反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

人々を不幸にする経済格差の拡大を是正することに政治観の主軸をおく。それができないから枝葉の民主化に拘る。 @それ自身が欧米流のグローバル資本制そのものだ、と未だに気づいていない。

            福岡県弁護士会 弁護士会の読書:ヨーロッパ

            弁護士会の読書  (霧山昴)⇒書評
    
      シルクロード全史(下) 2021年7月 2日
 著者 ピーター・フランコパン 、 出版 河出書房新社

反俗日記。

 ロシアウクライナ戦争が勃発した直後、You tube動画欄にNHK党の立花孝志の動画の案内が載っていた。日頃の言動から期待薄だが何気なく動画を開いてみると、やや乱暴な切り口ながら、今始まったロシアウクライナ戦争の核心には、<モノ=資源>の争奪戦がある、という意味のことを終始語っていた。クソリアリズムなんだけどWとしては、この戦争は、<民主主義>や<人権><国家の独立>というウクライナを擁護支援するキーワードを基準にした見方よりもよっぽど、確信を突いた見方のように思えた。

⇒この戦争は短期間で終結しない、と予想する。

 理由その1.ロシアの事情。

ロシア以前のソ連時代のアフガン戦争は1979年12月~~80年7月モスクワ五輪<欧米日ボイコット>~~85年ゴルバチョフ書記長就任、~~~86年4,26チェルノブイリ原発事故<所在地はウクライナの北西端、ベラルーシとの国境>~~86年ゴル、部分撤退指示~~88年国連仲介和平合意。完全撤退決定~~翌年89年撤退完了~~89年東欧強硬派東ドイツベルリンの壁崩壊=88年⇒91年ソ連邦崩壊)戦後唯一の大規模軍事侵攻と現地での長期間(約10年)にわたる占領地治安維持戦闘行動(現地政府の代替え)だった。しかもこの長期現地占領活動の目的は親ソ政権支援、反政府宗教ゲリラとの持久戦に早期の段階で突入<欧米は武器援助しなかったにも拘らず制圧戦に勝利できなかった>しているにもかかわらず、イデオロギー的な理由から共同幻想の世界への固執という反リアリズム政治軍事)

>撤退する勇気を発揮できなかった。

 理由、その2

その1は、裏返すとG7等の自国民の生活健康を犠牲にしてでも、長期戦に持ち込み、ロシア国家を分裂衰弱させ、敵対する核軍事大国を無力化させる戦争要因になる

コレが戦争長期化戦略を民衆レベルに公表できない本意である。

しかもウクライナの血で贖われたグローバル資本制支配層流儀の民主主義、人権などを強固なグローバルスタンダードにし、そのイデオロギーが貫徹できない新興国家群開発独裁と総括できる)に同調者を得ることができる。意に沿う開発独裁⇔民主政権の互換性ができる。

>したがって、それらの新興国家群のヒトモノへの収奪システムを再構築できる。

 理由その3。

ユーゴスラビア紛争 - Wikipedia

1991年から2001年までソ連邦崩壊との連動性は否定できない。南欧スターリン主義圏の弱い環の動揺から、NATOの直接介入に至る。

ユーゴスラビアは国土防衛ドクトリンとしてトータル・ナショナル・ディフェンスを採用しており、平時から武器類が自主管理組織によって管理されていたことや、市民がそれらの扱いを知っていたことが紛争激化の要因の一つとなった。

紛争は各国・勢力間の軍事的勝敗(嵐作戦)や交渉・合意のほか、北大西洋条約機構NATO国際連合の介入により収束。」⇒W。ドイツもEUの枠を超えてNATO軍としてセルビア空爆作戦を敢行した。

 理由。その4。

@理由その1~その3を証明するR4年、防衛白書ウクライナ、ロシア戦争関連文書である。

>戦争勃発から当事者、双方は、周囲から早期戦争終結の出口がふさがれ長期戦の陣形は敷かれている。

@誰がこの戦争で政治的経済的に得をするのか損をするのか?

