反俗日記

多方面のジャンルについて探求する。

『国体論 菊と星条旗』(集英社) - 著者:白井 聡 - 橋爪 大三郎による書評

W。参考資料としてアップする。
アメリカの覇権は、永続するわけではない。ゆっくり弱体化していく。
世界は、列国のせめぎあいの場となろう。
明治の日本が直面した、列強の競う国際社会と似ている。←W。第3の開国と仮想する人たちもいる。
第1の開国、明治維新
第2の開国、帝国主義戦争における敗戦、米軍統治下による民主化朝鮮戦争に対応する、いわゆる逆コース。
第3の開国、戦後世界体制の崩壊、グローバル資本
もちろんその前提は丸山真男福沢諭吉の明治開国への構えを日本近代史観の核心に読み替えた文脈。
以上についてのWの意見→支配層の政治思想に関心なし!どうでもよい。激動の世界にワクワクする!
 
アメリカへの幻想を捨て、日本人はリアルな認識を深めよう。←一W。脳内の幻想は想像力に不可欠な要素。沖縄を返せ!は感覚的に合わなかった。僭越である。
当時の日本の経済力(下部構造)から言えば、反米主義は上部構造の安保条約破棄になるが、それが実行されると実質上の革命的事態出現になっていた

安保条約は当時から今を貫く政官業を網羅した支配体制。そこのところを公然化しないのは日和見である。
 
日本の人々が第一義的に支配されているのは一握りの日本の金融寡頭グローバル支配層によってであり、アメリカ金融帝国によってではないのは明白。

幻想を捨てなければならないのは、この順序。
 
 しかし日本の支配層が危なくなると米軍事力、在日権力構造の発動の機会が増すのも事実
民主党政権下の大震災福島原発事故。第7艦隊トモダチ作戦と併用されたショックドクトリン

とりわけ、幕末維新からの日本の近現代史を深く理解し直そう。
読者は、若い世代に属する白井氏がこの同時代を共に歩み、かくも手堅く考えていることを、頼もしく思ってよいのである。
        >戦前の国体とは何か。
天皇を中心とする政治秩序》にすぎないはずが、天皇の国民→天皇なき国民→国民の天皇、の三段階を経て、神権政治的…な「専制君主制国家」》に膨らんだ。
天皇は国民を愛しているから、国民は天皇に尽くせ。この「国民の天皇」観が二・二六事件の前提だ
「君側の奸(かん)」を除けば天皇と国民の絆が回復するという幻想だ。
それに悪乗りし軍部が戦争に突き進んだ。
 
←W。天皇なき国民とは大正デモクラシー時代を指すのだろう。
確かにいわゆる原理主義的右翼思想の戦前史観はそういった思考回路で、自らの今の立場を正当化していた
 時代の空気の中で激烈に動いたものが、今から思えば違和感を覚え客観視できて歴史の中で役割を振られているように感じて違和感がないが
 
当時は世論が沸騰しそういった行動が奇異性がかき消されていた

今にあえて二重写しすると、嫌中、嫌韓世論の増殖の成れの果ての日韓紛争

もとより韓国側にも事情(急速経済、民族南北分断~戦後世界体制の残存)があるが、圧倒的に経済力で上

回っていた日本側に世界経済とりわけ東アジア経済における地位低下によって余裕がなくなっていることが大きな動因になっている

       >戦後の国体とは何か。
天皇は主権を失い、マッカーサーが君臨した。
アメリカが《天皇を通じて主権を行使する》のが「天皇制民主主義」の内実だった
《国体は変更されたと同時に護持された》。
 
←W。日本国憲法→サ条約→日米安保→高度経済成長→沖縄返還ベトナム敗戦→米世界戦略の再編スタ圏矛盾爆発→グロ資本制、米一極から多元矛盾(経済システムの矛盾先行し
遅れて政治改変)今も同じ位相


