英の軍事顧問団は大量の武器だけおいてポーランドに逃げてしまいました。
@米国はウクライナ人を人間の盾にしてロシアと戦っているのです。
米国もプーチンがここまでの決断をしこれほど大規模にウクライナに侵攻し
米国主導の国際秩序には向かうとは思っていなかったのでしょう。
~最大の敵であったはずの中国に急遽協力を要請したり、厳しい経済制裁を科したベネズエラとの関係修復を急ぐなど米国が動揺している姿が羽化替えます。
@ロシアも西側がこれほど強硬に出るとは予想していなかったはずです。⇒W。コロナ渦、経済停滞はグローバル自由放任資本制の矛盾を露呈させ戦争による既得権益維持、脱却願望が潜在していた。感覚の鋭い巷の一部の論者は、戦争を予感していた。Wももはや戦争による抜け道しかないな、と予感していた。
~~ロシアのエネルギー依存する欧州
~~核の存在による本格的介入はできないとの予測。
>ロシアの最大の誤算はウクライナ社会の抵抗力を見誤ったことです。
「ウクライナ社会は自分たちとは異なる」と認識できなかったのです。
国家として機能しないウクライナ
家族システムでいえば、
>ロシアは共同体家族(結婚後も親と同居、親子関係は権威主義的、兄弟関係は平等)の社会で、
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家族システムの話となる。従来は家族というと核家族か大家族かという区別しか考えられていなかったが、トッドはそこに遺産相続システムという要素を導入した。つまり兄弟の平等・不平等ということである。これによって家族は4つのタイプに分類される。
第1章 トッドに未来予測を可能にする家族システムという概念
①絶対核家族 「イングランド・アメリカ型」
トランプ政権誕生は民主主義の理にかなっている
トランプ当選をもたらした「絶対核家族」
金銭解決に傾きやすい親子関係
『リア王』と『ハムレット』は財産をめぐる相続劇
過剰なグローバリゼイションによる疲弊
イギリスのEU離脱を促した隠された理由
②直系家族 「ドイツ・日本型」
EUの覇者ドイツ
イエの支配者としての父親の権威
東日本大震災でモラルの高さが賞賛された日本
③平等主義核家族 「フランス・スペイン型」
土地よりも家具が大事
フランス人がおしゃれになった理由
④外婚性共同体核家族 「中国・ロシア型」
大帝国が誕生する条件 ~権威ある父親と平等な兄弟~
大帝国が崩壊する兆し ~ソ連崩壊と乳児死亡率が語る~
家族類型とイデオロギーの相関関係
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共同体家族の社会は平等概念を重んじる秩序だった権威主義的な社会で集団行動を得意としています。
プーチン大統領は、こうした社会にふさわしい権力者。西側メディアが「戦争を引き起こした狂った独裁者」として名指しで糾弾するのは端的に間違っています。⇒W。 ④外婚性共同体核家族 「中国・ロシア型」
W。習近平の権力を中国の共同体家族形態の社会から分離してクローズアップする手法も的外れ。
対象認識を誤れば、ロシアのウクライナ侵攻のような事態を東アジアにおいて予測できない。
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こうした人類学的差異ががるがゆえにスターリンは大ロシアでは農業集団化をさほど苦労せずすすめられたのに
>小ロシア(ウクライナ中部)では、コレを強行する過程で抵抗する農民を皆殺しにした。⇒W。ムジーク(ロシア農奴)村は一種の共同体(ミール)が存在していた。人民の中へ運動はそれを革命の根拠地にしようと農村に大量の青年が入っていったが、打ち解けることはできず挫折し人民の意思党のテロ活動の一気に転換した。小ロシア地域に農民共同体はなかった、とみている.農家は個人営農主体横の連携は乏しい。(トロッキー自伝、名作<わが生涯>~~父親は商人で金を貯え農地を買って農業を営んだ。)黒土地域なので農業の生産性も高く個人営農が可能だったこともある。