>この手の世界レベルの対峙の陣形が<あらかじめ>構築されている場合、一番損をするは民衆。その選択は究極のところ生活労働命と健康を掛けたものとなる。

 下記引用。

>白々しいEU帝国から最大の恩恵を引き出した国の軍拡である。マーカー部分の財源に注目する。

ドイツは、ロシアのウクライナ侵略開始後、その国防政策を大きく転換し、同年2月27日、ショルツ首相が、国防費の対GDP比を現在の1.5%程度から引き上げ、今後は2%以上を維持していく旨を表明した。また、2022年度連邦予算に防衛力強化のための特別基金1,000億ユーロを計上することとし、そのために必要な財源を確保するため、ドイツ連邦共和国基本法の改正を予定している。」⇒赤字国債大量発行に踏み切ったということだ。一方日本は、国家予算の半分は赤字国債発行(市場放出⇒買い上げだが、ネット座談会によれば市場に出した直後買い上げ=日銀直接引き受けと同じ。今回の公的金利利上げは国際投機筋から一斉に日本国債売りを浴びせかけられた結果、景気に悪影響を与えるのを承知で、敢行されたという。そうすると連動して市中銀行などの貸付金利は上げざる得ない。加えて日本は今現在、コロナ死者数世界一、出生者数、昨年と70万人減、事実上、現代貨幣理論に準拠する防衛費倍増計画、という社会的な閉塞状態である。しかし一番肝心な自国認識は日本経済は本来のファンダメンタルズに相応しい立ち位置に回帰していると言おう趨勢であり、それを見据えた長期戦略の構築である。君子危うきに近寄らず!この戦略である。台湾海峡南沙諸島朝鮮半島。勝手にやらせてお行けばよい。不干渉主義でいこう。

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w。参考資料。この実情を知らない人が多すぎる。反俗日記の過去記事ではさらに踏み込んで問題にした。

@「歳出予算で見た防衛関係費は、人件・糧食費と 歳出化経費という義務的性質を有する経費全体 の8割を占めており、自衛官も退職しないで隊内キャリアをとり高齢化している。当然準国家公務員だから給与はあがる。外の世界出るよりも楽だから。自衛隊んを長くやっていると一般生活に適応できない、事実を何度も見た。あの元海自、山上氏にもそういう一面があったと思う。しかし、自殺未遂はどういうことか。プライドは邪魔をしていたのか。死亡保険金云々は信じがたい。

陸上自衛隊基地の食堂風景⇒街で見かける健康でのんきな若者たち、というイメージ。とても軍人とは思えなかった。悪いことではなく社会の空気が軍隊に流れ込むのはよいことだ。

 

残りの2割についても、装 備品の修理費基地対策経費などの維持管理的な 性格の経費の割合が高い。⇒メンテナンスと基地環境維持費だ。

@今回の倍増計画の骨子は総額画定方式で、各部門を精査した予算積み上げ方式ではないところがミソ。だったら、戦闘部門に回る予算の実額が問われるが、米国からのミサイル買い上げや、防衛研究費、軍需産業への予算垂れ流しというのが実情。

www.mod.go.jp

 

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 引用 全文 なかなか示唆に富む書評、案内である。

17世紀から18世紀にかけてイギリスは最大級の成功をおさめたが、その理由はいくつもある。ほかのヨーロッパ諸国に比べて社会や経済の不平等が少なかったこと、最下層の労働者たちのカロリー摂取量が大陸と比べてはるかに多かったこと、経済成長にともなって労働の効率が格段に上がったこと、生活様式の変化も重要だった。⇒W。資本制生産様式はイギリスにおいて確立した、ということに尽きる。


イギリスには、独創性に富む人材が多く存在した。

出生率がヨーロッパの大半の国よりも低かったのは、一人あたりの収入に重大な影響を与えた。大陸に比べて、少ない人数で資源や資産を分けることができた。

>そして最強の切り札は、海に取り囲まれているという地理的条件。守るべき陸上の国境がないため、イギリス軍事費は、大陸の国々に比べて非常に低く抑えることができた。

 第二次世界大戦の前、

イギリスは戦争という脅しでドイツを牽制し東の隣国への攻撃をふみとどまらせようとした

ところが、ヒトラーは、最強の手札が配られたと瞬時に判断した。それは並はずれた度胸が必要なゲームだった。

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>Wは第2次世界大戦は第1次帝国主義戦争の残務処理ができないまま再び、ソ連スターリン主義体制を巻き込んだの帝国主義戦争であるとの段階的歴史認識なので、基本的に上記の歴史観を排す

