反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

TPP、EU、日本、中国、韓国北朝鮮、韓国。情勢を展望する。

 正直なところ、TPPに関してまとまった議論を検討したことがない。
キチンと調べなくては本当の判断は出てこない。
 
 ただし、今のままでも、大まかな意見は云える。
意見を言っている段階と判断を下す段階は区別される。
政治責任を伴う政治家でないのだから、自分の意見を間違っていてもハッキリさせる段階があっていい。間違っていたら修正したらいい。
 
 これを最初に提唱した菅は外務省のネット記事のタイトルそのままに「国を開く」と称したが、まさにそのキャッチフレーズの意味する処はTPPの本質が高度な政治的軍事的問題を根底に孕んでいる事を指示している。
 
 日本の将来的な国家像、東アジアを含む世界戦略の基本問題がTPPの根底にあると云う事だ。
しかし、それをハッキリしないまま、経済面だけの視野で唐突に旧来の東アジア共同体路線から変身している。
 
 巷の議論は順序が逆になっている。あるいは、総論を軽んじて各論から入って、損得勘定論にのめり込んでいる。世界戦略はアメリカ任せで経済幻想に引きずられた日本の戦後、思考の限界が肝心なところで露呈しているとみる。
 
 尤もその本家のアメリカもバブル崩壊の巻き返しとして、4カ国が創出した枠組みにただ乗りし、当面の己の欲を満たそうとしている。
 
 この成り行き任せのいい加減な国家戦略の両国のGDPが参加国中の90%弱を占めると云うのだから、日本側と個別自由貿易協定を結ばず、急転TPP積極推進の受け皿を持ち出してきたアメリカの狙いは、その方が日本から貢物を引き出しやすいとみているからだ。
 さらには対中包囲網、韓国を含めた東アジア分裂分断支配も意図している。
 
 日米両国限定の自由貿易協定と曲がりなりにも環太平洋諸国を巻き込んだTPPを比較すると後者の方が国家戦略なく、政治性のない日本に何となく世界への政治幻想を植え付け、シビアーな二国間交渉を進めるより有利に事が運ぶ。
 すでに日本側からは戦前の日本帝国主義失敗の標語時、「バスに乗り遅れるな」が飛び出している。
交渉する前から、アメリカの都合にとって、上々の滑り出しなのである。 
 
 さらに参加国をザット見渡したところアメリカの都合に沿うような国ばかりだから、多数を巻き込んで、その陰に隠れて日本に圧力を加えることができる。
 
 事の本質は国と国民の将来を見据えた大局的政治戦略を根底に据えての問題なのだから、ここに大きなグレイゾーン(現実政治を動かしている政治家、官僚組織にアメリカサイドの思考が染みついているモノやスパイもどきが多すぎ)や従来通りのアメリカ任せがあっては国と国民の行く末を誤っていまうのではないか?
 
 TTP交渉が戦前の日本側暗号丸わかりの日米交渉で、TPP実施が日本にとっての真珠湾にならないか?
衰えたとはいえアメリカの大きな懐に抱き込まれ、インディアンの如き戦争を強いられ、他方で東アジア敵視で結果しての両面作戦を強いられ、破滅する、と云うシナリオも十分考えられる。
 
 尤も、今回に国の敗北はない。負けるのはアメリカに労働と資産をむしり取られる国民だ。
日本を構成する極一部の大資本と支配層の身は安泰だろう。
 問題はこの期に及んで、多数派国民が目を覚ませるかどうかだろうか?
 
 損得勘定限定議論の方法からは当たり前の結論しか引き出せない。
得をする者もいれば、大損するモノもいる。
 
 ただハッキリしている事がある。
 
TPPは単なる経済関係強化ではない。損得勘定論に拘った議論をしていても堂々巡りとなり、最終的に国民の圧倒的多数が2次3次産業で飯を食っている目の前の物理的視界から、「エエイ、もう議論は面倒だ!バスに飛び乗ってしまえ!」となるだろう。
 
 本格的な議論をしようにも戦後の日本人は経済幻想が身に染みついて、政治的軍事的発想の土台と訓練がない。
 
 従って、自分たちの将来の大枠の決定をまたしてもマスコミの生み出す空気にゆだねてしまう。
得意の世論調査の出番がまたしてもやってくる。尤もその世論を製造しているのは、調査する本人たちで、その結果をもとにまた世論を製造する。
そうやって雪だるまのように転がしていけば、最終的に世論80%支持。ハイ、これで決まりとなる。
 