プレジンスキーのロシアはウクライナなしに帝国たりえない。という言説は根拠のその1は、ウクライナはロシア歴代皇帝帝国発祥の地である。その2はウクライナは肥沃な黒土を有する屈指の農業地域。多分、小麦の生産性も非常に高い。他地域ではこうはいかない。
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核家族は英米仏のように自由主義的な国家に見られる家族システムです。
>しかし民主主義は強い国家なしに機能しません。
@問題はウクライナに「国家」が存在しないことです。
@しかも西部、中部(小ロシア)、東部南部(ドンバス黒海沿岸)という三つの地域に違いが著しく、正常に機能するナショナルな塊として存在してきたことは一度もありません。
こうした差異がソ連崩壊後の両者の運命を分けます。
ロシアに対してウクライナは、独立から30年以上経過しても十分に機能する国家を建設できないのです。⇒W。ナショナルなまとまり欠如ゆえに外部からの工作に容易に載せられる。
ウクライナから安価な労働力を吸い寄せてきた西欧諸国にも重い責任があります。
>ウクライナは独立以来、人口の15%を失いました。まさに破綻国家と呼べる状態です。高等教育を受けた労働人口が流出しました。本来国家建設を担うべき優秀な若者が、よりよい人生を求めて海外に出ることを選んだのです。
>現在大量の難民が発生していますが、ウクライナからの人口流出は、実は以前から起きていたのです。
プーチンの誤算
この戦争がウクライナの人々に「国として生きる意味」を見いだせさせたといえるかもしれません。実に悲しいことです。
独仏にとって
>ウクライナのNATO加盟がロシアにとってどれほど死活問題なのか、
>米英がウクライナ軍をどれほど武装化していたのか十分に認識していなかったのでしょう。⇒W。蒙古軍の占拠。ナポレオンロシア侵攻、ロシア革命におけるブレストリトウスク条約締結(ドイツ軍との停戦、~この際にウクライナでのドイツ軍の残置を容認したはず~。第二次世界大戦のヒットラーを押し返しベルリンに到達したソ連地上軍。ヨーロッパにも歴史認識の欠如があった。
ロシア嫌い
私は以前から欧州におけるロシア嫌いの問題を指摘してきました。
ロシア嫌いとはむしろ欧州自身の問題で、
無意味になりつつある欧州という政治的通貨的空間を無理に維持するためにロシアという外敵を必要としてきたのではないか、と。
このロシア嫌いは戦争が始まって以来、激化しています。
反ユダヤ主義を思い起こさせるほどです。
>欧州のロシア嫌いの高まりは米国にとって戦略的な成果といえます。
ここで私が恐れるのは暴力の連鎖です。
ある国への攻撃が、むしろその国の悪い側面を引き出してしまう。
そういう悪い連鎖が必ず起きてしまいます。
西欧の人々もすぐ気づくはずです。
対露制裁で犠牲者になるのは欧州自身である。
欧州はロシアとの共同で相互に経済的利益を見出せる関係になります。
経済制裁はたがいに気づ漬け合うだけです。
米ロは経済的にそこまで相互に依存していません。
おそらく米国と欧州の利害不一致があらわになってくるでしょう。
予測可能な国と
ロシア⇒合理的で暴力的でも一定の戦略の下に動いている。
欧州⇒卑怯ではあっても半ば予測可能。
中国⇒ロシアと同じく合理的暴力的であってもある程度予測可能。
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予測不可能な国
>ウクライナ⇒米英に背中を押されてクリミアとドンバスの奪還を目指したわけですが軍事力や人口規模からみて非合理的で無謀な試みだったといわざる得ない。
@この国は軍が仕切っているのか、大統領は引いているのかわからないところがあります。
ゼレンスキーの演説を聞いていると「次に狙われるのはあなた方の国だ」と、
とにかく欧州諸国を戦争に引き込もうと必死です。
しかしロシアがこれ以上大規模に新たな領土を奪うとは私には思えません。すでに広大な領土を抱えており、その保全だけでも手いっぱいだからです。