 

 赤マーク部分はチャンバレンの弱腰外交といわれているが疑問がある。

対独戦争の脅かしが弱かろうが強かろうが、ナチスドイツはチェコからポーランドに、さらにソ連に向かった。

ワイマール憲法状況の末期、アメリ大恐慌によって敗戦国で過大な賠償金を付されたドイツ国内に投下されていた米資本は一斉に引き上げられた

ハイパーインフレと大失業はワイマール憲法下のヒットラー政権の土壌だった。当時、世界の工業生産値の49%はアメリカが占めていた。当時のドイツでは国家と社会主義の有り様が課題にならざる得なかった。自由主義的政策は無効だった。ブルジョアジーの政党も弱かった。

 

帝国主義戦争は政治技術では止められない帝国主義戦争は資本主義の発展が生み出した世界的な軍事解決法であった。戦争しか選択肢をなくさせた自国政府を倒すことが民衆の一義的な政治目的だ。しかしそうした勢力は少数派になった。唯一ロシア国内だけが二重権力状態から少数派が国家権力に近づける機会に恵まれた。この時代、戦争と平和、飯を食うこと、政権奪取は裏と表の関係だった。

 

第1次、第2次世界大戦の根本要因は帝国主義の不均等発展による世界市場の再分割である。

具体的に言えば、20世紀初頭から急速発展したドイツ資本主義による米英仏が牛耳る旧世界体制へのチャレンジに対して

世界恐慌によって、国内階層矛盾を拡大させてきた旧世界体制手練手管物量を駆使した反撃である。

 

ドイツ資本主義は世界体制に二度チャレンジし2度敗れた。

そして、いまEUを戦略的に利用し、ついにヨーロッパの東端の戦争に対処している。

   以下、EU帝国論

東西冷戦終結以降のグローバル資本制の転回に応じて、EUはそれ自身、帝国主義的振る舞いをする経済構造であり、その政治的上部構造の意味合いを持つようになった。

だから、急速に東方に拡大したのは、政治意志というよりも国内に最大限利重の源泉を欠いた金融寡頭制と、迎合することに利益を見出した各国中間層以上の経済本能である。⇒エレファントカーブの図

EU上層は各国民衆のコンロトールの効かない官僚組織である。しかも同じ政治家、専門家があるときはEU政策決定会議に参加し、別の日にはNATO会議に顔を出す、と報じられている。そういう政治人間たちのいう民主主義、人権が庶民の場のそれとは違ったものになるのは当然である。アントニオネグリのいう帝国の典型をEUにみる。

 

 なお、現在のドイツ第3党に躍進しているポピュリズム政党にたいする日本の学者の精緻な分析を提示するつもりだったが、すぐ見当たらないので割愛する。

>この政党はドイツの利益第一主義を唱えて躍進した。

@長い論文のなかで一番大事な指摘が欠けている。

@ドイツ資本主義はEU通貨制度のおかげで平価安の恩恵を甘受してきた。こんな承知の事実の対価として、ドイツはEU通貨体制を維持するために負担をしてきたが、ポピュリズム政党にとってコレが嫌だというのである。政党が急速に躍進してきた理由もここにある。

>当たり前のギブアンドテイクの経済原則と実際にある政治経済構造を土返しして、目先の自分の都合しか見えなくなった民衆が民主政の枠組みのなかで成長し、帝国の動向を左右する時代が到来している。

 

  引用に戻る。

 1932年に、ソ連の輸入品の50%近くがドイツからだった。それが6年後には、5%以下にまで落ち込んだ。

スターリンヒトラーの利害が一致したのは、ポーランドを分けあうということだった

スターリンは、すでに「ポーランド軍事組織のスパイ網の一掃」を名目に、ポーランドの内政に干渉し、数万人を逮捕し、5分の4以上は銃殺していた。
ソ連社会は、スターリンの圧制の下、数年間にわたって自滅の道を突きすすんでいた。
1917年の革命の英雄たちをはじめとする大勢の人々が、ヴィシンスキー検察官の下で、ファシストの犬、テロリスト、ならず者、害虫などと罵(ののし)られ、そして殺された。知識人や文化人が虐(しいた)げられた。101人の軍高官のうち、10人を残して全員が逮捕された。91人のうち9人以外は銃殺された。このなかには5人の元帥のうちの3人、大将2人、空軍幹部全員、各軍管区のすべての長、ほぼすべての師団長が含まれていた。赤軍は崩壊した。この状況のなかでスターリンには一息つく時間が必要だった。ヒトラー・ドイツの不可侵条約の提案は天の恵みだった
なあるほど、そういうことだったのですか...。