こうした奇妙な戦後への苛立(いらだ)ちを、著者は、丸山眞男吉本隆明三島由紀夫の言動のなかに探っていく。
 
 日米関係が特別なのは、国体の柱だからだ。←W。論証不備で不明
アメリカは日本を愛しているから、日本人はアメリカに尽くせ。
幻想だが、戦後を呪縛している。

←W。共同政治幻想の中のもっとの原始的な夫婦男女間に適応される対幻想の文脈と理解する。
なるほど良い得て妙なところがある。

日米関係は欧州各国と米国との関係とは異次元ではある
なぜでなんだろうな?
広大な太平洋を隔てているし、歴史文化人種民族は異質なのに

幕末、ペリー艦隊は沖縄にいったん立ち寄って浦賀に来航。そのころ米国は南北戦争の時代を迎えていた。
この辺が歴史のダイナミズムである。
 
アメリカは若い国、内乱を通じて国家統一されると一気に帝国主義の世界植民地獲得争闘に分け入ったが、

日本にとって歴史文化あるヨーロッパの国は理解できても、新興独立国のアメリカパワーとそのピューリタン的開発民主主義は理解の外だった
 
そのアメリカと正面から向き合うことになるのは、中国利権を巡ってだから1930年代以降である。

>だとしたら戦前日本はアメリカをよく知らずに戦争した。

今は世界多元化にもかかわらずアメリカ情報過剰で日本のアメリカ」という幻想(白井聡が強まっている

アメリカへの対共同幻想による戦後国体の成長(日米政治軍事上部構造肥大化)⇔経済下部構造ねじれて双方の比重相対的に減少。

日本は永続に敗戦し続けたままの刷り込み効果は多元世界の争闘の時代状況に怯えアメリカ依存性が増大するのか?白井聡の一貫した論法を用いなければ説明できないのか!

東アジアには戦後世界体制が残像ししかも強大になっている。

これに対して日本支配層はサ条約日米安保という米国の枠組みにがっちりハマった状態でしか対応できなかった
 
ここがネックとなって、独自展開しようにも戦後世界体制への圧倒的管制高地を有する米国側の諸国へのチャンネル操作で一気に政治軍事関係が動揺する。
 
そして、政治軍事情報機構において米国色のチャンネルが構造化している。
>政治軍事上部構造と経済下部構造のねじれの拡大は、米国に浸透され構造化した日本的政治軍事情報機構の特殊性の突出という側面においてしか説明できない
 
 嫌中、嫌韓世論の増殖も同じく、捻じ曲げてしか知らないことが影響しているのではないか

Wも反俗日記を書くまでは具体的に韓国、中国の資料と向き合ったことがなく、西洋史をメインに世界史を組み立てていた。

>中国史を読んだとき、この国と民衆のダイナミックな歴史に驚愕した。

朝鮮半島の歴史も国定教科書からじっくり読みこんだ。

地政学上、中国モンゴル、日本の双方に相対するがゆえに歴史の悲劇性に見舞われることが多すぎた民族であり、その傷跡は民族分断等形で眼前にあるが、

同時に歴史的時間をかけて大な市民革命を血を流して達成した民族である。
この国の歴史は市民革命以前と以後の区切りがあり、
1960年代中期日本が当時の韓国国家予算の1,5倍の賠償金を日韓条約締結とともに支払ったのは、市民革命以前であった。韓国政府は遅れたインフラ整備に使って民衆の所に卸さなかった
植民地半植民地における市民革命の精神は戦闘的民族主義を基盤とし醸成高揚し、新興国民国家形成に至る。その際、ブルジョア民族主義であれば、近隣への排外主義をともなう。
韓国の場合がこれで歴史を巻き戻して、日本企業に賠償を請求する論理になる。日本企業に賠償を請求する論理になり、法廷が合法判決を下す。それがこう言った民主主義の一側面である。歴史時代遅れのフランス革命以降、なのである。

中国共産党の一応、ワールドワイドな社会主義運動の意匠で統制されていたので日中国交回復ODAレベルで収まった。その統制が外れると韓国と同じ事態になる可能性もある。
台湾は中国内戦で敗北した国民党の亡命国家の刻印が長く続き、アメリカに飼いならされた国家。それ以前は日本の植民地統治が50年間も続いた。
 