 ところが、この問題がいかに高度な政治軍事問題を孕んでいるかと云う証左はEU統合までの軌跡を振り返るとハッキリしている。
 
 引用。
 
「そこまでの統合の歩みは、経済活動上の一体化を進めるプロジェクトのかたちをとっていた。そのやり方が尤も国々の賛同を得やすかったからだ。EU統合は実をいえばその本質において政治的プロジェクトである。
国家主権にかかわる政治統合は、なかなかそれを前面に出しずらい。そこでEU統合の推進者はひとまず、経済的メリット追求を前面に出すことによって、統合に向かっての求心力形成に努めた。
経済統合を推進する間に先送りしていた二つの政治テーマが俎上に上った。
その1。EU共通外交安全保障。その2。国内治安協力。」
 
 「統一ドイツの独り歩きを許してはならない。EUの枠内に封じ込めてしまう必要がある。その焦りの高まりの中で主権喪失への抵抗感や独自通貨を手放すことの拒絶反応も、さしあたり色あせた。
統一ドイツを封じ込めるためなら、ひとまず、耐えがたきを耐え、忍びがたきをしのぶほかない。」
 
 「統一ドイツ問題を前にしては懸案も何もない。何はともあれ枠組み作りの合意を急ぐ彼らであった。」
 
「ベルリンの風の崩壊がなければ、重箱の隅をつつくような経済統合のちまちました部分を巡って、もっともらしい議論に終始していた。」
「まさに歴史の流れに巻き込まれたと云うか、押し流されて、今日まで来ていまった」
 
 この引用文中の統一ドイツ出現と各国が主権喪失の耐えがたきを耐えた早急なEU統合を、中国台頭への脅威韓国経済発展への競争意識、と読み込むことはできないだろうか?
 
また耐えがたきを耐えるのは、いったい誰なのか?
日本の多数の国民じゃないのか?
 
そもそも世界戦争に敗北した相手の軍事占領を許しながら、その国相手にさらに「国を開く」とはどういうことか?
言葉通り読み込めば、更なる属国化となると想うが。
原始爆弾を落とされてなお、福島原発事故を発生させている、人間としての低レベルの醜態と同じ事をTPPで演じているとしか思えない。亡者になると恥と云うモノを知らない。
 
TPPへの紆余曲折を経た日米の早急な対応はこの問題が高度な政治的軍事的戦略性を含んでいる、ととらえることができる。
 TPPは政治統合以前の経済連携の段階と云うことはEU結成までのヨーロッパ諸国の長い道のりと唐突なTTP浮上で差し引かれる。
 これは対中包囲網の一環であるし、日本が東アジアに背を向けて、太平洋の遥かかなたのアメリカの懐に抱え込まれることで、バブル崩壊後の一極ヒトモノカネ流れ先細りのアメリカに貢物を差し出す新たな枠組みとなろう。
 
 日本は国家戦略性をアメリカによって封じ込められているが、アメリカは韓米、中米の個別ネットワークのフリーハンドが保有したままなのに、日本側は、TPPによって必然的に中国韓国との横の連携が寸断され、アメリカと通じた関係に身を委ねるしかなくなる。日本の近隣への戦略性はさらに狭まっていく。
よって対立局面が増加し、そこことで更なるアメリカ依存の輪に捕えられていく。
 こうした、構造からも貢物は必然化する。
 日本はTPPによってまたしても脱亜入欧路線に接近している。
 
 こうした、経済連携を大きく超えた、政治性、軍事性、イデオロギー性、は官僚層のネット上発表記事にもはっきりとうかがえる。
 
 最後、自分が知ってる限りの外務省経産省のTPPに関するネット情報からの端的な感想を付け加えておく。
 
 各省庁の基本的態度は農水省だけが反対と云うより抵抗して、その他は賛成の方向にあるようだが、横浜開催のAPEC前に参照した経産省、外務省のネット上のTPP関連の記事すると、両省庁は強力な推進の旗振り役を演じるだろう。
 
 当該記事は今はもう抹消されているが、TPPへの賛成の論陣は張って、ほぼ全面展開した貴重な資料だった、と想う。残念ながら、記事を書くとき参考にしたが、取り込まなかった。
 
 特に外務省はTPPに推進の急進派であり、アメリカ寄りのイデオロギー色を前面に押し出していると見た。
このネット公開記事を読んだ時、いったいこの省庁はどこの国の役所なのかな、と想った次第だ。
 
この省庁に関しては以前から、半分アメリカの役所などと云う風評が出回っていたが、実際に確認すると酷いモノだと解った。
 
 とにかく、アメリカ寄りの発想がイデオロギー色を強めて懲り固められている。
急進的と云って良いほど、足元が定まっていない。TPP推移に向かって突っ走ると云う決断と想いこみが激し過ぎる。
 その彼らはちょっと前までは、東アジア共同体アジア諸国に提示していた。
唐突の変身はアメリカ、バブル崩壊民主党政権誕生以降であり、しかもTPP推進の急先鋒になっている。