一方のヒトラーにとって、最大の弱みは国内の農業だった

⇒W。第1次世界大戦敗北の結果、東西の領土が割譲されたことも要因か?。

ドイツは食糧自給ができないため、輸入に大きく頼っていた

>餓死する国民をひとりも出さないためには、ウクライナの穀倉地帯が「必要」なのだ。ロシア南部とウクライナの農業は、急成長していた。

 ヘルベルト・バッケはヒトラーに対して、カギはウクライナにあると強調した。ゲッペルスも、ソ連を攻撃する狙いが小麦とその他の穀物を中心とする資源であると理解していた。

戦争の開始は、穀物とパンのためであり、豊富な朝食と昼食、夕食のためだと明言した

目ざすべきは、ドイツとヨーロッパのすべての人々を養ってあまりまるほどの、黄金の小麦がゆらめく東の広大な農地の占領だった。⇒W。誇大妄想!第1次世界大戦の対露南部戦線(ウクライナ)で広大な領土を占領し、ソビエト政権とのブレストリトフスク条約で<安堵>されたが

西部戦線との両面作戦を強いられていたので、占領地を運用できなかった。

ヒットラーナチス政権及びドイツ人は、直近の世界大戦における敗北のリアルな事態にさえが無視できる程、熱狂の渦に身を任せていた

>結局、ドイツは政治的管制高地の高みから世界情勢の推移を見渡せることができなかったイデオロギー過剰政治のなせる業である。

プーチンレーニンを嫌悪しているらしいが、現代のブレストリトフスク条約を締結する勇気がなかった、といえる。守るべきものを見失った日和見主義である。ソビエト革命と民衆を守るための大譲歩に対して国内から徹底な反対者を生んで左翼エスエル党員に狙撃され、それが命取りになり脳梗塞を発症した。

プーチンの守るべきものは民族や宗教(イデオロギー)、ロシア形成史という過半は国家共同幻想にぞくし、唯一物理的なものは領土であるが、広大な占領政策は世界戦争下のバランスが情勢がなければ貫徹できないことは明白である。実行すれば行き詰っているG7の格好の排外主義政治の餌食になる。

 

  引用に戻る

切迫した現実があった。ドイツでは、食糧をはじめとする必需品が急激に不足していた。ソ連からの穀物輸送だけでは、慢性的な供給不足を解消できなかった。1941年の夏には、ベルリンの店は品薄で、野菜が売られている店はめったに見かけないとゲッペルスは日記に書いた。⇒W。ハイパーインフレ。輸入できない、貨幣が信用されなくなっているのだから物資は市場に出てこない。隠匿消費される悪循環。大失業状態も併存。国家権力による統括以外に抜け出せる道はなかった。こういう事態における民主政が問われた。「持てる国」英米仏にない苦境である。

>この時代の日本ケースはドイツと同じ次元で認識することはできない。

ワシントン条約締結時の日本の工業生産値はイタリア、ソ連並み。それに対比して条約による戦艦建造実績は英米に次ぎ仏と同等だった。この民需と軍需の不均衡と近代化以降の歴史人口学的人口ボーナスの国内処理不可能性が、無理筋で欧米権益とぶつかる中国侵略と挙句の果て東南アジア軍事侵攻を生んだ。