>これらに対して日本は歴史上、恵まれた立ち位置にいた
思い切って言えば、ヨーロッパのイギリスの立ち位置。

以上の基本視座を蔑ろにすると双方の齟齬は拡大し民衆はともに不利益を受ける。

が、互いに奇異な歴史の歯車を回す環境が醸成されているので止められない。

Wの予測よりも東アジア「騒乱」の事態は早めに訪れた。

リアルな人と人とのエモーショナルな蠢きが歴史の歯車の回転を早める。

そのマイナスの付けは双方の民衆に回される。

それがグロ資本制の上部構造の争闘の帰結である。

グロ資本金融寡頭制という上部構造がそう言った上部構造の蠢きを必要としている歴史段階に突入した。

冒頭にある「世界は列国のせめぎあいの場」ならば最大限にうまく立ち回ればベターなわけだが、その裏面、下部構造が問題である。

主語は国家、述語は民衆の関係をリアルに転倒することが大事。

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日米安保条約は冷戦下まだしも合理的で、経済的繁栄を支えた。
>冷戦後には「再定義」され、アメリカの世界戦略を日本が支えるものになった
*《対米従属は、それを必然化してきた経済的下部構造が失われた時にこそ、逆説的にも強化されてきた》。←W。なぜ?

白井聡氏は《日本は独立国ではなく、そうありたいという意思すら持っておらず、かつそのような現状を否認している》と言い切る。

かつて国体と心中した軍部のように、日本は再び破滅への道をたどっているとする。←W.白井聡の論法によれば、ある意味、フレキシブルに生き延びた日本国体=国家機構はその可変性を発揮して最終戦争が勃発したり、国家機構を破壊する革命がない限り、破滅しないはずで、それを放置すると壊滅するのは民衆側。
 
 占領(アメリカの日本)から束(つか)の間の経済的繁栄(アメリカなき日本)をへていま、「日本のアメリカ」という幻想が強まっている←W。鋭い!戦前と戦後史を通底する同次元の文脈で説明している。

*安倍政権では、
*《合理的な親米保守「愚かしい右翼」》と合流するに至った。
  ↓合理的保守がその存立基盤を喪失したわけ訳。 具体的個々人が醜聞暴露で失脚させられた。
W。その1、米国が戦後の庇護の代価を返せと要求する時代になったこと。日本は朝鮮戦争、べトナム戦争。後方平坦基地に徹し潤った。55年体制対応。

その2、日本経済の長期低迷、世界経済に対する相対化。従来の財源不足。

その3、新興国経済の台頭、によって排外主義に足元をすくわれ、戦後議会圏政治史をリードしてきた合理的保守の立ち位置狭隘化。


その病理は、己れが何かを知らない空虚さである。
《戦後対日支配の要点》は、
>《欧米人に対するコンプレックスとアジア諸民族に対するレイシズムを利用》することだった。←特別枠扱い。間接統治、制御徹底。

すると《日本人はアメリカに従属する一方、アジアで孤立し続けるだろう》。
その日本人がいま、経済的繁栄もアジアに対する優位も崩れ
《集団的発狂》に陥っているところだ、と著者は診断する。←W。この大状況へのトレースは、間違いではない!
フェイク・ニュースが拡散し、親中反日のレッテルを貼り、ヘイトスピーチが横行する。

焦燥感が《大衆のあいだでの排外主義的心情のひろがりのかたちをとって現れている》。


 ↓
引用
「本物の奴隷とは、奴隷である状態をこの上なく素晴らしいものと考え、自らが奴隷であることを否認する奴隷である。
さらにこの奴隷が完璧な奴隷である所以は、どれほど否認しようが、奴隷は奴隷にすぎないという不愉快な事実を思い起こさせる自由人を非難し誹謗中傷する点にある。
本物の奴隷は、自分自身が哀れな存在にとどまり続けるだけでなく、その惨めな境涯を他者に対しても強要するのである。
深刻な事態として指摘せねばならないのは、こうした卑しいメンタリティが、「戦後の国体」の崩壊期と目すべき第二次安倍政権が長期化するなかで、疾病のように広がってきたことである。(297-298頁)」


こうした《泥沼のような無気力》をどう脱出すればよいのか。
 
W。ネット情報サービス中毒というか一種の反対論なき純化したバーチャルリアリティーたこつぼにはまってノイローゼ状態が大集合し世論を形成すれば、それは暴走する。
 
トランプやアメリカ政治の大波はコレだ。
 
イタリアではネットサービスで拡張した5つ星運動が移民排斥第一で伸長した旧北部同盟<同盟>と連立政権を担っている。