ポーランド⇒ロシアを相手に無謀な戦争を繰り返して負け続け』自ら国家として崩壊したことのある国です。
ポーランド、ルーマニア、ウクライナというバルト海から、黒海に至るゾーンは
核家族社会で、18世紀以来、国家が十分に機能しなかったゾーンです。
外交的に注視する必要があり、
@ポーランドとウクライナが協働する動きを見せたら、<危険有り>です。
>プーチンの核発言も何よりもポーランドに向けたメッセージでした。発言後、戦闘機の供与を撤回しています。
>この時は合理的に行動したわけですが、潜在する反露感情が」いつまた爆発するかはわかりません。
米国⇒予測不能な大きなリスク。プーチンを中心とするロシアと対照的に中枢がいないからです。
米国の脳内は雑多なものが放り込まれた<ポトフ>のようです。
思想的にも冷静な現実主義者がいる一方で、断固たるロシア嫌いのネオコンもいて破滅的な対外強硬策を後押ししています。
@アフガン、イラク、シリア、ウクライナと米国は常に戦争や軍事介入を切り返してきました。
@戦争はもはや米国の文化やビジネスの一部になっています。
@こうなってしまったのは、戦争で間違いを犯しても、世界一の軍事大国である米国自身は侵攻されるリスクがないからです。⇒W。まさにこれが新大陸米国の地政学的な位置。カナダ。、オーストラリア、USA,イギリスはインフォーマルな情報共有、軍事協調のグループ。
日本は核を持つべきだ
米国の行動の危うさは日本にとって最大のリスクで不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります。
当面、日米安全保障は不可欠だとしても米国に頼り切ってよいのか。米国の行動はどこまで信頼できるのか、こうした疑問をぬぐえない以上、日本は核を持つべきだと私は考えます。
~核の保有は攻撃的なナショナリズムの表明でもパワーゲームのなかでの力の誇示でもあありません。
むしろパワーゲームの埒外に自らを置くことです。
~~
つまり核を持つということは国家として自律することです。
核を持たないことは、他国の思惑やその時々の状況という偶然に身を任せることです。
米国の行動が危うさを抱えている以上、日本が核を持つことで米国に対して自律「することは世界にとって望ましいことです。
ウクライナ危機は歴史的意味を持っています
大戦後今回のような通常戦は小国が行うものでしたがロシアのような大国が通常戦を行ったからです。
つまり本来通常戦に歯止めをかける核があるはずなのに、
むしろ核を保有することで通常戦が可能になる、という新たな事態です。
コレを受けて中国が同じような行動に出ないとも限りません。
コレが日本を取り巻く状況です。
いま日本では核シェアリングが議論されていると聞いています。
しかし核の共有という概念は完全にナンセンスです。
核の傘も幻想です。
使用すれば時刻も核攻撃を受けるリスクのある核兵器は、
原則的に他国のために使えないからです。
中国や北朝鮮に米国本土を核攻撃できる能力があれば、
米国が自国の核を使って日本を守ることは絶対にありません。
自国で核を保有するのかしないのか、それ以外に選択肢はありません。
広島と長崎は世界で米国だけが核保有国であった時期に起きた悲劇です。
核の不均衡はそれ自体不安定要素となります。
中国に加えて北朝鮮も実質的に核保有国になる中で日本の核保有はむしろ地域の安定につながるでしょう。
>現在、日本も対露制裁に加わっていますが、
>この危機が去った後も中国とロシアは同じ場所に存在し続けます。
@台頭する中国と均衡をとるためには、日本はロシアを必要とする、という地政学的条件に変わりはありません。
ロシアの行動が許せないものだとしても米国を喜ばせるために多少の制裁は加えるにしても、ロシアとの良好な関係を維持することはあらゆる面で日本の国益に適います。
感情的にならざる得ない状況の中でも
決して見失ってはならないのは、『長期的に見て国益はどこにあるか』です。