@反俗日記はこの30年来の日本経済の停滞は戦線戦後の具体的数値をあげて日本が本来有するファンダメンタルズへの歴史的回帰と断定している。

とくにヒトモノカネのグローバル回転率の高い世界資本制においては、その国のファンダメンタルズの有り様がもろに浮かび上がってくる。

現状に日本は資本収支の優位で飯を食っている国である。であれば当然、軍事力で海外進出した資本を守らなけらばというのが古典的発想である。一方で中国と敵対関係になって経済が回っていくのかという危惧もある。思考停止しなければ前に踏み出せないだろうが、歴史的過去にこういう事例はあった。今度は米国と敵対しないのでやっていける程度にしか考えていないのだろう。一時期を除いて日本はもともと民衆は優秀だが上は凡庸。年貢村請負を熟した民衆がいたから、キャッチアップできた。

 

@こういった歴史的な流れの中で、民衆の一番大切な心構えは、<原則>をしっかり持つということである。誰が戦争を声高に叫んでいるのか、しっかりと見極め、そういう輩を倒すことだ。

他所の国がどうしたこうしたという人がいるが、直接自分たちの生活労働、健康に関連するのは自国政府の打つ政策であり、戦略である。中国や北朝鮮のせいにするのとアメリカのせいにするのは、ほぼメダルの表裏の関係にある。

 経済がグローバル化すれば、政治はナショナルチックになる。歴史が証明している。

そして戦争によるロスと破壊が始まった。ただしこの時代の戦争は経済の異常な過剰と過少の拡大再生産システムと経済に埋め込まれた非人間性に戦争要因が必然的ある。この問題を抜きにした戦争論はみんな現実的ではない。

 

 もともと大国であったロシアEUNATOの東方拡大によって自らが歴史上獲得してきた立ち位置、制度的精神的構造が引き裂かれる、と恐れるから攻撃的になる。生物学的な次元のごとくである。

中国も位相は似ているところがある

そして、それらの獲物を追い詰め、自国民に犠牲を納得させ獲得物をかすめ取ってきたのが欧米先進の歴史だった。そのソ連は崩壊時に膨大な国富がかすめ取られ、その多くは海外に流出した。国家権力を握っていた中国当局はそれをやらせなかった。

 

  引用に戻る

ドイツ民族が食べていくためには、数百万人が餓死することは避けられない。

次のようにナチスの内部文書に明記された。
「すべてはソ連南部の小麦畑の獲得にかかっている」

ソ連侵略の前に出された、ヒトラーナチスの軍隊の内部指令は次のとおりだった。
「完膚なきまでに、敵を全滅させる。あらゆる行動において、鉄の意思をもって、無慈悲かつ徹底的であらねばならない」


スラブ民族への侮蔑、ポルシェビズム(共産主義)への憎悪、そして反ユダヤ主義で一貫していた。

 ヒトラーナチスソ連領内に進攻する徴候はたくさんあり、スターリンに届いていた。しかし、スターリンは、まだヒトラーが牙をむく段階には至っていないと、ひとり合点していた。
チモシェンコ元帥(国防人民委員)、ジューコフ将軍ノモンハン事件のときのソ連軍最高司令官)の二人が、ドイツへの先制攻撃を提案したとき、スターリンは、「頭がおかしくなったのか」と言ってとりあわなかった。

 ドイツ軍はソ連領土内に侵攻して華々しい成果をあげた。しかし、それも束の間、今では必要な量の食糧すら確保できなくなっていた。
大量のロシア人捕虜が餓死したのは、ナチス・ドイツの自国民優先(ファースト)からだった。

 スターリンソ連には、やがて、ロンドンとワシントンから、戦車や航空機、兵器そして物資が投入されるようになった

 流れが決定的に変わったのは、1942年の夏、ドイツ軍のロンメルが、アフリカ北部のエル・アラメインで大敗したこと。スターリングラードでも、1942年秋にはドイツ軍が苦境に立たされていた。

 イランの共産化を阻止するため、アメリカのCIAは、イランの各方面に気前よく大金をばらまいた。イランの武器のほとんどは、アメリカの防衛産業から購入されている。まさしく、他人の殺しを金もうけのために利用しているわけ...。ああ、嫌ですね、嫌です。よく調べてあることに驚嘆しました。大変勉強になりました。
(2020年11月刊。税込3960円)

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 ①記事を作成する都合上、日本経団連の関連ホームページを開くと現<中国の民主化>が政治目標であると堂々と主張していた。

 

