その代表例としてユーゴスラビアの自主管理企業経営が取り上げられていた。
今の中国でも政治は独裁だが企業経営は市場に任されている。国営企業も未だにたくさんあるようだが、赤字のところが多いようだ。他国企業の経営も多い。
原発事故を受けて、代替発電においてガスの役割が注目されている。
ガスコンバインド発電を採用すれば、エネルギー効率が大変よいらしい。
関西方面の官庁の多くは大阪ガスを主体とする自家発電事業者から電力を供給されている。
ところが、日本の4大ガス供給会社のガス料金の平均値はとてつもなく高いところに設定されているのは有名である。電気料金の比ではない。同じ液化天然ガスをタンカーで輸入しなければならない韓国よりも産業用、家庭用の平均値で1,9倍にもなっている。
どうしてそうなっているのは調べてみた。
つまり日本のガス会社は給料や人員の割には韓国より、ガスを売っていない。本配管の延長距離が長いし、敷設するコストがかかるため、維持費管理費、減価償却費が多くかかる。
販売側も地域独占だという。
ただし、供給と販売は別会社になっている。
韓国都市ガス供給事業の開始は1980年代で戦後間もなく開始された日本とは歴史が違うが、後発の韓国のガスインフラ事業では、供給側と販売側が分離されている。
これは日本の発電事業と供給、販売事業が一体化した民間独占資本体制をとって、総括原価方式というあらゆるコストに利益を予め上乗せした方式をとっていることと事情が違う。
やはり、生産事業と輸送事業は分離したほうが効率がいい、と後発の韓国ガス事業が物語っている。
韓国は公社方式であり、政府からの価格統制が強力に効く。
そのため、ガス原価の販売価格に占める割合が大きい。日本ではこの点が少ない。報告書の数字がはっきり示しているのだが、大学の研究というのは上品なのか、この点を鋭く突っ込んでいない。
日本ではガス販売価格に占める液化天然ガス価格の占める割合がハッキリと低いのに割高な料金が設定されている。
日本では販売コストを決定するコストの中身が割高になっている。販売料金に対するガス原価が安いのだから、他に考えようがない。また、自動的に上乗せできる利益幅も確保できる。
総括原価方式はこれらの総和である。
大学の研究報告書なのにこの点への突っ込みがまるでなっていない。
社会資本であるガス供給事業が完全民営化され、株式まで発行している。
その株式は時価総額評価になって、経営の一つのよりどころとなっている。
ガス供給事業も電力供給事業と同じで完全インフラ社会資本なのに民間独占資本。あらゆるコストと利益が加味された総括原価方式で販売価格が決定されている。
ならば、生産設備に大きな資本を投入しても価格に転嫁できる。ガス料金、電気料金を値上げすればいい。
あらゆるコストは価格に転嫁できるのだから、あとは資本の運転経費を切り詰めれば、自動的に大きな利益が生まれる。
事故を起こした東電の清水社長のやったことはこれだったそうだ。
>>>ガス会社に電力会社の原発に当たる利益を生み出す打ち出の小づちはないように見えるが、一つだけ理不尽なところがある。
産業用のガス供給料金を抑えて、利益幅が減っているところを家庭にとてつもない割高なガス料金を完全独占をいいことに押しつけていることだ。
庶民の家庭ではどこも、ガス料金の高さを肌身で感じているはずだ。
2004年の日韓のガス料金比較。
日本の家庭用ガス料金ー韓国の2、8倍
産業用 ー韓国の1,15倍
産業用のガス料金を低めに設定するメリットもある。
ガス会社はガス火力発電事業者として近年供給量を伸ばしている。
関西の主な役所関連は大阪ガス出資の自家発電業者、エネットから電力を買っている。
すでに記事に書いているように電力大口利用者で稼働率の低いモノは既存の電力会社よりも安い電力を供給される。