 ②昨日、デモクラシータイムズなる動画において、敵基地攻撃軍事力展開、防衛費5年2倍増問題を「討論」する「座談会」を視聴していると、

>どこかの大学の40代前半の女性教授が、USA撤退後のアフガニスタンタリバン政権が女性の大学進学をさせない、という決定を突然取り上げ、USAは東アジア情勢最前線に日本列島及び日本国民を阻止出しても自分の都合ではしごを外す典型とした。

 

③同じ座談会でアフガニスタンでの中村哲氏の活動を日本人の海外対応の素晴らしい例としてとりあげ、日本政府の外交防衛政策と対比した。

 

①②③は各々ケースバイケースでぜんぶおなじではない。

 

 特に①の場合、とんでもない内政干渉というか、それ以上の要素を含んでいる。

日本発の膨大なヒトモノカネが日常的に拡大再生産される日中の政治経済構造が確固としてあるわけだから、<中国の民主化>が政治目標は実質的に介入である

ひかえめにいってもこういう見地で日中の政治経済構造に対処すれば、経済交流それ自体が経済帝国主義として作用する。

 

中国現政権体制の民主化>を経団連企業が標榜しながら中国大陸現地で日本本土よりも過分な利潤(資本輸出の最大の眼目は超過利潤獲得!)を食んでいる一方で、

日本列島上でのグローバル資本制の大波に乗り急拡大した中国資本や製品の進出が問題視されているのも事実である。

論理矛盾のある情報処理である。

 しかしこの事態はグローバル資本制のヒトモノカネの相互交換という観点からみると、日中間の関係だけにくぎ付けしてみるのが如何に視野狭窄なのかわかる。

卑近な例だがAmazonで購入した製品のほとんどにmade in chainaと記されている。汎用品の製造技術は今や日本国内産よりも上に感じる。質量兼備した細かい部品の調達網が確立されているからだと思う。コロナパンデミックの当初、中国からAmazon経由で取り寄せたマスクがその後購入した数社の日本製マスクよりも使い勝手が格段によかった。Wにはその理由が解る。マスクの上、鼻にフィットする針金の<なまし>がきちんとできているので柔軟に変形できる。だから、眼鏡がくもらない。建設現場で使用する<番線>仕様である。日本製は<なまし>が甘くただの針金である。

 ちょっとしたアイデアも優れている。電熱湯沸かし型湯たんぽ。アイデア商品である。Wのノートパソコンはlenobo。CPUの容量をぎりぎりに酷使している割には故障しない。設定時の取説の不備は電話対応できちんと案内してくれた。

TVはTCL.。超安物。アンドロイド、システム搭載とは笑わせる。コレによる利便性など一切ないがTVは野球と競馬しかみない、普段はPCのモニターとして使っているだけなのでそれでもよい。日本のTV番組は早送りできない、装っているがあまりにもわざとらしく先が読めて退屈するので見たことがない。動画の方が視聴の自由裁量が効く。

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 この間に、中国関連の本を6冊読み込もうとしたが、咀嚼できなかった。

戦前は<志那通>学者、ジャーナリストが大陸侵攻の理論的な合理化の役割を果たした。

先日来、「台湾を考えるむつかしさ」松永正義の序にかえて、が今まで読んだ中国本よりもすっきりしていると読み込んでいくと、

中国本土分割も議論の中に包み込み、台湾のナショナリズムに文化的考証の装いをもって異常に細部に深入りし解説してくのにびっくりし、あまり細かすぎて本の内容だけでは手に負えず、ネット上で台湾、中国大陸現地の事情を調べる有様になった。PCのキーボドの仕様まで調べつくした。結論は日本のような仕様ではなく簡素な国際仕様でOKとのことだった。台湾香港の繁体字、大陸の簡体字の現実適応まで調べつくした。結局ここまで手間をかけないとこの本の内容が理解できなかった。ネットで台湾事情を調べたら現地に一般人は、ここまで細かく気にしていない。だったらこの本の真意は何なのか?余りにも台湾ナショナリズムに拘り過ぎている。しかも理屈の理論的大枠は米国学者のようだ。

 

 この領域まで読み込んだ時の感想は、白井聡がいうような台湾民主政の現状への肯定感ではなく、このように細部に台湾独自領域を人工的に突き詰め、実行に移していくと、政治場面のリアリズムとして反中国政権の最前線に自らを押し上げていくだろうという予感であった。

>もちろん、台湾には1971年、中華人民共和国国連加盟とバーターした国連除名という痛恨の歴史がある。

この時毛沢東は存命で、反社会帝国主義世界戦略を唱え、ソ連を主敵にするような毛沢東主義に特徴的なプラグマチックそのものの外交を転換していた。

それに応しキッシンジャーの筋書き通りニクソン訪中が実現し、大陸政権をUSAは公認し国連招致となった。そのご、田中角栄首相訪中から日中平和友好条約締結へと台湾を置き去りにして世界外交は進んだ。

 以上のような歴史経過を踏まえ、台湾は国民党開発独裁的な政治時代が、東西冷戦終結直前まで続いた。この道程はほぼ韓国の独裁から民主化への転換期を機を一にする。

 韓国の民主化が長い年月をかけた血で血を洗うような壮絶な戦いの果てに達成されたのと違って、台湾の民主化は<ほぼ>無血状態で達成され下からから戦われてきた労働大衆運動の翼は急激に議会選挙圏への参入に収斂されていった

そして李登輝国民党時代から、民進党>国民党の時代へと政治地図は固定化され、この流れの中で人工的な台湾ナショナリズムが醸成されていった

 そして民進党政権安定の流れの果てに、人工的なナショナリズムの発見、開発、実践が細部にわたって推し進められた。

多分関わる知識人はそこでしかアイデンティティーが見いだせなかったのだろうが、台湾ナショナリズムを包摂する民進党政権の安定と共にナショナリズムの細部への拘りが生まれ、それは実行すればするほど、平衡感覚が危うくなる出口のないところに突き進んでいく。

 

 こういう狭路の出口はたった一つしかない。

より一層の反中国最前線化である。

周りもそれをそそのかし精神的物的援助を与える。

想像ではウクライナでも人工的に同じ位相のナショナリズムの醸成が行われたと思うが台湾程徹底する以前に、ユーロマイダン暴力政権転覆闘争に進んだ。台湾では、開発独裁まで外省人を基盤としていた国民党は議会選挙で徐々に少数派に追いやられた。

もっともこの外省人内省人の区分け自体が日本人の徒って胡散臭いが支配の歴史に絡まっているの厄介だが、理解はできる。ちなみに台湾の国語は北京語である。台湾語というのは台湾島の対岸、福建省南部の言葉であり、北京語とはほとんど会話できないほどであるが、中国を少し知る人には常識である。ただし漢字という共通点はあるが、蒋介石が生きているときに当然なすべき漢字の簡体字化を拒否した経過があるらしい。そこでこんな面倒な漢字を台湾ではどう扱っているのか、という疑問が生じたわけで、本では難に案内もないからネットで調べるしかなかった。台湾のキーボードでは日本語のカタカナのような文字のキーボードを操作する。大陸ではローマ字キーボードを打つと簡体字が出てくる。いずれにしても日本のキーボードではなく国際基準のものでOKなので打ち込みやすい。最近の台湾の政治家は選挙の時に台湾語をわざと使うらしい。しかし、台湾で公用語の北京語が普段使われているとネットで知った。本によると台湾語が一般化しているような印象を与える。なお香港も繁体字の世界である。ただし台湾語に相当する言語はないとみる。

 

 台湾はナショナリズム文化運動の狭路を推し進めている段階とみる

それがナショナリズムの暴発になるかどうかは、今まで台湾の大人しい政治状況から想定すると、外部からの働きかけ如何にかかわる、とおもう。それと経済の停滞如何である。

 日本の支配政治は台湾有事をいう。

しかし、台湾と中国大陸政権の問題は戦後史的には日本と無関係である。なぜに日本が軍事力で関わっていくのか、その理屈がすっきりしない。

 よくよく地図を広げてみるとアメリカは東アジアと東南アジアにおける地政学上の立ち位置とヨーロッパ、南米との関係という多義性もあるが、日本の議論を聴いていると実に単線的アジア規模での諸国との連携もはっきりしない南沙諸島でもめているからといって反中国になびくわけでもなさそうだ。もっとも中国の一路一帯路線も眉唾物で、国内の不均衡の解消が先だとおもうが、これも経済の本能とみるとよくわかる。日米欧、中国、ロシアは同じ次元で争っている。

 

 毛沢東主義の御都合主義的な世界戦略で国連を追放され、内ごもり切磋琢磨の経済発展と遂げたら、今度は独立となるのが理の当然でありそれでもかまわないと思う。好きにさせてあげるべきだ。香港にさえ手を焼いている政権に台湾をコントロールできるわけがない。アメリカもキューバを基本的に軍事侵攻しなかった。できないというリアルな見通しがあった。

ただし、中国政権はその先を読んでいるのか

台湾独立は米国の中国大陸への橋頭保になる。

示した本の著者は漢民族の複合性や大陸諸民族の分立をことさら取り上げて、アメリカ合衆国と一緒だ、などと中国分割の論理を内包している。その論理の元ネタはアメリカの中国学者の様だ。

 中国史は分裂と統一、他民族支配の歴史だった。

中国現政権はそれを踏まえないはずはない。

>日本が中国を脅威と見る一方、中国は欧米日本を本心では怖がっているが虚勢を張っている面がある。またロシア革命に始まる政治は政治宣伝と実践がごちゃまぜになる傾向がある。情勢に嵌れば偉大な力を発揮するが、空振りすると主観主義になり失敗する。

 台湾も難しい、危ういが、同時に中国も危ない橋を渡っている。君子危うきに近寄らず!

経済交流だけにして政治的に関わらない方が身のためである。まして軍事的に関わるなんてとんでもないことである。コレが結論。

 

 敵基地攻撃能力保持、軍事費倍増計画と民生発展はアンビバレントな関係になってしまうのは子供でも分かる。そういう狭路に追い込まれながら、ますます己自身のファンダメンタルズに相応しい国になっていく。富栄えるのはパイの取り分を確保している、あるいは座る椅子が用意できる支配層だけだ。

こんな理屈が解らないようでは、どうにもならん。ハルマゲドンなど、今の複雑な世界で単純に実現されるわけがない。

自暴自棄を排し、これからの時代、戦争など怖がっていれば何も出来きない。世界経済構造がそうなってしまっている。コレに尽きる。

 

②について。カナリアカナリアでしかないが大事にしなければならない。

しかし、女性の大学進学を進める米国のアフガニスタン侵攻を支持するのか?民主主義、人権、独立は普遍的な政治価値とは言い切れない。それぞれのやり方がある。しかも宗教政治である。私がアフガニスタンにいれば国を出る。価値観があまりも違いすぎる。以前の記事でウクライナにいれば難民を選択すると書いたら、60歳以下の男は出国停止という。ロシアは出国できるらしい。しかし日本いるものとしてその国に任せる。

昔からそういう主義である。ベトナム戦争の時もいわゆる反戦平和運動には興味がなかった。自国の政府の在り方を問題にした。その昔の60年安保闘争のとき反米と自国政府の打倒の二つの政治路線があった。70年安保のとき、11月に佐藤首相の訪米を阻止するために蒲田にいった。安保条約というのはただの条約ではなく日米両国にまたがる支配層の安保体制に事なんだ。条約を破棄するような政府が出現したばあい、米軍が出動する前に自衛隊が治安出動する。チリのアジェンデの時が典型だ。この順序を間違えてはならない。韓国民主化闘争のときの光州事態もその例だ。米軍が直接出てくるときは朝鮮戦争ベトナム戦争のような当事国の独立性があいまいな事態だ。イラクのような事態もある。政治戦略は客観的な社会経済構造論に裏打ちされるべきもので、一政党の活動のしやすさなどの要因によって直接支配しない敵に向けて陣形と儲けるべきではない。最もこんな政治路線は一般に受け入れなれない。そういう意味で従属論や属国論は政治経歴的にどうかなと思う。

 米国仕込みの雑多な民主主義観は捨てるべきだ。その方が世界が隅々までがよく見える。

人々を不幸にする経済格差の拡大を是正することに政治観の主軸をおく。それができないから枝葉の民主化に拘る。

@それ自身が欧米流のグローバル資本制そのものだ、と未だに気づいていない。

 

③について、中村哲さんは日本国内で活動すべきだった最も宗教的信念でやっているのならしかたがないが。